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小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(16)CG

2008-07-19 17:33:12 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(16)CG

「うん、三人とも会社の同僚なの。立花さんは、あ~っもしかして彼」?
「うん、結婚するの。紹介するね、近藤京平さん。大学の同期の高橋幸子さん」。偶然の出会いに驚きながら席を立った。
「どうも、初めまして。京平です。本日は等ペンションを御利用戴きまして有り難うございます」。
「え~っ。マスター、じゃあマスターの息子さんですか?・・・」
「はい、息子の京平と嫁の美保さんです。偶然ですね、もう何年も使って戴いてるのに。今後とも宜しくお願いします」。
「立花さん、じゃあオーナー婦人になるんだ。立花さん近藤さん、お目出とうございます」。
「有り難う。でも驚いたな、幸子はもう何年も来てるの?・・」
「ええ、ここってお洒落ですもの。ペンションでありながら露店風呂もあるし、お料理もとっても美味しいの」。
すると父はその言葉に満面な笑みを浮かべていた、そしてサービスでワインを出してくれた。
私はそんな美保の友達に交じり、結婚の乾杯を受けた。そしてお喋べりが始まった、しかし、私は美保達の話しに着いて行けず、先に部屋に戻った。すると十分もすると美保が部屋に来た。
「京平さんごめんなさい、あの人達の話しに着いて行けないよね。私も着いて行けないよ」。
「なんだ美保もか、でも父さんや母さんは分かるのかな」。
「ううん、お義父さん言っていたよ。私にも分からないって。ただ相槌打ってるだけだって。聞き流していればいいんだって」。
「そうだよな、俺達に着いて行けない話しに父さんが着いて行ける分けないよな」。
「うん。それでね、幸子に私達の事を京都の父に絶対に話さないように口止めしておいた。もし父に知られたら迷惑かけるから」。
そう言うと美保は寂しそうな顔をした。
「美保、一度京都のお母さんに会わせてくれないか。僕もこのまま黙ってる分けにも行かないだろ」。
「うん、母なら分かってくれてるから良いけど。父は頑固だからもう少し待って」。
「ああ、待つよ。美保も僕と一緒で一人っ子だろ。出来れりばお父さんにもご挨拶してハッキリしたい」。
「うん、有り難う京平さん」。
こうして私達は翌日の昼には白馬を発って静岡へ帰った。
そして月曜日、会社に行くと朝礼で実家を継ぐ事になった事を伝えた。そして本社にその旨を報告した。
すると、本社では困っていた。私が来て急に営業成績が延びた事で返事を保留して来たのだった。
しかし私の気持ちは頑として変わらなかった。そして今まで一度も使った事のない有給休暇を四五日提出した。
その頃、美保はパートで働く事になっていたスーパーに行って事情を話していた。
すると、勤めてくれる事を期待していた女店長は、美保が嫁に入ると言う言葉に二つ返事で諦めて、お祝いを言うのだった。
私はその日、朝から次長の向坂保に引き継ぎをし、その日限りに社員に礼を言って有給休暇に入った。
そしてアパートに帰ると食事の支度を済ました美保は片付けていた。
「どうだったの?・・・すんなり行かなかったって感じね」。
「うん、本社は保留だって言って来たけどさ、決意は変わらないから。有給休暇の45日全部出して来た。美保はどうだったの」?
「うん、結婚して家に入るって話したら、お目出とうって」。
「そう、じゃあ明日不動産に行って引っ越す事を話して、午後から京都に行こう。お母さんだけでもご挨拶したいから」。
「うん、それでね母に電話したら。そしたら母が静岡へ来てくれるって言うの。それで、もう静岡のホテルに来ているの」。
「エ~ッ、じゃあすぐに会いに行こう」。
「はい、ごめんなさい勝手な事して」。
「そんな事ないよ、業々来てくれるなんて嬉しいじゃないか。何も謝る事ないさ。支度して行こうか」。
私は急いでシャワーで汗を流し、着替えると早速駅ビルにあるホテルに向かった。そして車を駐車場に入れるとロビーに向かった。
なんか胸がドキドキして緊張のせいか膝が震えていた。
「京平さん、そんなに緊張しないで。母は話が分かる人だから」。
「うん、でも緊張するさ。大事な一人娘を嫁さんに貰うんだから」。私はホテルの入り口で深呼吸を二度三度とすると受付カウンターに歩いた。
「美保、ここよ」。と、ロビーのボックス席から声がした。
美保は私の手を握ると小走りに走った。そこに立っていたのは藤の柄をあしらった着物姿の品の良い女性だった。
そして、一目で母親だと分かった。美保に似てとても奇麗な母親だった。私も緊張していた気持ちが一瞬がほぐれた。
「お母さん。京平さん、母です」。
「初めまして。京平さんですね、美保の母の美代子です。至らない娘ですが幾久しく宜しくお願いします」。
「はい、ご挨拶が逆になってしまいました事をお詫びします。申し訳ありませんでした。美保さんを大切にします」。
「美保からお話しは伺いました。美保を色々助けて頂いたそうで本当に有り難うございました。恥をお話しするようですが・・・」。
「お義母さん、その事はもう。出来ればお義父さんにもご挨拶をしてからと思いましたが、美保さんがどうしてもと言うものですから」。
私はホットした、そして美保を見る母親の瞳は安心した様だった。
「お母さん、京平さんのペンションにも遊びに来てね。ペンションなのに温泉もあるの。それに御両親が凄く優しいの」。
「そう、良かったわね。良い人に巡り会って。そうそう、結婚に必要な書類、役所から貰って来たわよ」
バックを開けると封筒を出した。そして分厚い封筒も同時に美保に渡した。
「お母さん、こっちの封筒はなあに」?
「うん、何もして挙げられないから。貴方の結婚資金にと溜めていたの。邪魔にはならないから持って行きなさい。
京平さん、済みません。美保から聞いているとお見ますが、主人があの調子で何もしてあげられません、此れで勘弁して下さい」。NO-16-36

