若くて綺麗な女優二人は、タイプは違えど実力派。その個性に合わせた色違いの豪華衣装と、その裏に秘められたドロドロの愛憎劇。主演二人も、歴史物も好きな私にはたまらない一作でした。上映している映画館が少なめだったため、やっとの鑑賞~。
2008年 イギリス・アメリカ ヒューマンドラマ、歴史
2008年12月11日 ワーナーマイカル・シネマズ・多摩センター
監督 ジャスティン・チャドウィック
出演 ナタリー・ポートマン(マイ・ブルーベリー・ナイツ、クローサー、レオンほか多数)、スカーレット・ヨハンソン(私がクマにキレた理由、ブラック・ダリア、マッチポイント、真珠の耳飾の少女、モンタナの風に抱かれてほか多数)、エリック・バナ(ミュンヘン、トロイ)、
(出演作品などは私が観たものに限る)
16世紀のイングランド。ヘンリー8世(エリック・バナ)には世継ぎの男子が生まれなかった。また王妃キャサリンは死産だったのだ。それを知った野心家の新興貴族トーマス・ブーリンは、長女アン(ナタリー・ポートマン)を王の愛人にしようとしていた。一方、次女のメアリー(スカーレット・ヨハンソン)は「優しいだけではだめだ」と商家に嫁がせた。しかし、王が気に入ったのは才気あふれるアンではなく、メアリーだった。そのため姉妹の間に溝が生まれるが、一族は王室に取り立てられた。そんな中、アンは兼ねてから思いを寄せていたヘンリーと秘密に結婚するが、父に反対されてフランスに送られてしまう。一方、王の愛人になることに乗り気でなかったメアリーだが、王の優しさに惹かれ始め、身ごもる。しかし、体調の悪さから引きこもりがちになった王の感心が離れがちになってしまう。危機感を感じた父はフランスからアンを呼び戻す。フランスで洗練されたアンは、王の関心を引くことに成功するが・・・
陰謀と画策がどろどろと渦巻く王を取り巻く人々の世界。権力を手にするためにはまさに、なんでもあり、何でもやれちゃうのでしょう。
今では考えられませんがヨーロッパの国々は皆、キリスト教を深く信じていました。そのため、一夫一婦制の建前があります。権力者たちの間では政略結婚が当たり前なので、必ずしも仲が良くなるとは言えず、その建前の裏には不倫という本音がかならずあったと思われますが、この建前を覆すことはできないのです。なぜなら、王に国を治めるように任命しているのが神であり、その代行をローマ教皇がしていたので、教皇に表立って逆らうことはできなかったからです。そのため、世継ぎを生めない王妃は大変な苦しみを得ることになる割には、徳川幕府のように公のシステムとして大奥を作ることはできなかったのでしょう。
子供の頃に「1000日のアン」という映画を見たし(すっかり内容は忘れましたが)、「エリザベス」もお気に入りの一作です。この二本の映画をつなぐのが今回の一作。アンだけでなく、歴史上にほとんど登場しないメアリー・ブーリンを取り上げたのが見所ですね。
ナタリーがキリリとした顔立ちに寒色系のドレス、スカちゃんがブロンドに例のぷっくりとした唇で、暖色系のおそろいのドレスを着て、それぞれに美しく違う個性を際立たせる演技も見事で目の離せない一作でした。
アンたちの母であるエリザベスだけがまともな感覚の持ち主なのですが、結婚している娘が夫と共に宮廷に取り立てられ、王の愛人になるために差し出されていくという不可思議な感覚は、現代人にはなかなか受け入れられませんね。その上、この時代は何かというとロンドン塔に幽閉してみたり、残忍な斬首や火あぶりの刑が生きていた時代なのです。魔女裁判が行われている一方で、プロテスタントが台頭し、ローマカトリックは大ピンチ。強大なカソリック国であるスペインから嫁いで来たキャサリン王妃をないがしろにはできなかったのです。そのあたりの国際情勢が描かれていなかったのが少々不満かな?
また、ヘンリー8世が世継ぎを欲しがる浮気者のように描かれていたのも、もの足りませんでした。彼も早世した兄の妻だった年上の妻を王妃にして、不満だったのではないでしょうか?
