はれのちくもり、雨、ときどきどき全部

生きているからしかたない

下町ロケット

2011-09-04 | Weblog
 
9月4日(日)
 
下町ロケット

池井戸潤さんの作品。
 

空飛ぶタイヤは1年ほど前に読んだことがあったのだが、
その他の作品は他の本を読みたくて放置。
直木賞ということもあり、やっぱり読もうと手に取った。
先日ブログで、そろそろ直木賞のあの作品でも読もうかなと書いた。
そろそろと言いながら、買っていたこともありその日に手に取ったら止まらず、
結局睡眠時間を削って読み終えてしまった。
 
友人から、まだ感想はアップしないで欲しいとの要請が入ったので
それは書く訳にはいかないとおもい、いったん保留。
 
その間に池井戸潤さんの作品を数冊読んだ。
必殺!作家さん読み潰しの術
 

 

 

 

 


 
元銀行員の池井戸さんの作品は、やはり元行員ということもあり銀行がらみの作品が多い。
バブル崩壊後の不良債権の話など、
おそらく自らがおかれた立場で経験された事をもとに書かれているのだろう。
とても信憑性があるようなストーリー展開で、経済ド素人のケモノでも、
おおよそのことは理解できるように描かれている。
特に銀行内部のことは細かく描かれている。
おおよそ外れていないであろう内部のドロドロした空気感。
出世レースだけの為に生きるエリート組と呼ばれる人たちと、
やはり人であり人間であるという人情タイプの出世レースから外された組の
内部紛争とも言える状況は鮮明。
 
銀行員は人を人と思っていない。そんな思いさえ浮かぶ泥沼。
ただそれだけを植え付ける為だけに描かれているわけではないのが、
池井戸さんの作品のいいところなのかもしれない。
正直、これはフィクションだけど、ノンフィクションな出来事だってあったに違いない。
だからと言って銀行員を嫌いになるわけではないが、
人のお金を預かる側は人のお金を紙切れとしか思っていない行動や事件には正直腹が立つ。
ただ、やはり人なのだ。そこが全ての池井戸さんの作品には盛り込まれている。
 
その中でも下町ロケットは、人に自信や勇気を与える作品だとおもった。
中小企業にとって厳しい経済状況の今日、
日本に元気を!という意味でもとてもいい作品だと思う。
ロケットエンジンを町工場で作る。
その意気込み、分裂しつつある社内をまとめるような事件。
会社全体一丸となって取り組む姿勢は、今の日本にもっとも必要なスパイスなのではなかろうか。
職場が殺伐としていると自然と全てが殺伐となる。
一丸となって、ひとり一人が自分に出来る事を率先してやり遂げる。
文字として描かれた本から伝わってくる、人の強さをパワーをもらった作品だった。
 
モノづくり大国日本。
まだまだ捨てたもんじゃない。
日本人特有の職人気質。
悪い面ばかりではなく、善い面が大きい気がする。
 
レッドゾーンと似たような流れだけど、
もっともっと日本の良さを伝えられる作品だとおもいました。

日本人でよかった☆
 
 
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