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ふぅん

闇閃閑閊 ≡ アノニモス ≒ 楓嵐-風

ブッダとピアノ

2010-04-08 20:45:38 | 日々随想
今日は 仏陀の誕生日
そう 花祭りだ
果たして 生誕 何年になるのだろう・・・





僕が韓国に2度目に行ったのも 5月だった
やっぱり一人旅で ソウルに着いた翌日
国内線の飛行機で プサンまで飛んだんだ


韓国第2の都市は 潮の匂いがしていた
チャガルチ市場を冷やかして
その日の宿を 決めて


最初の旅で 僕は いつか韓国で調律をしようと決めたから
まずは プサンの楽器店を探す散策に出た
すっかり陽が落ちていたけど 街は煌々としていた


ピアノの絵が描いてある看板を見つけて
その店に入っていくと 一人の青年が応対してくれたんだ
「ここは ピアノ屋さんですか?」


『ここは ピアノの練習スタジオです』
言われてみれば カラオケボックスのように
仕切られた部屋が 幾つもあって アップライトが置いてあった


僕は 欧米でも アジアでも
旅する街で 必ずピアノ屋に入る
そこで その国のピアノをいじって カタログをもらうんだ


しばらく 韓国製のピアノをポロポロ弾いていたら
『ピアノ屋さんなら 別のとこにあります 案内しましょう』
そう言って 店の鍵をしめて 通りを歩き出したんだ


え? お店 大丈夫なのかな?


途中 公園に桃色の提灯が たくさん灯されていて
なんだか 酔客が御機嫌だったんだ
『今日は ブッダの誕生日なんです』


最初は 言葉がうまく 聞き取れなくて
何度も聞きなおしたんだけれど
どうやら 旧暦の仏陀の誕生日だということが分かったんだ


ふうん


プサンタワーを過ぎて 15分くらい歩いて
ヨンチャン楽器の前に 辿り着いて
『ここが ピアノ屋です』


でも もう 店は閉まっていて
彼は 何度も謝ってくれたっけ
負けないくらい 僕も 謝って 感謝したんだ


未安ヘヨ (ミアネヨ)
感謝ハムニダ (カムサハムニダ)


そこで僕らは 解散して
彼は スタスタと 今来た道を 歩いて行った
真っ暗なピアノ屋の前で 彼が見えなくなるまで見送った


翌朝 僕は記憶を辿って ヨンチャン楽器に行って
日本の調律師だと挨拶して 店のピアノを
片っ端から弾かせてもらったんだ


そのまま 鉄道の釜山駅に行って
次の街へ移動することにした
僅か 1日にも満たない滞在だったけれど


彼の名刺は 今でも 大切に保存してある
自分の店を ほったらかしてまで
旅行者へ親切にしてくれた青年


あれから 何度かプサンに行ってるのに
彼の店には 挨拶に行ってないな・・・
まだ あるのかな あの店
まだ いるのかな あの彼


仏陀の誕生日には
新暦でも旧暦でも
大切な思い出が たくさんあるんだ