日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

梅雨空の京都を行く 2019 - うすい

2019-06-08 23:00:46 | 居酒屋
歳に応じて食が細り、間髪入れずに次へ行くのは難しくなってきました。一息入れるつもりで宿に退却したのが十時過ぎです。同様の状況で、そのまま眠りに落ちるという経験を何度も繰り返しています。しかし、半年ぶりの京都にして誕生日の前夜がその結末では格好がつきません。さほどの間も置かずに出直し、次なる店に飛び込みました。
「あまから手帖」で知った「うすい」が木屋町にあった店を畳み、現在地で復活を遂げたのは比較的最近です。初めて訪ねたのは去年のことでした。そのときに女将から受け取った名刺には、11時が看板とあったような気がします。ただしこちらが訪ねたのは11時を回ってからです。あのときの例からして、まだ入れるかもしれないと淡い期待を抱いて向かうと、果たせるかな行灯の明かりはついたままでした。何食わぬふりをして玄関をくぐると、先客の御方が二人残っており、そのまま入店を許されるという顛末です。
ご両人が帰っていれば、明かりは消されていたのかもしれません。それ以前の問題として、よほどの常連ならともかく、たかが一度訪ねただけの分際なら、断られてもおかしくはない状況でした。温情措置に感謝します。

おでんとジャズ うすい
京都市中京区御幸町通御池上ル亀屋町388 フロンティア西森ビル1F
090-8146-6429
平日 1800PM-2230PM(LO)
土曜 1800PM-2300PM(LO)
日曜及び月曜定休

先一杯
大根
焼豆腐
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梅雨空の京都を行く 2019 - きのした

2019-06-08 21:17:15 | 居酒屋
坂本から浜大津を経て京都へ移動。投宿し、一風呂浴びて出直しました。続いて訪ねるのは「きのした」です。
京都ではこの店をいの一番に訪ねることが多くなりました。定宿に近いという条件に加え、自ら開拓したことから来る愛着もあってのことです。ただし、仮にそれらがなかったとしても、今夜はまずこの店に寄りたい事情がありました。というのも、半年無沙汰する間に、店主の長期療養という一大事があったからです。風の便りに聞くだけではあったものの、二月も休んでいたということは、よほどの重症だったのでしょう。それだけに、近況が気になっての再訪でした。ところが何のことはない、事前に知らされない限り、病み上がりには見えません。それどころか、今では助手も使わずに一人で店に立っています。拍子抜けではありますが、ともかく全快したようなのは幸いです。

献立は図らずも「みをつくし」のそれに近いものとなりました。まず、突き出しの長芋が被っています。しかし、あの店の直後にもかかわらず、二番煎じと思わせないのはさすがです。長芋とめかぶを合わせ、滑りを一層引き立てているところは一味違います。
微妙な違いが気になって、再び選んだのは鱧落としです。注文を受けてから骨切りしていた「みをつくし」の店主と違い、予め仕込んだものを出すところが一見して違います。しかし、作り置きと受け取るのは早計かもしれません。適度に間を置くことにより水分が抜け、皮目の弾力と、わずかに残った骨の食感が強調されるからです。どちらの腕が上というより、好みの問題といった方が適切でしょう。料理人の技がありありと窺われる逸品でした。

旬味きのした
京都市中京区二条通寺町東入ル榎木町92-7 佐野ビル1F
075-213-2929
1730PM-2200PM(LO)
火曜定休

菊鷹・奥播磨
突き出し二品(長芋豆腐・おひたし)
はもおとし
もずく酢
鶏つくね小かぶら丸茄子の冷やし炊き合わせ
杏仁豆腐
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梅雨空の京都を行く 2019 - みをつくし

