goo blog サービス終了のお知らせ 

moiのブログ~日々のカフェ

北欧&フィンランドを愛するカフェ店主が綴る日々のあれやこれや

旅のカフェ日記 (4)

2005-06-15 17:25:54 | 旅日記
ただいま!フィンランド。移動に船をつかったのはほかでもない。この眺めが、欲しかったのだ。



大型客船のデッキから一望のもとに見渡すヘルシンキの街は、さながら「箱庭」のよう。飛行機が普及するまでの長いあいだ、外国からこの国を訪れるひとびとのほとんどが目にしたであろう眺めがここにある。武藤章『アルヴァ・アアルト』(鹿島出版会)によれば、この港の一角に建つビルディングを設計したアールトは、かなり工事が進むまで中に入ろうとはせず、もっぱら離れた埠頭から建物を眺め、満足げに引き返すだけだったという。この国を最初に印象づける「眺望」の完成度こそが、あるいは彼のこだわりだったのかもしれない。

昼下がりの「マーケット広場」は、すでに夏のにぎわいを見せている。いちごやプラム、鮮やかな緑色をした「エンドウマメ」を売る屋台。魚のくんせいや色とりどりの花々、さまざまなお土産物を売る屋台のなかに、なにやらちょっと風変わりな屋台を発見した(写真)。



名づけて「ヘルシンキの母」。手相を観つつ、いろいろな相談にのっている模様。友人の画家ヴィーヴィ・ケンパイネンも、夏のあいだ、ここでじぶんの描いた絵を売っている。



ちなみにmoiのプッラのレシピは、このヴィーヴィから教わったものである。そして、いつもかならず顔をだすギャラリー、それにお気に入りのガラクタ屋へと向かう。このガラクタ屋は去年、うちの母親が古布でこしらえた飾り物と交換に、無理矢理ディスカウントさせて逃げた思い出(?!)の店である。気難しげな店のおばちゃんが入るなりニヤニヤしていたところをみると、どうやらこちらの顔を覚えいたらしい。まいったなァ。

歩き疲れるときまって、ぼくは苦いコーヒーがほしくなってしまうのだ。けれどもフィンランドで苦いコーヒーにありつくのは至難のワザだ。どこに行っても酸味の強いコーヒーばかり。そこでエスプレッソがうまいと評判のカフェ、「Espresso Edge」でひとやすみすることにする。



イタリア製のマシンを巧みにあやつり、きれいなおねえさんが淹れてくれるエスプレッソがまずかろうはずもなく・・・フィンランド初日、まだまだこの足は止まることを知らないのであった。

旅のカフェ日記 (3)

2005-06-14 02:48:39 | 旅日記
きょうもまたよく晴れた。午後には船でここストックホルムを発ち、ヘルシンキへと向かわなければならない。とにかく追われるようにして、ソーデルマルムへ。



アセる原因はほかでもない。じつは、今回まだほとんどなにも仕入れられていないのだ。初めてで勝手がわからないということもあるが、目をつけていたものも実際に手にとってみるとたいしたことなかったり、また値段が見合わなかったりで結局いまひとつピンとくるものと出会えていない。午前中は雑貨屋、セレクトショップ、それに本屋などをひやかして歩く。

ソーデルマルムは庶民的な雰囲気の街だ。こじゃれたインテリアショップなどにまじって、チープな古着屋やアジアン・テイストの雑貨屋などが点在するその雰囲気は、さしずめ中目黒 meets 高円寺といったところ。



ここで案外気に入ってしまったのが、「Sodermalm Saluhall」というイケてないショッピングセンター。まあ、言ってしまえば荻窪の「タウンセブン」のようなものである。ここの1階はちょっとした市場のようになっていて、魚屋や肉屋、それにパン屋、デリカテッセンのような店がひしめいていて魅力的。次回訪れるなら、この近辺に宿をとってここで食事を調達するのも悪くないななどと思う。

それにしても、こちらにやってきてからというもの朝ゴハンをはりきって食べすぎてしまうせいで、昼になってもお腹がすかない。困ったものだ。まあ、毎度のことではあるのだけれど。そこで、さきほどの「Saluhall」の中にあるカフェ「Soder Espresso」でケーキとコーヒーで済ますことにする。ケーキはブルーベリーをつかったもので、表面にはクランブルがのっている。「ソースをかけるか?」と尋ねるのでよくわからないままうなずくと、ほとんどソースの中でケーキが溺れているような状態になっていて衝撃をうける(写真)。



