観劇日 2010年11月6日(土) 昼の部 11:30開演
劇場 出石永楽館
座席 1階 は升
「近頃河原の達引」はナマでは見ていなかったが、我當さんが
与次郎を通しで演じられた舞台の録画を持っている。
その後半部分「堀川与次郎内の場」が今年の幕開きの演目だった。
愛之助さんはその我當さんから手取り足取り指導を受けたそう。
芝居を比較したくなかったので、我當さんの映像は観劇前には見
なかったが、それでも、我當さんだ!と思う部分がところどころ
にあり、そこが微笑ましかった。
片岡家の大事な役に愛之助さんが初役で挑む記念の舞台に立ち会
えたことがことのほかうれしい♪
私が観たのは2日目。愛之助さんはいまできる与次郎を精いっぱ
い演じておられた。いまはボジョレーヌーボーでもいつか豊穰な
味わいにたどりつく予感でいっぱいの、心の入ったすごくいい舞
台だったと思う。
逆に、瞬発力ある体から生まれるコミカル度、絵面としての明る
さは、いまの愛之助さんならではの魅力だと思った。
以下、1回しか見ていないので記憶違いもあるでしょうけど。
いつもの備忘録。
片岡十二集の内 近頃河原の達引(ちかごろかわらのたてひき)
堀川与次郎内の場
猿廻し与次郎:愛之助 遊女お俊:吉弥
井筒屋伝兵衛:薪車 稽古娘おつる:吉太朗
母おぎん:竹三郎
<あらすじ>
遊女お俊と伝兵衛の心中を扱ったお話。
四条河原でお俊のことをめぐり恋敵の悪侍を殺してしまい、行方
をくらました伝兵衛。その伝兵衛と恋仲のお俊はいっしょに心中
されないようにと遊郭から実家に戻されていた。
お俊の実家では猿廻しで生計を立てている兄の与次郎と、目の見
えない母が暮らしており、お俊を心中させてはなるまいと、二人
は必死で伝兵衛から守ろうとする。
そこへ伝兵衛がやってきて・・・。
●三味線のお稽古
小さな娘おつるが老女から三味線のお稽古をつけてもらっている。
曲目は「鳥辺山心中」ですと。
竹三郎さんも吉太朗くんも、実際に三味線を弾きながら唄も唄っ
ていることにちょっと感激♪
稽古を終えて帰るおつる、七三の引っ込みポーズがきまってる~。
●猿回しの与次郎、妹お俊、母おぎん
入れ違いに花道をやってくる与次郎。
背中にくくりつけた荷物の上にはお猿さんが乗っかっている。
きゃあ~、かわいい。猿も与次郎も♪
与次郎の化粧は二枚目ではなく庶民的な素朴なお顔で、ちょっと
太郎冠者みたいな感じ。
家に着くや、母親(さっきの老女)に声をかける。
「母者人。いま戻ったぞや」。
ピョンと勝手に背中からおりるお猿さんが可愛いったら♪
帰宅した与次郎の一連の動きがいかにも上方の和事らしい。
息子が帰るなり、母は自分の長患いから苦労をかけていることを
詫び、一人しゃべり続けている。
その間じゅう、母の話をじっと聞くわけではなく、帰宅の片付け
のためにチャッチャと立ち動く与次郎。
これが母と息子の日常風景なのだと、しばし見入ってしまう。
背中の荷を下ろし、猿を檻に入れ、商売道具や編み笠を壁に架け、
脱いだ衣類を押し入れにしまう。
着物の裾の汚れを払うのに戸口で前をパンパン、その後おしりを
外に突き出し、裾の後ろをパンパンと。(←ここ映像の我當さん
は後ろだけだった。愛之助さんは前を先に払い、続けて後ろを払っ
たからか、おしりが強調され可笑しくて笑ってしまった。)
かと思えば、その日に食べる穀類らしきものを袋から桶に移し、
こぼれた粒を丁寧に指で拾い集めて桶の中へ。
咳き込んだ母の元へ、湯のみ茶碗にお茶を入れて持っていくとこ
ろまでもが与次郎の日課なのだろう。
着替えを終えてようやく母に話しかける言葉は、現実とは逆。
上白米の仕送りや食べ物も手に入るし、案じることはない、と。
金子の入った貧相な袋を出し、一瞬情けない表情になるも、それ
を母に持たせ袋を下に引っぱっては「重い重い~」と。
(見た目は悲惨なのに、またまた笑わせてくれるやないの~。)
伝兵衛がいつ訪ねてくるかと心配で寝られない与次郎と母。
お俊を奥の部屋から呼んで、伝兵衛と縁を切るよう説得する。
縦縞の衣装を粋に着こなす艶っぽい妹、お俊役は吉弥さん。
落ち目になった男を捨てるのは遊女の恥・・・という意味の言葉
を返す。
(吉弥さん、憂いの中に芯のある美しさ。きれい~!)
