ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【書評】塚崎朝子「いつか罹る病気に備える本」/難波先生より

2014-02-24 18:17:47 | 難波紘二先生
【書評】エフロブ「買いたい新書」書評にNo.205: 塚崎朝子「いつか罹る病気に備える本」(講談社ブルーバックス)を取り上げました。
http://www.frob.co.jp/kaitaishinsho/book_review.php?id=1392448000
 著者は読売新聞医療部の記者で、東京医科歯科大学病院各科の協力をえて、全身の主な病気100について分かりやすく説明してあります。とくに歯科領域(口腔)と耳、咽頭、喉頭領域の疾患については熱が入っています。これは内科系を中心とした「病気案内」の類書にない特色でしょう。
 大部の「家庭の医学」のような事典をそろえるより、まず本書を手元において参照するとよいかと思います。

 書評といえば、日曜日の新聞書評を毎回楽しみにしている。だが、ここ数週、「これは」と思わすものがない。大手出版社は月1回、その月の出版企画を下段のぶち抜き広告で掲示するのだが、今月は「岩波」と「講談社」しか見た記憶がない。今朝の講談社2月の新刊広告を見ると、全30点あり、うち自然科学・医学系が12点、学術文庫が6点、残りが人文社会系の本で「文系書」の衰退が目立つ。
 国見裕久他「最新昆虫病理学」(講談社サイエンティフィク, \4,800)
 は高いが、興味をそそられる本だ。比較病理学的視点があるとよいと思う。
 岩堀修明「図解・内臓の進化」(ブルーバックス)
 も面白そうだ。「修明」はのぶはると読み、京大医卒の解剖学者だ。ブルーバックスに「図解・感覚器の進化」を書いている。
 志賀重昂「日本風景論・新装版」(学術文庫)
 和辻哲郎の「風土」と並んで、日本論の名著とされる本だ。滋賀は札幌農大卒の農学士で広く全国の山谷を踏破し、1894年、日清戦争の最中にこの本を出版した。
 志賀はこの本で、
 「日本の日本海側海岸は沈降する傾向がある。太平洋岸の海岸は隆起する傾向がある。」 
 「日本海中にある島々は海岸に平行して並ぶが、太平洋中の島々は海岸に並行せず、飛び石状に海岸線に対して縦線状に配列する。」
 と述べている。これはウェゲナーの「大陸移動説」に先立つ観察である。
 プレート・テクトニクス理論が進歩した現在では、志賀の観察は、海岸の隆起及び沈降に関してはユーラシア・プレートと太平洋プレートの動きとして、「飛び石状列島」に関しては太平洋プレートとフィリピン・プレートの動きとして完全に説明できるようになった。
 そういう予備知識がなくて、地図と実地調査からこういう観察をまとめた志賀の功績は大きいと思う。
 今持っているのは1938年刊の岩波文庫なので、読みにくいし紙質も悪いから、買い換えようかと思う。
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