日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

灼熱の会津を行く - なみなみ

2018-08-05 22:40:05 | 居酒屋
「おのちゃん」のカウンターから窓の外を眺めていると、雨足がいつの間にやら強まりました。しかも厄介なことに、通り雨かと思いきや、いくら待っても弱まる気配がありません。やむなく傘を差して宿に引き上げ、荷物を置いて出直しました。「なみなみ」で一日を締めくくります。
前夜祭でかなりの人出はあったものの、日曜だけにお客が引くのも早まります。そこへ雨が拍車をかけたのか、先客の姿は一切ありません。早仕舞いされても仕方ない状況のところ、幸い前回世話になった面々が迎えてくれました。

「おのちゃん」の先代店長の新天地となった当店を、初めて訪ねたのは二月のことです。そのときは、教祖の推奨店のような老練さこそないものの、一人でも心地よく呑める店なのだろうと予想を立て、おおむね的中するという結果でした。しかし、二回目ともなると初見では分からなかったことに気付いてきます。
まず、ダイニングバーとでもいうべき路線に変わった「おのちゃん」に対し、こちらの品書きはてらいのない居酒屋のそれです。中でも炭火焼を主役に据えるところに特徴があり、玄関の脇には焼き場が設えられて、外からでも様子が分かるようになっています。カウンターに正対すると、左にはその焼き場への出入口があり、正面には板場、右の奥にはコンロを始めとする什器が配置され、その上には磨き抜かれた大小の鍋類が整然と並び、照明に浮かび上がるという仕掛けです。眺望に関していえば何といっても「おのちゃん」ですが、厨房を含めた機能美ではこちらが一枚上手という印象を受けました。
その一方で、炭火焼が主役ということは、提供に時間が要るということでもあり、汽車旅の帰り際という状況での使い勝手は未知数です。豆腐などのすぐに出るものをまず選び、格段に時間が要る焼魚は控えるなどの工夫が要るかもしれません。要領を会得するにはさらにあと一、二回足を運ぶ必要がありそうです。

★なみなみ
仙台市青葉区国分町2-5-7 Ys51ビル1F
022-267-2332
1800PM-200AM(LO)
日祝日 1800PM-2300PM(LO)

宮寒梅・乾坤一・黄金澤・若泉
お通し二品
串焼き二品
真かれい炭火焼
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灼熱の会津を行く - おのちゃん

2018-08-05 20:47:26 | 居酒屋
太助を出ると、遠くで花火の上がる音が聞こえてきました。時間的にはおそらく最終盤の山場でしょう。しかし、見せ場に水を差すかのように、再び雨が降り出しました。雨宿りを兼ねて二軒目へ飛び込みます。訪ねるのは「おのちゃん」です。
初めて訪ねて以来、十年近く世話になった店長が退いたのは、去年の暮れのことでした。その後二月に訪ねたとき、改装のため休んでいるのを見て、店長の交代を機に店内を一新するらしいことが窺われました。次いで四月に寄ったところ、玄関回りが変わっているのを目の当たりにして、中もさぞやと想像しました。しかし、その日は開店前で確かめようがなく、今回ようやく機会が巡ってきた次第です。

磨りガラスの引戸を開けた瞬間気付いたのは、半個室だった手前のテーブル席の仕切り壁が取り払われ、店内の眺めが一変していることです。片側にだけ肘掛けがある独特な形の椅子は交換され、床と壁にも手が加えられているようでした。それだけでなく品書きも様変わりしています。日替わり中心の居酒屋然とした品書きは、掌大の写真帳に、一頁につき表裏で計二品という形になりました。その結果、頁を何枚もめくらなければ一通りの品書きを知ることができず、居酒屋としてはいささか野暮に感じられます。あくまで「居酒屋としては」ということであり、たとえばダイニングバーと横文字で表記するならあり得そうです。明太玉子焼きを始め、昔からの定番がいくつか受け継がれている一方、カルパッチョなど横文字の品が散見されることからしても、純然たる居酒屋だった改装前の店舗との路線の違いが窺われます。
このように、最初は違いばかりが気になったものの、実質的にはそれほどの違いがないことに気付いてきました。そもそも、この店を訪ねる最も典型的な状況といえば、太助で牛タンをいただいた後、軽く一杯やるというものです。酒を二杯程度と、お通しに何か一品加えられれば不足はなく、そのような前提なら使い勝手に大差はありません。
カウンターの造りが他の部分ほど変わっていないのも大きいのでしょう。厨房はおおむね元のままであり、窓側に向けて微妙な角度がついたカウンターもそのままで、充電用のコンセントが新たについていることにも即座には気付きませんでした。もちろん、窓越しに眺める定禅寺通も変わりません。日曜の営業が復活したのも好材料です。窓の外の欅並木を眺めつつ道中を振り返るという、仙台の旅を締めくくるにはこの上ないひとときが、今後再び増えるかもしれません。

