日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

新緑萌える九州へ - 一代

2015-05-02 22:37:43 | 居酒屋
「瓢六」「ぶんご」と二軒はしごし、腹は十分以上に満ちたとはいえ、一年ぶりの天文館で、時間的にはまだ余裕があるということになると、つい欲張ってしまうのは致し方のないところでしょう。ただし、11時も近くなると、店の選択肢は若干狭まってきます。地鶏を売り物にした有名店が開いているのを横目に見つつ、二官橋通りの「一代」にやってきました。

ここは教祖の推奨店でもなければ、人づてに教えられた店でもありません。この時間からでも入れそうな店をと考えたとき、当地在住の作家が運営している「鹿児島天文館酒場巡礼」なるblogで見たこの店が浮かんできた次第です。
木造モルタル二階建ての古びた店は、青い日除けに大衆食堂とある通り、一見すると定食屋のようです。店内は手前にL字カウンター、奥に小上がりを配し、外見同様古びてよい味を出しています。カウンターには店主と思しき威勢のいいおばちゃんが立ち、玄関側にある背の高いガラスケースに様々なネタが。品書きはあるにはあるものの大雑把で、おばちゃんに相談しつつその日のネタの中から選んで行く店なのだろうと推察できます。そのようにして赤身を注文すると、トンボマグロがこれで一人前かと思うほど気前よく盛られてきました。一人客なら二品ほど盛り合わせてもらった方がよいのかもしれません。
鰻が名物と見え、終盤にさしかかった小上がりの先客から注文が入ると、奥に控えていた板前が現れ、通り側に面した持ち場で鰻を焼き始めました。その脇にある壺が秘伝のタレなのでしょう。はしご酒の三家目という状況で、残念ながら鰻には手が出ないものの、このタレを使った串焼きを試してみたくなるのは人情というもので、あえなく品切れで振られてしまったのは残念でした。とはいえ、大徳利に入った湯割りと山盛りの刺身、それに焼き茄子をいただいて千円台の前半という良心価格には頭が下がります。情報によれば日曜も営業との話です。日曜晩の天文館に、「分家無邪気」と並ぶ選択肢がまた一つ加わりました。

一代
鹿児島市樋之口町10-40
099-224-0751
1800PM-2400PM
月曜定休
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新緑萌える九州へ - ぶんご

2015-05-02 21:17:20 | 居酒屋
地元出身の国民的アイドル扮する「黒由紀姫」の等身大パネルに出迎えられて鹿児島に到着。電車に揺られて天文館に移動し、一風呂浴びてさっぱりしてから夜の街に出てきました。一年と少しの間を置いての天文館で、まずどこへ行くかと考えたとき、自分の答えは決まっていました。訪ねるのは「ぶんご」です。
教祖の導きに多くを負っている酒場めぐりですが、天文館に関する限り、教祖の推奨店で訪ねたことがあるのは「菜菜かまど」だけです。鹿児島で訪ね歩いた酒場の多くは、公表情報ではなく人づてに知った店であり、この「ぶんご」についても同様です。付き合いは「籠太」よりもさらに古く、今から十年以上前に鹿児島で活動したとき、同行者の知り合いである地元酒販店のY氏に導かれて訪ねたのが始まりでした。教祖をして「長崎の実家」と言わしめたのはかの名店「安楽子」ですが、この店は自分にとってさしずめ「鹿児島の実家」ということになるかもしれません。
このような経緯で知った店だけに、万人受けする「瓢六」とは毛色が少し違います。品書きは特になく、その日の仕入れの中から腹具合に応じていくつか見繕い、酒は五合瓶から呑んだ分だけ量り売りというのがこの店の流儀です。今回もそのような作法に従い、キビナゴの酢味噌とさつま揚げを肴に焼酎をあおっていると、常連と思しき人物からの電話が入りました。やがて現れたのは、驚いたことにあのY氏でした。一昔前に会ったきりの人間を、先方も当然記憶してはいなかったものの、あのとき世話になった者だと名乗り出て、一言礼を述べた次第です。先日の米沢といい、思わぬ再会が続きます。
それにしても、今日は昼からやや蒸し暑く、暑がりの自分はこの時間でも軽く汗ばんできます。それを見た親方が玄関を開け放つと、やや湿ってはいながらも心地のよい夜風が吹き込んできました。南国の初夏を肌で感じる一幕です。

