日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

京浜沿線はしご酒 2015初夏 - 興ざめ

2015-05-31 22:53:48 | 関東
横浜で呑むという宿願を果たし、あとは上機嫌で家路に、といいたいところなのですが、残念ながら最後が興ざめです。あざみ野にやってきた田園都市線の急行電車が、またしても現代的な規格型だったからですorz
ブルーラインの3000形が、日本車輌の規格型だったのに対し、こちらは日立が造ったもので、平滑な外観こそ美しく仕上げられてはいるものの、内装は東急車と大差のない樹脂製です。これでは所詮移動のための手段に過ぎず、当然ながら乗車を楽しむという次元には遠く及びません。まあ、あの8000系を造り続けた東武の車両に対し、過大な期待をする方が筋違いではあるのですが。
結局、安普請の規格型を避けるために他の路線を選んだつもりが、どこへ行っても五十歩百歩の車両ばかりでした。遠出の活動が中心になったり、自転車通勤を始めたりして、都会の電車に乗る機会が激減していた近年でしたが、その間に鉄道車両の質はここまで低下してしまったかというのが実感です。JR東日本に端を発した接客水準の低下も、今や首都圏各線に蔓延しきったということでしょう。あと十年、二十年もすればこれらの車両が都落ちして、地方私鉄までが似たような車両で席巻されてしまうのでしょうか。少なくとも自分の目が黒いうちは、そうならないでほしいものだと切に思います。
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京浜沿線はしご酒 2015初夏 - 麺房亭

2015-05-31 19:15:06 | 居酒屋
教祖によって「居酒屋濃度の薄い県」と評された神奈川ではありますが、なんだかんだで「居酒屋百名山」に五軒を輩出しています。その一角「麺房亭」を本日の二軒目としました。

教祖が居酒屋探訪の集大成として選んだ百軒の中でも、「麺房亭」はかなり異色の存在ではないでしょうか。他の店がほぼ例外なく純和風なのに対し、この店は明らかに洋風です。あらゆる著作で語り尽くされてきた名店ともなると、事前情報だけである程度予想できてしまうことが多い中、この店に関する限り、海のものとも山のものとも分からない部分がありました。今まで食指が動きづらかったのも、そのような事情によるところが多少なりともあります。
事前に分かっていたことといえば、店主が無類の食通で、全国各地の生産者を回って食材を集め、生ハム、チーズ、燻製、パスタなどを自製しているということです。店主のblogを見ても、食材、調理に関する蘊蓄が日々綴られており、一家言を持った人物であることは容易に想像できました。自分の知る中でいうなら、富山は「真酒亭」の亭主のような頑固親爺というのが、勝手に思い描いていた店主の人物像です。
果たして店先を通りがかると、どことなく徳大寺似の頑固そうな店主がカウンターに立っており、しかも店内には先客が一組のみ。全国津々浦々で行きずりの酒場に飛び込んできた自分ではありますが、これは少々入りづらいものがありました。一呼吸置いてから意を決して飛び込むと、店主からは好みの席へつくようにとの第一声が。しかし一見で店主の正面というのも気が引け、結局カウンターの左寄りに着席しました。

通常ならばここで一杯目を注文し、品書きをざっと眺めて組み立てを考えたり、店内の造りを観察したりというところ、何分なじみの薄い洋風酒場ということもあり、今回ばかりは勝手がよく分かりません。教祖の著作にもあった「麺房亭全仕事」と題するメニューブックを冒頭からめくって、ともかく最初の生ビールを選んだ後、前菜代わりになりそうな「生ハム醤」なる品を所望すると、あるにはあるが食べ頃ではないとの返答があり、代わりにリエットなるものを勧められました。右も左も分からぬままに二つ返事で即答し、これでようやく一息といったところです。
店主によれば、品書きにあるものは一例に過ぎず、その日の食材とお好み次第でいかようにも調理は変わるということです。それなら品書きをいちいち眺める必要もありません。ここは店主に相談しつつ見繕ってもらうのが吉でしょう。そのようなとき、教祖の著作を見てきたと有り体に申し出た方が話は早くなります。案の定、一見すると頑固そうな店主も一気に饒舌となり、教祖の話やら食材の話について語らううちにすっかり意気投合。気付けば二時間半も長居してしまいました。

ひとしきり語らって分かったのは、店主が評判に違わぬ食通だということです。年中無休の店をほぼ一人で仕切り、原価と手間を惜しみなく注ぎ込んで、本物だけを提供しようとする矜恃には感服させられました。百名山の中でもひときわ異色といえるこの店を、教祖があえて推すのもそのためなのでしょう。
惜しまれたのは、二軒目だったのに加えて酒ばかり呑んでしまい、いただける品が限られたことです。教祖の著作にも、「この店を極めるには一生かかる」とありました。次の機会が巡ってきたとすれば、腹具合を万全に整え、〆のパスタに駒を進めてみたいものだと思います。

