ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【カブトガニ】難波先生より

2017-11-26 22:53:40 | 難波紘二先生
【カブトガニ】
 11/20「中国」の一面コラム「天風録」が面白い記事を載せていた。
 野口英世とカブトガニの関係、カブトガニの血液成分(血しょう)が細菌毒素と反応して凝固するという話だ。私も医学史が好きだから、野口英世伝は何冊か読んだが、カブトガニとの関係は知らなかった。

 1970年代に注射用製剤に細菌による「内毒素(エンドトキシン)」の汚染(発熱素=パイロジェンによる)を検出するのに、カブトガニの血清が用いられたことがある。(関口晃一『カブトガニの不思議』岩波新書、1991)
 その頃、まだ岡山の笠岡市にはカブトガニがいた。新聞で「異常発生して漁師が困っている」と知り、漁港に採りに行って、自宅の水槽で飼ったこともある。

 でその頃、製薬会社のプロパーさん(いまはMRという)に質問された。
 「カブトガニは不思議なことに、南シナ海の中国沿岸と日本の瀬戸内海沿岸にしかいないのです。あれはどうしてですかね?」
 答えられなかったことは、ずっと気になって、記憶に残るものだ。
 後に米国に留学して、カブトガニがボストン付近の大西洋沿岸にいるのを目撃した。しかし日本と中国のカブトガニ分布の謎は解けなかった。4億年前には、カブトガニはもう出現していたという。

 ところが最近、山崎春雄・他『日本列島100万年史』(講談社ブルーバックス、2017)を読んでいて、プレート移動説と日本列島の誕生論を組み合わせると、カブトガニ分布の説明が出来ると思った。
 中国大陸はユーラシア・プレートに載っている。日本列島はもともと、朝鮮半島とそれ以北のユーラシア・プレートにくっ付いていた。そのうち、東日本が大陸から離れ、西日本も離れて後者は時計回りに回転して、東日本は南下して二つの島が、衝突してフォッサマグナになった。四国や九州などの、太平洋に面したところにはもともとカブトガニがいなかった。
 だから朝鮮半島東岸やその北の大陸沿岸にはカブトガニがいない。

 それ以前の古大陸では、ユーラシア・プレートと北米大陸が接していた時代があり、地続きの海岸にカブトガニが棲息していたはずだ。
 
 こう考えるとユーラシア・プレートの東岸と瀬戸内海・九州北岸にカブトガニがいることが矛盾なく説明できるように思う。北米の大西洋岸にいることも説明できる。このカニはメキシコ湾にはいないようだ。
 こんなことを書くと、地理学者の中田君から「違う」と指摘されるかな?

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