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星月夜に逢えたら

[hoshizukiyo ni aetara] 古都散策や仏像、文楽、DEAN FUJIOKAさんのことなどを・・・。 

真田十勇士(2)名古屋千秋楽カーテンコール

2013-09-26 | 観劇メモ(演劇・ダンス系)
少し時間がたってしまったけれど、23日のカテコの様子などを。



カーテンコールの熱烈な拍手、歓喜の反応。
劇場が大きいせいもあり、オールスタンディングになってゆく光景
は後方から見ていて壮観だった。
それに応えようとする出演者ひとりひとりの笑顔だったり、手を
ふる姿だったり。それを見てまたまた感激。
うんうんと小さく頷きながら客席にとびきりの笑顔を返す幸村さま、
なんて素敵なんだ。

当日のツイートより・・・・・・
~真田十勇士、名古屋千秋楽。オールスタンディングで何度も何度も
カーテンコール。家康様とガッチリ手を握り合い、淀様とハイタッチ
する幸村公。台から無事飛び降りた家康様にホッと胸なでおろし、
最後の挨拶で笑いをとり、最上段に駆け上がり右手を胸にあてるポー
ズにキュン。尾張よければすべてヨシ、に佐助からつっこまれ。何
よりも、とびきりの笑顔に完敗。乾杯!舞台と客席の双方からの拍手。
一体感に包まれた幸せな時間。ありがとう!真田十勇士。大阪で待っ
てまーす!(以上)


幸村・ハナ・佐助が3人で並び、その後、幸村さまを頂点に上手、下手
と二等辺三角形になってはけるとき、きちんと胸に手をあてておじぎ
するのは柳下さんだった。2回ぐらい。
上川さんのあのポーズはもう見られないんだろうかと思っていたら、
一人で再登場するときに見せてくれました。2回。
折り曲げた腕は胸の位置で水平に、掌はいつものように広げずに拳の
まま軽くツンと胸を叩く。(幸村バージョン?)
ヤター。うれしさ急上昇ーーーっ。
終演後は明るい気持ちで劇場をあとにすることができた。
まだ大阪が残っている、そう思うからかもしれない。
大阪まで少し間があきますがこの勢いのまま突っ走ります、と幸村さま
も言ってたしね。


舞台の感想はまたあらためて!(の予定)
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真田十勇士(1)東京公演・感想未満

2013-09-21 | 観劇メモ(演劇・ダンス系)
あううう。
いつのまにか東京公演が終わっちまったじゃないか。
しかも、今日から名古屋がはじまる!
(名古屋公演初日おめでとうございます)
すっごい興奮のまま観劇を終えたあの日、中島かずきさんが
仕掛けたトリックについて帰りの新幹線で検索してみたら、史実
を見つけて後追い鳥肌ぞぞぞ~っ!

ほんとにキャストの一人ひとりがみどころで、それぞれの役
について書きたい気持ちはやまやまなれど、毎夜PC前で撃沈。
せめて幸村さんについて、ほんの少しだけでも。
私が見た日はまだロビーにはお花がいっぱいで・・・。




公演名  真田十勇士
劇場   赤坂ACTシアター
観劇日  2013年9月7日(土)13:00
座席   B列

うわっ、す、すてきぃ!!
目の前の幸村さまを見た瞬間、目が一気に全開するのを感じた。
2列目ながら前に遮るものがないほぼセンター席。
うねって勾配のついた舞台セットの前方に立つと、ほぼ全面的に
幸村さまのアップ。
これが原寸大!このひと、こんなに大きかったっけ、とあほな
ことを思った。これまでにも最前列や前方席で何度も見ているけ
れど、今回は特別に大きさを感じた。圧倒された。

ラストが近づき、中島みゆきさんの主題歌が流れる。
「月はそこにいる」
あの曲がかかった時、目の前の真田幸村公はまさに「月兎」。
大きな月を背に戦い続け、最後は月と一体化して「月幸村」に
なってそこにいる・・・涙。涙。

これまでこのひとが演じる人物が舞台上で散る姿を何度も見届
けてきたけれど、今回はいちだんと散り際鮮やかなり。
負けて勝つ、ってこうゆうことなのか。
役の上の人物を実年齢で演じているせいだろうか。
赤い軍団を率いるその覚悟が、重みがずしんと伝わってくる。

「月幸村」と書いていま思い出すのは、私が初めて上川さんを
生で観たキャラメルボックスの舞台。2列目だった!
あの時も、これが実物大の上川隆也だ~~と心の中でつぶやいた。
「ミスター・ムーンライト 月光旅人」。
あのタイトルロゴに描かれているのは、月と一体化した少年の絵。
これ

月はそこにいる。幸村公もそこにいる、月といっしょにね!
大阪まで待てないので、名古屋までお迎えにまいります。
名古屋の千秋楽に、仲間と観ます!



●このブログ内の関連記事
禁を破る!の巻。
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禁を破る!の巻。

2013-09-09 | 観劇メモ(演劇・ダンス系)
「遠征禁ジルシ、破ります~(の予定)」
と、去年の10月26日にここに書いた通り、久々の遠征観劇決行。
目的は、赤坂ACTシアターで上演中の『真田十勇士』!
9月7日マチネ。もちろん、上川さん主演の舞台だ。
終演後に思わず「くぁーーーーーーっくぉいいいい!」とツイート
してしまった。あんな、そんな、こんな上川幸村が怒濤のごとく♪
いや、みどころは出演者全員ともいえる熱い舞台だった。
TV映像で見て想像していた以上の過酷な舞台セットにも驚いた。
こんな感覚はいつぶりだろう?
続きはまたあらためて。

今回は東京出張を利用し、前夜には神奈川芸術劇場で『冒した者』
プレビュー公演まで観てしまうというダブル禁破り。
がっ、17時半に仕事を終えて急いで向かったものの、電車が15分遅
れたうえに、初めての劇場ゆえの不案内が重なって約5分の遅刻。
マイ観劇史上二度目の遅刻だった。(JR車内で「みなとみらい線って
地下鉄ですか?」と尋ねた私に、わざわざ改札を出て案内してくださっ
た方、本当にどうもありがとうございました!)
同じく遅れて走っていた人たちといっしょにバタバタッと到着。
入場のタイミングを待っている間に、ロビーのモニターで舞台の様子
がすわって見られるように配慮してくださった劇場スタッフの方たち
にも感謝!
やがてモニター内の田中哲司さんが語り始めるのを観た時、やっぱり
来てよかった~!としみじみ思った。

ある意味、まったく対極にある2つの作品だった。
ひとつは具体的なビジュアルとサウンドでたっぷり魅せるエンター
テインメントな、わかりやすい舞台。
もうひとつはおそろしく演劇的な、アコースティックな舞台。
そのどちらにも生身の人間を感じたし、体内の違う部分にそれぞれ
染みわたっていくのを実感した。

奇しくも、月。
どちらも月のイメージとともにある、秋のはじまりの舞台だ。


禁を破る!の巻は1回限り。とーぶん禁ジルシは続くのだ。
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あかいくらやみ~天狗党幻譚~ 大阪公演(3)

2013-06-11 | 観劇メモ(演劇・ダンス系)
「あかいくらやみ~天狗党幻譚~」のTV放送詳細が決定。
7月6日(土)19:00~21:40 WOWOWライブ
 >> 詳細はコチラ 



ダラダラ備忘録はまだつづく。
以下はキャストについての感想(全面的にネタバレふくむ)。



<おもなキャスト>
●小栗旬さん(大一郎)
2005年の「偶然の音楽」で観たのが小栗くんの最初の舞台。
以後、「カリギュラ」ほか蜷川さん演出の舞台や、新感線など
いろいろ観てきたけれど、今回は華やかさをまとった役でも、
主役だけが目立つ舞台でもないのに、これが意外によかった。
作品の駆動輪になり得ているのがいい。
今回は復員兵役。目標を失い、目先のことだけで生きている
終戦直後の若者。黒縁眼鏡がよく似合っていた。
原作にない役なので役作りが難しかったのではと想像するが、
現代の私たちへの橋渡しとなる大事な人物を誠実に演じていた。
志士に混じって幕末を追体験し、義の心に目覚め晴れやかな
顔をしている大一郎の表情が強く印象に残っている。
我が子を初めて抱いた時の「こいつは遥か彼方を思い描かせやが
る」の台詞に涙がこみあげた。

●小日向文世さん(金次郎)
老人の金次郎から、メイクも変えずに声と顔の表情だけで17歳に
見せちゃうところが凄い! 大一郎の「若々しく見えますね」の
援護射撃で観客も瞬時に頭が切り替るというワケ。
(17歳の金次郎は亡霊でもなく存在が疑問だったけど、この際
コマカイことはどうでもよいのでパス!)
とにかく、憎しみの炎を消すことなく、若者のピュアな心のまま
老いてしまった哀しい男を小日向さんが好演。
切なさと色気が混じった老人だった。
和服で立ち回りをする小日向さんがすっごく新鮮だった~。
怨敵の血が混じった赤子を執拗に追う金次郎。その話は長塚版オ
リジナルストーリーだけれど、原作のエピソードと密接に関わる
設定だけに金次郎のとった行動には二重の意味があると思った。
長い行軍のたった一夜、おゆんの色気にやられてしまったあの夜
の出来事を今なお恥じ、すべてをなかったことにしてしまいたい!
という思いが、あの執着に現れているのだと思えた。

