日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

新緑萌える九州へ - 瓢六

2015-05-02 17:14:18 | 居酒屋
旅先で呑むという習慣が確立されて数年、全国各地の名酒場を訪ね歩いてきた中でも、そこで呑むこと自体が旅の主題になりうる場所ということになると、数は自ずと絞れてきます。そして、九州ではどこかと問われたとき、中洲、思案橋、天文館の名酒場にも先んじて候補に上がる店が熊本にはあります。教祖おすすめの「瓢六」です。はるばる熊本へ行くからには、この店を素通りする手はありません。本日の旅程もそれを前提にして組み立てられたものでした。

何がそこまでよいかといえば、いついかなる時に行っても満足できる盤石の安定感とでもいえばよいでしょうか。品数豊富で郷土色と季節感に満ち、雰囲気は大衆的で価格は良心的、一軒目でたらふく飲み食いしてもよし、遅い時間に軽く一杯やってもよしという懐の深さにかけては、富山の双璧「親爺」「あら川」にも通ずるものがこの店にはあると私は思います。
これは取りも直さず万人受けするということでもあり、前回金曜に訪ねたときは予約満席となっていて、予約客が来る前の空席に辛うじて割り込みました。ましてや今回は大型連休初日の晩です。さらに混み合うことを覚悟しつつ開店直後に乗り込むと、やはり七時までが限度との返答。しかし、独酌にはそれだけあれば必要にして十分です。カウンターの中ほど、右にはおでん舟、左にびかびかのネタを収めた冷蔵ケースという特等席に、首尾よく着席と相成りました。

そのおでん舟の前には見覚えのある眼鏡のおばちゃんが、冷蔵ケースの前にはやはり見覚えのある板前が立ち、この二人を中心に大勢のおばちゃんと板前が各自の持ち場で仕事をこなしています。時間が経つにつれて遅番のおばちゃん達も三々五々現れ、鎖付きの眼鏡をかけた別のおばちゃんが真打で登場。店の収容力に対し必要にして十分以上の人数で、何人いるのか数えられなくなってきます。混み合う時間を前にして、万全の布陣をとったということなのでしょう。この店の実力が窺われる一幕です。
ここまで行き届いた店ならば、酒と肴に抜かりがないのは当然というもので、新じゃがを出汁で煮込んだ突き出しからして違います。中でもとりわけ秀逸なのが、毎度必ず注文する馬塩焼です。歯ごたえのある馬肉が塩だけで濃いめに味付けされ、噛めば噛むほど味が出てくるところは、語弊を恐れずいうなら仙台の牛タン焼にも通ずるものがあり、ここでしか味わえない至高の逸品です。これを知らずに馬刺しなど注文している一見客は、確実に損をしていると断言します。

瓢六
熊本市花畑町13-23 花畑ビル1F
096-354-7558
1700PM-230AM
日曜定休(祝日の場合翌日休業)

生ビール・れいざん
突き出し(新じゃが)
おでん三品
きびなご天ぷら
馬塩焼
魚味噌汁

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