小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(15)CG

2008-07-19 17:30:00 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(15)CG

「そうかも知れないな、しばらく持つの止めよう」。
「でもね、私殺したい程恨んだ人ならいるよ。私の親友をオモチャにしてさ、お金を献がるだけ献がせてボロ切れのように捨てた男。彼女ね、去年自殺しちゃった」。
「そう、そんな事があったのか。それでその男はどうしているの」
「うん、多分祇園辺りで相変わらず女を食い物にしていると思う。あんな男はヤクザ以下よ。もしアメリカだったらとっくに女に銃で撃たれて殺されているわね」。
「そんなに悪い奴なのか、自分の廻りにはそう言うの居ないから分からないけど。でもいても自分が気付かないだけかもな」。
「うん、きっといるわよ。京平さんは優しいから、類は類を呼ぶって、そう言う人達とは違うから近付かないだけだと思う。もし去年あの銃が私の手元にあったら私殺していたかも知れない」。
私はそれ以上聞くのは止めた。話をつづけていたらその男を殺しに行ってしまいそうな気がしたからだ。
話題を変えて二人で食事の支度を始めた、買い物袋を見るとスパゲティーが入っていた。そして袋から食材をだしてテーブルに並べた。するとバラのタマネギが転がって床に落ちた。
屈んで拾おうと腰を屈めた、すると向かいに座っていた美保の真っ白な脚が目に入った。生脚を上に目をやるとミニスカートの合間から、真っ白な下着が見えていた。私はもう我慢出来なかった。
美保の隣に座ると抱き寄せてキスした。そしてジャケットの下に手を忍ばせるとTシャツの下はノーブラだった。
「嗚呼ッ・・・駄目だったらん、お夕飯の支度を、嗚呼ッ・」私はショーツの中に手を忍ばせた。美保はそっと股を開いた。
柔らかな陰毛を掻き分け、花園にそっと指を滑らせた。身を反らせて目を綴じた美保の園は愛液で濡れていた。
抱き上げて唇を重ねながら寝室に運んだ。
そして俯せにショーツをはぎ取とるように脱がせ、バックから挿入した。
「嗚呼ッ・・・後ろはッ・・・嗚呼ッいいッ・・・」
そしてジャケットを脱がせ、Tシャツをはぎ取った。真っ白な膚が薄っすらとピンクになって「もう、京平さんったら。私もう腰が動かない。大好き、愛しています」。
「うん、僕も好きだ。愛しているよ美保」。
私達は何も言わず、しばらくベッドの中で抱き合っていた。すると美保はゆっくり起き上がるとシーツを巻いてベットを降りた。
そして風呂に行くと湯を入れにていた。
天井の丸太を見詰めながら考えていた。父や母が言うように、もうそろそろ帰ってきてペンションを継いでくれないか。その言葉が脳裏に浮かんでいた。
白馬に帰って来ようか。
両親も美保を気にいってくれたようだし。ふと見ると、ドアに持たれて美保がじっと見て居た。
「何考えていたの、凄く難しい顔していたよ」。
「うん。美保、ペンションの仕事好きか」?
「はい、まだ分からないけど楽しい。でもどうして」?
「ああ、会社辞めて白馬に帰って来ようかって考えていたんだ」。
「そう、京平さんがそうするなら私はどこまでも着いてく」。
「良し、決めた。美保がそう言ってくれるなら会社を辞めて、家の手伝いをするぞ。美保、一緒にやってくれるか」。
「はい、私頑張るね」美保は身体に巻いたシーツの手を離すと落ちた。そしてベットに飛び乗ると抱き着いてキスした。
そして獣のように激しく燃えた。美保は絶叫を押さえ切れずに声をあげた。
山小屋の周りにいた鳥たちはさぞ驚いただろう、そんな事が頭に過ぎった。そして抱き抱えて風呂に行くと湯が溢れていた。大きめの湯舟に抱えたまま入った。ザザッーと湯が溢れた。
美保は肩越しに手を延ばして蛇口を止めた。
「お湯があんなに溢れて勿体なかったね。ねえ、お義父さんやお義母さんに早く知らせてやろう」。
「そうだな、食事を済ませたら帰ろうか」。
「うん」。美保はトロ~ンとした虚ろな目をして頷いていた。そして風呂から出ると二人で食事の支度をした。
私は美保に言われるまま手伝い、美保は得意な料理の一つである、スパケティーのカルボナーラを作ってくれた。そしてサラダ。ワインまで買って来ていた。
そして食事を取り、掃除した。そして地下室をしっかり施錠してブリーフケースを持って実家に帰った。
帰ると両親は突然帰ったのを見て驚いていた。
私は泊まり客の夕食が済んで一段落するのを待った。そして八時を回ると片付けを手伝って暇になった。
私は両親を呼んだ。そして美保と二人並んで座ると決心を告げた。
「そりゃ本当か?・・・美保さん本当ですか」?
「はい、京平さんペンションのお仕事を手伝うそうです」。
「そうかそうか、やっと決心してくれたか。母さん、良かったな。此れも美保さんのお陰ですかな」。
「ほんとうに嬉しいですね。京平、それで本当に良いのね」。
「ああ、もう決めた。孰れ継ぐなら早く仕事を覚えた方が良いから。それに美保も手伝ってくれるし。なあ、美保」。
「はい、何も分かりませんが宜しくお願いします」。
「父さん、月曜に帰ったら辞表出してくる。家具や何かは始末して必要な物だけ持って来るから。それと、二十四日の水曜日だけど、入籍だけでも先に済ませる」。「そりゃ良い、じゃあその日は身内だけでも集めて仮祝いしよう、美保さんはそれで良いのかね」。
「はい。お義父さん、お義母さん宜しくお願いします」。
両親は美保と私を向後に見ながら目頭を押さえていた。そんな両親を見て、美保も涙を浮かべていた。
すると、数人の若い女性の笑い声がして二階から宿泊客が降りて来た。父と母は席を立つとカウンターに入った。
そして笑みを浮かべて客の接客に応じ、コーヒーやらアルコールの支度をしていた。
「あれっ、立花さん?・・・あ~っやっぱり立花さんだ」。
美保はその声に驚いて振り向いた。
「え~っ幸子。久し振りね、旅行なの」。NO-15