おそるおそる口に運ぶと、セーフ、甘さ控えめのフワフワのカスタードソースでしつこさは感じない。むしろケーキの甘さを中和してくれるようだ。近所のビジネスマン、ベビーカーを押した若いママ、お年寄りから若者まで気楽におとずれ「fikaする」、そんな普段着感覚のカフェなのだ。その後、お目当てのギャラリーでスウェーデンの作家の作品をチェックし、本屋や文房具屋ですこしだけ仕入れをして慌ただしくこの街をあとにした。

ストックホルムから、一晩かけてヘルシンキへと向かう客船「シリヤライン」が出航する港は市内のはずれ、ちょっと不便なところにある。そこで話のタネにと、ちょっと贅沢してタクシーに乗ってみることにする。スウェーデンのタクシーは、ベンツやボルボのステーションワゴンが主流。ぼくはできれば「ボルボ」に乗りたかったのだが、ガ~ン!やってきたのはこともあろうに「三菱」・・・(笑)。炎上することもなく、無事港に到着。

午後5時30分、波ひとつない静かな海を白亜の巨大客船がゆったりとすべりだす。船上のお楽しみは、なんといってもビュッフェディナー。なかなかおいしいとの評判だったのだが、いや、確かにおいしい。昼ゴハンをパスした甲斐あってムキになって食べる。食べる、また食べる。「シリヤライン」を利用するひとは、ケチをせずにビュッフェディナーを予約しましょう。きっと元は取れます。ちなみに相席になったスウェーデンの女子高生二人組は、からかい半分に横のフィンランド人一家のマネをしながらもの凄い勢いで「ゆでエビ」の山を片づけていた。それにしても、デザートまでいった後で、さらに「ゆでエビ」を山盛りにして戻ってきたのには驚きを通り越して恐怖すらおぼえた。しかもジュースといっしょに。大丈夫か、アイツら・・・。



日付けが変わるころ、船はフィンランド領のオーランド島に寄港する。誰もいないデッキに立ち、次第にちいさくなってゆくオーランドの港の灯りをながめる。とてもきれいな眺めだった(写真)。船内に戻り「Robert's Coffee」で買ったあたたかいコーヒーを飲めば、すっかり冷たくなってしまった体も少しずつあたたまってくる。キャビンのテレビでは、船内のディスコの様子をナマ中継している。ミラーボールが廻るダンスフロアでは、生バンドが演奏するアバの調べにのってなぜかチークを踊るイケてない人々の姿・・・オレの白夜にかすむオーランド島の印象を返してくれ・・・こうして海上の夜はふけてゆく。

旅のカフェ日記 (2)

2005-06-13 00:21:10 | 旅日記
よく晴れている。天気予報によると、きょうはだいぶ気温が低いらしい。「ストックホルムはデカい(もちろん「ヘルシンキ」とくらべての話だけれど)」知人たちは口をそろえて、そう言う。忠告に従って、今回はできうる限り地下鉄で移動しようときめている。歩けそうなところでも地下鉄で。旅ははじまったばかりなのだ。中央駅の窓口で、まずは乗り放題のツーリストチケットを手に入れる。旅行者向けには、美術館や博物館などでも利用できる「ストックホルム・カード」というのがあるが、移動だけのために使うのなら断然割安な「ツーリストチケット」がおすすめである。

さっそく地下鉄にのって、建築家グンナー・アスプルンドの手になる「森の火葬場」へ(この話はまたべつのところで)。ふたたび地下鉄にのり、昼過ぎ、ソーデルマルムあたり。とにかくちいさくて気のきいた店が好きなので、今回の旅は「ソーデルマルム」だけでいいや、と極端にいえばそんな感じなのだ。ただ、行きたいギャラリーやショップのいくつかは月曜日で閉まっている。そこできょうは、メインストリートの名前と位置関係をアタマに叩きこむこと、くわえておもしろそうなショップが集中していそうな通りを発見することに重点を置いて、ひたすら歩く。やっぱり、けっきょく歩くのだ。でもこうして歩いているうち、街もだんだん親しげな表情になって、やがておもしろい店のありかをこっそり教えてくれたりするものなのだ。

