昨日に続き、都内はあたかも日曜の晩を彷彿させる閑散ぶりです。今夜も軽く一杯やって帰ります。
先日荒木町を訪ねたにもかかわらず、徒手空拳のまま退散するという経験をしましたが、奇しくも同じような経過をたどりました。最初に向かった「タキギヤ」が休んでいたため、久々の新規開拓を試みるも、入りづらくて一度は敬遠するという経過です。
前回も今回も、狙った店は同じです。入りづらい理由もはっきりしています。いずれも日本酒バーなのですが、一軒は雑居ビルの二階という立地からして近寄りがたいものがありました。もう一軒も一筋縄には行きません。こちらは通り沿いにあるものの、大きな窓を通して店内の様子が有り体に分かってしまい、かえって入りづらいのです。というのも、常連らしき先客がおおむね一つおきに着席しているのが見え、この状態で飛び込もうにも、どこへ入ればよいのか見当がつきませんでした。こうして再び退散する方向に一時は傾く中、意を決して雑居ビルの店に入ったわけなのですが、結果としては昨夜に比べ空振り気味に終わりました。
空振り気味と評するのは、店の善し悪しというより、いわゆるTPOに見合わなかったという事情によるところが大です。昨夜に続いて日本酒バーを選んだのは、派手に飲み食いしづらい目下の体調を考えてのことでした。かような向きには、少量ずつ酒を選べる日本酒バーの方が好都合だったのです。ただし、一口に日本酒バーといっても、先発完投も可能な万能型と、肴についてはごくささやかな二軒目向けの店に大別されます。酒が進みにくいという目下の体調を考慮した場合、両者の中間的な「箱庭」は結果としてお誂え向きでしたが、こちらは後者に属していました。その結果、軽く一杯やるつもりといえども、肴については物足りなさが否めなかった次第です。
加えて酒が高すぎました。80mlから始まって100ml, 140ml, 180mlの四通りから選べるようになっており、単価はいずれも同じ設定なのですが、100mlが平均800円ということは、一合あたりでいうと1500円近い高額になります。酒が若干割高なのが日本酒バーの常とはいえ、せめて一合あたり千円強までであってほしいというのがこちらの金銭感覚です。店の値付けはそれを三割から四割ほど上回っていることになります。
この店ならではの特徴を挙げるとすれば、聞いたことのない地酒が多いということでしょうか。東北から中国四国まで、銘柄でいうと15種ほどが揃う中、半数近くは初見です。無闇に数を揃えるのではなく、都内にもほとんど出回らない無名の蔵を扱うところに、専門店としての矜恃が窺われました。おそらく店主自ら各地に足を運んで発掘したものなのでしょう。しかしそれを誇示する様子もなく、無駄な愛想を振りまかず、聞かれたことだけ直截に説明するという奥床しさは好ましいものがあります。
「タキギヤ」ならば酒が正一合で千円以内、それに加えて酒呑みのツボを押さえた酒肴も揃います。少なくとも、居酒屋としての充実ぶりではあちらに軍配が上がるのは事実でしょう。しかし、無名ながらも確かな品を味わいたい向きには、こちらもあながち悪くないということになります。流行の酒に飽き足らない上級者には好適な一軒といえそうです。
★オールザットジャズ
新宿区荒木町9-22 菅沼ビル2F
050-5593-9760
1800PM-2230PM(LO)
日祝日定休
御前酒・分福・町田酒造
小サバの正油干し
先日荒木町を訪ねたにもかかわらず、徒手空拳のまま退散するという経験をしましたが、奇しくも同じような経過をたどりました。最初に向かった「タキギヤ」が休んでいたため、久々の新規開拓を試みるも、入りづらくて一度は敬遠するという経過です。
前回も今回も、狙った店は同じです。入りづらい理由もはっきりしています。いずれも日本酒バーなのですが、一軒は雑居ビルの二階という立地からして近寄りがたいものがありました。もう一軒も一筋縄には行きません。こちらは通り沿いにあるものの、大きな窓を通して店内の様子が有り体に分かってしまい、かえって入りづらいのです。というのも、常連らしき先客がおおむね一つおきに着席しているのが見え、この状態で飛び込もうにも、どこへ入ればよいのか見当がつきませんでした。こうして再び退散する方向に一時は傾く中、意を決して雑居ビルの店に入ったわけなのですが、結果としては昨夜に比べ空振り気味に終わりました。
空振り気味と評するのは、店の善し悪しというより、いわゆるTPOに見合わなかったという事情によるところが大です。昨夜に続いて日本酒バーを選んだのは、派手に飲み食いしづらい目下の体調を考えてのことでした。かような向きには、少量ずつ酒を選べる日本酒バーの方が好都合だったのです。ただし、一口に日本酒バーといっても、先発完投も可能な万能型と、肴についてはごくささやかな二軒目向けの店に大別されます。酒が進みにくいという目下の体調を考慮した場合、両者の中間的な「箱庭」は結果としてお誂え向きでしたが、こちらは後者に属していました。その結果、軽く一杯やるつもりといえども、肴については物足りなさが否めなかった次第です。
加えて酒が高すぎました。80mlから始まって100ml, 140ml, 180mlの四通りから選べるようになっており、単価はいずれも同じ設定なのですが、100mlが平均800円ということは、一合あたりでいうと1500円近い高額になります。酒が若干割高なのが日本酒バーの常とはいえ、せめて一合あたり千円強までであってほしいというのがこちらの金銭感覚です。店の値付けはそれを三割から四割ほど上回っていることになります。
この店ならではの特徴を挙げるとすれば、聞いたことのない地酒が多いということでしょうか。東北から中国四国まで、銘柄でいうと15種ほどが揃う中、半数近くは初見です。無闇に数を揃えるのではなく、都内にもほとんど出回らない無名の蔵を扱うところに、専門店としての矜恃が窺われました。おそらく店主自ら各地に足を運んで発掘したものなのでしょう。しかしそれを誇示する様子もなく、無駄な愛想を振りまかず、聞かれたことだけ直截に説明するという奥床しさは好ましいものがあります。
「タキギヤ」ならば酒が正一合で千円以内、それに加えて酒呑みのツボを押さえた酒肴も揃います。少なくとも、居酒屋としての充実ぶりではあちらに軍配が上がるのは事実でしょう。しかし、無名ながらも確かな品を味わいたい向きには、こちらもあながち悪くないということになります。流行の酒に飽き足らない上級者には好適な一軒といえそうです。
★オールザットジャズ
新宿区荒木町9-22 菅沼ビル2F
050-5593-9760
1800PM-2230PM(LO)
日祝日定休
御前酒・分福・町田酒造
小サバの正油干し