2019-06-08 17:42:55 | 居酒屋
浜大津の酒屋に寄り、そこから京都へ向かう経路が近年定着しつつあります。しかし今日はさらに一ヶ所寄り道します。京阪電車で坂本へやってきました。目当ての一軒は「みをつくし」です。
旅先でたまたま訪ねた一軒が、こよなく愛用する店となった例はいくつもあります。しかし、門と庭まで備えた店はここだけです。初見で飛び込むには勇気が要りました。それでも意を決して暖簾をくぐったのは、坂本という意外な場所で巡り会ったこの店に、ある種の運命的なものを感じたからに他なりません。その直感が的中し、自身の探訪歴の中でも最大級の掘り出し物となったのは三年前の出来事です。その翌年に再訪を果たしたものの、去年は逃してしまったことから、今回二年ぶりの再訪をと思い立ったのでした。

最大級の掘り出し物と評するのは、これに匹敵する店がほぼ見当たらないという理由によります。門と庭のある店自体、探せばそこそこ見つかるのかもしれません。しかし、一人でも気兼ねなく飛び込めて、単品主体の居酒屋使いができるという条件も加わると、自分が知る限り「籠太」と「浜長」しかありません。教祖の推奨店の中にすらほとんどないということは、全国的にもほぼないと思ってよいでしょう。かくも貴重な一軒に行きずりの出会いを果たしたことは、奇跡以外の何物でもありません。
その真価は今回も遺憾なく発揮されました。鳥貝をとろろと合わせた突き出しに次いで選んだのは、品書きでも一押しされた鱧落としです。値が張るだろう走りの品を躊躇なく選べるのは、明日が誕生日という口実があってのことに他なりません。その鱧は目の前で骨切りしてから供される代物でした。しっとりした身の舌触りにそこはかとない上質さが感じられ、その作風は鴨ロースについても同様です。そうかと思えば、ロールキャベツの粗挽肉には「籠太」の焼売を彷彿させる食べ応えがあり、店主の引き出しの豊富さが窺われます。心地よく呑ませるための気配りも周到です。二杯目を空け、そろそろ辞去しようという間合いで差し出されたのは自家製のからすみでした。これにより予定外の三杯目に突入し、デザートもいただいてから辞去するという顛末です。

初めてここを訪ねたときの情景は忘れられません。賑々しく聞こえていた蝉時雨が、去り際には秋の虫の声へと移り変わっていたのです。次に再訪したときも、茜色に染まった比叡山の稜線に感嘆したのが思い出されます。「二度あることは三度ある」の諺通り、それらに勝るとも劣らない名場面が待っていました。暮れなずむ空のほどよい高さに三日月が浮かんでいたのです。またしても劇的な幕切れと相成りました。

みをつくし
大津市坂本4-11-39
077-579-2199
1700PM-2200PM
水曜定休

〆張鶴・東光・千代の光
突き出し
鱧落とし
かもロース
ロールキャベツ
からすみ
昆布佃煮
マンゴムース
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梅雨空の京都を行く 2019 - 北緯35度線

2019-06-08 15:51:55 | 近畿
大津で降り、改札の方へ向かって歩いたところ、北緯35度線モニュメントなる案内板が目に留まりました。そのようなものがあったのかと思いながらも、矢印が指す方へ歩くと、上りホームの西端にその物件が鎮座していました。地球儀を戴いた台座からは、線路とおおむね平行ながらも微妙に違う方向へ、レールが一本延びています。これがおそらく35度線なのでしょう。
そばに建つ案内板には、このまま東に進むと房総半島の千倉に至り、太平洋と北米大陸、さらには中東、中国西方などを経由し、江津で再び日本列島に突き当たるとの説明があります。普段は想像だにしない地球規模の位置関係に想いを致す目的で、平成最初の年に建立されたものだそうです。元号が再び変わった当年にその存在を知ったのが、単なる偶然にしては出来過ぎています。
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梅雨空の京都を行く 2019 - 凋落