こうして出会ったのが、壁の赤と白のツートンがかわいいZOUK cafeである(写真)。


近所のおじさんやショップの店員たちがふらりとやってきては、慣れた様子でオーダーしてゆく。そんな気取らない空気が心地いい。そしてここでおいしかったのが、なんといっても「キャロットケーキ」(写真)。ごらんのとおり、相当に荒っぽいつくりである。ニンジンが、これでもかとばかりザクザクとはいっている。素朴だけど、「そこでしか味わえないおいしさ」と出会えるのが北欧の醍醐味かもしれない。


北欧で「キャロットケーキ」はポピュラーなのだろうか、旅の途中あちらこちらのカフェでみかけたが、この店のやんちゃなキャロットケーキの味がぼくには忘れられないのである。

そしてまたも地下鉄を乗り継ぎ、エステルマルムへ。


ソーデルマルムのカジュアルな空気とはガラリと変わり、こちらはちょっと銀座ふう。相方のたっての希望で、「スヴェンスク テン」の本店へゆく。ふと気づくと、店内に流れるのははっぴいえんど「風をあつめて」。ストックホルムで「はっぴいえんど」。なんとも不思議な取りあわせだが、おかげでストックホルム滞在中、ずっとあたまの中ではこの曲がぐるぐると・・・。でも、この曲の「テンポ」にいまの「東京」は似合わない。むしろこの街の「テンポ」のほうがよほど似合っているかも、とそんなことをかんがえながら。

夕食は旧市街「ガムラスタン」で。味はというと、いわゆる「観光地」にふさわしいレベル。スープの殺人的なしょっぱさが理解できない。食後は腹ごなしをかねて、散歩しながらホテルへともどる。きりっと引きしまった空気が、この日の《最高のデザート》だった。

旅のカフェ日記 (1)

2005-06-12 20:40:27 | 旅日記
ヘルシンキを経由して、夕方ストックホルムにたどりつく。ヘルシンキではどんよりと曇っていた空も、もうすっかり晴れあがっている。日射しは強いものの空気はまだ相当につめたい。ホテルではまずトイレをチェック。はじめてフィンランドを訪れたとき、便器が「アラビア」製なのにひどく感激(?)したものだが、案の定ここスウェーデンでは「グスタフスベリ」製なのだった(写真)。だからといって、でてきたコーヒーカップに「TOTO」のロゴがはいっていたら、うれしいというよりむしろイヤな気持ちすらおぼえるのだから、人間なんて勝手な生き物である。


とりあえず荷物をひろげると、あとは一息つこうという話になってさっそく街にでた。日曜日の夜(とはいえ、まだまだ昼間の明るさなのだが)にしては若い子たちを中心に人出が多い。少ないながら営業している店もある。このあたり、ヘルシンキとはだいぶ様子がちがうようだ。セルゲル広場の界隈をぶらぶら歩いていると、チェーン系を中心としたさまざまなカフェが目につく。さすがは「fika (お茶する)」という言葉をもつお国柄である。

飛行機の中で食べてばかりいたせいで、残念ながらあまりお腹はへっていない。そこでヒョートリエットにほどちかい「マクドナルド」でお茶を濁すことに。じぶんたちをふくめ、店内はなぜか「外国人」だらけ。さまざまな言語、さまざまな肌の色にあふれた「移民」のおおい街なのだ。出発前、いろいろなひとから聞かされていた「ストックホルムは都会だよ」という言葉の意味が、そんなところからも実感される。


コーヒーを頼むと、スティッグ・リンドベリの「アダム」をモチーフにしたカップで出てくる(写真)。そう、「便器」を、ではなくて「便器」も(笑)作っているあの「グスタフスベリ」社を代表するデザイナー、リンドベリの不朽の名作をこんな気のきいたやりかたでリメイクしているのだから感心してしまう。どうやら、ラージサイズでオーダーすると「葉っぱ」の図柄で人気の高い「ベルソ」で出てくるらしいのだが、さすがに胃がガボガボなのでやめておく。ほかにも、かなり早い時期から店舗デザインを若手のデザイナーに任せたりと、スウェーデンのマクドナルドはおもしろい試みをいろいろやっている。ただし、サラダはまるで「鳥のエサ」のようだし、店内にはやたらとゴミが目立つしで、なんか「基本」が抜けてしまっているあたりがちょっと問題のような気がしないでもないが。

まだまだ沈みそうもない夕陽のなか、ホテルへと帰る。思えば、ながいながい一日の終わりである。