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茶道25年、ブログ20年! 家業を継いで14年。息子は11才。子育て、茶道、季節行事、料理、日記、読書の記録など。

茶道、茶道具、道具屋が出てくる小説 2025更新版

2025年06月30日 | books
あまりまとまった情報がないように思いますので、ごっそりリストにしております。
2020年6月にまとめ2023年6月に更新したものの更なるバージョンアップです。何冊か増えております。
こんな本もあるよのご紹介も歓迎です。

が。
イキナリ、小説ではない本なのですが。。
こんな本も出ました。
エグゼクティブはなぜ稽古をするのか』  梅澤さやか (著)
すごいなぁ。とうとうこういう段階になりましたか。


もとはといえば、茶道をはじめとする和の習い事ブームや、「教養」ブームです。
茶道でいえば、2021年半ばから2年ほどの間にこういう本が立て続けに出ました。
世界のビジネスエリートが知っている 教養としての茶道』『「お茶」を学ぶ人だけが知っている 凛として美しい内面の磨き方』  竹田 理恵
大切なことはすべて茶道が教えてくれる。』  石川 雅俊
人生を豊かにする あたらしい茶道』  松村 宗亮

教養や美意識とビジネスの関係は、聞いて想像するよりも深い。つまり、取引相手との話題がとか、マインドフルネスとか、そういうこと(だけ)ではないわけですね。言うまでもなく、絵画や彫刻の美とか骨董品の美とか茶の点前の美とかが直接ビジネスに役立つということでもないわけです。
決断にかけられる時間はどんどん短くなっている。しかし眼の前の流れに流されて決断すればビジネスもあぶなっかしい時代になっている。常に広い視野を持ち熟思し独自の価値観に立って、短時間で決断する、それを「ビジネスマンこそ美意識を」と言っているようです。
バブル崩壊後も業績を維持または回復してきた企業には、素養ある経営者がいる、という経営学者の報告もありました。2005~6年頃でしたね。

そういったところから、教養がいわれ、茶道を含む和の習い事が次第に注目されるようになりました。


ところが、それで習い事を始めてみると、畳の歩き方とか茶碗の持ち方から、右手でとか右足からとか、ちまちまと型にはめられるお稽古が始まり、“世界に通用する美意識を養い人間力を涵養する”とかな“目的”からかけ離れたことが始まりますね。
そこ、近代西洋の個人主義や独創性追求と全く異なる、型から入って型に体をなじませていく日本の「道」的修練のギャップでしょうか。だからこそ「その先」が、西洋近代の個人主義が見失ったもの…ということでもあるのでしょう。
ところがギャップが大きすぎて、「その先」の展望がみえないと、近代の思想にすっかり染まった現代人には継続が難しい。

ようやく、そういう目の前のお稽古と、その先の何か、を整理してつなげてくれる本が出てきた感があります。


ビジネス側からの、教養が必要とはどういうことかという深堀りのおかげもあるでしょう。
稽古によって、「より鋭く、より高い解像度で世界を見抜く感性をいかに育むのか」という表現がありました。
“エリート”と“アート”の関係に衆目を集めしめた山口周氏の「リベラルアーツはそれ(追補:疑うべき常識)を映し出すレンズとして最もシャープな解像度を持っている」(『ニュータイプの時代』)を思い出しました。
つながったんですね、両方からの深堀が。



意味がわからないままひたすら体で振り写すお稽古の効果を、エッセイとして読むならば、森下 典子さんのこちらが圧倒的にお勧めです。映画にもなりました。
日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ



さて本題。


◆「茶道」「茶人」
   (おおむね時代順)


