吉良吉影は静かに暮らしたい

植物の心のような人生を・・・・、そんな平穏な生活こそ、わたしの目標なのです。

ボストン美術館の至宝展(10月28日~2月4日/神戸市立博物館)

2017-11-04 00:00:00 | 日々美しいものに触れようよ
 ボストン美術館の至宝がまたまた日本に里帰り!って前回は2012年のことだからもう5年も前になるのですね。


 今回(2017)『ボストン美術館の至宝』展のチケット。


 前回(2012)『ボストン美術館日本美術の至宝』展のチケット。曽我蕭白の雲龍図がチケットにあしらわれています。

 今回は日本美術に限らずツタンカーメンからゴッホまで幅広く展示、ボストン美術館の全体像を概括できる展覧会になってます。


 目玉はやはりゴッホと歌麿です。

 洋画もイイけど感動するのはやっぱり東洋絵画。


 英一蝶の涅槃図(パネル)の前で写真を撮ることができます。


 前回お目見えした曽我蕭白の風仙図屏風は今回も来ています。

 今回感動したのは陳容の『九龍図巻』これは凄い!

 龍が珠を得て飛翔し、大業を果たして隠棲するまでの一生を描いた傑作です。

 陳容はこの九龍図を酩酊した状態で描き切った!という驚きの作品。
 昔は酔って描く画家(と称する人)が居たようで、私の祖母が言うには、実家にあるとき画家を称する人物がやって来て一言『酒を飲ませてくれ』。大酒を飲んで飲んで酩酊した頃、ハッと筆を取って一気に描き上げた!という達磨の襖絵が残っていました。
 なかなか素晴らしいものでした。

 『九龍図巻』に話を戻します。


 淵に潜む龍。


 珠を得て飛翔する。


 年老いた龍に教えを乞う。


 誰も超えたことのない大波に挑む。


 大業を果たした龍は静かに隠棲する。

 おお、ここにニーチェの思想が具現しているではないか!

 ニーチェによれば、人の一生は3つの時代に分類されるのです。

 最初は『ラクダの時代』です。ラクダは重い荷を担って砂漠を行く、ラクダの本質は忍耐です。物事は必ず忍耐と修養の時代から始まるのです。
 砂漠を行くラクダはあるとき獅子に変貌します。『獅子の時代』の始まりです。獅子は砂漠に棲むドラゴンと闘い、これを倒さねばならないのです。修養の時代を経て、人は今まで教わっていた権威を否定し、権威と戦わねばならないのです。
 そしてドラゴンと闘っていた獅子は突然、赤子に変わります。『赤子の時代』、それは束縛から解き放たれて自由になり、あらゆることが思いのままになる境地に達する、これが人間の成長なのです。

 この3つの時代は、習い事では『序・破・急』あるいは『即・離・遊』と表現されています。

 『九龍図巻』は乾隆帝も愛蔵した逸品。これは見逃せません。


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ツァラトゥストラ=ゾロアスターはかく語りき (みゃー大工)
2017-11-16 02:07:05
13世紀の九竜図巻と、
19世紀のニーチェと結びつけるとは、
さすが超人、
mobile様は芸術と永劫回帰のお人です。

ラクダ⇒神への服従忍耐
獅子⇒自由意志が出来て古い価値観を壊す。
赤子⇒無垢で新しい創造ができる。

イエスだったら堂々巡りでしたっけ

守⇒型を守る
破⇒既存の型を破る
離⇒創造
とか、思いますた。

私は哲学音痴でして、
私の鑑賞法としては、
龍=皇帝、降雨
ホントに9匹いるかしらん?
おおいる、頑張ったね絵師、
全てが素晴らしい、で終ります。
大変参考になりました。

上野ではボストン美術館、ゴッホの前だったんですよね。
(ブリューゲルがある。)
返信する
Re>ツァラトゥストラ=ゾロアスターはかく語りき (管理人)
2017-11-17 13:13:03
>私は哲学音痴でして
うそつけっ!・・・私も知ったかぶりですが。
-------☆☆☆-------
皇帝の龍は足の爪が5本あります。
足の爪が3本または4本のものは一般向け。
皇帝陛下がお使いになるものに描かれる龍は必ず足の爪の数が5本なのです。
その意味ではこの龍、庶民向けだな。
返信する

コメントを投稿