小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(14)CG

2008-07-18 17:00:37 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(14)CG

「京平さん、お義父さんが送ってくれるって言うから乗せて来て貰っちゃった。
凄いロクハウスね、まったく何でもちっちゃいなんて、なにも小さくないじゃん」。と家の中を見渡していた。
「美保さん、京平は小さい頃からそうでね、見えっ張りが嫌いなんだよ、悪く思わないで下さいね」。
「はい、気にしていませんから。私一度こう言う所に泊まってみたかったの。ねえ泊まれるんでしょう」?
「勿論だよ、暖房も冷房も入っているし風呂もあるよ」。
「美保さんはそのつもりで買い出しして来たから、今夜は此々で泊まりなさい」。
「ああ、分かった。じゃあ泊まるか」。
「うん、お義父さん忙しいのに済みませんでした」。
「良いんだよ。じゃあ私は此れで帰るからね。風邪引かせるな」。そして父は車から食料品を降ろすと帰って行った。
「京平さん、良い所ね。夏になったらまた来たいな」。
「ああ、此々のログハウスは美保のでもあるんだ。いつでも遊びに来たい時に来ればいい。それよの凄いもの見せてやるよ」。
私は机の上に置いたブリーフケースを持った、孰れ美保に見付かると思ってライフルと銃を見せた。美保は目を丸くして驚いていた。そして直ぐに笑った。
「なあに此れ、京平さんモデルガンの趣味あったんだ。でも本物みたいね。重くて冷たいね」。
私はライフルを手にすると組み立てて弾丸を装填した。
「美保、あの遠くにある赤い杭を撃ってみるからね」。
「また~っ、あんな遠くまで弾が飛ぶの。まずは拝見」。
美保は全く信じていなかった。そして私は狙いを付けると引き金を引いた。
「バシュッ」と音がして美保は後ろへ後ずさりした。
見ると目を真ん丸くして口を開けたまま、じっと見ていた。
「京平さん、それ本物のライフルなの?・・・え~っどうして」?
「ああ、だから狩猟が趣味だって言ったろ。非合法で手に入れたライフルと銃だけど本物だよ。撃ってみるか」。
「うん、でも私に撃てるかしら。なんか怖いよ」。
「大丈夫さ、教えてやるから。言われた通りにするんだよ。肩から絶対に離さない事、離すとショックで鎖骨が折れる事があるからね。
それから銃口の突起物が照正、手前が照門、両目を明けて狙う所に標準を合わせて息を吐いてから息を止めて引き金を引く。まず装填しないでやってごらん」。
「うん、わあ~っ私本物なんか持つの初めて。以外と軽いんだね」。と美保は言われた通り何度も繰り返し練習していた。
「じゃあ本番行くよ」。と弾を装填した。
美保の表情が一点して厳しい目をして構えた。そして動いていた銃口が一瞬止まった。引き金を引いた。
「パシュッ」と音がして狙った杭に当たって吹き飛んだ。
「やっあ~っ、私って素質があるのかな。ねえもう一度いい」?
「ああ、弾はいくらでもあるから、でも父や母には絶対に内緒だから。誰にも。・・知れたら叱られるからさ」。
「はい。誰にも絶対に言わない。私と京平さんだけの秘密ね」。
美保は本当に筋が良かった。十数発撃って的を外したのは一発だけだった。
そして今度はピストルの扱い方を教えた。美保は楽しそうに標準を合わせ、引き金を引く練習を繰り返していた。
私はカートリッジに二十発全弾入れてセットした。すると美保の目付きが変わった。両手で銃を押さえ脚を少し開いて構えた。その姿は何年も銃を扱っている様だった。
そして引き金を引いた。「パシュッ、パシュッ」そして次々と引き金を引いて全弾撃ち尽くした。
参った、一発も外さないで的に的中したのだった。此れが初めて銃を持った者の腕とはとても思えなかった。
「やったっ。全部当たったよ。でも銃を持つと気が大きくなるって言うのは本当だね。こんなので人が簡単に死ぬんだね」。
「うん、間違った使い方をしたら恐ろしい凶器だよな。でも凄い腕前だな美保は、本当に初めてなのか?・・・」。
「へへ~っ、初めてですよ。先生の教え方がいいから。私はただ教えられた通り撃っただけです、まぐれまぐれ」。
そして美保は空になったカートリッヂを外すと銃を私に渡した。
私は手入れをしてケースに入れた。部屋の中は硝煙の匂いが立ち込めていた。私は窓を開けて空気を入れ換えた。
美保は持って来た弁当を広げて、お茶を入れて、遅い昼食を済ませた。
そして、地下の倉庫からチエンソーを出し、ライフルで狙った木を切り倒し、二人で斧を持って薪を作った。
「なんかこんな事してると山小屋って雰囲気だね」。
「うん、でも子供の頃は良く薪割りやったよ。ペンションも今のように温泉じゃなかったし、ストーブも石炭とコークスだったから、暇さえあれば薪割りしていた」。
「そうなの、でも此のログハウス素敵ね。ちなみに~っ・・・ここ建てるのにどれ位かかるの」?
「うん、確か材料費だけで六百万くらいだったかな。少しづつ五年掛かりで自分で造ったんだ。専門書を読んだり、知り合いの専門家に教えて貰いながらね」。
「え~っ、凄いんだね京平さんって。聞かなきゃ分からないもん」。
美保はさっきまで銃を撃っていた事などなかったように、徒っぼい瞳をして明るかった。そして寝室を見たり風呂場を覗いたり、無邪気に部屋を見て廻る姿は少女の様だった。
そして居間のソファーに横になると、すぐに眠ってしまった。私は寝室から毛布を持って来て掛けてやった。
そしてドアを閉め、窓に鍵をかけて少し横になった。無邪気な顔をして眠っている美保を見ていると、鳥の声が聞こえていた。
そんな中いつしか自分も眠っていた。
そして夢を見た。いままで一度も見た事も考えた事もないような夢だった。
ふと目を覚ました。すると毛布が掛けられ、明かりが点けられていた。
隣の美保はテレビを見ていた。
「良く眠っていたわよ、なんか悪い夢でも見たの」?
「うん、ちょっとね。美保、こんな夢見た事あるか?・・悪い奴等がいてさ、法では裁けないような奴等を始末する夢」。
「え~っ、それじゃあパニシュマントじゃん。現代風の門土さん。そんな夢なんか見た事ないよ。そうだ。きっとあんなライフル撃ったからじゃないのかな」。
NO-14-31

