毒まんじゅうはいかが?

CDのレビューとかなんとか

Alpha/Asia

2015-02-22 22:41:17 | レビュー


1. Don't Cry
2. The Smile Has Left Your Eyes
3. Never in a Million Years
4. My Own Time
5. The Heat Goes On
6. Eye to Eye
7. The Last to Know
8. True Colors
9. Midnight Sun
10. Open Your Eyes


・John Wetton(Vocal, Bass)
・Steve Howe(Guitar)
・Geoff Downes(Keyboard)
・Carl Palmer(Drums)

1983年リリースの2nd。彼らのBestは1stかこちらかで意見が分かれます。私は1stの方が好きです。

ま ず、一聴して直ぐにプロダクションの違いに戸惑いました。リバーブ系のエフェクトが効き過ぎの様に思います。何か薄いベールが掛かっているかの様です。テ クニカル志向はグッと奥にしまい、楽曲重視の姿勢が感じられる作品です。真面目で遊び心はまるで感じられませんので、ポップと言いきってしまうのもどうか と思います。

特に前作と比べるとCarl Palmerのプレイはかなり抑えられています。細かい芸は聴き取れますが。まぁ、これはこの作品の作風を考えると仕方ないですね。Steve Howeのギターは精神を集中して聴かなければKeybordのサウンドに埋もれてしまって前に出てきません。John WettonとGeoff Downesが主導で制作されたのではないかと推測されます。

"Don't Cry"は1曲目にふさわしい元気で良い曲ですが、曲名からどんな世界観なんだろうと追求したらがっかりしそうなので対訳は見ません。

"The Heat Goes On"は曲の間でGeoff Downesのハモンドオルガンのソロがあります。わりとハードワークです。この人はオーケストレーションの人で、テクニカルな演奏をするタイプではないと思うのですが、結構長いです。

"Eye to Eye"はSteve Howeが一番良い仕事をしている曲です。最後にフェイドアウトしていくギターソロは彼らしい変なタイム感で、素晴らしい演奏です。

"Midnight Sun"はスローテンポの曲ですが、リラックスさせてくれるメロディーを持ち、最後の曲への橋渡しをしてくれる曲です。出だしが何拍子か良く解らない曲です。7拍子ですか?

こ のアルバムも良いメロディーを沢山運んでくれる良い曲の集まりです。ですが、1stアルバムの様なテンションが感じられません。この頃の時代背景を考える と、MTVが力を持ち、ニューウェーブが台頭していたので、それが本作に少なからず影響を与えたのではないかと邪推します。彼ら(あるいはとりまき)は演 奏が上手くてもマーケティング戦略は上手ではないようです。

 


Black Tiger/Y&T

2015-02-21 18:23:57 | レビュー

<List>
1. From the Moon
2. Open Fire
3. Don't Wanna Lose
4. Hell or High Water
5. Forever
6. Black Tiger
7. Barroom Boogie
8. My Way or the Highway
9. Winds of Change

<Member>
・Dave Meniketti(Vocal, Guitar)
・Joey Alves(Guitar)
・Phil Kennemore(Bass)
・Leonard Haze(Drums)

1982年リリースの4th。彼ら全盛時の傑作3部作の真ん中の作品です。

当時は日本でとても人気があったと思うのですが、今このバンドを御存じの方はどれくらい存在するのでしょうか?毎年多くのバンドがアルバムをリリースするので、良いアルバムであっても埋もれてしまいますよね。なので、これを取り上げます。

音楽的傾向はハードロックとへヴィーメタルの中間のような感じです。いや、メタル寄りかな?