2019-06-08 14:57:26 | 近畿
大垣での乗り継ぎは面倒でしたが、米原ではホームの向かいの新快速に乗り継ぐことができました。ただし、こちらはこちらで残念なことがあります。発車早々英語交じりの自動放送が流れてきたのです。最近東海道新幹線で始められた、辿々しい英語の車内放送に不満を述べたばかりですが、停車の頻度があちらの比ではない上に、貧弱なスピーカーから大音量で繰り返し流されるため、なおさら耳に障ります。
安普請の規格型車両が闊歩する関東に在住する者にとって、クロスシート車が時速130kmで疾走する新快速は、長らく憧れの的であり続けてきました。しかし、近年は窓と座席の配置すら合っていない欠陥車両が投入され、あまつさえワンマンカーのような車内放送まで流される始末。JR西日本の凋落ぶりには目を覆うばかりです。

★米原1450/3283M/1534大津
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梅雨空の京都を行く 2019 - 痛み分け

2019-06-08 14:18:58 | 東海
大垣で降り、面倒と思いながらも跨線橋を渡りました。しかし、待てど暮らせど米原行の列車が入線してきません。ホームで延々待たされた挙句、ようやく入線してきたのは発車の五分前です。結局岐阜から来た後続列車が先に着いてしまいました。とはいえあながち無駄だったともいえません。後続列車が着く以前の段階で、相当数の待ち客が出ていたからです。その状況で加わっても、着席できるかどうかは何ともいえませんでした。一番手で待ち、首尾よく着席できたため、痛み分けということにしておきましょう。

★大垣1410/3223F/1445米原
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梅雨空の京都を行く 2019 - 争奪戦

2019-06-08 13:42:34 | 東海
梅林公園と加納宿に寄ってから自転車を返却。四時間半にわたる滞在はこれにて終了です。再び西へ下ります。
15分間隔で運転される大垣までの区間に対し、そこから先は本数が半減します。つまり、大垣で米原行に接続するのは二本に一本ということになりますが、やってきたのは接続しない列車でした。正確にいうと、急げば間に合うかもしれない前の列車をあえて見送り、接続しない方の列車を選びました。本数だけでなく両数も削減される区間です。大勢の乗り換え客が我先にと跨線橋を渡っていく、争奪戦のごとき様相を呈するのが経験上分かっています。あれを嫌ったというのが真相です。

★岐阜1335/5503F/1347大垣
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梅雨空の京都を行く 2019 - 丸デブ総本店

2019-06-08 11:35:38 | B級グルメ
お昼はもちろん「丸デブ」の中華そばです。開店より一足先に乗り込みました。
少し早めに訪ねたのは、見切りで開店するらしいことが経験上分かっていたからです。その予想は的中し、既に暖簾が出ていました。しかし、先客の出足は予想を超えていました。テーブルと小上がりは早くも埋まって、既にそばをすすっている先客もいます。このことからしても、巷の情報よりかなり早めに開けているのは明らかです。開店からたかだか5分でこうなるとも思えません。次は10分前を狙ってみることにしましょう。
向かいの先客が中華そばを二杯同時にすすっていました。中華そばとワンタンを組み合わせる常連を何度か見かけたことはあり、自身も一度経験してはいるものの、中華そば二杯というのは初めてです。しかし、実見したのは初めてでも、小耳に挟んだことはあります。熱狂的な丸デブ信者として知られるAKB公式ライバルの次世代エースが、上京前はここの中華そばを二杯立て続けに平らげていたというのです。聖地を巡礼しにきた信者の青年だったのでしょうか。想像をかき立てられる一幕でした。

丸テブ総本店
岐阜市日ノ出町3-1
058-262-9573
1100AM-1800PM(売切御免)
6・16・26日定休
中華そば・ワンタン各400円
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梅雨空の京都を行く 2019 - ゆかりの地