小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(13)CG

2008-07-18 16:42:30 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(13)CG

「いや~っそんなの無理です。まずは皿洗いからですよ~だ」。そして隣の部屋で美保と二人で食事を済ませた。
「京平さん。私少しペンションのお手伝いしていてもいいですか」?
「うん、良いよ。でも少しづつにしろよ、疲れるから」。
「はい、なんだか楽しくて。有り難う京平さん」。
美保は母にフロントの仕事を教えて貰っていた。私はガレージに車を入れ、例のジェニルミンケースの鍵を開けるのに苦労していた。
ジェラルミンケースを諦めてブリーフケースの鍵を押した。すると鍵がかかっていなかった。パチンと音を立てて開いた。
そっと開けた。すると札束がギッシリ入っているのだった。数えてみると百万の帯び封が六十五、六千五百万も入っていた。
その片隅にキーホルダーが入っていた。私は手袋をして鍵を持つとジェラルミンケースの鍵穴に入れた。そして回した。
やった、開いたぞ。私はドキドキしながらロックを外した。何が出るか恐る恐る開けた。私は息が止まるほど驚いた。
そのケースの中には見た事もないようなライフルが三丁、スポンジを切り抜いた中に収まっていたのだった。
そして、その下には付属品のスコープや消音器、特種な双眼鏡、そしてライフルの銃弾が箱ごとギッシリ並んでいた。
そして、もうひとつのジェラルミンケースを開けると、中には、それも見た事のない拳銃が三丁、口径は38だろう。カートリッヂと消音器、まるで殺し屋の道具にしか見えなかった。
「重たい筈だ、弾が何百発、いや数千発はある。とんでもない物を私は持って来てしまった」。
私は声を出して口にしていた。そして銃を手に持って見た。ズッシリと冷たくて重い感触は本物だと知らせていた。
「そうか、分かった。あの事故で死んだ三人は殺し屋だったのか。それで何処からも問い合わせがなくて身元が不明なんだ」。
そして妙な器具が入っていた、そしてライフルの取り扱い説明書、説明書を出すと蓋を閉めて鍵をかけた。
説明書はパソコンで書かれた物だった。と言う事は特注か。銃やライフル、そして双眼鏡、そして弾薬の火薬の量や弾の作り方など、詳しく載っていた。
そして妙な器具は薬莢と弾を接合する万力だと言う事が分かった。私は車にケースを積むと家に入った。そしてロビーにいた美保に出掛けて来る事を告げた。
「うん、でもお昼には帰ってね」。
「ああ、それまでには帰るよ。母さん、お手柔らかに頼むよ」。
「はいはい、大事な奥様をお預かりしますね。美保さん覚えが早くて教えていても楽よ京平」。と母は満面な笑顔を見せていた。
私は車で家を出ると家の持ち山に行った。そこは私有地で誰一人として入って来ない。そして私用のログハウスの山小屋もある、三十分程で着くと鍵を開けて中にケースを運び込んだ。
そしてライフルを組み立てた。消音器を装着させ、弾を装填した。窓を開けて遠くの枯れ木に照準を合わせて狙った。
「パシュッ」と言う微かな音をさせて肩に重圧がのしかかった。
そして枯れ木は真っ二つに割れて吹き飛んだ。
凄い破壊力だ。独り言を言いながら遠くの木を狙って引き金を引いた。
そしてもっと遠く、より遠くの木を。そして200メートル程はあろう木を狙って撃った。10センチ程の木が真っ二つに折れた。そして拳銃を持った。
消音器を付け、カートリッヂに弾を詰めた。すると、カートリッヂには二十発も入った。私は震える手を押さえ、二度三度と深呼吸をして狙いを合わせた。息を止めて引き金を引いた。
殆ど音もなく、外の樹々を亙る風に掻き消された。そして太い樹木を貫通して後ろの樹木に当たって止まった。
私は弾を一つ手にした。それは鉛ではなく、冷たく黒褐色の鈍い光を帯びた鉄鋼弾だった。
そのと時、ゾクッと背中に冷や汗が流れるのを覚えた。そして直ぐにライフルと銃を分解してケースに入れた。
そして地下室の物置に入れるとシートをかぶせた。
現金の入ったブリーフケースを持ってログハウスを出た。そして白馬町のカバン屋に向かった。
三十分ほどで着くと、大きめのブリーフケースを買い求め、同級生のいる銀行に行き、半分の三千万を自分の通帳に振り込んだ。
「あ~っ紺野さん、お久し振りです。毎度ありがとうございます」。
「海野、久し振り。残念ながら会社から預かった金だよ」。
「なんだ、金持ちって思って少したかろうかなって思ったのに。なんて冗談だけど、いつまでいられるの」?
「うん、明日帰らなきゃならないんだ。またゆっくり来るから」。
銀行を出ると近くにあるショッピングセンターに向かった。そこでカッターナイフと厚手のスポンジとボンド、厚手のビニール袋、油紙を買うとログハウスに戻った。
そして、地下室でライフルと銃を出し、買って来たスポンジに形を写した。弾のケースも消音器の型も。
そしてカッターナイフで切り抜いた。そしてブリーフケースに合わせて切るとケースの中に接着した。
そしてカートリッヂと弾丸を入れ、銃とライフルを入れた。まるでカメラケースを作る段取りで我ながら奇麗に出来た。
「よし、出来た。此れなら目立たなくて持ち歩くにも便利だ」。まるで誰かに話し掛けるように私は口にしていた。
そして思わず笑っていた。
そして銃の一丁づつに油紙で包んでビニール袋に入れた。そして数千発の弾丸も一箱づつ油紙に包んで袋に入れた。
そしてジュラルミンケースを分解して地下室の棚の中にしまった。すると、携帯が鳴った。時計を見ると十二時を回っていた。
「ごめん美保、山小屋で寝ちゃったよ。今直ぐに帰るから」。
「え、山小屋ってなあに」?
「うん、小さなロクハウスがあるんだ。久し振りに来て掃除したりしていたら疲れちゃってさ。横になったら寝てしまった」。
「え~っ、私も見たい」
「いいよ、だったらタクシーでおいで。ついでに弁当と飲み物を買って来てくれると有り難いな」。
「うん、じゃあそうする。お父さんに場所聞いて行くからね」。
そして携帯を切った。私は急いで掃除をした。そして三十分もすると奇麗になり一服していると父の車が登って来た。NO-13-27

