こんにちは、就職指導室の遠藤です。
今日のテーマは、富士通がメインフレームというコンピュータ分野からの撤退を決断した話です。
今年の2月、衝撃的なニュースが飛び込んできました。
・富士通がメインフレームというコンピュータの製造と販売から撤退する。
・製造と販売を終了するのは2030年とし、2035年には保守サービスも停止する。
・66年に及んだメインフレー厶という分野から完全に撤退する。(いわゆる2030年問題です)
メインフレームとは、長らく富士通の屋台骨を支えてきたコンピュータです。はじまりは、1964年に発売した「FACOM 230シリーズ」でした。同じ年にIBMが「System360」という、画期的なメインフレームを発表し、国内外のコンピュータ・メーカを奈落の底に突き落としました。以降、富士通とIBMは壮絶な死闘ともいえる技術競争に明け暮れることになります。このあたりことは、前回に書いたブログ「東京オリンピックとコンピュータ」で書きましたので、併せて読んで下さい。
電子情報技術産業協会(JEITA)によると、2020年のメインフレーム国内総出荷台数は159台でした。メインフレームは、出荷台数こそ少ないのですが、出荷金額にすると304億円もあります。この金額から、メインフレームの1台あたりの価格は、約2億円と非常に高価であることが分かります。メインフレームは、10万円も出せば買えるPCやサーバに比べて、桁違いに高価なのです。また、国内の市場シェアに目を向けると、富士通:46.7%、NEC:26.7%、IBM:16.1%、日立:10.6%となります。富士通は、国内シェアでトップですので、負け戦からの撤退ではないことが分かります。しかしながら、メインフレームの市場は、最盛期に比べて10%以下にまで縮退しました。トップシェアであることから、業界を正しい方向にリードする役目があるとすると、市場からの撤退は正しい判断だと思います。
富士通は、既存のお客様に対し、メインフレームからクラウドコンピューティングへの移行を提案しています。しかし、IBMやNECは、メインフレームビジネスを継続すると発表しています。また、アクセンチュア、日立は、移行サービスを掲げ、市場を巻き取ろうとして競争がはじまりました。新たな戦いの火蓋が切られました。この戦いの勝者は誰になるのでしょうか? メインフレームの終了は、感慨深く寂寥感も覚えますが、新たなステージのはじまりでもあります。
イラストは、シン・ウルトラマンです。先週末から封切りとなりましたが、まだ未見です。今週末に鑑賞する予定を立てています。ですので、一切のネタバレを遠慮しますので、よろしくお願いします。