moiのブログ~日々のカフェ

北欧&フィンランドを愛するカフェ店主が綴る日々のあれやこれや

一夜明けて

2005-09-05 19:36:27 | コラム、というか
うべの「集中豪雨」から一夜が明けました。やはり気がかりだったのでお店の様子をのぞいてきましたが、おかげさまでなんとか無事だったようです。

テレビや新聞でごらんになった方も多いことと思いますが、今回の猛烈な雨で「善福寺川」が氾濫しかなりの被害が出ています。ぼくの住む家は、今回もっとも大きなダメージをうけたエリアから歩いて10分弱ほどのところに位置しています。おなじ町内で停電になった家々もあったようですが、幸いなことにぼくのところはこれといったトラブルもなく無事でした。

ところで、けさ、もっとも被害の大きかった善福寺川周辺の様子をみてきましたが、すでに川の水位はふだんとあまり変わらない程度にまで戻っていました。けれども、町全体にはドブ臭さと消毒液の匂いとが漂い、パトカーや消防、ガスや電力会社、それにマスコミなどの車輌がひしめく町並みは、いつもの閑静な住宅街の景色とはまったくちがったものになっていました。浸水した住宅やオフィス、工場ではみな後始末に大わらわといった状況で、被害の大きさを物語っています。

実際この目で現場をみて感じたことがいくつかあります。ひとつは、おなじ川のちかくでも土地のちょっとした高低差で明暗を分けているということ。ふだん歩いていてもあまり気にならないような土地の起伏が、こういった場合には大きく影響するようです。川のちかくにお住まいの方、これから住もうという方は、そんなことを頭の片隅に置いておいたほうがよいでしょう。いざというとき、どちらへ逃げたら安全かが事前にわかると思います。

もうひとつは、道路と玄関との段差がすくない家、ガレージや住居が半地下になっている家のダメージがことさら大きいということです。もともと、今回氾濫した善福寺川、妙正寺川、それに神田川といえば、かつては大雨のたびに氾濫することで知られた川でした。そのため、古くからある家は玄関の位置が高くなっていたりするのですが、都による洪水対策の調節池の整備が進み氾濫することもすっかりなくなったため、記憶の風化とでもいうのでしょうか、比較的あたらしい家やアパートではそういった対策を講じていない住宅が目立ちます。そして、今回こうした住宅の多くが壊滅的な被害をうけています。あらかじめ、住民はもちろん、行政や工務店、建築家、住宅販売業者などが、その「土地」にかんする知識や情報を共有することの必要性を感じました。

浸水した家の前には、家財品の数々が無造作に山積みされていました。ベッドや家電品など、ほんのさっきまでふつうに使われていた品々があっという間にゴミになってしまったのです。黙々とゴミを運び出す住民の姿に心が痛みます。今回これほどの、台風にも勝る「豪雨」に見舞われるなどといったい誰が予想したでしょう。天災とは、つくづく唐突に、なんの心構えもないところにやってくるものだということをあらためて思い知らされた気分です。

とにかくだいじなのは日ごろからの備え、これにつきます。