今年訪ねたキャンプ場とライダーハウスの回顧録、第二夜は残りの四ヶ所を振り返ります。
・ライダーハウス旧萱野駅(北海道三笠市)
キャンプ場と安宿には事欠かない北海道の中で、とりわけ愛用してきたのが三笠にある旧萱野駅のライダーハウスです。四年前に初めて世話になって以来、車で渡道したときには必ず立ち寄るようになって現在に至ります。連泊することも珍しくなく、今年は二夜にわたって世話になりました。
こよなく愛用してきたのは、かつての駅舎に泊まれるという付加価値に加え、立地の便利さによるところが少なくありません。道央から富良野への最短経路と、札幌を短絡して道北と道南を結ぶ経路が交わる位置にあるため、小樽または苫小牧を起終点にする一般的な経路を前提にした場合、行きと帰りのいずれでも無理なく寄れてしまうのです。道北から戻って道内最後の夜を飾った去年に対し、今年は道東へ向かう途中に道内最初の夜を過ごしました。
ただし、始めからそうしようと思っていたわけではなく、上陸早々釧路まで一気に走ることも辞さぬ覚悟でした。そう考えていたのは、台風の来襲が予想され、宿に逃げ込むしかない状況だったからです。しかし、道央から釧路までということは、東京から新潟まで走るのと距離の上では大差がなく、北海道の道路事情を考えても、たやすく走り通せる距離ではありません。予想通りというか何というか、夕張にすらたどり着かないうちに日が暮れて、これから釧路へ向かえば到着が深夜になるのは確実な情勢に至りました。三連休に重なって、札幌の宿にもほとんど空きがない中、地獄に仏となってくれたのがこのライダーハウスでした。
嵐を避けたいライダーで混み合うかと思いきや、久々の貸切となったのは意外でした。一泊で失礼するつもりが連泊してしまいましたが、第二夜も同じく貸切でした。嵐が去っても吹き返しが残り、その後再び雨が降り出すなど、キャンプができる条件ではなかったため、ここを二晩借り切れたことの効果は絶大なるものがありました。
駅舎の裏手のホームが使えず、庇の下での晩酌でしたが、北海道の駅舎には珍しい大きな庇が、思わぬ形で役立ったことになります。軒下で雨音を聞きながらの晩酌は、一昨年道内最後の夜を飾った倶知安のキャンプ場を彷彿とさせ、印象深いものがありました。
・きりたっぷ岬キャンプ場(北海道浜中町)
ひたすら北を目指した去年に対し、今年は東へ向かいました。二晩世話になった萱野を出た後、釧路に連泊し、再び東へ走ってたどり着いたのが霧多布のキャンプ場です。その名の通り岬の段丘上にあるキャンプ場で、現地には何度も足を運んできましたが、利用するのは初めてでした。
緩やかに傾斜した芝地がサイトになっており、それを囲む形でバンガローが並ぶというのが全体の造りです。テント泊なら無料のところバンガローを借りたのは、吹きさらしの岬という立地上、わずかな出費で屋内に泊まれることの効果を重視したためです。懸念していた風についてはそれほどでもなかったものの、サイトの照明を遮るバンガローの裏手で気兼ねなく晩酌でき、加えて明け方には予想以上に冷えたため、バンガローの効果は大きかったことになります。
先客の大半はライダー、唯一の乗用車も二人乗りで、小さなテントが散らばる静かなサイトの雰囲気は上々。そして何より、頭上に瞬く満天の星が印象的でした。
・別海町ふれあいキャンプ広場(北海道別海町)
霧多布からさらに東進していき、翌日は別海でキャンプを張りました。一言でいうなら、雰囲気より利便性を求める向きには最高のキャンプ場です。別海の市街にあって雰囲気、眺めはごく平凡。隣接する野球場の照明が煌々と焚かれているのも落ち着きません。しかし、フクハラとコープで買い出しができ、サイトに隣接する形で温泉があります。広いサイトを一周する車道の所々に駐車帯が設けられ、事実上オートキャンプもできる仕組みになっており、車のキャンパーが多いのも宜なるかなです。それに加え、受付を四時まで、出入りも八時までに限ることで騒がしい大所帯が排除され、早寝早起きのライダーには専用の区画が割り当てられるなど、オートキャンパーとライダーの共存を図るための工夫は好ましいものがありました。夜半から霧が出始め気温も下がって、寒さに震えながら晩酌したのが思い出されます。
