moiのブログ~日々のカフェ

北欧&フィンランドを愛するカフェ店主が綴る日々のあれやこれや

海軍さんの珈琲

2004-11-04 23:58:47 | コラム、というか
やしげな、というよりは、どう譲ったってあやしいネーミングとパッケージのド迫力に圧倒されつつ口にしたのは、「海軍さんの珈琲」。広島県は呉市にある、昂珈琲店というところで販売しているものだ。

軍艦のシルエットに力強くはためく日章旗があしらわれたパッケージだけでもじゅうぶん物々しいのに、パンフレットにはこんなコピーまであるのだった。何かを語りかけてくる珈琲。いったい何を語りかけられてしまうのかとドキドキしながら口にしたそのコーヒーは、バニラのような甘い芳香が特徴的な深煎りのブレンドで、意外にも好みの味だったのでなにやら肩すかしをくったような気分だった。

説明によると、この「昂珈琲店」がある呉市はかつて一大軍港として栄えたまちで、そのため、この店の常連客のなかにはかつて海兵隊員として従軍していた、いわゆる「海軍さん」の姿も見かけられたという。そして、かつて「戦艦大和」の砲手をつとめていたひとりの「海軍さん」の記憶をもとに、「大和」の艦内でのまれていた味を再現したのがこの「海軍さんの珈琲」なのだそうである。しかもブレンドにあたっては、日本海軍が駐留していた国々-ジャワ、インドネシア、ニューギニアなど-の豆をつかうという念の入れようで、そこにはいまにも語りかけてきそうな勢いがある。日章旗をみると、自動的に軍艦マーチがジャカジャカ頭の中で鳴り響いてしまうぼくのような人間は、いったいどのような心持ちでこのコーヒーをのめばいいのやら。

勇ましすぎるのもまた、考えものである。