●白石加代子さん(おゆん)
温泉宿の老婆(女将)役。
原作に出てくる後日談の、さらにずっと後の話らしく、おゆんが
生きながらえて凄まじい老婆になっているという設定。
白石さんを観ているだけで、おゆんがタダモノではない感じが
濃厚に伝わってくる。艶っぽい残り香もまだ発しており、そら恐
ろしいほど。
おゆんに関わりのある男として、藤田小四郎、田中愿蔵がいて、
その後は田沼玄蕃頭のお妾さんになったが、本当に好きだったの
は小四郎だった、とか。
行軍中に色仕掛けで多くの天狗党隊士の戦意を喪失させたことは
今回の芝居にも出てきていた。
若いおゆんを土人形に代役させる演出が面白かった。そんな時の
白石さんの若々しいつくり声に身毒丸のなでしこを思い出した。
今回の話の最重要人物として、白石さんはなくてはならない人。

●原田夏希さん(奈生子、お登世、おうめ、篠島の妻)
阿佐ヶ谷スパイダースの公演に出る女優さんは魅力的な人が多い。
他の登場人物が魑魅魍魎然としているなか、原田さんの美しさが
際立っていた。着物もしっとりと上品に着こなす。
大一郎の恋人の奈生子、市川の娘で清楚なイメージのお登世。お
登世の娘のおうめ。篠島の妻。たくさんの役を切り替えながら演
じるのってご本人は混乱しなかったのかな。
赤ん坊を抱いて必死で逃げ守ろうとしている姿が印象深い。

●古舘寛治さん(葛河梨池、市川三佐衛門)
「アンチロックワイズ・ワンダーランド」に登場した作家の
葛河梨池。でありながら、市川三佐衛門でもある。
最初は好奇心を持って精力的に取材に動き回っているのかと思い
きや、すっかり三佐衛門になっていた(笑)。
巻き込まれていきながらも、時代劇のコスプレを楽しんでいたり
する葛河せんせい、カワイイ!

●中村まことさん(武田耕雲斎)
阿佐スパの舞台では男っぽい役どころが多かったように思うけれ
ど、長塚演出の十一ぴきのネコと今回、分別があり信頼される
リーダー的役割が続く。
慶喜さまとの衝突を避け、軍議で行軍ルート変更を提案する場面
はさすがに神妙な様子だった。でも、大一郎が「慶喜」と呼び捨て
にするとしつこく言い直しをせまったりして、ふだんは穏やかなの
に、慶喜さまのことになると熱くなる様子を面白く演じていた。
天狗の歌のとき、いいお声が聞こえてきた♪
糸屋の番頭役も中村まことさんらしくて好き。

●小松和重さん(藤田小四郎)
筑波山で旗揚げしたような血気あふれる人には見えない爽やかな
イメージの小四郎さんだった。
おゆんの想い人でもあり、田中愿蔵と二人でおゆんの噂話をして
いるところが青春群像的に描かれていて、今回の芝居のなかでも
明るいキュンとなるシーンだった。
できれば一人で陣中詩を詠じてほしかったな。
  
●福田転球さん(全海入道)
観るまで配役を知らなかったので、お坊さんの衣装を見たときは
かなり意外だった。私のなかでは勝手に体の大きな怪力僧という
イメージができていたけれど、転球さんの全海入道は、優しい一面
を前面に出した印象だった。
目の前の川を三途の川に見立てる場面では、涙ぐんでいるように
見えた。丑之助をかき抱く場面もよかった。
「ハーパー・リーガン」以来すっかり長塚作品の常連に~♪

●横田栄司さん(田中平八、帝大生)
前回の出演作「荒野に立つ」でのズボンの裾まくりが今なお脳裏
にちらつく。(素敵でしたわ~♪)
今回の役は、金次郎の運命を変えるキーパーソンとして登場。
運命を変えるのは原作も同じだが、今回は長塚版オリジナルの新
たなエピソードが加わっていた。つまり、金次郎とおゆんの仲を
知った上でその子を預かったという点。紙に最小限の字を書いて
赤子に託すなんて、いい仕事するじゃないですか。
武士としては異色の人物だったらしく、天狗の志士の中でも自由
でマイペースな人物という感じがよく出ていた。
特に雰囲気が出ていたのは、実業家になってからのギラギラ感。
ちなみに、田中平八を創業者とする会社は今も実在する。

●小野武彦さん(山国兵部)
天狗党の中では年長で、大軍師として着々と仕事を進める人物。
原作よりも、今回の芝居の台詞のほうが断然面白い。
小野さん演じる兵部はどこか飄々としたところがある。
仕事ができる一方で、天狗党の志士たちの行動はすべてお見通し
で、上官というよりも、話のわかる近所のおじさんという感じが
した。人としての温かさを感じた。

●大鷹明良さん(田沼玄蕃頭)
原作を読んだときは徹底的にイヤな人間、同情の余地なしと思っ
ていたのが、今回の大鷹さんの田沼を観て印象が変わった。
単にビジネスライクなだけ、すべてわかったうえで仕事を淡々と
こなしたにすぎなかったのかと。
でも、赤子を殺せと金次郎を焚き付ける田沼はやっぱり悪いヤツ。

●中山祐一朗さん(田中愿蔵)
今まで阿佐ヶ谷スパイダースでは演じていなかったキャラ。
今まで観た中で一番カッコよかった!
田中愿蔵の血走るイメージとはずいぶん違っていたけれど、月代
ではなく総髪での戦装束があまりに似合っていてドキッとした。
本当なら死んでいるはずのシーンにも出演して、それを自分でバ
ラしたり、ツッコまれたりして笑わせてくれた。

●伊達暁さん(内藤弥三郎)
内藤弥三郎は金次郎のさいみ党のメンバー。
大事な時に本國寺にいたことを金次郎に責められていた。
率先して斬るタイプではなく、命令に従って行動するちょっと
気弱な人物という感じ。
動きを見ると、大一郎に天狗党の説明をしたり、お登世の子を預
かったり。進行上のユーティリティであり、絶対に必要な人物を
阿佐スパの伊達さんが演じているのがうれしい。

●長塚圭史さん(野口)
葛河梨池の取材に同行している編集者。
バタバタ感というか、何かに巻き込まれ、飲み込まれていく感じ
がよく出ていて状況が手にとるように伝わってくる。
どこかに行ってしまった葛河先生の代わりにいつのまにかおゆん
に密着。おゆんをおんぶして(時空タクシーか!)9日先の田中
平八や、明治の糸屋平八に会いにいき、この芝居のクライマック
スに立ち会うところが面白い。 この記憶が現在の長塚圭史さん
にあり、この戯曲を書かせた・・・ と匂わせる展開にフフッ♪

<舞台セットについて>
阿佐ヶ谷スパイダースは「十字架」から観ているけれど、舞台装置・
小道具周辺が最近になってずいぶん洗練された。
今回もシンプルなセットで、特に長布の使い方が面白かった。籠か
荷車から「安産祈願」の旗に変わった時は客席でもウケていた。
大筋ではよかったけれど唯一残念だったのが、目の前の高台。
通常の舞台の上に台か盆があり、前列で観ると、出演者が上半身、
もしくは顔だけしか見えなかった。
・・・てことは、ココマデ書いてきたことはぜーんぶ話半分??
ムム。見えなかったシーンはTV放送で取り戻そう!



●このブログ内の関連記事
長塚圭史さんの新作♪
観劇前感想文
あかいくらやみ~天狗党幻譚~ 大阪公演(1)(追記版)
あかいくらやみ~天狗党幻譚~ 大阪公演(2)


●小栗旬さん出演のおもな観劇メモ
偶然の音楽 観劇メモ
カリギュラ 観劇メモ
●白石加代子さん出演のおもな観劇メモ
ビューティ・クイーン・オブ・リナーン 観劇メモ
「身毒丸 復活」 観劇メモ
●小日向文世さん出演のおもな観劇メモ
12人の優しい日本人 観劇メモ
国民の映画 観劇メモ
●阿佐ヶ谷スパイダースのおもな観劇メモ
アンチクロックワイズ・ワンダーランド 観劇メモ(2)
桜飛沫 観劇メモ
●長塚圭史さん演出のおもな観劇メモ
浮標 観劇メモ
ハーパー・リーガン 観劇メモ
SISTERS 観劇メモ
ウィー・トーマス 観劇メモ
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あかいくらやみ~天狗党幻譚~ 大阪公演(2)

2013-06-09 | 観劇メモ(演劇・ダンス系)
公演名  あかいくらやみ~天狗党幻譚~
劇場   森ノ宮ピロティホール
観劇日  2013年6月1日(土)18:00
座席   A列

●作・演出:長塚圭史
原作:山田風太郎『魔群の通過』

●キャスト
小栗旬(大一郎)  
原田夏希(奈生子、お登世、おうめ、篠島の妻)
小日向文世(武田金次郎)
白石加代子(老婆、実は おゆん)
長塚圭史(野口)
古舘寛治(葛河梨池、市川三佐衛門) 
中村まこと(武田耕雲斎)  小松和重(藤田小四郎)  
横田栄司(田中平八)  福田転球(全海入道)
武田浩二(武田彦右衛門)  駒木根隆介(田中稲之衛門)
木下あかり(野村丑之助)  後藤海春(おゆんの土人形)
後田真欧(篠島左太郎)  中山祐一朗(田中愿蔵)
伊達暁(内藤弥三郎)  
大鷹明良(田沼玄蕃頭)  小野武彦(山国兵部)
斉藤直樹(天狗)  六本木康弘(天狗)



「あかいくらやみ」。タイトルがいい。
漆黒になりきらない黒と赤の関係に心がざわめく。

島崎藤村著の『夜明け前』に水戸天狗党の話が書かれている
ことは原作で知った。
「まことに天狗党は、夜明け前の地平線を行進する黒い群像」
(原作より)であった、と。
色でいえば、青と黒のイメージだったろうか。
現世の行軍が夜明け前の黒い群像なら、今回の舞台は永遠に
明けることのない「くらやみ」の住人たちの話。
そして、心に闇を持つ人間たちの物語。
暗闇を赤く染めるのものは血、血脈。それとも光?