兵庫の壺』  新宮 正春
信長の茶会』  永田 ガラ
『織田信長 最後の茶会』  小島 毅
じんかん』  今村翔吾
黒牢城』  米澤 穂信
『秀吉と利休』  野上 弥生子
『利休と秀吉』  邦光 史郎
『鞆ノ津茶会記』  井伏 鱒二
『小説千利休』  童門 冬二
『千利休とその妻たち』  三浦 綾子
利休』  星川 清司
利休にたずねよ』  山本 兼一
利休の闇』  加藤 廣
天下人の茶』『茶聖』  伊東 潤
茶道太閤記』  海音寺 潮五郎
本覚坊遺聞』  井上 靖
布武の果て』  上田 秀人
ディープフィクサー 千利休』  波多野 聖
漫画『千利休』  清原 なつの
利休啾々』  澤田 ふじ子
小説 織田有楽斎』  菅 靖匡
有楽斎の戦』  天野 純希
『宗湛修羅記』  森 真沙子
『神屋宗湛の残した日記』  井伏 鱒二
覇商の門』(上下)  火坂 雅志

数寄の織部』  永岡 慶之助
『幻にて候 古田織部』  黒部 亨
小堀遠州』 中尾 實信
孤蓬の人』 葉室 麟
小堀遠州』  滝川 駿
『茶将 高山右近』  浅田 晃彦
漫画『へうげもの』  山田 芳裕
漫画『闘茶大名利休七哲』  西崎 泰正, 工藤 かずや
『千家再興』『千家奔流』『千家分流』  井ノ部 康之
洛中の露 金森宗和覚え書』  東郷 隆
茶筅の旗』  藤原 緋沙子
茶と商 』  辻宗正
暴れ茶人無頼剣』  平茂 寛
仮想 茶会潜入記――時空を超えた茶人の彷徨』  谷 晃
山月庵茶会記』  葉室 麟

おおとりは空に』  津本 陽
松風の家』(上下)  宮尾 登美子
雪燃え』  円地 文子
千羽鶴』  川端 康成
銭の戦争』1~10  波多野 聖
雨にもまけず粗茶一服』(上・下)『風にもまけず粗茶一服』『花のお江戸で粗茶一服』  松村 栄子
彼方此方の空に粗茶一服  松村 栄子
十二神将変』  塚本 邦雄
茶室』  リシャール・コラス
卒業』  東野 圭吾
利休伝説殺人事件』  柏木 圭一郎
茶室殺人伝説』  今野 敏
真贋』  今野 敏
飛び石を渡れば』  一色 さゆり
鳴かずのカッコウ』  手嶋 龍一
紅葉山高校茶道部』  益田 昌
はじめまして、茶道部!』  服部 千春


『毒草師 白蛇の洗礼』  高田 崇史
漫画『私は利休』(1~4)  連打 一人、
漫画『茶の湯のじかん 』(全2巻)  pikomaro、早川 光、 木村 宗慎
尾道茶寮 夜咄堂 おすすめは、お抹茶セット五百円(つくも神付き)』『尾道茶寮 夜咄堂 猫と茶会と花吹雪(つくも神付き) 』  加藤 泰幸
京都で一服いかがでしょう』  秋良 知佐
漫画『浅草ちょこれいと堂 ~雅な茶人とショコラティエール~』  江本 マシメサ
お点前頂戴いたします 泡沫亭あやかし茶の湯』  神田 夏生


私が読んだ中で、利休時代の小説では、やっぱり圧倒的に面白かったのは『利休にたずねよ』でしょうか。エキサイティングな小説でした。もうずいぶん以前に読んだのですが。
通好み的に面白かったのは古典的名作『本覚坊遺聞』
マンガなら『へうげもの』

それから必ずしも茶道というだけでない作ですが面白かったのが『覇商の門』。茶道というだけでないと言いましたが、この時代、時代的なこういう激動の要素があったからこその茶だったはずで、切り離して存在したり成立したりしたもののはずがない。 そのへんの面白さです。
『茶筅の旗』、私はまだ積ン読ですが、読まれた方、面白かったと皆さん。

