日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

あれから十年経ちました

2018-08-01 22:33:06 | 旅日記
自分にとって一年の区切りというと、旅から旅の暮らしが一段落する六月ですが、それに次ぐのが二月、八月だと申したことがあります。というのも、最初の職場と今の職場に勤め始めたのがそれぞれ二月と八月だからです。本日をもって、今の職場に移って以来十年の節目を迎えました。
石の上にも三年、桃栗三年柿八年という通り、三年八年経ったときにはそれなりの感慨があったものです。しかし、今回は意外なほどに実感が湧きません。とはいえ節目は節目ということもあり、お昼は「津つ井」でいただきました。二千円のAランチを奢るのも一興というところ、1300円の焼飯を選んでしまうのが器の小ささではありますが、最も愛用してきた店で節目を飾れたことについては満足しています。

俗に「ロスジェネ」と呼ばれた世代の一人だけに、平坦な職業人生ではありませんでした。ニートなる言葉が広まる前からそれを体現し、最初の職場に勤めたのは三十を過ぎてからです。非正規雇用だったため、食い扶持を稼ぐのもままならず、会費無料のカードの審査に落ちるという経験もしました。
それだけに、古い外車の維持費を払えるようになっただけでも、よく這い上がったものだというのが本音であり、さらなる高みへ上り詰めようという強い向上心はなく、世間を見返そうなどという反骨心を抱いているわけでもありません。仮にもお金をいただく以上、片手間というつもりはないものの、これが生き甲斐と位置付けているわけではなく、日頃から「生業」と呼んでいるのもそのためです。
同世代の相当数が貧しい境遇から抜け出せず、あまつさえ若年者の就職事情が改善すると蔑ろにされてしまいました。そのような中、巡り巡って今の職場に流れ着き、上げ潮にも乗って十年生き延びてこられたのは、運によるところが少なくありませんでした。時代の波に翻弄されて割を食った代わりに、立身出世に汲々とせず、趣味を嗜み気楽に生きる術を身につけたという点では、幸運な人生といってもよいでしょう。その幸運に感謝しつつ、引き続き自分なりに務めていく所存です。
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