芝居本編の前後に、暗闇から二匹の天狗が現れる。
聴こえてくる音や音楽で、彼らが時を越えた存在であること
がうかがえる。天狗党の魂、志が今も日本の行く末を睨み続
けているのかもしれない。

時間がたつほど心に染み入る、いい舞台だった。
以下、自分のための備忘録。




<天狗党の争乱おさらい編>
筑波山で挙兵した藤田小四郎。そこに田中愿蔵武が加わり、後
に山国兵部、武田耕雲斎らが合流する。
彼らは水戸出身の徳川慶喜を通じて、天子様に尊王攘夷の志を
訴えようと、京への行軍を開始。行軍を率いるのは武田耕雲斎。
その果てに賊軍と目され、頼みのはずの慶喜はあろうことか、
天狗党追討の幕軍総督になる。
慶喜を今なお主君と仰ぐ耕雲斎の強い意向で追討軍との衝突を
避け、雪の北国ルートを選んだ彼らは京には届かず投降。352人
が敦賀の地で斬首の刑に。耕雲斎らの首は市中にさらされた後、
野に捨てられた。あまりにも凄惨な最期・・・。

その背景には水戸藩であるがゆえの特殊な対立構造があった。
徳川御三家の立場から幕府を支持する佐幕論者。
一方、水戸黄門以来の水戸学ともいえる尊王論者。
佐幕派の代表が、市川三佐衛門(諸生党)。
尊王攘夷の代表が藤田小四郎、武田耕雲斎(天狗党)。
市川三佐衛門は幕軍の田沼玄蕃頭と結び、天狗党の家族・身内
を捉え、赤沼牢に監禁。のちに幼子にいたるまで斬罪に。

若年ゆえ死刑を免れた武田耕雲斎の孫、金次郎(当時17歳)は
数年後、官軍となって水戸に戻る。復讐の鬼と化した金次郎以下、
天狗党の残党「さいみ党」の怒りの矛先は市川、田沼。

※以上の内容は、ほぼ劇中の台詞のなかで説明されている。

<義軍・不滅の行軍について>
阿佐ヶ谷スパイダース本公演2度目の時代劇はタイムスリップ
もの、というか、亡霊ものだった。
幕末の水戸天狗党の争乱の最中に迷い込むのは、復員兵
(大一郎)と戦争未亡人(奈生子)、作家(葛河)と編集者
(野口)の4人。
上州の温泉宿に泊まったことから、闇にうごめく天狗党の亡霊
たちと遭遇。彼らと行動を共にするようになる。

大一郎はいつしか天狗党の行軍に加わっている。
大一郎が掲げ持つ「尊王攘夷」の旗が反転したとき「八紘一宇」
の文字が見え、一瞬、日本軍の行進と重なった。
終戦後、日本がアメリカに乗っ取られそうな状況であるのと、
幕末の攘夷論をダブらせて、天狗党に共感する大一郎。
「こいつは確かに不滅の行軍だ。見事な義軍じゃないか。」
「連中は皆殺しに、攘夷討ちにしてやらなきゃならん。それこ
そ国を守るということだ」

<<義軍>>かそうでないかの違いは、そこに理由があるかどうか。
国の将来を思うゆえの志があるかどうか。
死の行軍を支え、駆り立て、突き動かすモチベーションとして、
「尊王攘夷」と「慶喜さま」はなくてはならない大義名分だっ
たのだなあとあらためて感じる。

にしても舞台では、死の行軍の悲壮感は伝わってはくるけれど、
一方でどこか明るさが感じられた。
亡霊たちがときには回想・達観モードで語り出すせいもある。
その口調にときにはホッとしたり、ときには笑ってしまった。
舞台天井からポタッ、ポタッと投下されたのが生首だったり
するというのに。
おゆんが耕雲斎に「話しかけてくるんじゃないよ、塩漬け共が」
「塩漬けの拷問首」と言い返す場面ではカラッとした可笑しみ
さえ感じた。
執筆に入る前に長塚圭史さんは水戸市、敦賀市を訪ね、実在の
志士たちの墓前に挨拶をしてきたとのこと。舞台上の細かい表
現の隅々に、志士たちに寄せる深い想いを感じることができた。

ラスト近くに天狗の歌が聴こえてくる場面が特によかった。
ありゃなんだ。不滅の行軍だろう。
いかにも、我ら不滅の天狗党、と武田耕雲斎の声が力強く響く。
みんな京にたどりつけず首を斬られるんです!水戸は忘れられ
るんです!と叫ぶ金次郎に、揺るがず返す言葉が胸にしみる。
「不滅というのは肉体ではなく、我ら不滅の義心のことである。」
「どうして忘れ去られるものか。現にこうして天狗の行軍は
お前や大一郎の夜の夢間に続いているではないか。そして、い
ずれはその赤子の眠れぬ夜にも行軍しよう。」

(『悲劇喜劇』6月号より)

隠された歴史をこんなふうに舞台上で見せることも演劇の大事
な仕事の一つだとあらためて思った。
この作品は工夫を重ね、ぜひまた再演してほしい。

<人を行き来する奈生子>
登場人物が多いうえに、さらに話を複雑にしているその筆頭は、
奈生子が「人を行き来する」人間だということ。これは初めの
ほうの台詞で説明される。
時空はもちろん、人さえも瞬時に入れ替わる。
ここが演劇の面白さでもあるし、今回は難物であった点だ。
大一郎と奈生子の赤ん坊が突然、お登世の赤ん坊になったりす
るとはホント、油断もスキもありゃしない。

【諸生党の血】
市川三左衛門 ー お登世 ー おうめ ー 大一郎 ー 赤ん坊

【天狗党の血】
田中金次郎・おゆん ー 金・ゆの息子 ー 奈生子 ー 赤ん坊

こうしてみると、田中家の奈生子は、市川家のお登世とおうめ
にもなっている!
お登世・奈生子を原田夏希さんが一人で演じているのは、女優
の人手不足じゃなく、狙いがあってのことと思いたい。

金次郎がゆるせないのは「市川の血が混じる」ということ。
しかし、両家の先祖をずずずーっと溯れば遠戚関係にあるかも
しれず、逆に遥か未来には子孫どうし血が混じるかもしれない。
血脈・血統主義を貫くことの危うさのみならず、長い歴史にお
いては田中が市川で、市川が田中かもしれず、官が賊で、賊が
官かもしれず、敵が味方で味方が敵かもしれず。

原作では後になって、おゆんがまるでタネ明かしをするように
延々と語る場面があり、男たちの戦の勝手な理屈をあざ笑うか
のような痛快さがある。
人を行き来する奈生子もこれと同じで、命を宿すことの前では
三左衛門や金次郎の男の意地や思惑など無意味、と言っている
よう。人を行き来してでも命を守り育むのは、女の本能ってこ
とになるだろうか。

ついでに。亡霊たちを眠りから呼び醒ましたのは、敵同士の
大一郎と奈生子が温泉宿で結ばれたことが原因らしい。

<思い描く、ということ>
『悲劇喜劇』6月号掲載の戯曲より関連個所を書き出してみる。
●金次郎
「遥か向こうが、やけに明るく見えたような、そいつは何て言っ
たらいいでしょう。そいつは、思い描くというやつです。こいつ
は恐ろしいものです。」
●大一郎
「現在のために現在を生きるなんてのはナンセンスで、そんなん
じゃどう転んだってケチなことしか思い描けなくなる。」
「紛れもなくこいつは、遥か彼方を思い描かせやがる。」
「あいつだあいつだ。あいつを探さなきゃ。少なくとも今の俺
が思い描くにゃ奈生子がいる。」
●山国兵部
「わしら天狗は遥か向こうにしっかりと思い描けておれたのかの」

戦時中は近眼のため前線に行かず、穴を掘る作業に従事してい
た大一郎。戦争中も終戦になってもビジョンが見えず、お金を
横領したまま海外逃亡しようとしている。
天狗党に遭遇し、さらに我が子ができたことで地に足ついた親
子3人の生活を思い描けるようになってゆくところが感動的。