2019-06-08 10:34:08 | 東海
世知辛い現実を目の当たりにさせられましたが、ささやかな収穫もありました。来年の大河ドラマの舞台が当地になるらしく、それを記念した懸垂幕がアーケードに並んでいたのです。「戦国武将ゆかりの地 岐阜」と銘打ち、名だたる武将の名を家紋とともに掲げたもので、歴史音痴の自分でも知る齋藤道三、織田信長、明智光秀、木下藤吉郎、山内一豊といった有名どころに加え、土岐頼芸、安藤守就、氏家卜全といった、恥ずかしながら初めて聞く名前まで多岐にわたります。片っ端から撮って回ったのはもちろんです。
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梅雨空の京都を行く 2019 - 草刈り場

2019-06-08 10:01:04 | 東海
自転車を借りて市内を走るのが岐阜を訪ねたときのお約束です。ただし、同じことを繰り返しているつもりはありません。去年は加納城、一昨年は梅林といった具合に、年毎に趣向を変えてきたからです。今回は原点に回帰して柳ヶ瀬の商店街にやってきました。
自転車で岐阜市街を回り始めた初期の頃、まず印象に残ったのが駅前の問屋街と柳ヶ瀬のうらぶれた商店街です。しかし、その商店街に再開発の波が押し寄せ、数年後には一変するだろうという話を小耳に挟みました。そうなる前に今一度訪ねておこうと思い立った次第です。
こうして自転車を走らせると、辺り一面更地というまでには至らないものの、かなりの区画が虫食いとなり、跡地で新築工事が行われているところでした。岐阜駅から延びてくる目抜き通りの両側も更地となって、いずれにも分譲マンション建設地の看板があります。一方の看板には19階の文字があり、もう一方には完成予想図が描かれていて、やはりおおむね同じ高さになるようです。駅の方には一足先に完成したその手の集合住宅も。たしかに、岐阜駅が徒歩圏内という条件を考えると、名古屋市内の外れの方から通勤するより、こちらの方がはるかに便利ともいえます。これは商機と見た魑魅魍魎の手によって、廃れた商店街が草刈り場にされたということなのでしょう。時代の流れとはいえ世知辛い話です。
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梅雨空の京都を行く 2019 - 二匹目のどじょう

2019-06-08 08:41:38 | 東海
本活動は二匹目のどじょうを狙ったものといっても差し支えありません。道中では去年採った行程を大筋において踏襲します。快速列車をあえて見送り、直後に出る普通列車で下る点についても同様です。

★名古屋833/3105F/859岐阜
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梅雨空の京都を行く 2019 - いこい

2019-06-08 08:33:07 | B級グルメ
新幹線を名古屋で降り、在来線のホームへ向かって脇目も振らずに歩きました。目当てはもちろんきしめんです。
それぞれのホームにある店舗を試してみて、味、雰囲気のいずれについても東海道線下りホームの「いこい」が一番という結論に達しました。どこに違いがあるかについても分かってきたような気がします。端的にいうと旅行者の姿をほとんど見かけないのです。きしめんといえば「住よし」と思っている余所者にとって、屋号の違うこの店舗は注目されにくいのかもしれません。穴場と呼びたい一軒です。

いこい
名古屋駅5-6番線下り方
700AM-2120PM(LO)
かき揚げきしめん520円
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梅雨空の京都を行く 2019 - のぞみ5号

2019-06-08 07:24:17 | 関東
目的地が京都なら、それほど先を急ぐ必要もありません。目覚ましをかけずに休み、明るくなるのと同時に目覚め、旅支度を整えて出発しました。六時半の「のぞみ5号」で旅立ちます。本日は東海所属車による運用です。
発車の十分前にホームへ上がると、頃よく列車が入線してくるところでした。しかも、それぞれの乗車口には両手で数えられる程度の先客がいるだけでした。新横浜を出た後も、隣の席は空いたままです。名古屋で一旦降りるため、二列席を借り切ったまま移動できることになります。

★東京630/のぞみ5(5A)/811名古屋
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