とにかく、今回はそのあたりを切り捨て、野心家のブーリン家がその野心ゆえにドロドロと崩壊していく様と、血塗られた王家の血筋、王の心変わりゆえに起きた姉妹の愛憎という視点に集中したのでしょう。そういう面では大変な成功です。ドロドロは、半端じゃなかったです。美しい二人の女優の容姿とそれを引き立てる衣装の数々、イングランドの自然がさらにそのドロドロと対象をなしていました。
2008年 イギリス・アメリカ ヒューマンドラマ、歴史
2008年12月11日 ワーナーマイカル・シネマズ・多摩センター
監督 ジャスティン・チャドウィック
出演 ナタリー・ポートマン(マイ・ブルーベリー・ナイツ、クローサー、レオンほか多数)、スカーレット・ヨハンソン(私がクマにキレた理由、ブラック・ダリア、マッチポイント、真珠の耳飾の少女、モンタナの風に抱かれてほか多数)、エリック・バナ(ミュンヘン、トロイ)、
(出演作品などは私が観たものに限る)
16世紀のイングランド。ヘンリー8世(エリック・バナ)には世継ぎの男子が生まれなかった。また王妃キャサリンは死産だったのだ。それを知った野心家の新興貴族トーマス・ブーリンは、長女アン(ナタリー・ポートマン)を王の愛人にしようとしていた。一方、次女のメアリー(スカーレット・ヨハンソン)は「優しいだけではだめだ」と商家に嫁がせた。しかし、王が気に入ったのは才気あふれるアンではなく、メアリーだった。そのため姉妹の間に溝が生まれるが、一族は王室に取り立てられた。そんな中、アンは兼ねてから思いを寄せていたヘンリーと秘密に結婚するが、父に反対されてフランスに送られてしまう。一方、王の愛人になることに乗り気でなかったメアリーだが、王の優しさに惹かれ始め、身ごもる。しかし、体調の悪さから引きこもりがちになった王の感心が離れがちになってしまう。危機感を感じた父はフランスからアンを呼び戻す。フランスで洗練されたアンは、王の関心を引くことに成功するが・・・
陰謀と画策がどろどろと渦巻く王を取り巻く人々の世界。権力を手にするためにはまさに、なんでもあり、何でもやれちゃうのでしょう。
今では考えられませんがヨーロッパの国々は皆、キリスト教を深く信じていました。そのため、一夫一婦制の建前があります。権力者たちの間では政略結婚が当たり前なので、必ずしも仲が良くなるとは言えず、その建前の裏には不倫という本音がかならずあったと思われますが、この建前を覆すことはできないのです。なぜなら、王に国を治めるように任命しているのが神であり、その代行をローマ教皇がしていたので、教皇に表立って逆らうことはできなかったからです。そのため、世継ぎを生めない王妃は大変な苦しみを得ることになる割には、徳川幕府のように公のシステムとして大奥を作ることはできなかったのでしょう。
子供の頃に「1000日のアン」という映画を見たし(すっかり内容は忘れましたが)、「エリザベス」もお気に入りの一作です。この二本の映画をつなぐのが今回の一作。アンだけでなく、歴史上にほとんど登場しないメアリー・ブーリンを取り上げたのが見所ですね。
ナタリーがキリリとした顔立ちに寒色系のドレス、スカちゃんがブロンドに例のぷっくりとした唇で、暖色系のおそろいのドレスを着て、それぞれに美しく違う個性を際立たせる演技も見事で目の離せない一作でした。
アンたちの母であるエリザベスだけがまともな感覚の持ち主なのですが、結婚している娘が夫と共に宮廷に取り立てられ、王の愛人になるために差し出されていくという不可思議な感覚は、現代人にはなかなか受け入れられませんね。その上、この時代は何かというとロンドン塔に幽閉してみたり、残忍な斬首や火あぶりの刑が生きていた時代なのです。魔女裁判が行われている一方で、プロテスタントが台頭し、ローマカトリックは大ピンチ。強大なカソリック国であるスペインから嫁いで来たキャサリン王妃をないがしろにはできなかったのです。そのあたりの国際情勢が描かれていなかったのが少々不満かな?
また、ヘンリー8世が世継ぎを欲しがる浮気者のように描かれていたのも、もの足りませんでした。彼も早世した兄の妻だった年上の妻を王妃にして、不満だったのではないでしょうか?
とにかく、今回はそのあたりを切り捨て、野心家のブーリン家がその野心ゆえにドロドロと崩壊していく様と、血塗られた王家の血筋、王の心変わりゆえに起きた姉妹の愛憎という視点に集中したのでしょう。そういう面では大変な成功です。ドロドロは、半端じゃなかったです。美しい二人の女優の容姿とそれを引き立てる衣装の数々、イングランドの自然がさらにそのドロドロと対象をなしていました。
タイプの違う姉妹の愛憎劇は、果てしなくドロドロでしたね。
>イングランドの自然がさらにそのドロドロと対象をなしていました。
これ、確かにそうですね。
自然は、人間のそんな思惑とは関係なく
そのままでそこにある。
もっとも最近は自然破壊が進み、
そうとばかりは言えなくなりましたが…。
私もスカちゃん好きです。
この作品では脇役的で、清楚なスカちゃんを楽しめましたね。
その姉妹がはてしなくドロドロですごかったですけど~。
コメント、TBありがとうごさいました。
アンたちが幼い頃、自然の中で戯れている無垢な姿が対照的でしたね。
まさか、成長してからあんな悲劇が待っているとは誰も想像していませんでした。(涙)
あけましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いします。
TBのお返しが大変遅くなりごめんなさい。
>野心家のブーリン家がその野心ゆえにドロドロと崩壊していく様と、血塗られた王家の血筋、王の心変わりゆえに起きた姉妹の愛憎という視点に集中したのでしょう。そういう面では大変な成功です。
権力に血はつき物ですが、ちょっとひどかったですね。
ナタリーの嫌な女ぶりは、なかなかのものでした。
なりふり構わず…まさにコレに尽きます。
すごい野心家だったのでしょうね…。エリザベス1世のお母様となるとうなづけますね。
それほど、あの時代は血まみれなんですよね。ブーリン姉妹も例外ではなかったということで・・・。えぐくて参りましたが~。
それほど、あの時代は血まみれなんですよね。ブーリン姉妹も例外ではなかったということで・・・。えぐくて参りましたが~。