おもなキャストについての感想は、またあらためて。



●このブログ内の関連記事
長塚圭史さんの新作♪
観劇前感想文
あかいくらやみ~天狗党幻譚~ 大阪公演(1)(追記版)
あかいくらやみ~天狗党幻譚~ 大阪公演(3)
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あかいくらやみ~天狗党幻譚~ 大阪公演(1)(追記版)

2013-06-02 | 観劇メモ(演劇・ダンス系)
「あかいくらやみ」6月1日夜の部の公演を観劇。
とても素晴しい舞台だった。熱いものがこみあげた。
闇の奥底に封じこめられていたたくさんの魂がようやく出口を
見つけ、喜んでいる気がしてならない。私は私で、原作を読ん
だ後に鬱積していた思いを吸い上げてもらった感じ。
たしかに幕末の血塗られた歴史を題材にしてはいるけれど、こ
うして形を変え、芝居として観ることで希望を感じられた。

「おもいえがく」という言葉にこれほど力があるとは。
そこからスイッチが入ってラストまで涙が止まらなかった。
歴史はつながっている。命もつながってゆく。物語を受け取っ
た私たちにできるのは、少なくとも前を向くことだろうか。

カーテンコールの拍手はとても温かかった。
私も心をこめて手をたたいた。
3度目の登場の際にスタオベになった。ひときわ熱く大きな拍手
を送る。すると、出演者たちが客席に拍手を返してくれた。
(この拍手返しは「アンチクロックワイズ・ワンダーランド」
の時にもあったな~。葛河梨池さんはその時の登場人物。)
笑顔や手を振ってはけてゆく役者さんたち。
下手に引っ込もうとした小栗旬さんがコケそうなポーズをして
いたみたいで、客席がざわめいた。




帰りがけにロビーで天狗の写真を撮った。
舞台の2人の天狗さんとはちょっと違うけれどね。

書き忘れていました!↓

<あかいくらやみ~天狗党幻譚~
プログラム完売とオンライン販売決定のお知らせ>

いやー、凄い人気でしたね。長蛇の列に並んで購入しました。
買えなかった人のために急きょ、販売決定!
6月3日(月)0:00より「Bunkamura オンライン市場」で販売
開始だそうです。7月31日まで。発送開始は6月10日から。
 >> プロブラムはこのページ



(感想のつづきはまた後日。)



●このブログ内の関連記事
長塚圭史さんの新作♪
観劇前感想文
あかいくらやみ~天狗党幻譚~ 大阪公演(2)
あかいくらやみ~天狗党幻譚~ 大阪公演(3)
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木の上の軍隊

2013-05-24 | 観劇メモ(演劇・ダンス系)
公演名  木の上の軍隊
劇場   シアター・ドラマシティ
観劇日  2013年5月18日(土)12:30
座席   3列

原案:井上ひさし
作:蓬莱竜太
演出:栗山民也

出演:藤原竜也(沖縄育ちの新兵)
   山西惇(本土の上官)
   片平なぎさ(木の精・語る女)




「組曲虐殺」が遺作なら、こちらは井上ひさしさんの幻の作品。
2010年に上演されるはずの舞台だった。
幻を幻に終わらせず、ついに完成させてしまった!

終戦間近の沖縄県・伊江島。ガジュマルの木に隠れたまま、戦争
が終わったのも知らず、2年間木の上で暮らした2人の日本兵がい
た。この実話をもとに舞台版オリジナル戯曲が作られた。

TV番組のメイキングで先にラストシーンを観てしまったせいもあ
り、ラストに向かってまるでナゾを解き明かしていくような推理
劇の緊迫感があった。
いったい二人に何が起きたのか?
観終わった時、上官の錆びた銃口と裏腹に、無垢で頼りなかった
新兵がいつのまにか自らよく磨かれた銃身となり、その銃口の先
は上官を飛び越えてこちら(私)に向けられているのを感じた。
銃口となり突きつけられた問題は、同じ日本に住むすべての人々
に向けられている。



<きになる二人>
長い歴史を感じさせるガジュマルの大木。その大木を締めつける
ように、あるいは生かすように複雑に絡みついた何本もの蔓。
奇跡の一本松を思い出すまでもなく、どこの町、村にもその土地
の歴史を見続けてきた大木があるはず。
土地の出来事の一切を知っている木は歴史の証人。
言い換えれば、これからもずっと土地の行く末を見守り、監視する
役割を担っているとも言える。だからこそ人々はそういう木に畏敬
の念を抱き、特別視するようになる。

最後に二人は木になる、と井上ひさしさんが語っていたそうだ。
それは比喩的な意味だったのかもしれないけれど、実際に舞台の
ラストビジュアルは凄く衝撃的だった。
木になる=木と一体になる、という意味だろうか。
この作品では木を下りてからも木に魂を残したまま、沖縄の基地
を監視し続けている二人の姿がビジュアル化されていた。木の上
で二人が毎日そうしていたように。
たとえその後、二度と木に近づくことがなかったとしても、2年間
自分の命を守ってくれた木の存在を忘れるはずがない。
「木になる」とはまさに「気になる」ことじゃないだろうか。
木を思うことは沖縄の今を思うことに他ならない、と思う。

<推理劇として>
蓬莱竜太さんが脚本を書くにあたって着目した事実。
・木を下りた時、上官は太っていた。
・木を下りてから二人は一度も会っていない。

いったい木の上の二人に何が起きたのか?
木の上に「逃亡した」ことから始まり、米兵が捨てた食料でぬく
ぬくと太った上官。いつしか戦意は薄れ、拳銃も錆びてしまって
いた。その上官を側で見続けていた新兵。

蓬莱さんが戯曲で解き明かしたストーリーは、とても説得力のあ
る、芝居としてリアリティのある内容だった。
この事実は皇軍の兵として、決してあってはならないこと。
新兵が上官に「木の上でのことは今後一切話しません」と約束す
るシーンは、恥の概念がついてまわる日本人ならさもありなん。
普通2年も暮らせば絆が生まれ、名前で呼び合うものだが、最後
まで上官とオマエだったのも象徴的。

<沖縄と本土の間にあるもの>
最初は経験豊富な上官と、戦争未経験の新兵の関係の可笑しさ
に笑った。やがて、本土から来た職業軍人と、地元のために戦う
沖縄育ちの志願兵の意識の違いが浮き彫りになり、絶対に埋めら
れない溝が二人を隔ててしまう。
新兵が沖縄戦の矛盾に気づいてゆくプロセスが見どころだった。
この戦いで沖縄がどうなっても「上官は悲しくありません!」
という新兵の言葉にドキン! 強く印象に残った。

上官「それでも信じるのか?この国を。この俺を 」。
新兵「はい、信じます」。
上官「なぜだ?」
新兵「そうするしかないからです。僕らは守られながらすがり、
すがりながら憎み、憎みながら信じます。それしか選択肢がない
からです」。(※台詞はウロ覚え。)
ラスト近く、沖縄の人々の心情がこの台詞を通して血のように流
れ出したのを感じた。それはとても重く、痛みを伴う言葉だった。

<キャストの印象>
●藤原竜也さん
ずっと出ずっぱりの、ほぼ二人芝居。ほとんどしゃべりっぱなし。
芝居を終えてのカーテンコールでは笑顔どころか、なかなか普通
の顔に戻らなかったのは役になりきっていたせいだと思われる。
不安げな無垢な新兵にはじまり、ふとした疑問から考える人と
なり、2年後には思慮深い人間に変貌していた。
その変化を表情豊かに演じて熱演。スリリングでさえあった。
上官に「何度も殺そうと思った」と言われた際に、「僕もです! 」
と告白する新兵の言葉にゾクッとした。
日誌と思われる部分が沖縄言葉の抑揚で語られていたが、ここに
多くの思いが込められていて、とてもよかった。

●山西惇さん
見れば見るほど昭和の日本兵、のイメージ!
藤原竜也さん演じるプリミティブな新兵と比べ、軍規にガチガチ
に凝り固まった上官が滑稽に感じられ、初めは何度も笑った。
自信たっぷりに大声で戦争や国防について語っていたのに、2年
たってみると小さな人間になっていた、という、藤原くんとは
逆の変貌ぶりが面白かった。
「それでも信じるのか?この国を。この俺を!」という台詞は
この作品中もっとも迫力ある言葉になっていた。

●片平なぎささん
冒頭。琉球のからじ結いの髪型と着物姿で登場。
木の精であり、語る女。ときには二人の兵士の本音を暴露したり、
状況説明をする役。ときには砂を手にとってみたりして、沖縄の
風景描写の代わりにもなっていた。
観劇ナビ的役割だったので誰が見てもわかりやすく、一人残らず
メッセージが伝わったと思う。最後の語りの場面で、大きな目が
涙目になりキラキラ光っていた。
ただ一つ想像の余地を残してくれたのは、新兵の台詞に合わせて
異音のような声を発する場面。あれは木の軋みであり、沖縄の軋み
でもあったのだろうか。
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~今、僕らが出来ること~朗読劇「文の影・野槌の墓」