ま ず"From the Moon"というアルバムのイントロですね。オーバードライブが掛かったギターハーモニーから始まって、攻撃的でファストな"Open Fire"になだれ込みます。Judas Priestの"Hellion"~"Electric Eye"のような感じです。ギターソロもメタルバンドのそれですね。

"Don't Wanna Lose"はミドルテンポの曲ですけど、曲のストラクチャーとDave Menikettiのボーカルとギターソロがとても心地よいものにしています。この曲は優しさも感じられる良い曲です。

こ のアルバムのハイライトは昔で言う所のA面最後にやって来ます。1曲目の"From the Moon"のメロディーが再度流れ、傑作"Forever"が始まります。この手法はプログレッシブ・ロックのアイディアを引用したのかもしれません。ミ ドルテンポの曲なのですが、素晴らしいギターリフと、Dave Menikettiのボーカルですね。とてもドラマティックに進行していきます。そして、ギターソロ。ロックミュージックにギターソロは必要ですね。この 曲がY&Tの作品の中で1番良い曲だと思います。前作の"Hurricane"とのどちらかです。

B面冒頭の"Black Tiger"もファストな曲です。2人のギターリフとPhil Kennemoreのベースが目立つ曲です。ギターハーモニーも織り交ぜ、ギターソロもクレージーな事をやっています。メタルソロです。

最後に"Winds of Change"というバラードで締めます。この形が前作から継承されています。

こ のバンドの主役はDave Menikettiです。歌も上手ければギターも上手い。速弾きだけではなく、ブルージーなギターソロも得意としています。ボーカリストとしての力量はあ のRainbowに在籍していた強力なボーカリスト、Ronnie James Dioにも認められました。

今の時代は沢山の選択肢があり、当然金銭的にも精神的にも一杯かもしれませんが、その中へ埋もれてさせてしまうのには惜しい作品です。皆様にはこの作品を一度でも聴く機会があればいいなと思います。


Under the Influence/Overkill

2015-02-20 21:36:20 | レビュー

<List>
1. Shred
2. Never Say Never
3. Hello from the Gutter
4. Mad Gone World
5. Brainfade
6. Drunken Wisdom
7. End of the Line
8. Head First
9. OverkillⅢ(Under the Influence)

<Member>
Bobby "Blitz" Ellsworth(Vocal)
Bobby Gustafson(Guitar)
D.D. Verni(Bass)
Sid Falck(Drums)

1988年の3rd。Overkillはアメリカ西海岸のサンフランシスコやLA等のスラッシュ・メタルムーブメントではなく、東海岸のニューヨークを本拠地とするバンドです。

D.D. Verniのベースがバリバリと音を立てて、その上にBobby Gustafsonのクランチ・リフが乗り、Bobby "Blitz" Ellsworthのちょっと癖のあるハイトーンボーカルが叫んでいる感じです

バンドの中心人物はBobby "Blitz" EllsworthとD.D. Verniなんでしょうけど、ギターのBobby Gustafsonがギターソロ等、色々と工夫をして何か特別なものにしている様に思います。

"Hello from the Gutter"やトリプレットの"End of the Line"のようなストレートな曲もありますが、曲展開を重んじ、とてもドラマティックな曲が良いアクセントを生んでいますね。特につかみの1曲目であ る"Shred"や"Drunken Wisdom"、そして、最後にとっておきの"OverkillⅢ"が本当に素晴らしい、、、下手には真似の出来ないスラッシュメタル。

アルバムアートを見るとB級な印象をもたれるかもしれませんが、音楽の方は傑作ですよ。この髑髏蝙蝠(ドクロコウモリ)結構好きですけどね(笑)


Roll the Bones/Rush

2015-02-19 21:33:01 | レビュー

<List>
Dreamline
Bravado
Roll the Bones
Face Up
Where's My Thing(Part IV, "Gangster of Boats" Trilogy)
The Big Wheel
Heresy
Ghost of a Chance
Neurotica
You Bet Your Life

<Member>
・Geddy Lee(Bass, Vocal, Keybord)
・Alex Lifeson(Guitar)
・Neil Peart(Drums)

1991年リリースの14th。このアルバムはアートワークの色使いや秋にリリースされたこともあって、秋を感じさせます。

結 論から先に申しあげますと、Rushのアルバムの1stから、現時点で最新の"Clockwork Angels"までのアルバムの中でこのアルバムが一番ポップなアルバムだと思っています。異論はあるとおもいますが。「ポップだからダメだ」と言って非 難している訳ではありません。