こうなったら退き状(離縁状)を書くのがいいと二人が言うと、
退き状なら用意してあると書状を見せるお俊。
安心して行灯の灯を消し、お俊の横で寝る与次郎。
寝支度をする細やかな芝居に客席から笑いが。
足をそろえて羽織を巻き、仰向けになって脚を高くあげて、もう
一度しっかり羽織を縛りつける。(下半分寝袋状態。)
それから煎餅布団にくるまり、体を転がすと布団が巻き付く!
(この布団巻きは「沼津」の平作を我當さんが演じた時にも出て
きたが、愛之助さんの場合バネ仕掛けのように一瞬にしてコロン
と巻かれるので可笑しみが5倍増し!頭も枕の位置にピタッと合う
お見事なものだった。)
ん?この調子で書くと終わらへん。チャッチャとねー。
●お俊と伝兵衛の決意
花道から登場の伝兵衛。元気なくお俊の家にたどりつく。
(薪車さんのつっころばし伝兵衛、いよっ!男前。)
戸口の伝兵衛に最初に気づいたのはお俊。
ややあって二人のやりとりに気づいた与次郎が、暗闇の中大慌てで
戸口へ。暗いため間違ってお俊を外に追いやり、伝兵衛を家の中に
入れてしまう。
(与次郎の必死さと、相反する結果に客席からも笑いが♪)
中にいる伝兵衛を怖がりながらも(ブルブル、ガタガタ)、お俊の
ことをあきらめさそうと頑張る与次郎。伝兵衛に退き状を渡す。
伝兵衛はおどろいた様子。
お俊が言う。伝兵衛に退き状を声に出して読んでほしい、と。
読んでわかったのは、それが退き状ではなく、お俊が伝兵衛と心中
することを決めた書き置きだった。
お俊の決意に驚く母、兄。
与次郎は混乱しつつも妹を家の中に入れる。
お俊と伝兵衞がようやく並ぶ。
上方役者のご両人♪ お似合いのカップル~。
伝兵衞はお俊の家族に遠慮して、死ぬのは自分一人でいい、お俊に
は生きながらえて自分の弔いをしてほしいと言う。
と、この場で自害しようとする伝兵衞。刀を奪って止めさせるお俊。
ここで浄瑠璃の声がかぶる。
「そりゃ聞こえませぬ、伝兵衞さん~」
訴えるお俊のクドキの場面。
(ここから吉弥さんの熱演にうっとりゾクゾク。)
立ち上がって自分の簪をそっと抜き、愛おしそうに伝兵衞の髪を整
える仕草がたまりませぬ~。
大事な夫の難儀な折に見捨てては女の道が立ちません。
「いっしょに死なせてください」と願い出るお俊。
二人の様子を背中で聞いていた与次郎。
こんなはずではなかった、伝兵衛よりも妹のほうが手ゴワイ。どう
したものかとうろたえる。
その慌てぶりが悲しいやら、可笑しいやら。
(こういう台詞になると、ほんとに我當さんみたい!)
ここから先は伝兵衛に訴える母親の糸に乗った台詞が聞きどころ。
これでもか、これでもかと、詰め寄るようにかぶせてゆく台詞は、
竹三郎さんの独壇場。
これは泣かずにおれませんて!
