91~92シーズンの話で11月にフィンランドに合宿に行ったときのこと。
この年は、フィンランドも雪不足で練習場所に困っていた。
日本選手は最初はタイバルコスキーという所に基地を置いて雪待ち。
1週間くらいたってからようやく雪が降り出したけれども、現地ではまだまだ雪が足りず飛べる状態ではなかった。
2、3日してからルカというところのミディアムヒルが飛べるようになったということで、
そこから1時間半かけて、4、5日だったと思うが毎日チャーターバスで通った。
そこに、ちょうどニッカネンも来ていた。そのときは、いくら下火だったとはいえそこそこのジャンプはしてたんだよね。
その年はV字元年(世界中が)だったんだけど、ニッカネンはまだトライしてなかった。
余談だけどA・P・二ッコラもそうだった。ベッサ・ハカラっていういい選手もいたんだけど、彼もV字ができなくて、その後引退してし
まった。
話は戻って、それからロバエミという北極圏から5キロまでのところに移動。
ここでローカル大会が開催された。(フィンランドチームではWCの選考会)
そのときの結果はちょっと覚えてないが、ニッカネンの飛ぶときの声援の誰よりも凄いこと、そりゃもう地響きよ。
力が落ちても、英雄ニッカネンここにありって感じだった。ありゃもうスーパースターとしか言いようがなかったね。
マッティマッティの大合唱!オリンピックでもないのに。
他のフィンランド選手は面白くない顔。なんであんな奴応援すんだって。
いろいろゴタゴタあったからねぇ。ま、これは内部の話だからお客さんは知ったこっちゃないよな。
そんでもって、この年なんだよね、ニッカネンの次を担うジャンパーがデビューしたの。
ご存知、アルベールビルオリンピックで史上最年少で金メダルをとったトニー・二エミネン。
この選手はフィンランドではいち早くV字をマスターしたねぇ。ニッカネンはこの年で、ジ・エンドになってしまった。
ニッカネンの強さに憧れてた自分としても、V字をマスターした彼を見てみたかったなぁ・・・・・・
今は、当たり前のようにV字やってるけど、あれって結構難しいんだよね。
クラシカルで飛んでた選手はみんなこの技術の難しさは、嫌っていうほど味わってきたもんなぁ。
金具が変わって技術が変わり、スキーのレギュレーションが変わって技術が変わり、終わりがなくなってきたなぁ。
マスターできない選手は引退していく。どっちにしてもこの世界も随分厳しくなったもんだ。