小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(12)CG

2008-07-16 17:37:38 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(12)CG

すると美保は驚いて姿勢を正した。そして車を下りると声にならないような声で言うと頭を下げた。
「はい、遠いところお疲れ様。初めまして京平の母の良江です。疲れたでしょう。どうぞ。京平、美しい方ね。勿体ないわね貴方には」。
美保は玄関の明かりの下で真っ赤になっていた。そして、そっと私の手を取った。私は荷物を車から出すと肩を抱いて家に入った。
すると父が玄関に立っていた。
「お帰り、美保さんだったかな、良く来てくれました。どうぞ」。
「はい。初めまして、立花美保です。宜しくお願いします」。
美保はもうガチガチに緊張していた。
「美保さん、そんなに堅くならないでもっと気を楽にして、さあ寒いから早く入りなさい。京平」。
美保は突っ張って肩を抱いて押すと転びそうになっていた。
リビングに行くと暖房が入れられ、暖かかった。「今日はいつになく冷えてね、東京のお客さんが何組か泊まっているんだが寒さに驚いていたよ。ところで美保さん、本当に京平と一緒になってくれるのかね」。
「はい、私からお願いしたんです。お嫁さんにして下さいって。離婚したお話は全部聞きました。私一生懸命頑張りますから京平さんとの結婚を許して下さい。お願いです」。と床に両手を着いて両親に頼んでいた。すると、父は美保の手を持つと椅子に座らせた。
「美保さん、私達こそ宜しくお願いします。この通りです」。
父は美保に頭を下げた。すると母はお茶を入れにキッチンへ立った。
「はい、京平さん許して貰えた。嬉しい、どうしよう」。美保は大粒の涙をポロポロと流しながら笑っていた。
「京平さんったら嘘ばっかり、小さいペンションだなんて言って。こんなに大きいじゃない」。
「だってさ、大きくてシーズンに入ったら忙しくて大変だなんて言えないだろ」。すると美保はガンロッカーを見付けて見ていた。
「ねえ、あれは本物なの?・・・」
「本物だよ。父さんも自分も猟をするんだ。あれは強化ガラスで出来ていてね、ライフルの弾も通さないよ。時期が来たら一緒にキジを撃ちに行こうか」。

