ミナミの繁華街が直近の数年で様変わりしました。有り体にいえば外国人、特に中国人観光客が激増したのです。明るいうちに再訪して、およそ正視に耐えない俗化ぶりを改めて実感させられました。
堺筋には外国人観光客を当て込んだ商業施設が造られて、車寄せに大型バスが次々発着する有様。道頓堀の畔にも外国人がたむろしており、戎橋など近寄る気にもなりません。とはいえ変わらぬ空間もあるにはあります。しばしの腹ごなしを経て「正宗屋」へ飛び込みました。
日曜の夕暮れ時ということもあり、カウンターは手前の方から隙間なく埋まった盛況。奥の方に残っていたわずかな空席に通されると、その位置からの眺めがまことに上々です。左斜め前に板場が、右斜め前に惣菜を収めたガラスケースがあり、玄関の方へ向かって鉄板、コンロ、おでん舟と酒燗器が続いていて、それぞれの持ち場で板前とお姉さんらが立ち回る様子を目の当たりにすることができます。決して広くはないながらも、機能的に設えられたカウンターを駆使し、熟練した面々が無駄なく立ち回る機能美と連携の妙は、横須賀の中央酒場を彷彿させるものです。しかし全く違う点もあります。
その一つが目の前のガラスケースに並んだ肴です。きずし、小芋、鯛の子に冬瓜など、関西ではありふれた、しかし関東にはなかなかない品々に、西と東の文化の違いを実感させられます。もちろんどれを選んでも外れはなく、なおかつ値段も良心的、というよりこの値段でいいのかと思えるほどの安さです。やはり、直売所こそ大阪の真骨頂と改めて思います。
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正宗屋
大阪市中央区千日前1-4-14
06-6211-0339
1230PM-030AM(土曜 1100AM- /日曜 800AM- )
水曜定休