ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【書評など】塩澤実信「定本ベストセラー昭和史」難波先生より

2015-11-11 16:22:28 | 難波紘二先生
【書評など】
1)書評=エフロブ「買いたい新書」の書評に、No.294:塩澤実信「定本ベストセラー昭和史」を取りあげました。井上ひさし『完本・ベストセラーの戦後史』(文春学芸ライブラリー, 2014/2)もよい本ですが、昭和20〜52年の32冊の本の話が中心です。そういう意味で、塩沢のこの書は昭和元年から64年まで、戦前は5冊、戦後は10冊のベストセラーを取りあげていて、通読してもよいし、レファレンス本として使うことも可能です。詳細は以下に、
http://www.frob.co.jp/kaitaishinsho/book_review.php?id=1445833230

2)献本=「医薬経済」11/1号のご恵送を受けた。お礼申し上げます。今号で驚いたのは「講演料で稼いでいる<診療科>:赤字の国立大学病院、頼みの綱は製薬企業での<副業>」という記事だ。今年度から国立大附属病院・施設が「企業等からの資金提供状況」を開示するようになったそうで、講師謝金の「稼ぎ高」の上位100診療科の報酬額が表として示されている。
 これは教授、準教授、助教などの講演謝金、講演・会議費用などを科別に合計したものだ。それによると1位の弘前大附属病院(循環器内科・腎臓内科)が3,911万円、100位の新潟大医歯総合病院(腎臓・膠原病内科)が1,011万円となっている。本文の記事を読むと、実質的にはその科の教授の講演料だとわかる。教授給料は年間に1000~1500万円程度だから、それと同額かそれ以上を講演料で稼いでいることになる。
 ちなみに11/4に厚労省が中央社会保険医療協議会に報告した14年度の「医療経済実態調査」によると、「民間病院の院長の年収は同0.1%増の2930万円で、診療所の院長の年収2914万円(同0.5%減)」(「産経」10/30)となっている。国立大学教授で医師免許があっても基礎系の教授は「医師手当」がつかないので、年俸は1000万円強であろう。
 昔まだ「医局講座制」ががっちりとしていた頃、ある内科の助教授が嘆いて「教授はいいな、開業医の息子である医局員の結婚式の仲人をやれば、がっぽがっぽと仲人料が入り、年収が倍になる。助教授は祝いを包んで出すだけだから、金がいくらあっても足りない」とこぼしたことがある。別の大学医学部の内科教授は、手帳を繰って見せ、「わしらはつまらん、日曜日は結婚式の、頼まれ仲人で半年先までぜんぶ潰れている」と嘆いて見せたことがある。
 バブル破裂以後、結婚式も様変わりしたから、教授の副収入の構造も変わったのかなあ…。
 「時流遡航」欄の本田成親「回想の視座から眺める現在と未来18: サイエンスライターの重要性を訴えかける」は読み応えがあった。「欧米にくらべて、日本には良質のサイエンスライターが足りない」としてその育成と大学、研究所の広報部によいサイエンスライターを雇用することを提唱している。基本的には賛成だが、彼が掲げる「前提条件」が厳しすぎる。
1. 優れた文章表現の能力、
2. 複数の外国語が読みこなせる語学力、
3. 特定の科学領域の専門研究に従事した経験、
4. 哲学と科学哲学の思想に精通している、
5. 現代の諸科学分野の相関性ないし相対性を十分に理解している、
6. 的確な取材力と資料調査力を持つ。
 博士号をもつ人の中で、これだけの条件を満足できる人材がどの程度いるだろうか?特に30歳を過ぎてからでは困難になるのが2で、これは若い時に身につける方がよいだろう。
 私はペンギンの英訳対訳本でギリシア語やラテン語の古典をぼちぼち読んでいるが、もっと若い時に始めればよかったと後悔している。教養部で習ったラテン語の教科書の文句は未だに憶えているのに、ヒポクラテスやガレヌスの文言はちっとも頭に残らない。
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