もぐらたたき!

CDのレビューとかなんとか

Rock of Faith/John Wetton

2015-02-27 21:42:38 | レビュー

<List>
1. Mondrago
2. Rock of Faith
3. A New Day
4. Ive Come to Take You Home
5. Who Will Light A Candle?
6. Nothings Gonna Stand in Our Way
7. Altro Mondo
8. I Believe in You
9. Take Me to The Waterline
10. I Lay Down
11. When You Were Young

<Member>
・John Wetton(Vocal, Bass)
・John Mitchell(Guitar)
・Geoffrey Downes(Keyboard)
・Clive Nolan (Keyboard)
・Steve Christey (Drums)

2003年リリースのソロアルバム。5作目となります。John Wettonは本当にいつも休まず創作活動を続けていますね。

2ndアルバムの"Battle Lines"が良い曲が集まりである傑作だったのに対し、彼のソロアルバムの中でこの作品だけがプログレッシブ・ロック、とりわけシンフォニック・ロックの傑作であると言いきれます。

少し衰えを感じさせたJohnのボーカルも持ち直したというか、以前より良くなったような気がします。

"Mondrago"のギターソロはのちにIt Bitesに加入するJohn Mitchellじゃありませんか。彼の独壇場。非常に叙情的で哀愁を帯びたスローな演奏を聴く事が出来ます。

2曲目の"Rock of Faith"はエスニックというか、パーカッションを大幅に導入した異色な曲です。とてもゆったりとしたなか、Johnのボーカルが力強いです。

こ の後もスローな曲が続きます。このアルバムに速い曲は1曲もありません。ストリングを大幅に導入したロック色の低い楽曲ばかりです。キリスト教の曲の様で す。あえてロック色が感じられる曲を挙げれば、"A New Day"、"Nothings Gonna Stand in Our Way"、"Take Me to The Waterline"といったところ。部分的に局面が変わる部分はあるけれど、基本的にシンフォニックです。

"Battle Lines"がJohnのソロアルバムではこれ以上のものはないだろうと思っていましたが、この作品を聴いてからはこちらの方を聴く機会が増えまし た。"Battle Lines"はドラマーがアメリカ人なんですよね、上手いんですけど。このアルバムは非常に湿り気のあるブリティッシュ・ロックという感じです。トータル イメージを重視したことで、本当に素晴らしい作品が出来ました。アルバム全体を1曲として評価して欲しい作品です。癒されます。何度も言いますが、本当に 素晴らしい作品ですよ。

個人的にはこの作品に伴う来日ツアーを見ていることもあって、忘れられないです。
Johnは体の線が崩れてジャージ姿。1曲目はAsiaの"Wildest Dream"でした。


The System Has Failed/Megadeth

2015-02-26 20:40:42 | レビュー

<List>
1. Blackmail the Universe
2. Die Dead Enough
3. Kick the Chair
4. The Scorpion
5. Tears in a Vial
6. I Know Jack
7. Back in the Day
8. Something That I'm Not
9. Truth Be Told
10. Of Mice and Men
11. Shadow of Deth
12. My Kingdom

<Member>
・Dave Mustaine(Vocal, Guitar)
・Chris Poland(Guitar)
・Jimmie Lee Sloas(Bass)
・Vinnie Colaiuta(Drums)

2004年リリースの10th。このアルバムは実質Dave Mustaineのソロアルバムと言い切れるもので、それ故に硬質なMegadethが復活しています。

セッ ションメンバーを見て驚きました。Jimmie Lee Sloasというベーシストは全く知らないのですが、ドラムスはあのVinnie Colaiuta!知っていますか?カカカカリ、カリウタァーッ!!とてもMegadethとは結びつかない。どういう伝手で引き受けたのでしょうか?ど なたか御存知な方がいたら教えて下さい。う~ん、Vinnie Colaiutaは音楽に対する偏見のない広い心持主なのか、ただ単に節操がないだけなのか、、、とてもMegadethの音楽にマッチした迫力のある素 晴らしいプレイを披露しています。細かい芸も素晴らしい。

Megadethはもう終わったと思っていましたが、Webで事前に公開され た"Kick the Chair"を聴いて、Megadethらしい速い曲だけど単調な感じがしたのでアルバムの購入は控えました。それから大分経ってアルバム全曲を聴いたの ですが、もっと早く入手しておけば良かったと悔やみました。他のメンバーへの気遣いや干渉を受けずに作ったらこれ程良い物が出来るじゃないかと。

"Blackmail the Universe"は飛行機が何かにガッシャーンとぶつかった音、9.11を想起させるものですが、おねえさんが"Braking News…Airforceone…Б☆ИфΘΠζ…"からカッコイイですね。ギターリフも以前のMegadethのようです。曲の展開も複雑で、こうい うのを待ってたんですよ!