居酒屋おのちゃん
仙台市青葉区国分町2-14-25 仙台リッチホテル2F
022-267-1909
1800PM-300AM

水鳥記・亀泉
お通し(塩キャベツ)
だいコン味噌煮
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灼熱の会津を行く - 旨味太助

2018-08-05 20:15:05 | B級グルメ
通り雨で済んだかと思いきや、外に出ると雨が再び降り出しました。短時間なら傘が要らない程度の小雨とはいえ、いつ強まるかと気を揉みながらでは落ち着きません。それ以前の問題として、見物客の数が半端ではありません。これでは花火をしみじみ観賞するどころではなく、祭の賑わいを冷やかすことができれば十分です。ものの五分足らずで切り上げ、「旨味太助」の暖簾をくぐりました。
そこまでは予定通りだったものの、とんだ失敗を犯してしまいました。テールスープの器を落とし、カウンターにぶちまけてしまったのです。たかが30cmほどの高さから両手で下ろすだけであり、よほど酔っていたならともかく、素面で落とすとは通常考えられません。器が熱くて反射的に手を離したわけでもなければ、滑りやすかったという感覚もありません。しかるに何故こうなったかが全く謎ではありますが、ともかく起きてしまったことは事実です。
先ほどの忘れ物の件にしてもそうですが、旅先では思いがけないことがしばしば起こります。とはいえそれも旅の醍醐味であり、思い通りになればなるほどよいというものではありません。しかし、今回はただこぼしたのではなく、文字通りぶちまけてしまったため、店はもとより両隣の方々にも迷惑をかけてしまいました。このようなことは後にも先にも一度きりであってほしいものです。ただし、一杯無駄にしたにもかかわらず、何もいわずに代わりのスープを出してくれた店の計らいには感謝しています。

旨味太助
仙台市青葉区国分町2-11-11 千松島ビル1F
022-262-2539
平日 1130AM-2130PM(LO)
日曜 1130AM-2030PM(LO)
月曜定休(祝日の場合営業し翌日休業)
定食A1500円
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灼熱の会津を行く - 仙台七夕花火祭

2018-08-05 19:22:49 | 東北
バスの経路が変わったため、中心街では下車できず、仙台駅で降りるしかなくなりました。しかもその降車場というのが、駅前のバス乗り場から大分離れた広瀬通沿いでした。こうなると市バスに乗り継ぐのも面倒です。重荷を担いで延々歩き、今夜の宿に入りました。只今風呂から上がって一息ついたところです。
初めて七夕祭りを見物した六年前、同じく会津から向かったとき、仙台宮城のICが閉鎖されていると知って何事かと思いました。市街に入るとさらに驚くべき光景に出会いました。仙台宮城につながる広瀬通が通行止になっており、無数の人が地べたに座って、広瀬川から打ち上げられる花火を見上げていたのです。日射しで焼けたアスファルトがもうもうと余熱を放つ中、よくやるものだと半ば呆れてその光景を眺めたのが思い出されます。
正式には仙台七夕花火祭といい、今年で49回目にもなるそうです。本家の七夕まつりには及ばないにしても、かなり知られた祭りには違いなさそうで、福島からの車中でも浴衣姿のお姉さんを見かけました。前回訪ねたときと違うのは、こちらが着く前に一雨降り、市内の路面が濡れていることです。それにより多少気温が下がっており、駅から歩いてこられたのもそのおかげに他なりません。しかし、花火が始まる七時を狙ったかのように、再び雨が降ってきました。
実は、宿の隣が立体駐車場になっていて、その屋上に相当数の見物客が集まっています。おそらく穴場の一つなのでしょう。彼等が傘をたたんだということは、雨が一応上がったということを示しています。傘を差してまで見物する気はないものの、すぐ近くで見物できる状況を、むざむざ棒に振る理由もありません。冷やかし程度に眺めてから国分町に繰り出します。
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灼熱の会津を行く - 福島交通