娘がお世話になったのに義理知らずで申し訳ない。でもわかってほ
しい。親というものは子が可愛い。死ぬとわかって送り出すのはあ
まりにしのびない、せめて遠くに逃げ延びてほしいと。
「たのみます、おがみます」と手を合わす母に、もう大泣き~~~。
(すすり泣き、もらい泣きの観客多数。)
●猿回しの与次郎 祝言の唄
泣いている皆をおさめるように、与次郎。
妹も、伝兵衞さんも、母のいうことも道理。
母の気持ちがわかったら、二人は早くここを出た方がいい、と。
そこで自分が猿回しの「お初徳兵衞」で祝言の寿を、と申し出る。
二人が着替える間に、二匹の猿を着替えさせ、猿回しの祝言の用意
をする与次郎。
舞台上手ではお俊と伝兵衞が実際の盃を。
正面では猿のお初徳兵衞が狂言の盃を。
棒を持って猿をあやつりながら、芝居上の祝言の唄をうたう与次郎。
いやん、愛之助さん、エエ声やないのぉ~!!
艶やかではりがあって、古典芸能としての豊かな味わいを持ったう
たい方。(無知で恥ずかしいけれど、種類でいえばこれって長唄?)
とにかくめでたい唄♪
唄いながら、心で泣きながら、猿の芸で笑わせる与次郎。
猿に盃を勧める時には、二人にも盃を勧めるから忙しいの(笑)。
しかし、遠くへ逃げるとはいっても本当は・・・ってことにはもう
誰も触れず、みなで唄を聞き、猿廻しを見ている。
唄がだんだん涙声に・・・。
とうとう唄い終わり、二人を見送るときが。
戸口の中と外。
外ではお俊と伝兵衞、二人の頬を伝う涙。
家の中から、見えない目で見送る母。
その隣りで見送る与次郎の肩には徳兵衞の衣装を着た猿が~。
涙涙・・・。(幕)
書きながら思い出しては、ええ舞台やったなあと思いました。
アップが遅れがちだけれど、道行初音旅のほうも後日なんとかアッ
プしたいと思う。
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劇場 出石永楽館
座席 1階 は升
「近頃河原の達引」はナマでは見ていなかったが、我當さんが
与次郎を通しで演じられた舞台の録画を持っている。
その後半部分「堀川与次郎内の場」が今年の幕開きの演目だった。
愛之助さんはその我當さんから手取り足取り指導を受けたそう。
芝居を比較したくなかったので、我當さんの映像は観劇前には見
なかったが、それでも、我當さんだ!と思う部分がところどころ
にあり、そこが微笑ましかった。
片岡家の大事な役に愛之助さんが初役で挑む記念の舞台に立ち会
えたことがことのほかうれしい♪
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私が観たのは2日目。愛之助さんはいまできる与次郎を精いっぱ
い演じておられた。いまはボジョレーヌーボーでもいつか豊穰な
味わいにたどりつく予感でいっぱいの、心の入ったすごくいい舞
台だったと思う。
逆に、瞬発力ある体から生まれるコミカル度、絵面としての明る
さは、いまの愛之助さんならではの魅力だと思った。
以下、1回しか見ていないので記憶違いもあるでしょうけど。
いつもの備忘録。
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片岡十二集の内 近頃河原の達引(ちかごろかわらのたてひき)
堀川与次郎内の場
猿廻し与次郎:愛之助 遊女お俊:吉弥
