上置き天火・ピースちゃん

上置き天火を知っていますか？ （天火とは、日本語でオーブンのことです）

ピース金物という、今ではもうない会社から出ていた品で、ガスレンジの上に四角い箱を乗せてガスの火を使って調理する天火です。

私が育ったのは今で言う二世代住宅。両親と私・弟は離れに住んでいて、キッチンは申し訳程度の狭いものでした。母屋には祖父母のほか、叔父や叔母たちが大勢住んでいましたが、順番に結婚して出て行きました。（父は６人きょうだいの長男です）最期には祖母がひとりになりました。

私の高校時代、仲良しのクラスメイトができました。彼女は学校のすぐ裏に住んでいて、お料理上手なママも一緒にクッキーを焼くようなご家庭でした。地味で質素なのですが、なぜかとってもおしゃれなの。プードルも1匹飼っていましたが、猫が何匹も居て編み物を習いに行ったのに（ママが編み物を教えていました）、たくさんいる猫と遊んだり、クッキーを食べて紅茶を飲んで漫画を読んで終わっちゃったり～。ｗｗ。

それは、楽しい高校時代でした。そのお宅に通いつめたおかげですっかり猫好きになり、今に至りますが、クッキー作りにあこがれて、親にねだって上置き天火を買ってもらったのです。母も実はこの上置き天火が欲しかったらしのです。

ところが、この上置き天火は温度調節が難しく、こつがあるとのこと。料理が苦手な母とカレーくらいしか作れなかった高校生の私の組み合わせではおいしいクッキーなど到底できません。何回か挑戦したのですが、狭いキッチンでは出し入れだけで大変で・・・。

そうこうするうちに祖母が倒れ、母屋を改造して私たち一家は母屋に住むことに。で、母屋の広いキッチンに憧れのガスオーブンをつけたのです。（これがたぶん20歳くらいのときのことです。）

とはいえ、ガスオーブンでクッキーをどれだけ作ったのか、記憶がないのが情けない。

数年後、私は結婚することになりました。短い仮住まいの間、また狭いキッチンで料理することに・・・。で、母親に上置き天火を持たされました。実家にはガスオーブンがあるので「要らない」ということでしょう。

ところが、仮住まいは本当に短くて、家が建ってしまうとまたガスオーブンをつけてしまったため、天火はまたまた出番を失ったのでした。

20数年後、私は離婚してこの家を出ることになったのですが、荷物を片付けていたら、この上置き天火が出て来ました。何回も使っていないのですが、もう、30年以上も前の品物です。一人暮らしの引越し先に、電子レンジにオーブン機能がついた上等なものを購入したのですが、だからといってこれを置いていくにも忍びなく、引越し荷物に入れていきました。

引越しして4年経って、一時的に仕事を辞めて時間ができたので片付け物をしていたら・・・またまた天火を発見。何回発見されるのかしら？このときに、色々処分したものがあるのですが、使えそうな天火はどうしても処分できません。で、荷物になるのにずっとしまわれていたのです。

しかし、ひょんなきっかけで「上置き天火」でネットを検索したら、ヒットしたブログがありました。「まあやん日記」という、沖縄の方のブログです。なんと、上置き天火を長年つかってた方で、それが壊れてきて、でもガスオーブンに工事すると高額なお金がかかるので・・・という内容でした。

さっそくこの方に連絡を取ると・・・。

我が家の上置き天火をもらっていただけるとのこと。実は試運転をしていないので、本当に使えるかどうか分からないのですが、喜んで引き取っていただけるだけで私はうれしいのです。

せっかく買った上置き天火なのに、使いこなせずしまいっぱなし。まったくかわいそうなことをしていました。使いこなしていただけるのなら、言うことなしです。これから、天火の本当の人生が始まるのかもしれません。

作っていたピース金物の上置き天火は、昭和レトロな外観もひそかなファンが居て、使いなれた方たちが復刻を望んでいるとも聞きました。確かに、赤くて四角くて可愛いです。私が持っていた天火はまあやんさんに「ピースちゃん」と名づけなれ、一回り大きい先代「ピース君」と並んで記念撮影もしてもらいました。感激です。

まあやんさんが、以下の日記を書いてくださいました。
http://maryan.ti-da.net/e2878048.html

ピースちゃんを荷造りして送るのが精一杯で、画像を残すのを忘れてしまったのが残念です。ちなみに、まあやんさんのサイトは、ブックマークもしています。温かで丁寧に生活している毎日がつづられていて、癒されます。