2018-08-05 17:05:31 | 東北
後続の列車に乗ると、梁川で仙台へ直通する列車に接続するはずでした。しかしここで一悶着がありました。MOSへ寄ろうとしたときに、三脚が手元にないと気付いたのです。実は、時節柄着替えを多めに持って出た上に、酒と土産を買い込んだため、トートバッグに収まらず、若松を出た時点からは紙袋が二つも荷物に加わっていました。手回り品が増えすぎて混乱し、三脚をつい忘れてしまったということで、起こるべくして起きたともいえます。
慌てて梁川駅に電話をかけたもののつながりません。福島駅に問い合わせ、結果が分かり次第知らせてもらう算段をつけ、その後梁川駅で見つかったと聞かされて、一件落着と思いました。ところが誤算だったのは、交換した上り列車で福島駅に送られていたことです。これにより福島まで引き取りに戻らざるを得ず、仙台へ直通することもできなくなりました。槻木まではよいとしても、その先の列車にかなりの頻度で701系が入り、これまでにも度々辟易しています。その状況を想像すると、残念ながら後続列車で行くという収拾策は考えられず、またも高速バスの世話になるという顛末です。
国鉄型の面影を持つ阿武隈急行の電車が、今回の道中で唯一乗車に値するものだっただけに、ごく短区間の往復で終わってしまったのは残念です。とはいえ、フリー切符を買ったことで、ささやかながらも支援ができたのは幸いであり、係員の方々の世話になったことについても感謝しています。
こうして図らずも乗車した道中三度目の高速バス、福島交通の車両が運用についており、県下の路線バス三社に一通り乗ったことになります。七夕の前夜祭のため、広瀬通とそれにつながる仙台西道路が通行止となっており、本日は仙台南ICから市街へ向かうことのことです。今日しか乗れない変わった経路で行けること、三回とも最前部の特等席に座れたことを含め、これでよかったということにしておきましょう。
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灼熱の会津を行く - モスバーガー福島鎌田店

2018-08-05 15:48:50 | MOS
半端な駅で降りたのは、駅前にあるMOSを目当てにしてのことでした。福島鎌田店に立ち寄ります。
例によって、二昔と少し前に一度訪ねただけの店です。当時は最寄駅がまだできておらず、一つ手前の卸町から歩いたと記憶しています。スーパーの一角に間借りし、大家が閉店した深夜も明かりを灯し続けるという、当時の典型的な店舗の一つでした。その後再訪することはなかったものの、当時の店舗が次々淘汰されていく中、つい最近まで赤看板を保っていたのが分かっています。その後わずかに残った赤看板も緑に架け替えられはしたものの、店内だけはそのまま残っていないだろうかと期待していたのでした。今回ようやく現状を確かめる機会が巡ってきたわけですが、幸い期待は的中しました。
遠目にも分かったのは、古いMOSに特有の、盃を逆さにしたような照明が下がっていることです。それを含め、店内は当時の形態をほぼそのまま残しており、洗面所の芳香器には今や貴重なモス坊やを描いたステッカーが貼られています。カウンターにはめ込まれたMマークは緑に替わり、テーブルも交換された模様ながら、近年標準となってしまった張りぼての安物ではありません。店の外は色とりどりの花壇と蔓草で飾られ、手狭ながらも大切に手入れされた様子は会津喜多方店を彷彿させます。窓には「ありがとう30周年」の張り紙も。節目の年に再訪できたことを喜ばしく思います。

モスバーガー福島鎌田店
福島市鎌田字一里塚9-19
024-553-9705
700AM-2400PM
第740号
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灼熱の会津を行く - 阿武隈急行

2018-08-05 15:19:23 | 東北
福島でバスから阿武隈急行に乗り継ぎました。幸運にも、毎月第一日曜に発売されるフリー切符があったためこちらを利用。槻木まで乗り通すと970円のところが600円になり、片道だけでも元が取れるという乗り得の切符です。

★福島1515/933M/1522福島学院前
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灼熱の会津を行く - 会津バス

2018-08-05 13:45:42 | 東北
一日半にわたる滞在はこれにて打ち止め、福島行のバスで会津を後にします。始発の鶴ヶ城から乗りたいのはやまやまながら、酒瓶二本に土産も加わり、それを延々担いでいく気力が起こりません。神明通りのバス停で待つと、年季の入った会津バスの車両がやってきました。
仙台まで直行するバスはもちろんあります。しかし、高速バスに二時間半乗り続けるのはいささか難儀です。福島で下り、阿武隈急行経由で仙台へ向かいます。
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灼熱の会津を行く - いさみ

2018-08-05 12:34:43 | B級グルメ
時間を持て余すかと思いきや、何だかんだで午前いっぱい消費しました。バスが出るのは一時過ぎ、「麦とろ」へ行くにしても定食に酒を一合つけるのがせいぜいでしょう。それ以前の問題として、昨晩深酒しすぎたため、酒はもういいという気分になっています。お昼は「いさみ」のチャーシューワンタンメンに落ち着きました。

