そよ風に髭をなびかせて・Moookな毎日

The breeze gently waves Moook's beard.

犬に、一万円札の価値を判断する能力が有るか?

2010-02-02 | 「犬の心理と行動」
あれは、もうだいぶ昔の事。
我が家にはイングリッシュ・セッターの「マット」が居た。
彼女は純粋の鳥猟犬だった。
冬には私(Moook's papa)と共に伊豆の山中を山鳥や雉を求めて駆け巡っていた。
その気迫たるや、凄まじいものであった。
払暁から、夕闇が迫る頃までひと時さえも休むことなく捜索を続ける体力と、狙った獲物は必ず追い止めてポイントに持ち込む。
その時の顔は恐ろしいほどの迫力が有った。

しかし、家にいるときは至極温和な犬だった。
滅多に吼える事も無く、近所の子供達の良い遊び相手だった。
玄関の横に繋いでいたが、日の当たる玄関のコンクリートの床に寝そべっていると、
子供達や通りすがりの人が、わざわざ寄って来ては、頭を撫ぜたり、体を触ったりして行く。
それに尻尾を振って答えながら、大人しく成すがままに任せている。

何年目かの正月の三日、何時ものように玄関先で子供達が遊んでる声が聞こえていた。
そして、昼下がり、散歩に出ようかと玄関に寝そべったマットの傍に行くと、彼女は何やら書き切れを鼻先でいじって遊んでいる。
「あれ?なんだい、それは?」
私はその紙切れを取り上げた。
それは、1/4に小さく畳まれた「一万円札」がマットに噛まれてシワシワになっていた。
驚いた私は、大声で叫んだ。
「どうしたんだ。マット!これは。。。」
辺りを見回したけど、誰もいない。
私の声を聞いた母や妹達が出てきて、
「きっと、マットにお年玉をあげてくれたんじゃないの?」と言う

まさか、そんな事は無いだろう。。
私の心配は、子供達が自分のお年玉をポケットから落としたかも知れない事だった。
その日は、散歩にも出ないで、落し物を探しに来る人はいないかと表を気にして一日を過ごした。
次の日に、近所の交番に届けに行った。
「実は、犬が一万円札を拾ったんですが。。。」と言うと
警官は怪訝な顔で私の顔を見た。
正月の酔っ払いがふざけていると思ったのかな?
落とし主はとうとう見つから無くって、やっぱり「マットがお年玉を貰った」という結論になった。

その結果、マットには大きな肉を買ってあげて、飼い主と共にご馳走になったのである。
もちろん、マットには「お前、偉いなあ」と賞賛の言葉をかけながら。。。。

そして、時は流れて。。。

【マット】の写真。
MAT

上に書いた出来事などは、とうに忘れていた。

秋頃だったかと思うが、夕方の散歩に出かけた。
散歩といっても私は自転車、それをマットが引っ張って行く。
家を出てから、暫くの間はマットが引っ張るのに任せて私はペダルを漕がない。
それでも、相当の勢いで自転車は進む。
しかし、注意しないとマットは隠れている猫などに突然飛び掛っていくので、何度も転倒した経験がある。
だから、いつでもブレーキはかけられるように準備している。
と、案の定、マットは突然立ち止って道路傍の草むらに顔を突っ込んだ。
「どうした?、マット、何を咥えてるんだ」
マットの咥えたものを急いで取り上げた。
危ない食べ物ではないか?
暗い街灯の明かりで確かめて見ると、

それは、
ヨレヨレになった一万円札だった。
「あちゃー、また拾ったのか!」

マットは、私を見上げて嬉しそうに尻尾を振っている。
きっと、また大きな肉をご馳走になれると思ったんだろう。

それからの数日の散歩は、自転車を止めて、徒歩で行く事にした。
その道端の草むらをマットが丹念に匂いを嗅げる様にゆっくりと歩いたのだった。
でも、再び幸運に出会う事が無かった。


  【結論】犬は褒められると一万円札を拾う習性が身につく。
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犬が一万円札を拾った時、飼い主は黙ってネコババしないで、ちゃんと褒美で犬に肉を買って与えるべきだ。
そうすれば、犬には、必ず、一万円札を拾う習性が芽生えて来るだろう。

但し、柳の下に必ずしも泥鰌は二匹とは居ない。これも真実だ。

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