『山月庵茶会記』、これは歴史ものではありませんが、茶的な雰囲気ゆたかな、時代小説です。しっとりと楽しめます。
逆にぜんぜんしっとりしない面白さだったのが、歴史小説というか時代小説というかナンセンスものというか、『銭の戦争』。これ面白かったなぁ。次々新刊がでるのをかなり楽しみにどんどん読ませてもらいました。歴史を、経済、外交、世相、数寄、といった多様な面からとてもよく踏まえていて、ストーリーはめっちゃナンセンスでどこまでいっちゃうのこの話と苦笑しつつ、なんというか、時代の空気を楽しみました。戦国数寄者たちが『覇商の門』のようだったとすると、明治の数寄者たちはこんなようだった、かも、しれない。。。
同じ著者がとうとう利休を書いたものが『ディープフィクサー 千利休』かと思うのですが、まだ積みっぱなしです、スイマセン。

ナンセンス込みがさらに現代版になると『鳴かずのカッコウ』になってしまうのか? これは荒唐無稽すぎないところがコワイ。コワイな~茶室!
その茶室という空間の濃密さを恋に持ってきたか、『茶室』。シャネル日本法人会長にして茶人、小説家という著者。これは、『利休にたずねよ』の昭和版ですね。耽美か、退廃か。いやいや、愛なのか? 実に濃厚ですわ。若干…ポーを思い出す…?


一方現代ものとして最高に面白く素敵なのが『雨にもまけず粗茶一服』からのシリーズ。完結編が出ました
彼方此方の空に粗茶一服』(再掲)
これはいいわぁ。オイオイと言いたくなってしまう現代っ子たち。でもそんな若者たちにこそ、意外とこういうふうに、本当に求めている的なことに、茶の湯で出会えたりするかもしれないと思います。

『暴れ茶人無頼剣』はその時代版。小堀遠州の末裔がハチャメチャです。その分読むには面白い。お酒どんだけ強いんだ★ 小堀家の再興はどうなるの。歴史では再興してるよね!? もしやお酒の飲み比べで再興するんでは? 続きを読みたいのですが…。

『十二神将変』。著者の教養の深さと耽美な美意識にシビレる…。私は大学時代に泉鏡花を扱ったので、旧字旧仮名も耽美趣味な文章もOKというか、けっこう好き。とはいえ久しぶりの世界だったので、ていねいにじんわりと楽しんで読ませていただきました。泉鏡花も見直し基調でちょっと変わった切り口でのアンソロジーが出ていたりしますが、この本も復刊なんですね。いいと思います。

『飛び石を渡れば』もいいですね。この著者さんはアートミステリーの名手なので、茶道ミステリーかとちょっとドキドキしながら読んだのですが、違いました。そこは残念(笑)。でもゆったり、変わっていく時代の中での、現代の茶の風景かもしれません。
それから、ライトノベルですが、『尾道茶寮 夜咄堂』の2冊。これも好きです。出ないかなぁ、続き。。。



◆「茶道具」「芸術家」「道具屋」「骨董屋」等

小説日本芸譚』  松本 清張
乾山晩愁』  葉室 麟
木葉天目の謎』  原田 隆峰
源内なかま講』  高橋 克彦
贋作師』  篠田 節子

泣くな道真 大宰府の詩』『吼えろ道真 大宰府の詩』  澤田 瞳子


骨董屋征次郎手控』『骨董屋征次郎京暦』  火坂 雅志
桂籠』  火坂 雅志
晋平の矢立』  山本 一力
狂い咲き正宗』『黄金の太刀』 ―刀剣商ちょうじ屋光三郎  山本 兼一
千両花嫁』『ええもんひとつ』『赤絵そうめん』『利休の茶杓』―とびきり屋見立帖  山本 兼一

珍品堂主人』  井伏 鱒二
光琳の櫛』  芝木 好子
文福茶釜』『離れ折紙』  黒川 博行
人が見たら蛙に化れ』  村田 喜代子
清談 佛々堂先生』『わらしべ長者、あるいは恋 清談 佛々堂先生』  服部 真澄
百枚の定家』(上下)  梓沢 要