前述した"Kick the Chair"はアルバムに組み込まれると非常に良い曲に思えるから不思議です。歌詞に"The System Has Failed !"というアルバムタイトルが使われているのでDaveにとってこの曲はアルバムの中で重要な位置づけなのでしょう。ギターリフは複雑で速く、ボーカルは 激おこです。

かと思えば"The Scorpion"みたいなつまらない曲もあるから不思議です。

"Tears in a Vial"や"Truth Be Told"は目まぐるしい曲展開でギターも切れ味が鋭く、ミドルテンポから途中急にアップテンポに変わったりする曲です。Megadethの得意とするところでしょう。

このアルバムを聴くと、指向の違う取り巻きと手を切った事でDaveがやりたいことがやっと結実した感があります。民主的な国家と優秀な独裁者に統治される国家とではどちらがどちらが素晴らしいのでしょうか?


Discipline/King Crimson

2015-02-25 18:23:57 | レビュー

<List>
1. Elephant Talk
2. Frame by Frame
3. Matte Kudasai
4. Indiscipline
5. Thela Hun Ginjeet
6. The Sheltering Sky
7. Discipline

<Member>
・Adrian Belew(Guitar, Vocal)
・Robert Fripp(Guitar)
・Tony Levin(Bass, Chapman Stick)
・Bill Bruford(Drums)

1981年リリースの8th。それまでのKing Crimsonの音楽性は全く継承されず、1からの出直しと言えます。ファンはそれに少なからずショックを受けた事でしょう。この大きな音楽性の変化を以て真の意味でのプログレッシブ・ロックと言えるのかもしれません。

当初はAdrian Belewの歌が下手だとか、アメリカ人が2人もいるとかで「こんなのクリムゾンじゃない」という意見が多かったように思うのですが、時間が経つにつれ「これは時代を先取りした傑作だ」とか「これは神盤だ」等と再評価されているようです。げんきんな人達です。

という私も最初はついて行けませんでした。でも「人の悪い所ばかり見るのではなく、良い所を見つけよう」ということで、最初に気に入った曲はBill Brufordらしいドラムと呪いの様のようなギターソロを聴く事が出来る"Indiscipline"と、多分Tony LevinのStickが使われていて叙情的でタイトルにふさわしい"The Sheltering Sky"です。

で、今思えばこのアルバムのエッセンスは"Frame by Frame"、"Thela Hun Ginjeet"、"Discipline"にあると言えます。派手なギターソロはAdrian Belewがかっさらっていますが、2本の細かく素早いギターリフが接近したり離れたり、ハモったりします。ミニマルミュージックですね。その正確さは機械の様で、ひとつのピッキングミスで全てが壊れてしまいそうです。このアルバムで展開されている業というのは、実は綿密に計算された上で相当高度なのではないかと誰かが言っていました(笑)Adrian Belewのギターで象やカモメの鳴き声を真似ているなんて事は実は表面上の事で大したことではなくて、Robert Frippの難しいお題を具体化出来るお眼鏡にかなったギターリストであったという事でしょう。

それと最後に触れておかなければならないのはBill Brufordのドラムです。実に早い段階からエレクトリック・ドラムをセットの中心に据えて、その可能性を追求していました。

King Crimsonを初めて聴く方にこのアルバムを推薦するつもりはありませんが、傑作には違いありません。


Fabulous Disaster/Exodus

2015-02-24 21:29:08 | レビュー

<List>
1. The Last Act of Defiance
2. Fabulous Disaster
3. The Toxic Waltz
4. Low Rider
5. Cajun Hell
6. Like Father, Like Son
7. Corruption
8. Verbal Razors
9. Open Season

<Member>
・Steve "Zetro" Souza(Vocal)
・Gary Holt(Guitar)
・Rick Hunolt(Guitar)
・Rob McKillop(Bass)
・Tom Hunting(Drums)