非常に肩の力が抜けて、オプティミスティックな雰囲気がアルバムを支配しています。1曲目 の"Dreamline"はこのアルバムの代表曲でファンからも気に入られているからライブで多く演奏されていますが、実はこの曲はRushのメンバーに とっては演奏するのが簡単だからなんじゃないでしょうか?(笑)

"Bravado"はRushの所信表明のような歌詞で、"A Farewell to Kings"の名曲、"Closer to the Heart"に取って代わるかもしれないと思いましたが、早々にライブのセットリストからは外されたようです。

そして、違和感があると思われるアルバムタイトル曲"Roll the Bones"ですが、Rushがこれやるかぁ?って感じです。まぁ、洒落てるという事で。

"Where's My Thing"は久々のインストゥルメンタル。勇気と希望を与えてくれるような明るい曲です。

個人的には"The Big Wheel"がこのアルバムで一番好きな曲です。この曲も非常にポジティブで穏やかな空気を運んでくれます。

"Ghost of a Chance"は少し暗くてAlexのちょっとブルージーなギターソロを聴く事が出来ます。

"You Bet Your Life"はなんと形容したらよいのか。数多くのラッシュの曲のなかでもかなり弾けていて楽天的です。とてもポップです。これ、ライブライブのセットリストに入ってたんですか?無理だと思いますよ(笑)

このアルバムは難解なRushとは一番遠いと思います。難しく考えずに聴くべきです。このアルバムに限ってはメンバーも多分あまり悩まずに作ったんでしょうから。

前作"Presto"をプロデュースしたRupert Hineとは本作を以て袂を分かつのですが、本作では前作以上にGeddyのボーカルが素敵に録音されていると思いますよ。

参考までにビルボード3位。

 


Trespass/Genesis

2015-02-18 21:25:30 | レビュー

<List>
1. Looking for Someone
2. White Mountain
3. Visions of Angels
4. Stagnation
5. Dusk
6. The Knife

<Member>
・Tony Banks(Keybord, Guitar)
・Peter Gabriel(Vocal, Flute)
・John Mayhew(Drums)
・Anthony Phillips(Guitar)
・Mike Rutherford(Bass, Guitar)

1970 年リリースの2nd。1stアルバム"From Genesis to Revelation"は、何といいますか、ほんの数回聴いただけで…第1印象が違うバンドの様で…あー、はっきり言うとつまらなくて、2、3回聴いただ けで聴くのを辞めてからもうかなり経ちます。なので全然覚えておりません…(苦)アコースティックな短い曲の集まりだったように記憶しております。

所属レーベルを変えてリリースしたこの2ndアルバムが実質デビューアルバムと言えましょう。

このアルバムはアコースティックで幻想的なパートが多くを占めています。ですが、退屈で眠くなったりはしません。それは曲が良いからでしょう。それと長尺な曲がプログレッシブ・ロックバンドに方向転換した事を具現化しています。

"Looking for Someone"は1曲目を飾るに相応しい静と動のコントラストが絶妙な長編です。展開が目まぐるしく、1回聴いただけではこの曲の良さは理解出来ないでしょう。

"Stagnation" はアコースティックギターで始まり、ひたすら静かで優しい美しさを構築したような曲です。途中、Tony Banksのオルガンが元気に切り込んできますが、また静かに収束していき、最後にもう一度盛り上がり、フルート。こういう曲をシンフォニック・ロックと いうのでしょうね。良く解りませんね、シンフォニック・ロック。

最後はシャッフルのリズムで始まる元気な大作"The Knife"。Peter Gabrielのボーカル、Tony Banksのハモンド・オルガンとAnthony Phillipsのエレクトリック・ギターが炸裂します。

他の曲もメロトロンを導入したり良い曲ばかりなのですが、今挙げた3曲から以後のバンドの方向性を見い出す事が出来るでしょう。

こ のアルバムを最後にAnthony Phillipsはバンドを脱退、John Mayhewは解雇されてしまいます。話によると技量に問題があったとか。やはり後任のPhil Collinsとは比較にならないでしょう。何故かPeterがバスドラだけをステージに上げて踏んでいます。

思うに本作はAnthony Phillipsの創作能力に負う所が多かったのだと思います。そして、多くのエッセンスが以降の作品に継承されたように思います。