麺房亭
横浜市中区野毛町2-90 桜木町スカイハイツ 1F
045-243-6066
平日 1700PM-2300PM(LO)
日祝日 1700PM-2200PM(LO)

ブラウマイスター
隆・王祿・群馬泉・加茂福
生ハムのリエット
焼き空豆と焼き野菜バルサミコ風
燻製四品
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京浜沿線はしご酒 2015初夏 - 大黒屋本店

2015-05-31 17:41:09 | 居酒屋
手堅く「麺房亭」を巡礼するもよし、嗅覚を頼りに飛び込むもよしというところ、これはという店が現れたため飛び込みました。訪ねるのは「大黒屋本店」です。
何が目にとまったかといえば、いかにも正統派の大衆割烹然とした店構えです。果たして白木の引戸をくぐると、左には白木のカウンターが一本延び、その頭上に短冊の品書きが並んで、右にはテーブルに小上がりという、てらいのない造りの店内が広がっていました。やや狭めのカウンターで三人組のおばちゃんが無駄なく動き、背後の食器棚に純和風の食器が整然と並ぶ光景は好ましいものがあります。
肴は短冊の他手元の品書きにも相当数が揃って死角がなく、初夏の季節感がさりげなく織り込まれていて、なおかつどれも良心価格です。短冊の中から選んだ鰯はぴかぴかに光って美しく、看板にもある天麩羅と焼鳥の二枚看板は、盛り合わせで注文しても、お好みで一品ずつ注文してもよし。酒が平凡なのはこの手の店の常ながら、虚飾のない大衆割烹にはこの方がむしろ合っており、こざっぱりした染付の徳利も気が利いています。
整然とした店内、歯切れのよいおばちゃんの接客、安くておいしく品数豊富な肴、器と盛り付けの美しさといった特徴は、語弊を承知でいうなら横浜の三州屋といったところでしょうか。年中無休で昼から呑めるところも重宝しそうです。横浜で昼酒をあおりたいなら、ここを選んでおけば間違いなしと言い切れる名店でした。

大黒屋本店
横浜市中区野毛町2-71-4
045-231-2598
平日 1530PM-2200PM(LO)
土曜 1200PM-2220PM(LO)
日曜 1530PM-2030PM(LO)

生ビール・酒二合
お通し(里芋煮)
鰯刺身
北寄とウドの酢味噌和え
焼鳥二本
天麩羅三品
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京浜沿線はしご酒 2015初夏 - 空振り続き

2015-05-31 16:48:49 | 関東
不平を垂れつつ中山まで乗り通しましたが、あいにく日吉と違って時刻が噛み合わず、渡り線まで乗りつぶすには30分ほどかかることが判明。さらに30分もこの路線に注ぎ込むのは無駄と割り切り、すぐさま来た道を引き返してきました。あとはブルーラインに乗り換えて横浜市街に向かうだけです。
快晴の休日にあろうことか寝坊をしてしまい、苦肉の策で選択した本日の活動ですが、無味乾燥な通勤電車での移動は特段面白いものではなく、グリーンラインでは眉を顰めるような一幕さえありました。何から何まで空振りが続き、このままでは快晴の週末を棒に振ったも同然です。この敗北感を吹き飛ばしてくれる名酒場は現れるでしょうか。
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京浜沿線はしご酒 2015初夏 - 欠陥車両

2015-05-31 16:24:42 | 関東
つまらぬ車両と分かった以上、早々に引き返したいのはやまやまながら、二線ある日吉駅のホームとその間の渡り線を乗りつぶすため、都合四回通過しなければなりません。列車の時刻がうまく噛み合い、時間的にほとんど無駄なく乗れるのが不幸中の幸いではあります。
ちなみに、この車両の明確な難点に気付いてしまいました。ドアの両脇に大きな液晶の案内表示器があり、そのせいで荷物棚を設置できないため、着席できないと荷物を置くにも難儀するのです。この時間ならまだよいものの、混雑時に大荷物を抱えて乗ろうものなら、苦行以外の何物でもないでしょう。
設計に余裕のない小型車両なら、小型の表示器を扉の上に設置すればいい話だというのに、特大の表示器を二つも置く理由は何なのでしょうか。しかも一つについては乗客への案内でも何でもなく、四六時中広告を流している始末です。せめて目先を変えるつもりで乗ったはずが、かえって不愉快な気分にさせられるとは思いませんでした。
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京浜沿線はしご酒 2015初夏 - グリーンライン