2013-05-12 | 観劇メモ(演劇・ダンス系)
公演名    Team申 番外公演III~今、僕らが出来ること~
       朗読劇 お文の影・野槌の墓
劇場     森ノ宮ピロティホール
観劇日    2013年5月5日(日)
上演時間   16:00開演
座席     D列



2011年に同じ劇場で観た舞台が心に残っていたので、今回も楽
しみだった。
今年もまた心にあったかいものが生まれ、朗読劇でしか味わえ
ない豊かな時間を舞台と客席とで共有した想い。
これからもまたこういう機会を作ってほしい。

前回はたまたま既読の本だったので、原作の黙読と朗読劇との
違いを楽しませていただいた。
今回は未読だったため純粋に朗読劇だけを味わったが、結末を
知らなかったせいかどちらの作品も泣いてしまった。ひじょう
に惹き込まれる素敵な舞台だった。

<キャスト、スタッフ>
出演:佐々木蔵之介  市川猿之助  佐藤隆太
構成・演出:長谷部聡助
原作:宮部みゆき『ばんば憑き』より
   「お文の影」「野槌の墓」

<開演前>
早めに席についてよかった。
開演15分前、拍手が起こったので振り返るとナント!チーム申
の3人が座席通路を歩いてくるではないですか!
3人ともTシャツにデニムパンツのラフな格好で舞台上へ。
皆さんから募集した怪談話を今から読みます、と蔵之介さん。
(あ、そうだった~!)
各自選んだエピソードを蔵之介さん、猿之助さん、佐藤隆太さん、
再び蔵之介さんの順に読む。
これが面白かった。一般人とはいえ、さっすが関西人。話にオチ
がある。怪談話なのに笑った笑った。楽しませていただきました。
舞台と客席がすっかり同じ空気を吸ったところで、3人はいったん
引き上げ、あらためて本編の朗読劇が始まった。

<朗読劇の舞台セット、衣装など>
壇上には座布団と飲料水が置かれている。
3人が白シャツと黒のボトムスに着替えて再登場。
下手から猿之助さん、蔵之介さん、佐藤隆太さんの順に腰掛けて
ゆく。前に観た時と同じポジションだ。
作品は2つあり、シンプルな舞台セットとして「お文の影」の時
には子供を表す紙人形数体、影の投影など。「野槌の墓」では登
場人物の子供と猫又のイラストがスクリーンに映し出されていた。

<彼岸と此岸>
特に今年は怪談だったが、どちらも恐いというよりも、切なかっ
たり、哀しかったりするお話。
影踏みの影、猫又などという、受け取る人によってどうにでも想
像できるものが題材になっていたので、具体的に見せられるより
も朗読のほうがかえってイマジネーションがふくらんでよかった
ぐらい。
やはり、読み手が素晴しいのだと思う。

猿之助さんは「お文の影」では紙人形芝居のおじいさん。それか
らやはりというか「野槌の墓」では猫又・猫又が化けた女。
おじいさんが呼びかける先に、小さな笹舟が揺れて流れてゆくの
がはっきり見えたし、猫又が化けた女は艶っぽくもあり妖しかっ
た。江戸の譚の世界に一気に連れて行ってくれるのも猿之助さん
だし、涙を誘う場面をよりドラマチックにするのも猿之助さんだ。

蔵之介さんにはやはり、関西人として笑いの間が体にしみこんで
いるんだろうか。
『家守綺譚』でもそうだったけれど、黙読では想像もしなかった
場面で笑いが生まれる。そして、その笑いにひじょうに救われる。
今回でいえば「野槌の墓」で加奈が父に質問するところ。父親で
ある蔵之介さんの反応、質問を受け止める表情とか、言葉を返す
間などが独特で客席に笑いが起きた。
猫又の女との会話では、相手が人ではないことから生じる可笑し
さ、空気感が、二人の絶妙なやりとりによって繰り出される。
しんみりしながらも温かくなる素はここにあるのかもしれない。

佐藤隆太さん。
「お文の影」では吉三。「野槌の墓」では加奈。もちろん政五郎
親分もスッキリ決まってよかったけれど、今回は子供の役がぴた
りハマっていたと思う。
特に加奈ちゃん!ちょっとおしゃまにすまして台詞を言うところ。
女の子の声がこんなふうに聴こえるのは意外だった。
猿之助さんのおじいさんと、蔵之介さんの父と、二人との絡みも
いい感じだった。


2つとも子供の魂をあつかった作品で、幼児虐待などという言葉
を使わずして、現代にも訴える要素がじゅうぶんにあると思う。
この朗読劇が東日本大震災の復興関連と思うせいだろうか。
『家守綺譚』も今回の作品も偶然そういう題材なのか。
朗読を聴いているこの場が、いつも彼岸と此岸の接点であるよう
な気がしてならない。
「野槌の墓」の最後の一文が心にしっかり刻まれた。キュウウン。
別れるけれど、消え失せはしない。亡き人びとはこの世を離れ
て、だからこそ永遠のものとなるのだから。
」(「野槌の墓」より)



●このブログ内の関連記事
~今、僕らが出来ること~朗読劇「家守綺譚」 観劇メモ(1)
~今、僕らが出来ること~朗読劇「家守綺譚」 観劇メモ(2)
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「ゴドーは待たれながら」大阪公演

2013-04-27 | 観劇メモ(演劇・ダンス系)
公演名  ゴドーは待たれながら
劇場   ABCホール
観劇日  2013年4月21日(日)18:00
座席   A列

作:いとうせいこう
演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:大倉孝二(ゴドー) 野田秀樹(声)

  
観劇本数は月に2本でいい。
こんな舞台に出会ったらマジそう思う。
そして、観終わった後から始まる余韻、反芻の世界にせめ
て2週間は浸りたい。次の作品をインプットしたくない。
『ゴドーは待たれながら』を観た後そんな気持ちになった。
(キャパシティちっちぇー!)



もともと仮チラシの「大倉孝二」「一人芝居」という2つの
四字熟語(!)で即決。違う出演者なら観なかったと思う。
長年口説き続けてこの舞台を実現させたケラさんに感謝~♪



この作品はサミュエル・ベケットの有名な戯曲『ゴドーを待
ちながら』をもとに、待たれている男ゴドーを描いたもの。
2つの作品は同時進行の表裏ということらしい。
ただ私は表のほうを一度も観たことがない。
にもかかわらず、裏のほうにすっかりハマってしまった。
劇場配布のケラさんの挨拶文には「笑いのお陰で今回の公演
がある。それ以外の何かは、各々で感じとってくださればよ
いし、もちろん感じとらなくてもよいのです」とあったけれ
ど、笑いとともにこみあげてきた思いの断片を私なりにメモ
しておきたい。
↓ちょっとネタバレ。



観始めてアレアレ? と思うのは“ゴドーが待たれている”
という確固たる前提が揺らぐところ。
ここを出よう。行かなきゃ。だが行けない。このままだと待
たせてしまうことになる。行かねば。どこへ? いつ? 待っ
ているのは誰? そもそも本当に誰かが待っているのか?
そんな自問自答シチュエーションが延々とつづく。
観ているこちらにも閉塞感が伝染してくる。
一部の観客がもう笑っているけど、私は全然笑わなかった。
が、そのうち男の気持ちとの適度な距離が見つかり、客観
的に見たり、寄り添ったり、突き放したり。
いつしか笑ったり、急激に切なくなったり、身につまされたり、
涙したり、共感、もしくは同化したり。
なぜか羨ましいと思ったり。

台詞の中にこれは2013年版アレンジなのか?と思うものが幾
つかあったが、パンフレットに全文掲載された戯曲をチェッ
クしてみるとどれも1992年当時のオリジナルの台詞だった。
笑いの中には陳腐化したり、古びたり変容したりしてしまう
ものもあるが、この芝居ではほとんどそんなことなかった。
むしろ、今まで感じたことのない可笑しさが時々こみあげた。
待たれているゴドーのことを初めは特殊なシチュエーション
だと感じたのに、実は人間にとって普遍的で切実なテーマを
扱っているのでは?と思うようになった。
生きることは待つことか。待つことは生きることか。

羨ましいと思ったのは、ゴドーが「待たれている」自分につ
いて純粋に突き詰め、自分の価値を見つけたり、待たれてい
ることのありがたさを思ったりするところ。
ふだん「時間」という約束事に縛られ、プロセスを遂行するこ
とに追われていると、その先に「人」や「物事」や「何か」
が待っていることさえ見えなくなってくる。
日々の雑事に追われ、生きる目的を見失うように。
ゴドーの場合、プロセスの遂行に失敗することにより、待っ
てくれる人がいるのはありがたいことだと気づくのだから。

最後、ゴドーは静かに目を閉じる。一幕の終わりと同じあの
ひとことを言うために・・・。
この作品は戯曲がいい。演出がいい。出演者がいい。
『ゴドーは待たれながら』の戯曲全文が掲載されたパンフレッ
トのデザインも気に入った。



