日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

本日の晩酌 - 王祿

2017-12-18 23:42:28 | 晩酌
高みを目指せばきりがない洋酒と違って、清酒の値段はたかが知れており、四合瓶で千五百円もかければ逸品がいくらでも出てくるものです。金をかければかけるほどよいというものでもなく、支出と成果が比例するのは千円台の後半までと自分は思っています。かような考えに基づき、自腹で買うのは二千円以内という方針を貫いてきた中、禁じ手を犯して選んだのが王祿「丈径」の直汲です。
先日紹介した山形正宗は、二千円近い値段に見合ったささやかな贅沢さを感じさせてくれる逸品でした。それをも超えるこちらの酒はどうかといえば、まず思ったのは飛露喜の生原酒、豊盃のしぼりたてなどと同様、理屈抜きに味わいたい酒だということです。無濾過の生酒が氾濫し、似たような路線の酒に食傷を来しつつある近年にあっても、草分けとしての一日の長を感じさせる完成度の高さがこの酒にはあります。
飛露喜と豊盃を連想するということは、二千円超の高価格にふさわしい贅沢さまでは感じられなかったということでもあります。とはいえ、八○にしても丈径にしても、同じ無濾過の生酒でありながら、本生とは全く違う味わいがありました。あちらとの比較で100円少々の違いなら安いものともいえます。奮発した甲斐はたしかにあったというのが実感です。

★王祿「丈径」直汲 28BY仕込み第26号
王祿酒造(島根県東出雲町)
原料米 東出雲町産山田錦
精米歩合 55%
日本酒度 +4.3
酸度 2.2
アルコール分 17.5度
杜氏 石原丈径
仕込み水 自然湧水 通称「黄金井戸」
広島県広島市 酒商山田にて購入
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