ももママの心のblog

猫が大好き。有料老人ホームで生活相談員をしています。映画が好きだけど、なかなか見られません。

チェンジリング

2009-02-21 | 映画 た行な行
クリント・イーストウッドが実話を下に監督、主演はアンジー。しかも、アカデミー主演女優賞にブラピと共にダブルでノミネートされています。これは見ないと!で、珍しく初日に見ることができました。期待を裏切らない画像と物語の展開。そして、アンジーの繊細な演技。

2009年(公開) アメリカ ミステリー、ヒューマンドラマ
2009年2月20日 ワーナーマイカル・シネマズ・新百合ヶ丘
監督 クリント・イーストウッド(父親たちの星条旗、硫黄島からの手紙、ミリオンダラーベイビー他)
出演 アンジェリーナ・ジョリー(ウォンテッド、Mr.&Mrs.スミスほか多数)、ジョン・マルコビッチ(マルコビッチの穴ほか)、
(出演作品などは私が観たものに限る)

1928年、ロスアンゼルス。電話局で働くクリスティン・コリンズ(アンジェリーナ・ジョリー)はシングル・マザーだった。そして、9歳の息子のウォルターをこよなく愛していた。ある日、休日出勤して帰宅してみるとウォルターがいない。警察に連絡しても「朝までに帰ってくる」と取り合ってくれなかった。しかし、行方不明になったウォルターは情報すらない。5ヶ月経ったある日、イリノイ州で見つかったと言われる。連れて来られた少年は別人だったが、警察に「動揺しているし、長い時間一緒に居なかったから分からないのだろう」と言われてしまう。

こんなことが、本当にあったなんて・・・。この少年の年齢を考えると、私の父親くらいの年齢です。アンジーは祖母くらいの年齢ということになります。アメリカと日本ではまったく事情が違うでしょうが、ファッションは「モボ・モガ」の時代、女性の人権など認められていなかった頃だということは変わらないでしょう。
ネタバレになってしまうので、筋立てにかかわることは書けないのですが、息子が見つかったといわれ、駅のホームに迎えに行くクリスティンを、ジョーンズ警部は「女だな」と言います。そして、後にその言葉の意味が分かっていくのです。当時は警察組織が腐敗していて、しかも女性の地位が低い。なので、警察に不利なことを言ってくる女性は「口封じしてしまえ」・・・という感覚なのですね。ちょっと頭のおかしい女性の言うことなど、誰も耳を貸さないだろうという暗黙の了解があったわけです。

それにしても、抜群のプロポーションを生かし、強くて格好良い「普通じゃない女性」を演じさせたら天下一品のアンジーが、今回はかなり「普通の女性」を演じていました。1人の母親として、子どもの行方不明に不安になり、心配のあまりやつれ、切なさに涙を流し、感情をあらわにすることもありました。また、時には恐怖を感じ、愕然として固まってしまうことすらあったのです。私は子供がいないですが、子育てされている方は一度はお子さんが迷子になったり、帰りが遅くなって心配する経験をされているでしょう。まったく他人事はない感覚で、クリスティンにいきなり共感できるはずです。

それが、まったく違う子どもを引き渡され、「あなたの息子さんです」「動揺して自分の子どもが分からなくなっているだけです」と言われたら、一体どうしたら良いのでしょうか?
幸いなことに、味方になってくれる長老派の牧師が現れ、手を差し伸べてくれます。この人がまた、行動力がある。ジョン・マルコビッチが、素晴らしい牧師って感じに見えちゃうんだから、役者さんってすごいですね。
殺人犯を演じたジェイソン・バトラー・ハーナーのつかみどころのない恐ろしさがウマかったです。また、ジョーンズ警部を演じたジェフリー・ドノバンも憎らしく、ウマいですね。

無力なクリスティンには世間が味方してくれないのですが、牧師が放送を通じて世間に訴えかけます。良心的な弁護士も現れ、学校の教師も歯科医も味方。そして、世論は徐々に盛り上がり、プラカードをもって大勢の人達が味方になってくれるようになります。力を得たクリスティンは正義を訴える強い母になっていくのです。この逆転が劇的でしたね。

警察側の対応のひどさには怒りを覚えますが、担当警部は事情をわかってやっていたのか、単なる独善的なミスを隠すためにああなったのか不明でした。また、偽ウォルターの不気味さが謎でした。ここが映画の主眼じゃないのが分かっていますが・・・

裁判がありこれが山場で終わるのかと思ったら、それから先がまだあって、思わぬ展開になります。良い意味で観客を裏切るのがクリント・イーストウッド風味でしょうか?でも、絞首刑の場面など、どうしても必要だったのかと思うシーンがいくつかありました。そして、ミステリーなのか、母の愛を描いたヒューマンドラマなのか比重がはっきりせず、そのうまいミックスを狙ったとしたら、盛り込みすぎで少々不消化な感じがしてしまいました。
クリント・イーストウッドの独特の落ち着いた色調のスクリーンは当時の風物に合っていて、アンジーの着ているワンピース類も綺麗。音楽も心にしみます。


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4 コメント

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女性の立場で (kossy)
2009-02-21 10:06:48
子を持つ母親の視点とか、女性の人権というテーマで観るとまた違った味わい方ができるものですね。
警部の心情ははっきりわかりませんけど、役職から考えるとコトナカレ主義や警察への風評の悪さに対して汚名返上したい一心だったんでしょうね~
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余韻のある映画 (ももママ)
2009-02-21 10:42:23
>kossyさん
色んな視点で見ても、遜色ない出来のよさは、クリントのレベルの高い監督としての腕でしょうね。あえて警察側の経緯に関して語っていないのは、事実に基づく物語であり、脚色したくなかったのかなと思い当たりました。
エンディングが切なく、余韻が残る映画ですね。
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こんにちは♪ (ミチ)
2009-02-21 20:37:35
子を持つ母親の視線で見たので、あの設定には本当にゾーっとしてしまいました。
ウォルターを堂々と名乗る少年が悪魔の子に見えてしまいましたよ~。
ふてぶてしいことこの上ない!
でも彼もまた不幸な子なのではないかな、と思ってしまったのです。
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私も後から (ももママ)
2009-02-21 20:54:40
>ミチさん
ウォルターを名乗った少年は、得たいが知れず気持ち悪かったですが、私も後から家庭的に不幸だから家出してきたのかも・・・と、思いました。
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