<出演者>
●大倉孝二さん

大好きな役者さんの一人だ。冒頭の靴を履こうとする動作が
いかにも大倉孝二だぁ~と、内心ニマニマ。
舞台上の男を見ると、服は明らかに汚れ、言葉の端々からも
生活が困窮しているらしいことがわかる。目は険しく、イラ
イラした表情。頬がいくぶんこけ、目も若干くぼんでいるよ
うに見えるのは役のメイクか?
やはり一人芝居は相当消耗するんじゃないだろうか。
このお芝居は、長い台詞を覚えさえすれば誰にでもできるも
のではなく、また、巧いだけでもこんな味わいは生まれない
と思う。悲惨な状況下で生まれてくる笑い、おかし味をたっ
ぷり楽しめたのは、大倉孝二さんの醸す独特の魅力に負うと
ころが大きいと思う。
風貌、雰囲気、体の動き。台詞の間のみならず、縦に長い
体躯から生まれる動作の間、独特の造形。声。口調。
そんな目に見える大倉孝二的なものが総動員でゴドーを作
り上げていて感動的でさえある。そして、今までに見たこと
のない大倉孝二がそこにいることにも!
ほとんど終わりに近づいた時、顔の中が「ハ」の字になって
いた。本当にこのひとはなんという顔をするのだ。

●野田秀樹さん(声の出演)
トーンの高い子どもの声を野田さんが担当。まるでその場に
いるような臨場感があった。
戯曲を読んでもどうってことのない台詞なのに、ゴドーとの
やりとりの中では無邪気に聴こえたり、からかっているよう
に聴こえたりするのが面白かった。
野田さんだけに本人が絶対にそこにいないことは明らかで、
そこを逆手にとったような会話のシーンにドキドキ。


<アフタートークから>
1日2回公演のあとのアフタートーク。
大倉孝二さん、ケラさん、そして、大阪の別の劇場で公演を
終えた、いとうせいこうさん、きたろうさんが加わり、ゴー
ジャスな4人のトークだった。
(以下、なぐり書きのメモを見ながらまとめてみる。)

まず、いとうさんが「ナイスファイト!」と大倉さんへのね
ぎらいのことばをかけていた。いとうさんの話では「長い鬱
病から解き放たれた感じ。ずいぶん練れてる感じがした」と
のこと。「一時は狂人めいてうかつに声をかけられなかった」
そうで、大倉さんは本当に大変な状態だったようだ。

初演でゴドー役を演じた、きたろうさん。
大倉さんが登場するまでに時間があり、さっき大阪で「生ま
れて初めて」買ったというジージャンを着ているのを、みん
なからチクリチクリいじられているのが可笑しかった。
きたろうさんによれば「自分と比べて、大倉くんのほうがス
テキだね。外国の演劇を見てるみたいで、飽きなかった」と。
「自分の初演時の地獄を思い出した。その時はお客さんが
退屈しないだろうかと考えていた」とも話していた。

ケラさんによれば、今回の上演にあたりオリジナルの戯曲の
二幕の前半の台詞をかなりカットした。どうしても2時間以
内におさめたかったから、とのこと。
いとうせいこうさんの話からわかったことだが、二幕では
ケラさんが独自の演出をしていたらしい。
二幕の途中でゴドーが客席を見渡しながら話すシーン。
戯曲では特に客席に語りかけるように書いていないらしい。
(客席にいた者としては、あの場面でゴドーがこっちを見て
くれたおかげで、気持ちにメリハリがつき、芝居に参加して
いる感じがして、よりいっそうゴドーに寄り添うことができ
たと思う。あの後、ゴドーがすわって目を閉じ「世界の音を
聞いてみよう」と語り始める、その音の中に私たちが参加し
ているような錯覚があり面白い体験だった。あとから戯曲を
読んで全然違うイメージなので驚いた!)

遅れて入ってきた大倉さんは、きたろうさんのジージャンと
自分のデニムがよく似た色なのを盛んに気にしていた。
いまは地獄のまっただ中にいるそうで、口をついて出るのは
「1日2回もやるか!」「キツイ」「ほんとに途中でイヤに
なったと思ったことがある」等々。

それでもいとうさん、ケラさん、きたろうさんからは
「海外に打って出たら?」「なぜやらないの?」「大倉劇場
を作ったら?」などと言われていた大倉ゴドー。
ワタシも個人的に賛成ですよー。
ほんとにいいお芝居でした。再演してほしい!


●ケラリーノ・サンドロヴィッチ × 大倉孝二(関連記事)
犯さん哉 観劇メモ
奥さまお尻をどうぞ 観劇メモ
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祈りと怪物 蜷川バージョン

2013-02-11 | 観劇メモ(演劇・ダンス系)
公演名  祈りと怪物~ウィルヴィルの三姉妹~ 蜷川バージョン
劇場   シアターBRAVA!
観劇日  2013年2月11(月祝)13:00開演 17:20終演
座席   V列



(今日のツイートを元に)

ケラ版でわからなかった箇所を蜷川版で解明してもらった
感じ。この順序で見てよかった。テイストはケラ版が好き
だけど、感情移入した場面は今日のほうが多かったかな。
ああ、でも楽しい。こういう対決。

町を我がもの顔に牛耳っていたエイモスファミリーの崩壊
の物語。時代設定も町もすべて架空だ。

<舞台セット、コロス、演出など>
いつものように左右に置かれたディスプレイに字幕。
ト書きやコロスの台詞が映し出されていた。
KERAバージョンでは想像するしかなかった内容を文字で確
認して、初めて知ることがときどきあった。
(ただたんにKERA版で聞き逃していただけかもしれないが。)
たとえば、ヒヨリ。
民族や先天的なものではなく、エイモス家を裏切った人間と
その家族たちをそう呼び、腕章をつけることを強いている。
焼き印もそのシルシ。

コロスの台詞はラップ。これにはたまげた。
しかも、男女とも衣装はかなり和風。
また、ケラさんのレーベル、ナゴムレコードから「心の旅」
がところどころで使用されていた。
役名が洋風なので、国や時代設定も何もかもがシャッフルさ
れたような、どこか落ち着かない感覚を味わった。

そして雨。ザァザァ降った。(やっぱり降りましたか~。)
ジュワジュワッと大地にしみ込み、地盤を溶かし、やがてす
べてが音をたててくずれ去り、飲み込まれて流されてゆく、
その感じだった。

<おもなキャスト>
自分の覚え書きのために表にしてみた。

------------------------------------------------------------
 役名      | 蜷川version | ケラversion
------------------------------------------------------------
ドン・ガラス   | 勝村政信  | 生瀬勝久
------------------------------------------------------------
トビーアス    | 森田剛   | 小出恵介
------------------------------------------------------------
ヤン       | 染谷将太  | 丸山智己
------------------------------------------------------------
パキオテ     | 三宅弘城  | 大倉孝二
------------------------------------------------ ------------
ダンダブール   | 橋本さとし | 山西惇
------------------------------------------------------------
バララ      | 原田美枝子 | 久世星佳
------------------------------------------------------------
テン       | 中嶋朋子  | 緒川たまき
------------------------------------------------------------
マチケ      | 宮本裕子  | 安倍なつみ
------------------------------------------------------------
エレミヤ     | 渡辺真起子 | 峯村リエ
------------------------------------------------------------
ヤルゲン     | 石井愃一  | 大鷹明良
------------------------------------------------------------
アリスト     | 大石継太  | マギー
------------------------------------------------------------
メメ       | 伊藤蘭  | 犬山イヌコ
------------------------------------------------------------
合唱隊長、市長  | 冨岡弘    | 久保酎吉
------------------------------------------------------------
パブロ      | 満島真之介 | 近藤公園
------------------------------------------------------------
ローケ      | 新川將人  | 三上市朗
------------------------------------------------------------
レティーシア   | 野々すみ花 | 夏帆
------------------------------------------------------------
ペラーヨ     | 村杉蝉之介 | 池田成志
------------------------------------------------------------
ジャムジャムジャーラ、| 三田和代| 木野花
ドンドンダーラ    |     |
------------------------------------------------------------
グンナル司祭   | 古谷一行  | 西岡徳馬
------------------------------------------------------------

それぞれのキャストについては後日書ければ書く。
とりあえず、かんたんに・・・。
勝村さんのドン・ガラス、腕力の強さではなく頭脳犯的だと思う。
生瀬さんは怖さを感じた。ラストは生瀬さんのほうが好き。
特に森田剛くんがよかった。やわらかな笑顔が武器の小出トビー
アスと、悲壮感を背負った森田トビーアス。
奇しくもパキオテはどちらもナイロンのメンバー。よかった~。
胡散臭さではダントツの橋本ダンダブール。錬金術師とはきっと
このようなものかもしれないと信じられた。
テンの対決もいい。ファミリーを救うために、咄嗟ながら本能的
に彼に銃口を向けた中嶋テンの迫力。エイモスファミリーの将来
はキミにまかせた!と言ってやりたかった。
ジャムジャムジャーラはついにジャバ・ハットみたいになっていた。

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日の浦姫物語と女の一生

2013-01-30 | 観劇メモ(演劇・ダンス系)
いまテレビで『日の浦姫物語』を放送中。

『日の浦姫物語』は井上ひさしさんが杉村春子さんと文学座のた
めに書き下ろしたものだそう。
大竹しのぶさん演じる日の浦姫の台詞に『女の一生』のあの代表
的な台詞があって笑ってしまったけれど、初演時は杉村春子さん
ご本人がセルフパロディをやったのだと想像するとゾクゾクする。
当時の観客はいったいどんな反応をしたのだろう。