・上士幌航空公園キャンプ場(北海道上士幌町)
道中三泊目となる釧路を挟み、翌日世話になったのが上士幌のキャンプ場です。道央まで一気に移動し、もう一度萱野のライダーハウスの世話になるにもやぶさかでないところでしたが、到着が深夜になるのが避けられない情勢に至り、手近なところに飛び込んだという経緯があります。
市街地に近いのと、サイトが広大なのは別海と同様ながら、そもそも市街が別海よりもささやかで、周囲に人家の明かりは見当たらず、近くを通る道道も交通量皆無。そればかりか先客もライダー一名、車中泊らしき車が二台と皆無に近く、静まりかえった芝生のサイトに炊事場の明かりだけが灯っているという、淋しげな雰囲気が印象的でした。淋しげに感じたのは、上空が平板な曇り空だったのに加え、虫の声が一切聞こえなかったからでもあります。そのような事情もあり、霧多布と別海に比べ印象はやや弱かったものの、ここを拠点にしたお陰で、翌日快晴の十勝平野で一日活動できたのは収穫でした。
来年は正月早々キャンプを張ろうと密かに企てています。近年希に見るほど寒くなった今季、とてもキャンプどころではなかろうと思いきや、天気予報を見てみると、来週の後半に天候が一時崩れ、これに伴い気温が上がるようなのです。嘘か真か、今治では土曜の最低気温が12度と予想されており、もし的中すれば、キャンプを張った去年よりも暖かいということになります。
今治とその周辺だけが暖かく、松山では7度、高知でさえも6度という予報だけに、俄には信じ難いものがありますが、少なくとも0度近くに下がる三が日より暖かいのは間違いないようです。目の前を無数の船が行き来する来島海峡の眺めが最高だっただけに、あの場所でもう一度キャンプをしたいというのが宿願でした。たとえ気温が上がっても、雨に降られてしまえば元も子もなく、実現の可能性は決して高くはないものの、念のためキャンプ道具を積み込んで出ようかと考えています。
・ライダーハウス旧萱野駅(北海道三笠市)
キャンプ場と安宿には事欠かない北海道の中で、とりわけ愛用してきたのが三笠にある旧萱野駅のライダーハウスです。四年前に初めて世話になって以来、車で渡道したときには必ず立ち寄るようになって現在に至ります。連泊することも珍しくなく、今年は二夜にわたって世話になりました。
こよなく愛用してきたのは、かつての駅舎に泊まれるという付加価値に加え、立地の便利さによるところが少なくありません。道央から富良野への最短経路と、札幌を短絡して道北と道南を結ぶ経路が交わる位置にあるため、小樽または苫小牧を起終点にする一般的な経路を前提にした場合、行きと帰りのいずれでも無理なく寄れてしまうのです。道北から戻って道内最後の夜を飾った去年に対し、今年は道東へ向かう途中に道内最初の夜を過ごしました。
ただし、始めからそうしようと思っていたわけではなく、上陸早々釧路まで一気に走ることも辞さぬ覚悟でした。そう考えていたのは、台風の来襲が予想され、宿に逃げ込むしかない状況だったからです。しかし、道央から釧路までということは、東京から新潟まで走るのと距離の上では大差がなく、北海道の道路事情を考えても、たやすく走り通せる距離ではありません。予想通りというか何というか、夕張にすらたどり着かないうちに日が暮れて、これから釧路へ向かえば到着が深夜になるのは確実な情勢に至りました。三連休に重なって、札幌の宿にもほとんど空きがない中、地獄に仏となってくれたのがこのライダーハウスでした。
嵐を避けたいライダーで混み合うかと思いきや、久々の貸切となったのは意外でした。一泊で失礼するつもりが連泊してしまいましたが、第二夜も同じく貸切でした。嵐が去っても吹き返しが残り、その後再び雨が降り出すなど、キャンプができる条件ではなかったため、ここを二晩借り切れたことの効果は絶大なるものがありました。
