
「日本経済新聞」6月23日号(夕刊)の「文学周遊」では、
永井荷風『日和下駄』が取り上げられていました。
東京の裏町を散策しつつ、当時(国家的な富国強兵策の下)
失われつつあった江戸の情緒を筆に留める随筆で、
荷風の生まれ育った文京区春日の辺りにも触れています。
坂の多い下町のようで、内田洋一氏(同紙編集委員)によりますと――。
☆
富坂を下った蒟蒻閻魔(源覚寺)の路地は荷風のお気に入りだった。
眼病を治してくれるお閻魔様には蒟蒻を供える。
無邪気な「愚民の習慣」と突き放しつつも
「物哀れ」を覚える荷風は「限りなく私の心を慰める」と書く。
☆
この「源覚寺」、先月(2012年5月)の「こんにゃく横丁」で
ネタにした「こんにゃくゑんま」なのでありますね!
同寺ゆかりの文学者として、夏目漱石、樋口一葉の名を挙げたのですが、
永井荷風まで絡んでくるとは、なかなか素敵なお寺であること。