むかしある人が「だれが選んでくれたのでもない、この道は自分
で選んで歩き出した道・・・」といっていたのを憶えております。


『女の一生』の舞台中継映像を見たことがあるが、杉村さんは
そこでまさに女の一生、各年代の女を演じてみせ、その変化が
見ものだった。

そのビデオを見た直後の自分の感想は・・・
「キャピキャピした少女の頃から、恋する乙女時代、女実業家と
しての風格を見せる熟年、落ち着いた風情の老女までを、何通り
もの声と仕草、台詞の言い回し等で、イキイキとめまぐるしく演
じ分ける杉村春子さんの演技は本当に見事です。
細かいことですが、役の年齢に合わせて瞼の開き具合まで作り込
んでいるのには驚きました。どの瞬間にも布引けい、という女性
がそこにいると思わせてくれます。」

そして、昨年末に観た『日の浦姫物語』の大竹さんもまた、一人
の女性の一生を声色や表情の変化でうまく演じ分けていた。

そういえば大物浦、俊寛、俊徳丸など歌舞伎のパロディもいろい
ろ使われていたよな~、『日の浦姫物語』。
観劇当時に書けなかった感想を今頃ちょこっと書いてみた。


●このブログ内の関連記事
日の浦姫物語@シアターBRAVA!(ツイッターより)
「悲劇喜劇」1月号と「日の浦姫物語」
「女の一生」ビデオ鑑賞
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組曲虐殺 大阪公演

2013-01-20 | 観劇メモ(演劇・ダンス系)
公演名  組曲虐殺
劇場   シアター・ドラマシティ
観劇日  2013年1月20日(日)17:30開演 
       終演後アフタートーク
座席   2列

ショッキングなタイトルとは裏腹に、観終わったあとにあったかい
ものが体と胸に残った。
アフタートークがあってよかった。でないと、涙でグシュグシュ
の顔をいったいどこに隠せただろう。
「後ろに続く者を信じて走れ」
舞台上の小林多喜二が口にする歌詞はそのまま井上ひさしさんの
心の叫びでもあったのだろうか。
信じて走れば、きっと誰かが支えてくれる。
いや、きっと支えずにはいられない。かけがえのない一瞬を共有
するために。人間ってそういうものだと私は信じます。
カタカタまわる~ の歌がいまでも聴こえてくるよ(涙)。

アフタートークに参加した私に今できるのは、これを伝えること。
「組曲虐殺」広島公演まだお席が残っています。是非観にいらして下さい!
(1月20日のアフタートークにて)
見逃した人は1月29日、広島市文化交流会館に行きましょう!(笑)
 >> 情報はコチラ

初演を見逃した私は、今回の再演に感謝!
井上ひさしさんの遺作となった作品であることをかみしめながら。
井上さんからの珠玉の言葉と歌をオリジナルメンバーでベストな
形でふたたび届けていただきありがとうございました。



<あらすじ>
昭和5年5月。大阪道頓堀に近い島之内警察署取調室。特高刑事
山本が一人の男に、カンパを渡した相手の名前を吐け、お前は
あの小林多喜二だろう、と詰め寄っている。
口を割らない男。「神戸の組合みなごろし」の異名をとる鬼刑事古橋
はなぜか優しい口調で、伯父のこと、姉チマ、果ては恋人瀧子のこと
を話し出す。微妙に事実と食い違う話についに爆発する多喜二。
検閲により表現の自由が抑圧されていたこの時代、多喜二の作品は
伏せ字ばかり。伏せ字なしでものをいうにいい世の中になればと
「伏せ字ソング」を歌いだす。
1ヶ月後、杉並の多喜二の住まいに同志のふじ子(神野三鈴)がいる。
そこへ小樽から姉のチマと恋人の瀧子がやってくる。……睨み合う
ふじ子と瀧子。
そして翌6年、再び捕らえられた多喜二は、刑務所の独房の中にいた。
多喜二は、自分の心を鏡に向かって独唱する。
人生最後の2年9ヶ月、多喜二はどう生きたのか?そして彼を取り巻く
人々の運命は?

(公式サイトより引用)

<スタッフ、キャスト>
作:井上ひさし
演出:栗山民也
音楽:小曽根真(作曲、生演奏)

井上芳雄(小林多喜二)
石原さとみ(多喜二の恋人 田口瀧子)
高畑淳子(多喜二の姉 チマ)
神野三鈴(多喜二の同志、妻 ふじ子 )
山崎一(特高刑事 山本正)
山本龍二(特高刑事 古橋鉄雄)


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●20日観劇後帰途のツイートより
組曲虐殺、すっごくよかった。いまJR大阪駅ホーム。
カタカタまわる~の余韻に浸っているのに大音量の
「惑星」が邪魔をする。負けるな、じぶん!

組曲虐殺。重苦しさと可笑しさが交互にやってくる。
絶望と希望の間を行ったり来たり。この落差にすっか
りハマってしまった感じ。関西人だけど元をとる下心
のない自然発生のスタオベもあるのですよ(^^)v

戯曲も役者さんたちも素晴らしい!初演の放送を録
画してたのにまだみてなかったことに今気づきました。
探してみようっと。

(深夜に録画を少し再生してみたら、井上芳雄さんが
語っていた。~毎日地獄のような稽古場だったけれど、
最後にあの歌「胸の映写機」が届いて歌った時、皆が
泣いた。それまでのことがすべて報われた~と。
このインタビューにまた泣き、余韻はエンドレス。)
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つづきを書けたら書きたいけれど・・・。
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祈りと怪物 KERAバージョン

2013-01-12 | 観劇メモ(演劇・ダンス系)
公演名  祈りと怪物~ウィルヴィルの三姉妹~ KERAバージョン
劇場   シアターBRAVA!
観劇日  2013年1月12日(土)18:30開演 22:40終演
座席   B列



(今日のツイートを元に)

いやー、すごいわー。
終演時刻22時40分もビックリだけど、内容がね。
ブラックで、ありえなくて、濃ゆくて、ちょっとコワ~イ。
でも笑える。

ケラさんはやっぱりストーリーテラーだな。
一幕ではほとんどが謎に包まれたまま、ほんのひとしずくの
キーワードが見え隠れ。二幕からは徐々にわかってきて、そ
のくせ話の展開が全く予測できない。
結局最後まで引っ張られた。

感動とか、いいお芝居とか、そうゆうのをはるかに突き抜け
たところの演劇の面白さがたっぷり味わえる舞台だと思う。
どこまでいくの?と思ったあげくのあのラスト、私は好き♪
生瀬さんがすご~くいい。

ふふ。ギッチョダーって。

劇場の予告映像では「稽古場は笑いが絶えず楽しくやってい
ます。劇場に遊びにくるつもりで来てください」と蜷川さん。
こうなったら、まんまとのせられて蜷川バージョンのほうも
ゼッタイに見届けないとね。

<ストーリー>
北回帰線と南回帰線の狭間にある架空の町に、祖母と二人で
暮らす内気な青年。町を牛耳っているのは強欲で好色な町の
権力者。彼の三人の娘は、それぞれに複雑な事情を抱え、や
がて町を揺さぶる大事件に発展する―。
町の権力者の後妻と百歳を越える母親、子供を亡くした使用
人夫婦、テロを企てる市民たち、怪しげな教会の司祭、謎の
錬金術師と白痴の助手、そしてよその町からやってきた放浪
の若者。幾多の登場人物が壮絶に絡み合う一大クロニクル。
(公式サイトより引用)

<スタッフ、キャスト>
作・演出 ケラリーノ・サンドロヴィッチ
音楽 パスカルズ

生瀬勝久:ドン・ガラス(町の権力者でエイモス家のドン)
小出恵介::トビーアス(内気な青年)
丸山智己:ヤン(流れ者)
大倉孝二:パキオテ(錬金術師の助手で白痴)
山西惇:ダンダブール(錬金術師)
久世星佳:バララ(ガラスの娘 長女)
緒川たまき:テン(ガラスの娘 次女)
安倍なつみ:マチケ(ガラスの娘 三女)
峯村リエ:エレミヤ(ドン・ガラスの妻)
大鷹明良:ヤルゲン(エイモスファミリーの執事長)
マギー:アリスト(エイモスファミリーの一員)
犬山イヌコ:メメ(アリストの妻 メイド長)
久保酎吉:合唱隊長、市長
近藤公園:パブロ(トビーアスの友人)
三上市朗:ローケ(仕立屋)
夏帆:レティーシア(ローケの娘)
池田成志:ペラーヨ(学校教師で活動家)
木野花:(ガラスの母ジャムジャムジャーラ、
     トビーアスの祖母ドンドンダーラ)
西岡徳馬:グンナル(司祭)

原金太郎:合唱隊員、警察署長、アンヘル獣医 
楠見薫:合唱隊員、カッサンドラ、楽隊
加藤弓美子:合唱隊員、アガーテ、楽隊
野中隆光:合唱隊員、船員、家主 
日比大介:合唱隊員、船員、苦痛発電の男
皆戸麻衣:合唱隊員、楽隊、ルフレシア、アナ
猪俣三四郎:合唱隊員、アウグスト、アガーテの息子
水野小諭:合唱隊員、楽隊、リベッカ
中林舞:合唱隊員、楽隊、ユーリア