「美保さん、京平は大学の時にライフルクラブでね、国体にも出ているんですよ。ライフルの腕は私よりづっと上だ」。
「へ~っ凄いだね、お義父さん、京平さんったらそんな事ちっとも話してくれないんですよ。驚かされる事ばっかり」。
「そうかね、じゃあ今夜はもう遅いからゆっくり湯に浸かって休みなさい」。
「はい、本当に有り難うございました。宜しくお願いします」。
父と母はニッコリ頷いていた。私は美保を連れて自分の部屋に行った。そしてパジャマに着替えると風呂に入った。
「え~っ、此れって温泉じゃない」。
「うん、近くに源泉が涌いていてね、そこから引いているんだ。各部屋に風呂があって全部温泉だよ。地下にも露天風の風呂があって、明日見せてやるよ」。
「うん、でも凄いね。ペンションで温泉なんて。じゃあシーズンには忙しいんでしょうね」。
「まあね、最近じゃお年寄りも温泉のあるペンションはナウイとか言ってさ、随分増えてオフでも来てくれるようになったんだ。孰は継ぐ事になるけど、美保は大丈夫だよな」?
「うん。そうなったら私一生懸命頑張って仕事覚えるから。私幸せです。あんなに優しいお父さんやお母さんがいて嬉しい」。
ゆっくり温泉で身体を暖めてベッドに入った。昨日と今日の運転で疲れたのか、私は直ぐに眠ってしまった。
そして翌朝、起きると横には美保はいなかった。着替えて下に降りるとエプロン姿で従業員に交じって客の朝食の手伝いをしていた。
「京平さん、お早よう。どう似合うでしょう」。
「ああ。チーフ、皆さん、嫁さん宜しくね」。
「はいはい、またこんな奇麗な奥さん連れて来て。坊ちゃんも隅に置けないですね。手伝って貰えて助かっていますよ。奥さん、有り難うございます。こっちはもう結構ですから、旦那様の食事の用意をしてあげて下さい」。
「はいチーフ、ではそうさせて戴きます」。
「父さん達はもう食事は済んだの」?
「うん、もう食事を済ませてお客様のお相手をしています」。
「美保、もう今日からでも若女将ができそうだね」。
NO-12-24

