ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【書評など】コリン・ソルター「美しい人体図鑑」/難波先生より

2015-03-03 16:29:28 | Weblog
【書評など】
 1)「買いたい新書」の書評に、No.258:コリン・ソルター「美しい人体図鑑」を取りあげました。表紙には「The Human Body」と英語が書かれているが、奥付を見ると「英語版”Science is Beautiful”の翻訳です」とある。
 
 39篇ある「コラム」は「日本語版監修者」奈良信雄(東京医科歯科大教授)が執筆したようで、昨年秋のノーベル医学生理学賞受賞者や理研でのiPS細胞を用いた網膜手術のことまで、すでに書きこまれている。
 全体がⅠ.細胞、Ⅱ.血液、Ⅲ.脳、Ⅳ.器官、Ⅴ.病気、Ⅵ.医薬品という6部に分かたれ、組織、細胞、細胞内小器官や分子などの着色電子顕微鏡写真や偏光顕微鏡写真などが掲載されている。本書はいろいろな手法を駆使して可視化した人体各部、微生物、薬物結晶の写真集である。人工着色により通常の撮影ではモノクロにしか写らないものが、きれいに色分けされて示されており、その一部は幻想的な美しさがある。
 医薬品では、アスピリン、アセトアミノフェン、糖尿病治療薬のダオニール、メトホルミン、抗がん剤のタキソール、葉酸(ビタミンB9)、カフェインなどの結晶写真が載っている。
 通常の人体図譜では、肉眼レベルから始めて次第に倍率を上げて行き、「パワーズ・オブ・テン(10の累乗)」のどの位置に読者がいるか、わかるようになっている。その点、この図鑑では10の1乗レベルと10の4乗レベルの写真が並んでおり、慣れないと混乱する。
 それを避けるには、藤田恒夫他『カラー版細胞紳士録』(岩波新書)のような優れた組織学・細胞学の絵・写真図解書を手許に置いて参照するとよいだろう。
 興味深いのは、細菌に感染するウイルスの一種であるT4バクテリオファージが、大腸菌の細胞壁に接着して、細管を用いて自分の遺伝子を細胞内に注入している電子顕微鏡写真だ。映画「宇宙戦争」に出てくる、火星人が降りてくるロケットにそっくりで、一見の価値がある。
 こういう翻訳の人体や動物図鑑類をみて、いつも思うのは「学術用語を全部邦訳しないで、学名や英語慣用名が残してあったらなあ…」ということだ。これらを覚えれば、読者は次のステップでは英語WIKIや英語類書を比較的容易に読めるようになるはずだ。
 2)リーフェンスタール:
 昨2/27は、お昼に高校の卒業「同期会」の打合せがあり、広島オリエンタルホテルで和食の会食をした。平和大通り(100メートル道路)の東端近くにある、このホテルをビジネスホテルと理解していたが、行ってみるとロビーに図書室があって驚いた。(写真1)

 手にとってみると、英語の映画や芸術に関する古本が主体で、「日本の建築」というようなものあり、外人観光客のためにオープン時にホテル側がそろえたものと思われた。マリリン・モンロー主演の映画「お熱いのがお好き」からの製作写真集もあった。
 中にレニ・リーフェンシュタールの写真集「アフリカ」があった。1936年のベルリン・オリンピックの公式記録映像「民族の祭典」を製作した女性映画監督だ。これは名画で、市川崑「東京オリンピック」も影響を受けている。
 出版社がTaschen(ポケット)というドイツ語名なので、中身を確認したら説明は英語で書いてあった。
 彼女は、戦後はナチに協力したと不評で、60年代にアフリカに移住し、スーダン北部の山地に暮らす未開のヌバ族の生活を写真に記録した。いくつかある写真集の一つがこれで、後で確認したら、死ぬ年の2003年にドイツ、ケルンで刊行されたものだった。
 表紙をめくって驚いた。文明化して衣服を身につける前の、ヌバ族の男女の写真がたくさんある。(写真2)

 こういう写真集は日本では出せないだろうな、と思った。
 レニは100歳でスキューバダイビングをして海中の生き物を撮影し、101歳で撮影助手と結婚している。「意思の勝利」は、彼女が監督した、1934年ナチス党大会の公式記録映画のタイトルだが、なんともはや凄まじい意思力をもった女性だったと思う。
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