井筒屋伝兵衛:薪車 稽古娘おつる:吉太朗
母おぎん:竹三郎
<あらすじ>
遊女お俊と伝兵衛の心中を扱ったお話。
四条河原でお俊のことをめぐり恋敵の悪侍を殺してしまい、行方
をくらました伝兵衛。その伝兵衛と恋仲のお俊はいっしょに心中
されないようにと遊郭から実家に戻されていた。
お俊の実家では猿廻しで生計を立てている兄の与次郎と、目の見
えない母が暮らしており、お俊を心中させてはなるまいと、二人
は必死で伝兵衛から守ろうとする。
そこへ伝兵衛がやってきて・・・。
●三味線のお稽古
小さな娘おつるが老女から三味線のお稽古をつけてもらっている。
曲目は「鳥辺山心中」ですと。
竹三郎さんも吉太朗くんも、実際に三味線を弾きながら唄も唄っ
ていることにちょっと感激♪
稽古を終えて帰るおつる、七三の引っ込みポーズがきまってる~。
●猿回しの与次郎、妹お俊、母おぎん
入れ違いに花道をやってくる与次郎。
背中にくくりつけた荷物の上にはお猿さんが乗っかっている。
きゃあ~、かわいい。猿も与次郎も♪
与次郎の化粧は二枚目ではなく庶民的な素朴なお顔で、ちょっと
太郎冠者みたいな感じ。
家に着くや、母親(さっきの老女)に声をかける。
「母者人。いま戻ったぞや」。
ピョンと勝手に背中からおりるお猿さんが可愛いったら♪
帰宅した与次郎の一連の動きがいかにも上方の和事らしい。
息子が帰るなり、母は自分の長患いから苦労をかけていることを
詫び、一人しゃべり続けている。
その間じゅう、母の話をじっと聞くわけではなく、帰宅の片付け
のためにチャッチャと立ち動く与次郎。
これが母と息子の日常風景なのだと、しばし見入ってしまう。
背中の荷を下ろし、猿を檻に入れ、商売道具や編み笠を壁に架け、
脱いだ衣類を押し入れにしまう。
着物の裾の汚れを払うのに戸口で前をパンパン、その後おしりを
外に突き出し、裾の後ろをパンパンと。(←ここ映像の我當さん
は後ろだけだった。愛之助さんは前を先に払い、続けて後ろを払っ
たからか、おしりが強調され可笑しくて笑ってしまった。)
かと思えば、その日に食べる穀類らしきものを袋から桶に移し、
こぼれた粒を丁寧に指で拾い集めて桶の中へ。
咳き込んだ母の元へ、湯のみ茶碗にお茶を入れて持っていくとこ
ろまでもが与次郎の日課なのだろう。
着替えを終えてようやく母に話しかける言葉は、現実とは逆。
上白米の仕送りや食べ物も手に入るし、案じることはない、と。
金子の入った貧相な袋を出し、一瞬情けない表情になるも、それ
を母に持たせ袋を下に引っぱっては「重い重い~」と。
(見た目は悲惨なのに、またまた笑わせてくれるやないの~。)
伝兵衛がいつ訪ねてくるかと心配で寝られない与次郎と母。
お俊を奥の部屋から呼んで、伝兵衛と縁を切るよう説得する。
縦縞の衣装を粋に着こなす艶っぽい妹、お俊役は吉弥さん。
落ち目になった男を捨てるのは遊女の恥・・・という意味の言葉
を返す。
(吉弥さん、憂いの中に芯のある美しさ。きれい~!)
こうなったら退き状(離縁状)を書くのがいいと二人が言うと、
退き状なら用意してあると書状を見せるお俊。
安心して行灯の灯を消し、お俊の横で寝る与次郎。
寝支度をする細やかな芝居に客席から笑いが。
足をそろえて羽織を巻き、仰向けになって脚を高くあげて、もう
一度しっかり羽織を縛りつける。(下半分寝袋状態。)
それから煎餅布団にくるまり、体を転がすと布団が巻き付く!
