「永い言い」西川美和
妻が死んでも泣けない夫。
泣いてばかりの夫。
どっちの男もダメダメすぎて笑えるほどだった。
現実について行ってないのは二人とも。
「もう愛していない。ひとかけらも」
妻の携帯電話に残された編集途中のメッセージ。
この宙に浮いてしまった言葉の着地点はどこなのだろう。
妻は誰のことをもう愛していないのだろう。
「誰」が自分であっても、自分以外の人であっても
幸夫くんには衝撃であろう。
そして、本当に妻がいなくなってしまったことを
感じるのだろう。
![]() |
永い言い訳 (文春文庫) |
西川美和 | |
文藝春秋 |