いさみ
会津若松市馬場町1-13
0242-22-0064
1100AM-1430PM/1600PM-2030PM
7日・17日・27日定休
手打チャーシューワンタンメン950円
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灼熱の会津を行く - 関漆器店

2018-08-05 11:47:10 | 東北
続いては関漆器店に立ち寄ります。去年の早春以来、一年以上の間を置いての再訪です。それだけ無沙汰したとは思えないほど、店主にも女将もに変わった様子はないものの、すっかり歳を取ったというのが女将の口癖になりました。それに加えて今回は聞き捨てならない話が。いまだかつてないほど全く売れないというのです。よくよく聞けば、六月限りで仙台の営業所を畳み、人手も徐々に減らしているとのことでした。若年層が漆器に関心を持たないことと、量販店の影響が大だろうというのが女将の見解です。
たしかに、自分自身漆器の善し悪しが分かっているわけではなく、これはと思ったものが取るに足らない安物だったということがよくあります。さらに若い世代からすれば、職人が精魂込めて仕上げたものも、投げ売りされる量産品も区別がつかず、結果として安物ばかりが選ばれるのが実情なのでしょう。数年使えば素人でも分かる違いが出るとはいえ、安く作って使い捨てるという思想があらゆる分野に蔓延している今日、よいものの価値が理解されなくなるのも当然ではあります。
文字にすれば弱音のようにも見えるものの、口調は至って陽気です。自ら制作するのをやめ、よそから仕入れるだけになった同業者もいるという中、趣向を変えた商品を次々作り、どうにか生き残ろうとするたくましさが言葉の端々に感じられました。その気概にささやかながらも応えるべく、こちらも折に触れて足を運びたいものだと思います。

ちなみに、新商品の一つに「忖度」と書かれた盃がありました。悪意を持った報道で多用されたことにより、上位者に媚びへつらうというよからぬ意味にとられがちではありますが、元々は相手の気持ちを推し量るという我が国古来の美徳を言い表した言葉です。本来の意味を込めて作ったところ、その後の報道でこの言葉が俄に耳目を集めたことにより、思った以上に売れたというのが店主の弁です。ありがたくもその盃をおまけでいただくことができました。会津の酒はこの盃で酌むことになりそうです。

関漆器店
会津若松市中央1-4-12
0242-25-0151
900AM-1800PM
不定休
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灼熱の会津を行く - 鶴ヶ城

2018-08-05 10:18:31 | 東北
自転車を借りて鶴ヶ城にやってきました。花見の時期には何度も訪ね、去年は紅葉の最盛期にも訪ねています。しかし、よくよく考えると真夏の姿を知りません。今年は花見で行き損なったこともあり、一度訪ねておこうと思い立った次第です。
まず思ったのは「華がない」ということです。これは、桜と紅葉に匹敵する見所がないというだけでなく、文字通り花がないということでもあります。六月には紫陽花と花菖蒲、七月には蓮があるのに対して、八月といえば何かと考えても、向日葵以外に思いつくものがありません。朝顔が咲いているのを見て、なるほどこれがあったかと得心したものの、それも道端に一輪咲いているだけでした。あとは早咲きのコスモスがせいぜいでしょうか。そのような事情もあるのか、行き交う人もまばらな城址で蝉だけが鳴いています。戊辰150年を迎えたこの夏、「兵どもが夢の跡」の句を彷彿させる静けさです。
蝉時雨といっても一様ではありません。日が陰るとミンミンゼミが鳴き止むのです。か細い声でツクツボウシが鳴く中、風に吹かれた枯葉がはらはら舞い降りて、立秋まであと少しと実感させられます。
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灼熱の会津を行く- 二日目

2018-08-05 07:37:31 | 東北
おはようございます。「麦とろ」を出て宿に戻ると0時半でした。戻る間も汗一つかかず、冷房を切って休みました。ただし、割り当てられたのは去年も泊まった東向きのダブルルームです。朝日が昇ればたちまち暑くなるだろうと覚悟しました。ところが豈図らんや、目が覚めたのは七時過ぎでした。窓から朝日が射し込んではくるものの、依然として冷房は入れていません。片時たりとも冷房なしに過ごせない都内とは別世界です。
本日は昼頃まで若松に滞在してから仙台へ向かいます。しかし列車で行こうにも、郡山までは短編成のワンマンカーに詰め込まれ、そこから先は高額な新幹線か悪名高き701系の普通列車しか選択肢がありません。不本意ながらも昨日に続き高速バスの世話になります。嘆かわしい話ではありますが、これが東北における都市間輸送の実態です。
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