駅舎の裏手のホームが使えず、庇の下での晩酌でしたが、北海道の駅舎には珍しい大きな庇が、思わぬ形で役立ったことになります。軒下で雨音を聞きながらの晩酌は、一昨年道内最後の夜を飾った倶知安のキャンプ場を彷彿とさせ、印象深いものがありました。
・きりたっぷ岬キャンプ場(北海道浜中町)
ひたすら北を目指した去年に対し、今年は東へ向かいました。二晩世話になった萱野を出た後、釧路に連泊し、再び東へ走ってたどり着いたのが霧多布のキャンプ場です。その名の通り岬の段丘上にあるキャンプ場で、現地には何度も足を運んできましたが、利用するのは初めてでした。
緩やかに傾斜した芝地がサイトになっており、それを囲む形でバンガローが並ぶというのが全体の造りです。テント泊なら無料のところバンガローを借りたのは、吹きさらしの岬という立地上、わずかな出費で屋内に泊まれることの効果を重視したためです。懸念していた風についてはそれほどでもなかったものの、サイトの照明を遮るバンガローの裏手で気兼ねなく晩酌でき、加えて明け方には予想以上に冷えたため、バンガローの効果は大きかったことになります。
先客の大半はライダー、唯一の乗用車も二人乗りで、小さなテントが散らばる静かなサイトの雰囲気は上々。そして何より、頭上に瞬く満天の星が印象的でした。
・別海町ふれあいキャンプ広場(北海道別海町)
霧多布からさらに東進していき、翌日は別海でキャンプを張りました。一言でいうなら、雰囲気より利便性を求める向きには最高のキャンプ場です。別海の市街にあって雰囲気、眺めはごく平凡。隣接する野球場の照明が煌々と焚かれているのも落ち着きません。しかし、フクハラとコープで買い出しができ、サイトに隣接する形で温泉があります。広いサイトを一周する車道の所々に駐車帯が設けられ、事実上オートキャンプもできる仕組みになっており、車のキャンパーが多いのも宜なるかなです。それに加え、受付を四時まで、出入りも八時までに限ることで騒がしい大所帯が排除され、早寝早起きのライダーには専用の区画が割り当てられるなど、オートキャンパーとライダーの共存を図るための工夫は好ましいものがありました。夜半から霧が出始め気温も下がって、寒さに震えながら晩酌したのが思い出されます。
・上士幌航空公園キャンプ場(北海道上士幌町)
道中三泊目となる釧路を挟み、翌日世話になったのが上士幌のキャンプ場です。道央まで一気に移動し、もう一度萱野のライダーハウスの世話になるにもやぶさかでないところでしたが、到着が深夜になるのが避けられない情勢に至り、手近なところに飛び込んだという経緯があります。
市街地に近いのと、サイトが広大なのは別海と同様ながら、そもそも市街が別海よりもささやかで、周囲に人家の明かりは見当たらず、近くを通る道道も交通量皆無。そればかりか先客もライダー一名、車中泊らしき車が二台と皆無に近く、静まりかえった芝生のサイトに炊事場の明かりだけが灯っているという、淋しげな雰囲気が印象的でした。淋しげに感じたのは、上空が平板な曇り空だったのに加え、虫の声が一切聞こえなかったからでもあります。そのような事情もあり、霧多布と別海に比べ印象はやや弱かったものの、ここを拠点にしたお陰で、翌日快晴の十勝平野で一日活動できたのは収穫でした。
来年は正月早々キャンプを張ろうと密かに企てています。近年希に見るほど寒くなった今季、とてもキャンプどころではなかろうと思いきや、天気予報を見てみると、来週の後半に天候が一時崩れ、これに伴い気温が上がるようなのです。嘘か真か、今治では土曜の最低気温が12度と予想されており、もし的中すれば、キャンプを張った去年よりも暖かいということになります。
今治とその周辺だけが暖かく、松山では7度、高知でさえも6度という予報だけに、俄には信じ難いものがありますが、少なくとも0度近くに下がる三が日より暖かいのは間違いないようです。目の前を無数の船が行き来する来島海峡の眺めが最高だっただけに、あの場所でもう一度キャンプをしたいというのが宿願でした。たとえ気温が上がっても、雨に降られてしまえば元も子もなく、実現の可能性は決して高くはないものの、念のためキャンプ道具を積み込んで出ようかと考えています。