小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(11)CG

2008-07-16 17:34:34 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(11)CG

「ううん、私がお嫁さんにして欲しいって頼んだんだもの。それに父がいけないのよ、私を東京なんかの見ず知らずの資産家の家に嫁がせようとするから」。
「美保、まだ七時だから今から行こうか。四時間もあれば行けるからさ。一泊して日曜に帰ってくれば疲れないし」。
「本当に!、じゃあ支度するね。四駆の車買っておいて良かったね」。美保は嬉しそうに押入れから旅行鞄を出して衣類を入れていた。
「車見てくるから」と美保が支度をしているあいだ、物置のジェラルミンケースをトランクに積み込んだ。そして毛布で包んだ。
そして部屋へ戻ると美保は着替えていた。ジーンズに白いテーシャツ姿で待っていた「京平さん着替えは?・・・」
「俺はこれでいいよ。じゃあ隣に頼んで行こうか」部屋を出ると隣の住人に留守にする事を伝えて松本の実家に向かった。
「ねえ京平さん、松本の実家ってどんな所なの」?
「うん、エコーランドって知っている?・・・そこでエルボンって言うペンションをやってるんだ」。
「へえ~っ、エルボン、いらっしゃいか。ステキね」。
「良くフランス語なんて知っているね」。
「うん、私ね、京大でフランス語を専攻していたの。でも少ししか話せないけど。ペンションか、良いなあ」。
「でも、新幹線で美保と会った時はまだ十九か二十歳位だと思ったよ。若く見えるからさ」。
「うん、近所の奥さんにも良く言われるの。二十三だって言うと、え~って目を丸くするのよ、失礼よね」。
「でも良いじゃないか、女性は若く見えるって言うのは。俺なんか仕事で若く見られて損をする時があるよ」。
「そうね、京平さんとても29には見えないもん。私も初めて見た時は私より三つくらい上かなって思ったもん。でも名詞を貰った時、その若さで支社長はないかって、京平さんステキ、疲れたら運転代わるから言ってね」。
「うん、大丈夫だよ。美保こそ疲れたれ寝ていいからね」。
いつもは一人、今は愛する彼女と二人、両親に会わせるのが楽しみだった。
仕事の話し、将来の話し、色々と話しをしながらハンドルを握っていた。車は静清バイバスを興津で下り、国道52号線に入って二十分ほどで山梨県へと入った。耳にはしていたが大型トラックの多い国道だった。そして富沢町へ出ると富士川を右手に走り、身延町へと入った。
「美保、夕飯コンビニのお握りでいいかな」。
「うん、少しでも時間使いたくないから。言おうかなって思っていたの」。
身延のコンビニに寄り、お握りを買うと食べながら走り続けた。そして鰍沢町にはいると小雨が降り始めた。
すると六月の中旬だと言うのに外気が冷えてガラスが曇った。美保はダッシュボードから曇り泊めのスプレーをタオルに吹き掛け、フロントガラスを拭いてくれた。「有り難う、転ぶなよ」
「うん、大丈夫」そして後ろの席に行くと全面にスプレーして曇りを取ってくれた。「仕事のサンプル持って来たんだ」。
「もしかしたら使うかも知れないと思ってさ。多分無駄になると思うけど」。
「全く仕事熱心なんだから」。