(この布団巻きは「沼津」の平作を我當さんが演じた時にも出て
きたが、愛之助さんの場合バネ仕掛けのように一瞬にしてコロン
と巻かれるので可笑しみが5倍増し!頭も枕の位置にピタッと合う
お見事なものだった。)
ん?この調子で書くと終わらへん。チャッチャとねー。
●お俊と伝兵衛の決意
花道から登場の伝兵衛。元気なくお俊の家にたどりつく。
(薪車さんのつっころばし伝兵衛、いよっ!男前。)
戸口の伝兵衛に最初に気づいたのはお俊。
ややあって二人のやりとりに気づいた与次郎が、暗闇の中大慌てで
戸口へ。暗いため間違ってお俊を外に追いやり、伝兵衛を家の中に
入れてしまう。
(与次郎の必死さと、相反する結果に客席からも笑いが♪)
中にいる伝兵衛を怖がりながらも(ブルブル、ガタガタ)、お俊の
ことをあきらめさそうと頑張る与次郎。伝兵衛に退き状を渡す。
伝兵衛はおどろいた様子。
お俊が言う。伝兵衛に退き状を声に出して読んでほしい、と。
読んでわかったのは、それが退き状ではなく、お俊が伝兵衛と心中
することを決めた書き置きだった。
お俊の決意に驚く母、兄。
与次郎は混乱しつつも妹を家の中に入れる。
お俊と伝兵衞がようやく並ぶ。
上方役者のご両人♪ お似合いのカップル~。
伝兵衞はお俊の家族に遠慮して、死ぬのは自分一人でいい、お俊に
は生きながらえて自分の弔いをしてほしいと言う。
と、この場で自害しようとする伝兵衞。刀を奪って止めさせるお俊。
ここで浄瑠璃の声がかぶる。
「そりゃ聞こえませぬ、伝兵衞さん~」
訴えるお俊のクドキの場面。
(ここから吉弥さんの熱演にうっとりゾクゾク。)
立ち上がって自分の簪をそっと抜き、愛おしそうに伝兵衞の髪を整
える仕草がたまりませぬ~。
大事な夫の難儀な折に見捨てては女の道が立ちません。
「いっしょに死なせてください」と願い出るお俊。
二人の様子を背中で聞いていた与次郎。
こんなはずではなかった、伝兵衛よりも妹のほうが手ゴワイ。どう
したものかとうろたえる。
その慌てぶりが悲しいやら、可笑しいやら。
(こういう台詞になると、ほんとに我當さんみたい!)
ここから先は伝兵衛に訴える母親の糸に乗った台詞が聞きどころ。
これでもか、これでもかと、詰め寄るようにかぶせてゆく台詞は、
竹三郎さんの独壇場。
これは泣かずにおれませんて!
娘がお世話になったのに義理知らずで申し訳ない。でもわかってほ
しい。親というものは子が可愛い。死ぬとわかって送り出すのはあ
まりにしのびない、せめて遠くに逃げ延びてほしいと。
「たのみます、おがみます」と手を合わす母に、もう大泣き~~~。
(すすり泣き、もらい泣きの観客多数。)
●猿回しの与次郎 祝言の唄
泣いている皆をおさめるように、与次郎。
妹も、伝兵衞さんも、母のいうことも道理。
母の気持ちがわかったら、二人は早くここを出た方がいい、と。
そこで自分が猿回しの「お初徳兵衞」で祝言の寿を、と申し出る。
二人が着替える間に、二匹の猿を着替えさせ、猿回しの祝言の用意
をする与次郎。
舞台上手ではお俊と伝兵衞が実際の盃を。
正面では猿のお初徳兵衞が狂言の盃を。
棒を持って猿をあやつりながら、芝居上の祝言の唄をうたう与次郎。
いやん、愛之助さん、エエ声やないのぉ~!!
艶やかではりがあって、古典芸能としての豊かな味わいを持ったう
たい方。(無知で恥ずかしいけれど、種類でいえばこれって長唄?)