孔雀狂想曲』  北森 鴻
狐罠』『狐闇』『緋友禅』『瑠璃の契り』  北森 鴻
深淵のガランス』『虚栄の肖像』  北森 鴻
藍の雨--蒐集者たち』『白い久遠』  浅野 里沙子

漫画『ギャラリーフェイク』(全34巻)  細野 不二彦

神の値段』『嘘をつく器 死の曜変天目』(『骨董探偵 馬酔木泉の事件ファイル) 『絵に隠された記憶』  一色 さゆり
コンサバター 失われた安土桃山の秘宝』  一色 さゆり
ジャポニスム謎調査 新聞社文化部旅するコンビ』  一色 さゆり

新装版 青い壺』  有吉 佐和子
茶碗継ぎの恋―編集者風見菜緒の推理』  鏑木 蓮
乾隆帝の幻玉: 老北京骨董異聞』  劉 一達

古道具 中野商店』  川上 弘美
私、骨董屋やってます』  浦田 寿乃

京都寺町三条のホームズ』(既刊1~22)  望月 麻衣

京橋骨董かげろう堂』  辻村 七子

壺霊「浅見光彦」シリーズ』(上下)  内田 康夫
月影骨董鑑定帖』(全1~3)  谷崎 泉
雨柳堂夢咄シリーズ』(1~18)  波津 彬子

京都骨董ふしぎ夜話』(1~3)  獅子ししゃも
古道具屋 皆塵堂』(全8冊)  輪渡 颯介
芦屋山手 お道具迎賓館』  高殿 円
アンティークFUGA』(1~3)  あんびるやすこ
漫画『アルマ骨董堂のふしぎ夜噺』  かんさび


さいごのほうは、もう、人の思い入れの詰った古いものには妖怪や怪異が…という世界に。個人的には、憑きものより、骨董に魅入られた人間が事件を起こす…のほうが好きなんですが★

こちらの分野は、もうこの分野だというだけで通好みというか、フカい分野なので。どれが面白いと思われるか、お好み次第です。
でも、そうでもなく一般受け的にもよかったのは『とびきり屋見立帖』シリーズ。山本 兼一さん素晴らしかったんですよねぇ。ほんとうに、惜しまれます。。。
『清談 佛々堂先生』の2冊。これもおもろいよねぇ。これも、続きは出ないのかなぁ。
北森 鴻さんの連作はもう、言うに及ばず。鉄板の通好みのシリーズです。
北森さんのパートナーだった?とか言われる浅野さんの『藍の雨』『白い久遠』、これも面白かった、続編希望です、希望ではありますが、主人公がハイグレード過ぎる~。ちょっと世界が違いすぎる。もうちょっと身近さを感じられる世界でも、こういう事件展開させてくれないかしら☆
『珍品堂主人』『文福茶釜』『人が見たら蛙に化れ』、このあたりも、「うわ~っ」と圧倒されたというか、ちょっと引くというか、しかし忘れられないインパクトでした。

『京橋骨董かげろう堂』は最近の作品のようです。なかなかいい。ぜったいシリーズになりますよね、謎がたくさん仕込まれているし。先が楽しみです。続巻よろしくお願いします。

茶人のほうでもご紹介の一色さゆりさん。こちらのアート系のほうが主たる分野ですね。まだ全部読めておりませんが、先々楽しみな作家さんです。

『泣くな道真』『吼えろ道真』。変わった物語、出てきちゃったなぁ~。はじめのうちどうなるのかと。最終的には面白かったのですが、ちょっと、天神さまのイメージが。いや岡野玲子さん『陰陽師』の道真怨霊も斬新でしたが、あれはもう怨霊になってたし。。。そもそもこの時代を舞台に贋作ものとか、新鮮です。


さいきんの怪奇もののはやりか、ライトノベルのはやりか、骨董の物語かと思うと物の怪ものとか、骨董というより遺品整理で出てきたような古道具だったり?
小説にする前の蓄積が大変すぎる分野なのかもしれませんねぇ。


いずれにしましても、まだまだ楽しみは尽きませんね。眼を大切にしないと、読めなくなるのはツマラナイ★



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