楽隊員
ロケット・マツ(アコーディオン)
石川浩司(パーカッション)  
坂本弘道(チェロ)
金井太郎/伏見蛍(ギター)
松井亜由美/クリスチィヌ(バイオリン)


<舞台装置、演出など>
ウィルヴィルという架空の町を設定。
冒頭からもの憂気な美しい曲の生演奏とコロスの登場により、
一気に物語の世界へと誘われる。
時折、出演者全員または数人による仮面をつけたコロスが客
席通路を歩き回るが、それはむしろ蜷川さん的でケラさんの
作品では珍しいと思う。コロスの歌や語りが狂言回し的役割
となる。

舞台中央には教会がある。
上段と下段をつなぐ長い階段が下手に。上段下手には墓場が
あり、上手には生演奏の楽隊が控える。
下段上手の一番広いスペースはエイモス家の部屋になったり、
町の広場になったりする。下手にはトビーアス、アリスト、
ローケ、ペラーヨの各部屋が入れ替わり出現する。

自分メモ:教会のマークは鈎十字を、ヒヨリと呼ばれる人々
はユダヤ人を連想させ、コロスはオリンポスの神々を想起さ
せた。
楽隊がときどき市民に溶け込んで芝居の流れの中で演奏する
のがよかった。たまの石川さん、現在はパスカルズなんです
ねー。演奏中は独特の体の動きをしてとても楽し気だった。

<おもなキャスト>
●生瀬勝久さん(ドン・ガラス)
ちょっと意外だたけれど、横暴で冷酷なボスを人間臭く、
ときにはコミカルに演じて存在感たっぷり。エイモスファ
ミリーの利益を守ることが彼の行動原理なのでひじょうに
わかりやすい。予測できなかった結末とオチ。憑き物が落
ちたみたいな、重荷を下ろしたような、スッキリした顔の
ドン・ガラス。これも悪くないと。あの瞬間の生瀬さん、
すっごくいい表情をしていた。

●久世星佳さん(長女)
●緒川たまきさん(次女)
●安倍なつみさん(三女)
タイトルロールの三姉妹役。ドン・ガラスの娘だけに怖い
もの知らずで何不自由なく生きている様子がわかる。
情熱的な長女は司祭に、しっかり者の次女は放浪青年に、
ちょっと意地悪で可愛らしい三女は内気な若者に、それぞ
れ夢中。が、その相手に問題が! 三者三様の強い個性が
カブることなく舞台できらめいていた。

●小出恵介さん(トビーヤス)
「ボクの四谷怪談」ではアクの強い役だったけれど、今回は
内気な若者の役。濃ゆくて毒気のある出演者たちの中では
ビジュアル的にも役柄も清涼剤的存在だった。
動物の飼育員だったトビーヤスはドン・ガラスの愛犬がきっ
かけとなりエイモスファミリーに入る。出世欲や金銭欲では
なく、彼の行動原理はすべて祖母への想いからきている。
恩師ペラーヨに対する2度目の行動は衝撃だけど共感できる。
柔らかな心に備わった強靭な意志もしっかり伝わり、十分魅
力的だった。

●近藤公園さん(パブロ)
トビーヤスの幼なじみで悪友。聖職は長続きせず、けっきょ
くエイモスファミリーの一員に。下に見ていた仕立屋の娘に
恋をし、有利な立場を利用して娘に接近してゆくシーンが面
白かった。その後の悲劇もあり、熱演だった。

●大倉孝二さん(パキオテ)
「ダブリンの鐘つきカビ人間」のカビ人間を思い出した。
今回の脚本はアテ書きではないそうだけど、この役だけは
初めに大倉さんありきな気がする。久しぶりに哀感たっぷり、
切なさにまみれた大倉孝二を堪能した。
喜怒哀楽を失った白塗りの顔にうつろな目。そんな男が唯一
メメに対してだけは「喜」の感情表現を見せるのが不思議。
喜んでもらえるのがウレシくてメメが望む(死んだ息子の)
幻覚を見せてあげるが、メメに疎んじられるようになり、
病気が悪化してしまうところが不憫でカナシイ。本当にパ
ワーを持っているのは錬金術師ではなく助手だった。
ライ麦と鳥の死の関係について気づいていた彼は本当に
白痴なのか。

●山西惇さん(錬金術師)
サクラをやとって民衆を騙す悪いヤツ!でも胡散臭い、とい
うより、むしろ人のよさが出ていた。山西さん、この役を楽
しんでたんじゃないかなあ。

●犬山イヌコさん(メメ)
●峯村リエさん(エレミヤ)
「百年の秘密」では親友どうしだったが、今回は主従(エレ
ミヤお嬢様と侍女メメ)の関係。どんな役も器用に演じられ
るご両人なので安心感がある。死んだはずの我が子が見えた
りして変調をきたすメメ役は犬山さんさすが。別バージョン
では二人が役を入れ替えて出演すればいいのに~。

マギーさん(アリスト)
エイモスファミリーに仕える役と、子供を亡くした夫婦のカ
タワレとして苦悩を見せる夫の顔を忙しく演じていた。
犬山さんとの夫婦役は見た目的にぴったり。

●丸山智己さん(ヤン)
このひとも今回のビジュアル清涼剤の一人。かと思いきや、
ある意味隠し球的存在だった。よそからやって来てとんでも
ないミッションを抱えていることが途中からわかってゾゾ!
その内容があまりに突飛なので笑えた。一見寡黙なイメージ
と裏腹な実態が面白い。

●三上市朗さん(ローケ)
●夏帆さん(ローケの娘)
エイモスファミリーの男たちが着る服の仕立て屋に三上さん。
ヒヨリという虐げられた民衆で、技術で身を守っている面が
ある。よわい立場の可哀そうな人と思っていたけれど、あの
オチは? もしかして一番頭がよかったのはローケだったと
いうことなのか。ローケのラストスマイルが気になる。
夏帆さんはWOWOW「ヒトリシズカ」で見せたように今回も芯
の強い女の子という印象。マチケに意地悪されてみじめさも
味わうが、したたかな面もある。パブロはただ利用しただけ
かと思ったが、意外にも真剣だったらしい。背中の大きな黒
い焼き印が生々しくてショッキング。

●池田成志さん(ペラーヨ)
今回は真面目な地下組織の活動家だった。どこで笑わせてく
れるんだろうと期待したが、そういう役どころではなかった。
同志と連絡を取り合う手段がちょっと笑えた。再登場すると
別人格のようになっていてブキミさが出ていた。

●木野花さん(双児のおばあさん)
怪物ってこのひと?と思うくらいブッとんでいた。運命を変
えた一件以来、正反対の人生を歩むことになった双児の姉妹。
双児を一人で演じ分けているのが見事だった。特にトビーアス
の祖母ドンドンダーラは悲惨さを絵に描いたような姿形。手足
が退化したのか最後は魚になっていた!←そうゆうところに
ケラさんのセンスを感じる。

●西岡徳馬さん(司祭)
人気のなかった教会があるときから注目を浴び、どんどん人
が集まるようになる。錬金術師と組んで始めた宗教ビジネス
が大成功。その秘密は願い事が叶う薬。ただのインチキ司祭
と思ったが、小心者で、しかもドン・ガラスの次女バララを
真剣に愛していたりもする。群衆が奇跡に群がる場面はリア
リティがあって笑える。アーメンの代わりに「ギッチョダ~」
と左手で指を切るのはケラさんの演出かな?
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ミス・サイゴン@梅田芸術劇場

2012-12-29 | 観劇メモ(演劇・ダンス系)
ツイッターより 

思い立ってミス・サイゴン当日券売り場に並んでます。今日は
20枚ぐらいあるから全員いけるそう。ほっ。
B席なんですけど大阪で見られるなんてうれしいです!期待し
てます。
大人になって人生2本目のミュージカル観劇「ミス・サイゴン」。
ジョン役の上原さんが大楽、キムの笹本さんは大阪での楽だった
そう。ついでに私も2012年の大楽。最後に素晴らしい舞台、あり
がとうございました。汗びっしょりになったよ。
ふつうの台詞がゼロのミュージカルは全然ふだん見ないから。
1階で見ればよかったかな~と後悔した~。泣きはらした目で帰っ
てきちゃいました。



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日の浦姫物語@シアターBRAVA!

2012-12-15 | 観劇メモ(演劇・ダンス系)
ツイッターより 

「日の浦姫物語」子供の頃も、こんな歳になっても、自分の人生以
外の物語が必要だな、と思う。たとえこの世の地獄の話であっても。
私たちは何度でも死に、罪を犯し、また生き返ることができる。
こんな戯曲を命を削って書いてくださる作家に敬意と感謝を!いく
つになっても物語を面白がれる人でありたい。
女の一生、サイコーにウケました。
日の浦姫物語のパンフレット。舞台写真版と稽古場写真版の2通り
あり。出演者のファンは両方買うんやろか?




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