日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

退潮傾向

2015-05-27 23:40:43 | 居酒屋
今年に入り、自分の中でほぼ完全に途絶えた習慣があります。平日の帰り道の一人酒です。五月も終わろうとする今の時点で、訪ねた酒場は年初の一軒のみ、それも店じまいの前の挨拶代わりという大義名分があってのことでした。その前は半ば正月気分だった昨年末で、実質的な最後はもう半年以上ものことになります。
このblogの開設当初、旅先で呑むことは滅多になく、酒場で呑むといえば帰り道に一杯引っかけることとほぼ同義でした。それがいつしか退潮傾向になり、今や両者の関係が完全に逆転してしまったわけです。これは自分の中における旅と日常との関係にそのまま符合しています。すなわち、かつて旅とは日常生活における余暇の過ごし方の一つだったはずが、年を追えば追うほど旅の占める比重が高くなり、今や有り金と余暇の全てを注ぎ込んでいます。このような生活が常態化するに至り、自分にとって平日とは、好むと好まざるとにかかわらず繰り返す日常と化したとでも申しましょうか。平日には特段の刺激も変化も求めず、淡々とやり過ごすことを宗とし、体力、気力と金銭を極力旅に振り向けるという習慣が確立された結果、酒場にも足が向かなくなったというのが真相です。
薫風の季節もほどなくして終わり、やがて梅雨から盛夏にかけての活動休止期間が訪れます。しかし、それに伴い一杯引っかけてから帰る機会が復活するかというと、そうでもなさそうな気がしています。というのは、都会の酒場ではどうしても郷土色が希薄にならざるを得ず、その点では旅先の酒場に及ばないと気付いてきたからです。加えて、夏の酒には大したものがありません。夏には高校野球の地方大会があり、近年ではその方が楽しくなってきたという事情もあります。それが終わるやいなや盆が来て、その直後には活動を再開することを考えると、平日に呑む機会は復活しづらいと見ている次第です。
もっとも、郷土色だけが居酒屋の楽しみというわけではありません。特に、長年通ってきた店との付き合いは、今後も大切にしていきたいものだと思います。夏が過ぎ去り、秋の大型活動が一段落し、百花繚乱のひやおろしが品書きを彩る頃、なじみの酒場を再訪する機会が増えてくるかもしれません。
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