2015-05-31 15:57:21 | 関東
センター南で一旦下車し、もう一系統のグリーンラインに乗車します。大江戸線とほぼ同格の小型車両という特徴こそあるものの、車両は安普請のJR電車をそのまま縮小したかのような代物で、何の面白味もありません。過去一度試乗しただけということもあり、今回再び乗ってみたというのが実情ではありますが、三度目はもういいというのが率直な感想ですorz
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京浜沿線はしご酒 2015初夏 - ブルーライン

2015-05-31 15:01:22 | 関東
一日乗車券を買って地下鉄に乗車します。御多分に洩れず現代的な規格型の車両ではありますが、JR東日本ではなく日本車輌独自の規格ということもあり、車内については先ほど乗った8000系と比べても遜色ありません。
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京浜沿線はしご酒 2015初夏 - 田園都市線

2015-05-31 13:59:01 | 関東
まずは意表を突いて田園都市線直通の半蔵門線に乗り込みました。あざみ野まで乗り、そこから地下鉄で市街へ向かおうという算段です。
自宅から横浜へ行く場合、最も早く着くのは東海道線経由であり、最も安いのは東横線経由です。そのどちらでもなく、遠回りで運賃も割高になる田園都市線経由を選択したのは、特に先を急いではいない以上、目先を変えたかったのが一つ。そして何より根本的な理由は、安普請の規格型車両を避けたかったという点に尽きます。というのも、最近業務上の都合で中距離電車に乗車する機会が何度かあり、そのときやってきたのがことごとくE231系で、あまりのお粗末さに辟易していたのです。樹脂製の安っぽい内装もさることながら、電動車に乗ればモーター音がやかましく、付随車でも一定速以上になると台車から耳障りな異音が響いて、不愉快なことこの上ありませんでした。そのような体験をした直後だけに、少なくとも東海道線だけは避けたく、またそれと同系列の安物が闊歩するJR東日本各線と、東横線も選択肢からは外れます。残された数少ない選択肢のうち、京急は横須賀への行き来でしばしば利用していることもあり、田園都市線に市営地下鉄という組み合わせが浮上してきた次第です。東北の汽車旅においては、いかにして701系の普通列車を避けるかが重要な課題の一つですが、首都圏各線の移動についても今や全く同じ様相を呈していますorz
前面以外東日本車とほぼ同様の東急5000系を二本見送り、ようやくやってきたのは東京メトロ8000系による急行電車でした。車内は壁面、天井、乗降扉から貫通扉に至るまで、艶やかな化粧板で統一され、しかもそれがごく淡い紫色に統一されて、半蔵門線の車両であることをさりげなく主張しているところは秀逸です。もっとも、この車両が登場した当時は、これとてごく普通の通勤電車だったのであり、例えていうなら東北の719系のような存在でしかありません。その程度の車両が今やまともに感じられるのは、現代の鉄道車両がいかに低品質化したかということでもあります。
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京浜沿線はしご酒 2015初夏 - 消去法

2015-05-31 11:25:41 | 関東
なまじ休むと腑抜けになるという経験則は今回も見事に妥当し、前夜早く寝たにもかかわらず寝坊してしまいました。しかも、天候は皮肉なことに快晴です。結果としては、四の五の言わず土曜に出て、朝晩多少雨に降られようとも新潟でキャンプをしておけばよかったということでしょう。不可抗力だったとはいえ、前日職場に火種を残してしまったのが仇となりましたorz
これが土曜なら、今から出ても実質半日弱が残り、日曜と合わせれば活動として十分成立します。しかし、日曜の昼からということになると、当然ながら実質半日弱しか使えないわけで、少なくともガス代、高速代をかけて遠出する理由はなくなってしまいました。とはいえ、この晴天下を悶々としながらやり過ごす手はありません。せめて交通機関を使ってどこかへ行く手はないものかと考えた結果、にわかに浮上してきたのが横浜です。
一昔前川崎に勤めていたこともあり、横浜は決して縁遠い街ではありません。ところが、酒場で呑んだ経験ということになると、川崎と同様皆無に等しいのが現状です。これは、当時酒場で呑む習慣がほとんどなかったのに加え、神奈川というと横須賀ばかりひいきにしてしまい、結果として横浜にまで手が回らないという事情によります。しかし、幸か不幸か、日曜では横須賀の双璧「中央酒場」と「銀次」がいずれも休業のため、ならば試しに横浜にでも行ってみるかと思い立った次第です。
問題なのは、教祖が「居酒屋密度の低い県」と評する神奈川で、日曜という条件も重なり、教祖御自ら絶賛する「麺房亭」以外に店の心当たりがないことです。しかし、日曜の昼からという半端な時間をどう使うかと考え、消去法で浮上してきた選択だけに、過大な期待はしていません。もともと低い期待値を、少しでも超える酒場に出会えれば上出来ではないでしょうか。
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