ぶんご
鹿児島市樋之口町10-17
099-225-0962
1800PM-2300PM
日曜定休
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新緑萌える九州へ - さくら565号

2015-05-02 19:17:25 | 九州
再び新幹線に乗り込み熊本を後にします。熊本城で薫風に吹かれ、名酒場で腹も心も満たされて、短いながらも充実した今回の滞在でした。その一方で、はるばる来たからにはもう一軒はしごして行きたかったのも事実です。そのためには熊本にも最低一泊はしなければなりません。その機会を捻出するのが今後の課題となりそうです。

★熊本1915/さくら565(565A)/2001鹿児島中央
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新緑萌える九州へ - モスバーガーJR熊本店

2015-05-02 19:11:04 | MOS
再び電車に揺られて駅に戻ってきました。乗車の前に駅併設のMOSを定点観測します。
店内はそのままで看板だけ架け替えるというという最近の流れがこの店にも及び、赤看板はとうとう緑に変わってしまいました。赤看板の店舗としては年代が比較的若く、もともと店内の造りには特段目を見張るものはなかっただけに、最大の特徴だった赤看板が失われてしまったのは惜しまれます。とはいえ、蒸気機関車の写真を飾った、駅構内の店ならではの演出はそのままです。高架化工事が完成したとき、この店舗が駅舎ともどもどうなるかが気になります。

モスバーガーJR熊本店
熊本市西区春日3-15-1
096-359-0976
700AM-2300PM
第1097号
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新緑萌える九州へ - 瓢六

2015-05-02 17:14:18 | 居酒屋
旅先で呑むという習慣が確立されて数年、全国各地の名酒場を訪ね歩いてきた中でも、そこで呑むこと自体が旅の主題になりうる場所ということになると、数は自ずと絞れてきます。そして、九州ではどこかと問われたとき、中洲、思案橋、天文館の名酒場にも先んじて候補に上がる店が熊本にはあります。教祖おすすめの「瓢六」です。はるばる熊本へ行くからには、この店を素通りする手はありません。本日の旅程もそれを前提にして組み立てられたものでした。

何がそこまでよいかといえば、いついかなる時に行っても満足できる盤石の安定感とでもいえばよいでしょうか。品数豊富で郷土色と季節感に満ち、雰囲気は大衆的で価格は良心的、一軒目でたらふく飲み食いしてもよし、遅い時間に軽く一杯やってもよしという懐の深さにかけては、富山の双璧「親爺」「あら川」にも通ずるものがこの店にはあると私は思います。
これは取りも直さず万人受けするということでもあり、前回金曜に訪ねたときは予約満席となっていて、予約客が来る前の空席に辛うじて割り込みました。ましてや今回は大型連休初日の晩です。さらに混み合うことを覚悟しつつ開店直後に乗り込むと、やはり七時までが限度との返答。しかし、独酌にはそれだけあれば必要にして十分です。カウンターの中ほど、右にはおでん舟、左にびかびかのネタを収めた冷蔵ケースという特等席に、首尾よく着席と相成りました。

そのおでん舟の前には見覚えのある眼鏡のおばちゃんが、冷蔵ケースの前にはやはり見覚えのある板前が立ち、この二人を中心に大勢のおばちゃんと板前が各自の持ち場で仕事をこなしています。時間が経つにつれて遅番のおばちゃん達も三々五々現れ、鎖付きの眼鏡をかけた別のおばちゃんが真打で登場。店の収容力に対し必要にして十分以上の人数で、何人いるのか数えられなくなってきます。混み合う時間を前にして、万全の布陣をとったということなのでしょう。この店の実力が窺われる一幕です。
ここまで行き届いた店ならば、酒と肴に抜かりがないのは当然というもので、新じゃがを出汁で煮込んだ突き出しからして違います。中でもとりわけ秀逸なのが、毎度必ず注文する馬塩焼です。歯ごたえのある馬肉が塩だけで濃いめに味付けされ、噛めば噛むほど味が出てくるところは、語弊を恐れずいうなら仙台の牛タン焼にも通ずるものがあり、ここでしか味わえない至高の逸品です。これを知らずに馬刺しなど注文している一見客は、確実に損をしていると断言します。

