「彼方の友へ」伊吹 有喜
「少女の友」の中原淳一さんの絵はとても素敵だ大好き。
クリアファイル、ポストカード、いろいろ持ってます。
最初そういうこと知らずに読んでたのだけれど、
「少女の友」がモデルになっていると知って納得。
そして面白さ倍増。
小学校しか出ていないハツの健気さと
自信のなさがちょっとかわいそうになるくらいで、
力になってあげたいと思ったけれど
小間使いから編集者になって作家になってと
ハツは「友」の希望になっていったのだと思うと、
弱いだけでないのだなと思った。
この物語は、戦争の波に飲み込まれる
多くの人達の悲しさと強さを表し
そして、言葉を大切にしていた時代の人達の
それぞれの愛が籠っている。
私には到底できない所業だけれど、
桐島美蘭のように愛する人に迫ることができたからこそ、
命が繋がったと言える。
しかしながら、私の共感を得るのは、何といっても
ハツの五線譜の暗号による告白と
亡くなって70年たって届く有島からの恋文。
それも、ハツにしか理解できないとなると
これ以上のどストライクはないのです。
あー、でも、この恋文も桐島美蘭が命をつないだから
ハツのもとにとどいたんだよなぁ。。
伊吹さん、素晴らしい。
どうやって選ぶのかは知らないけれど
私なら直木賞だよ。
「この国の言葉はこよなく美しく、そして魂は宿ると言われている。言霊というんだ」
この美しい言葉の魂ははきっと繋がっていくと信じたい。
★磯城島の、大和の国は言霊の助くる国ぞ ま幸(まさき)くありこそ 柿本人麻呂
といううたもでてくるのですが、
柿本人麻呂って、いろんなとこでちょくちょく顔だすよね。
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