1989年リリースの3rd。真面目に取り組んだ隙のないシリアスな前作とは異なり、明るくユーモラスでリラックスした仕上がりとなっております。

H-Teamはますますベイエリア・クランチに磨きを掛け、これぞスラッシュ・メタルと言う感じです。

つかみの1曲目、"The Last Act of Defiance"から力いっぱい飛ばしてまいります。2人はギターソロも上手いのです。

タイトル曲の"Fabulous Disaster"はこのアルバムで一番カッコイイ曲でしょう。

"The Toxic Waltz"はちょっと悪乗りし過ぎかと思いましたが、時間が経過してみると彼らの代表曲になりましたね。

"Low Rider"はWarという黒人バンドの曲のカバーで「世界の車窓から」で初めて原曲を聴きましたが、とてもゆるい曲です。もし興味を持ったならYouTubeで探してみて下さい。原曲の面影を崩すことなくなかなかのアレンジです。

"Like Father, Like Son"までは複雑な曲展開やメロディーに工夫が見られるのですが、その後の3曲はちょっと一本調子であくびが出るかもしれません。

こ のアルバム以降は違うジャンルに興味が移りこれ以降の彼らの歩みは知らないのですが、"Pleasures of the Flesh"~"Fabulous Disaster"~"Impact Is Imminent"の3部作が彼らが一番充実していた時期の様です。その後はメンバーの入れ替わりも激しく、ボーカルのSteve "Zetro" Souzaはバンドを出たり入ったりを繰り返します。

スラッシュ・メタルを語るなら、Exodusは外せません。


Damn Yankees/Damn Yankees

2015-02-23 20:06:48 | レビュー

<List>
1. Coming of Age
2. Bad Reputation
3. Runaway
4. High Enough
5. Damn Yankees
6. Come Again
7. Mystified
8. Rock City
9. Tell Me How You Want It
10. Piledriver

<Member>
・Jack Blades(Vocal, Bass)
・Ted Nugent(Vocal, Guitar)
・Tommy Shaw(Vocal, Guitar)
・Michael Cartellone(Drums)

1990年リリースの1st。当時こんな凄い面子でバンドが結成されたなんてとても驚きだったことでしょう。

一言で表せば、それまでのアメリカンロックの集大成。とても明るくて楽観的、心はウキウキ(笑)。ドライブのお供に最適でしょう。

ブリティッシュ・ロックの辛気臭さは微塵も感じさせません。しかもみんな素晴らしいキャリアを持ち、技術的な裏付けがあるのですから。曲はかなり練られていて収録曲全て良い曲です。

フロントマンの3人はボーカルを分け合い、Michael Cartelloneもコーラスに参加します。ボーカルハーモニーも聴き所です。

1曲目の"Coming of Age"はこのバンドがどんなバンドなのかの挨拶代りのような曲です。コーラスとギターが目一杯入っています。

"High Enough"はボーカルハーモニーを生かしたバラードです。ジーンズのCMで流れた事もあり、みなさんも聴いた事がある曲かもしれません。良いチョイスです。

アコースティックギターから始まり、徐々に盛り上がっていく"Come Again"は個人的にはこのアルバムの中で一番良い曲だと思っています。リードボーカルはTommy Shawですね。曲の途中でタッピング等を交えた長いギターソロもあります。

"Rock City"はとてもパワフルな曲です。ボーカルも三人で分け合い、ギターソロも炸裂。"Rock City, USA!"と叫び、とても判り易い曲でもあります。

最後の"Piledriver"はファストな曲です。そういえばツーバスドコドコ、速い曲はこの曲だけ。

こ のアルバムで一貫しているのは、コーラスを多用していること。欧米人は子供の頃から教会で歌わされるのでボーカルハーモニーが自然と身に付くそうです。日 本人はそういうの苦手ですよね。そして、ギターソロが充実していること。速弾きやタッピング、アーミング、ノイズ、スクラッチ、エレクトリック・ギター特 有のフィードバック等、自由奔放に弾いています。

丁度アメリカの世相が変わり、グランジ、オルタナティブ・ロックが台頭してきた頃にデビューしました。逆風の中、はたして孤軍奮闘を見せることが出来るでしょうか?