瓢六
熊本市花畑町13-23 花畑ビル1F
096-354-7558
1700PM-230AM
日曜定休(祝日の場合翌日休業)

生ビール・れいざん
突き出し(新じゃが)
おでん三品
きびなご天ぷら
馬塩焼
魚味噌汁
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新緑萌える九州へ - 薫風の熊本城

2015-05-02 16:25:27 | 九州
熊本に着きました。駅から電車に揺られてやってきたのは熊本城です。
鹿児島へ行くついでに無理矢理熊本に立ち寄るという展開は、これで三年連続となりました。それ以前についても、鹿児島、大分など他方面からやってきて、短時間だけ立ち寄ってからよそへ行くというのが熊本を訪ねるときの常です。見所がないわけではないにもかかわらず、福岡と鹿児島に挟まれた中途半端さが、このようなおざなりさの原因となってきたのでした。今回も五時に呑み屋が開くのと同時に一杯やり、すぐさま天文館に河岸を替える予定で、熊本城にはそれまでの時間稼ぎのつもりで立ち寄ったにすぎません。
しかし、この時期に来てよかったと思うことが一つあります。木々の緑が非常に鮮やかなのです。やや蒸し暑く感じる面はありながらも、木陰に吹く微風はまさに薫風そのものといった感があります。杜の都の新緑を眺めるという恒例行事ができなかった今季、熊本がその代役を見事果たしてくれました。
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新緑萌える九州へ - つばめ329号

2015-05-02 14:44:36 | 九州
罰当たりではありますが、参拝は大義名分であり、真の目的はこの列車に乗ることでした。800系の「つばめ」に乗り継ぎ熊本へ向かいます。
常時通路側にも乗客がいた博多までの車中から一転、熊本までの区間列車は閑散としています。しかも、座席以外どこもかしこも樹脂製だったN700系に対し、こちらの車内には天然木が惜しげもなく奢られ、四列の座席は下手なグリーン車など足下にも及ばぬ革張りです。どちらに乗っても料金は同じなのですから、こちらを選ばない手はないでしょう。

★博多1445/つばめ329(5329A)/1535熊本
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新緑萌える九州へ - 鉄道神社

2015-05-02 14:26:29 | 九州
博多に着きました。熊本までそのまま行ける状況ではありましたが、料金はここを境に問答無用の打ち切り計算です。通しで乗ろうが降りようが出費は変わらないため、一旦下車して屋上の「鉄道神社」に参詣して行きます。
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新緑萌える九州へ - さくら585号

2015-05-02 11:12:24 | 近畿
想像以上に混むという傾向は、新大阪駅においても変わりません。50分近い間合いを経て「さくら」に乗り継ぎました。30分弱の間合いで乗り継げる一本前の列車を狙ったところが、通路側に座れれば御の字と一目で分かる長い列ができていたため、後続列車に流れた次第です。20分後に次が出てくれたのが救いといったところでしょう。
惜しむらくは、やってきたのが西日本所属車だったことです。当初狙った列車であれば、華やかなチャイムが流れる九州所属の編成だったのですが。その昔は、グランドひかりにしても500系にしても、西日本の編成が来れば喜々として乗車したものでした。それが今では、九州新幹線でも北陸新幹線でも、西日本の編成に当たれば落胆する始末です。この会社の凋落ぶりは救いようがありません。

★新大阪1120/さくら585(6585A)1401博多
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新緑萌える九州へ - 出発

2015-05-02 08:00:59 | 関東
八時という少し遅めの出発となりました。只今東京駅を発車したところです。
二、三本見送ればどうにかなるという考えは少々甘かったようです。東京駅に着いたのがとりわけ混み合う七時半だったこともあり、新幹線の改札をくぐるのがまず一苦労でした。座れる列車が出るのは最低でも20分後だろうと見込んでホームに上がると、50分発の博多行には長蛇の列ができており、2号車前部の列が3号車まで延びる始末で即座に敬遠。10分後に同じホームから出る新大阪行に落ち着いたというのがここまでの顛末です。
さらに10分待てば後続の博多行が出る状況だったとはいえ、重荷を担ぎ、人の波をかき分け隣のホームに移動する気力が起こりませんでした。混み合う自由席に博多まで乗り通すのも興ざめです。新大阪で一息入れる程度がちょうどよいと納得しています。

★東京800/のぞみ207(207A)/1033新大阪
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