ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始めいつのまにか、トライアスリートになってしまった私。

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

9-22-2014鹿鳴荘便り/難波先生より

2014-09-22 12:40:50 | 難波紘二先生
秋になると急に草の生えるのが目立つようになった。今頃芽を出す雑草は、花を咲かせ実を実らせるまでの時間にゆとりがないからか、高山植物みたいにあっという間に花が咲き、実がなる。あまり大きくもなく、根も張っていないから、抜くのは比較的容易で、気がついた時に10分、20分と気分転換がてら草むしりをしている。
 草むしりにもいろいろ発見がある。
 壁際の草をむしっていて、芝の葉に白い小さな球がいくつも付着しているのを見つけた。壁の前と横を数えると10個くらいある。直径は1cm前後だ。(写真1)
 (写真1)
 近づいてマクロ撮影してみると、眼には見えない細い糸が何重にも巻き付いており、明らかにクモの卵嚢である。(写真2)
 (写真2)
 別の日にこの卵嚢を採取して、内部構造を調べてみた。表面は綿菓子のような形態をしているが、最内部にはカイコの繭のような厚い繊維性の白いカプセルがある。カプセルの表面が綿毛に覆われているというのが、実際に近いだろう。
 始め卵嚢を、付着した草の葉に平行に、横に切断したら、全周にカプセルがあり孵化した幼虫の出口がなかった。この卵嚢には体長1mm以下の小さなコバチが2匹入っていた。(写真3)
 (写真3)
 日本最小のヤドリコバチ(体長1mm以下)の仲間と思われるが、昆虫図鑑には「いろいろな昆虫の卵に寄生」とあるものの、クモの卵に寄生するとは書いてない。それにしてもこのコバチはどうやってこの綿毛に覆われた卵嚢内に侵入し、クモの卵に産卵するのであろうか…。
 フェリックス『クモの生物学』には、「クモの敵」という項があり、ハチの中にはクモの卵嚢や卵に寄生するものがあると書いてあるが、日本産の科(種)についての言及はない。
(写真4)
 別の卵嚢を今度は縦に、つまり葉の軸にそって切り開いてみた。すると、卵嚢の前半分下寄りに斜め下方に走るトンネルがあり、これがカプセルを貫いて綿毛だけになっている箇所が見つかった。これが幼虫の脱出用トンネルだろう。(写真4)
 卵室は不正多角形で断面では20個くらいが認められる。隔壁は透けて見えるほど薄いから、たぶん幼生はこれを食い破って脱出用トンネルに抜けるのであろう。
 別の卵嚢を採取して、ピンセットで表面の綿毛を除去してみた。簡単に取り除ける。すると下から白い繭が出てきた。英語ではコクーン(cocoon)というが、カイコの繭そっくりである。で、その卵形繭の上端に小さな灰色の点がある。ここは繭の壁が欠損しているところで、トンネルの出口である。ここからハサミで開いたら、中に体長0.5mmほどの小さなウジ虫がいた。クモは、脱皮はするが変態しないので、孵化した時から成虫とかたちが同じである。よってこれはヤドリコバチの幼虫と思われる。(写真5)

 どうやらヤドリコバチはクモの巣の中に産卵して、そこで孵化した幼虫がコガネグモの幼生を食いながら成長し、写真3のような成虫にまで達したように思える。成虫のヤドリコバチはこれから繭の外に脱出するところだったのであろう。

 草の葉に付着した白い綿帽子のようなものがクモの卵嚢とは、初めとても信じられなかった。
 どんな動物でも卵を保護したり、カムフラージュするのに、わざわざ目立つ白にして、草の葉に付着させて置くとは…と思った。USB顕微鏡を用いて解剖してみると、内部はそれほど不合理でない。分岐した脱出用トンネルがあり、卵室はこれに面している。厚い繊維性のカプセルがあるので、内部の気温や湿度は一定に保たれているだろう。卵嚢の表面は綿毛に覆われているので、近づいた動物は何か別の植物かと騙されるのであろう。ただ非常に目立つ白い色はどうもまだ「保護色」として納得がいかないので、もう少し調べてみたい。
 その付近にコガネグモが2匹巣を張っている。また巣につかず、卵嚢の周囲にいて近づくとあわてて壁に登ったのもいた。(写真6)
 (写真6)
 腹部背面に見られる紋様と円形の網のスポークにあたる部分のX字型の「かくれ帯」の形成が十分でないところから、コガネグモのうち「ムシバミコガネグモ」ではないかと思う。
 コガネグモの卵嚢は種により「壺型」(ナガコガネグモ)、「多角形」(コガネグモ、チュウガタコガネグモ)と記載されているが、ムシバミコガネグモについては記載がない。(ネットにもない。)メスの成虫を認めたのは4匹だけなのに、卵嚢が10個も見つかるのはなぜだろう。同じメスが2~3回産卵するのであろうか?
 別の日に、このコガネグモが生み終えたばかりと思われる卵嚢から立ち去り、少し離れたところから卵嚢を監視しているのを認めた。一度に2箇所に産卵するのでないのは確かだと思う。交尾を何度もするとは思えないので、受精嚢に精子が残っていると、それが刺激となってまた卵子形成が起こるのではあるまいか。
 素人の観察だから誤っているかも知れない。専門家のご指摘をいただけたら嬉しい。
 観察に夢中になっていて、蚊に刺された。軽くたたき落として、足で踏んづけ、USB顕微鏡で観察するためピンセットと小さなトレイを持ってきて、机の上まで運んだ。節足動物は外骨格だから、キチン質の外皮を壊さない限り、内蔵に受けた小さなキズはショックタンパクのおかげですぐに回復してしまう。顕微鏡で見たら蚊は右の足が1本とれていたが、元気に前足や触覚を動かしていた。
 
 これは胸部背面の中央に縦に白い帯が走っており、問題のヒトスジシマカである。
血を吸う口吻は前足の第2節ほども太い。道理で刺されたら蚊の腹がすぐに赤くなるはずだ。
口吻の先端は鈍になっている。この構造のため刺されても痛くないので、最近ではこれを応用した痛くない注射針が開発されている。
 それにしてもこの蚊は昼行吸血性なのに、目玉が大きいのに驚かされる。夜行性の蚊はもっと大きいだろう。
 デング熱は9/19「毎日」によると
 http://mainichi.jp/select/news/20140920k0000m040135000c.html
 その後も患者が発生し141人に達したという。しかし感染ルートに関しての続報がない。これでは効果的な予防策は立てられないのではないかと思うが、どうなのであろうか…。
コメント (2)   この記事についてブログを書く
« 9月19日(金)のつぶやき | トップ | 【書評など】ドナルド・キー... »
最近の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2014-09-23 18:40:58
クモと寄生蜂についての面白いブログ記事
http://ghop.exblog.jp/6147490
Unknown (Unknown)
2014-09-28 19:49:32
昨日の朝、わたしも枝豆畑でコガネグモを見ました。
コガネグモの巣には、なにやらアルファベットのような文字が描かれていたのでびっくりでした。
かなりアートフルな文字なので、家からデジカメ持ち出して、激写しておきました。
偶然にしても凄いクモだなと思いました。
あの文字のようなもの何か意味があるのでしょうか。巣をかけるたびに、必ずあの文字のようなものがついています。
クモの体色と細い白い巣の網と網線よりも少し太めの白い文字のコンビネーションは、かなりコンテンポラリーなデザイン性があってインパクトがありました。
クモの巣が作品として、制作者のサインを入れたのでしょうか!?そんなことを思わされてしまいます。


コメントを投稿

難波紘二先生」カテゴリの最新記事

関連するみんなの記事