とにかくめでたい唄♪
唄いながら、心で泣きながら、猿の芸で笑わせる与次郎。
猿に盃を勧める時には、二人にも盃を勧めるから忙しいの(笑)。
しかし、遠くへ逃げるとはいっても本当は・・・ってことにはもう
誰も触れず、みなで唄を聞き、猿廻しを見ている。
唄がだんだん涙声に・・・。
とうとう唄い終わり、二人を見送るときが。
戸口の中と外。
外ではお俊と伝兵衞、二人の頬を伝う涙。
家の中から、見えない目で見送る母。
その隣りで見送る与次郎の肩には徳兵衞の衣装を着た猿が~。
涙涙・・・。(幕)
書きながら思い出しては、ええ舞台やったなあと思いました。
アップが遅れがちだけれど、道行初音旅のほうも後日なんとかアッ
プしたいと思う。
●ブログ内の関連記事
興奮の永楽館大歌舞伎@日帰りバスツアー
永楽館大歌舞伎「義経千本桜 道行初音旅」
思い出して涙が出てきました。
システィーナ歌舞伎に行って
永楽館の感動がちと薄れたかと案じておりましたが、なんのなんの(笑)
ムンパリさんのレポを読ませていただき
蘇る感動~♪
私のアップは遅れ気味どころか、
完全に出遅れておりますが(笑)
どうか長い目で見てやってください。
私は3代の与次郎を見せて頂きました(年がバレバレ、笑い)13代目のは殆ど覚えて無い!と思ってましたが、愛之助丈の与次郎を見て思いだしました。着物をはたく(関西弁で掃う事)のを13代目さんは、丁寧にされてました。その日暮らしの辻芸人にとって一枚の着物も貴重でしたから。物を扱うのを本当に丁寧にされていたのを思い出します。
愛之助丈は13代目の与次郎は一度もご覧になって無いのですが所作は良く似て居られましたよ。
お初、徳兵衛祝言の盃、文楽では二丁三味線の聞かせどころ、多分この唄は口説きじゃないでしょうか?愛之助丈本当に良いお声でしたね。
2回見たのですが、もう一度見たい、松竹座くらいの劇場なら大きすぎなくて良いと思うのですが。
puspitasariさんにはまだナマナマしいでしょう!
熱い想いのこもったレポを楽しみにしています。
愛之助さんのこういうお芝居って今までなかったので
興味津々で細かいところまでチェックして見ました。
去年の弁天といい、今年の充実ぶりといい、演目的にも
永楽館からはますます目が離せなくなりそうですね♪
今回、最強の上方軍団(笑)でした!
そういう楽しみが歌舞伎の醍醐味ですね。
> その日暮らしの辻芸人にとって一枚の着物も貴重
あ、な~るほど!
一つの所作には必ず意味があるものなんですねぇ。
それができたうえでの面白さ、なんですね~!
穀類の粒を拾い集めるところなんかも納得です♪
> 多分この唄は口説きじゃないでしょうか?
ありがとうございます!
そういえば文楽でいま上演中なんですよね。
今回の備忘録もそうですが、義太夫狂言の感想を書く時は
いつもこちらの床本集を参考にさせて頂いています。
意味の理解と順序の確認をするのに凄くありがたいサイトです。
↓
http://homepage2.nifty.com/hachisuke/yukahon.html
堀川猿回しの段はここです。
http://homepage2.nifty.com/hachisuke/yukahon/sarumawashi.html
歌舞伎も昔はセリフが全部掲載されていたことががあったように思うのですが。あれは思いだすのに便利でした。
愛之助丈と13代目、15代目、上方ものをさなる時は背中が良く似ておられるんですよね。背中に年を取らせないのは役者にとってとても大事だと思います。
> あったように思うのですが。
そうなんですか~。
文楽のように台詞をたどれたらほんとにいいですよね♪
> 背中が良く似ておられるんですよね。
う! こんど当代の背中をじっと見つめてみます♪
十三代目と当代の「伊左衛門」の背中は映像と舞台でそれぞれ
見ていますので、愛之助さんにも近いうちに伊左衛門をやって
いただきたいです♪
ボジョレーヌーボー、うまい例えですね。何十年か後に、同じ役で「愛之助、うまくなったな」と涙したいと思います。そういうのが歌舞伎の楽しみの1つです。長生きしたい。
ムンパリさんは、バスで行ったんですか。電車から回りの山を見て、バスはどんな道を通っているのとか考えていました。高速道路があるんですか?
> と涙したいと思います。
今回拝見して、特にこの与次郎役は年齢とともに自分で
育てていける役だと思いました。
我當さんの映像を見てみると、生きた年数分の哀感のような
ものがにじみ出て、えも言われぬ味になっているんですね。
今は今のよさ、何十年先にはその時のよさ。
見てみたいですね。ほんとに長生きしなきゃ、ですね(笑)。
バスは高速道路や有料道路を最大限に利用していると
思います。新大阪発なので、たぶん、東西の移動は名神から
中国自動車道を。南北もそれなりの道路があります。
途中、一般道に回避して走っていましたけど。
冬は冬で積雪情報が気になるエリアなんですね~。