美保はなんの疑いも持たず、私の言葉を信じていた。そして車は韮崎市に入り、須玉インターから中央自動車道に入った。
その時間になると降り続いていた小雨も上がり、走りは快適だった。そして諏訪、岡谷、塩尻、松本と過ぎて豊科で下りた。
少し飛ばした事と途中の道が空いていた事もあって、豊科インターを下りて車の時計を見ると十時半を少し回ったところだった。
そして国道147号線を北へ、信濃大町から国道表示が148に代わり、ふと隣の美保を見るといつの間にか眠っていた。
そして木崎湖、青木湖と左手に過ぎて飯盛町から左折して八方方面へ入り、見慣れたペンション村のエコーランドに入った。
そして我が家の前に車を止めた。すると玄関の明かりが付いて、ショールを肩に掛けた母が迎えに出てくれた。
「お帰りなさい。美保さんは」?
「うん、寝ているよ。いま起こすから。美保、着いたよ」。そっと肩をゆすると驚いたように目を明けた。
「いけないっ・・・私寝ちゃった、あとどれくらいなの」。
「フフフッ・・・もう着いたよ、母の良江だ」。
NO-11-22

小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(10)CG

2008-07-13 21:39:28 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(10)CG

「大丈夫だよ。今日は朝一の商談が済んだら帰って来るからね。美保は今日用事はあるの?・・」。
「ううん、特別ないよ。じゃあ明日はお休みだからゆっくり出来るね。ねえ京平さん、少し相談があるの」。
「なに、自分に出来る事なの」。
「そうじゃなくてさ、そこのスパーのレジで働いてもいい?・・・いつも女店長さんに誘われるの、何もしてないなら半日でも良いから手伝ってくれませんかって。良いでしょう。私もね、少しでも働いて家賃くらい稼ぎたいと思っていたから」。
「そう、いいよ。でも無理するなよ」。
「うん、良かった。じゃあ月曜日から行くね」。
「なに、もう話は決まっていたの」。
「ううん、いつでも良いって言うから。それに九時から三時頃までだから、ちゃんと家事も出来るし」。
こうして私は食事を済ませると仕事に出掛けた。
そして朝礼を済ませ、私は一人で焼津に向かった。そしてプラスチック材料の新規納入の契約を取ると昼前には会社に戻った。
会社に戻ると契約書を読み返し、間違いが無いのを確かめて本社に送った。こう順調に事が運ぶと自分でも怖いくらいだった。
そして昼になり、事務員の二人は食事を始めた。私は半日で帰る事になって帰り支度をしているとニュースが始まった。
「支社長、昨日の亀石峠の事故で重体だった人亡くなったって。知ってます?・・・支社長は通らなかったんですか」。
「ああ、今朝美保から聞いたよ。私も亀石峠に入ったけど霧が凄くてね、直ぐに引き返して熱海に出て沼津インターから東名へ入ったから。あの霧の中じゃ運転は無理だよな、気の毒に」。
「そうですか、でも亡くなった人達はヤクザ屋さんだって、なんでも警察から手配されていたらしいですよ。自業自得よね。それに濃霧で通行止めになっていたのをゲートで止めるのを振り切って通ったんですって。
警察ではスピードの出し過ぎでハンドル操作を誤ってそのまま木に突っ込んだって。もし支社長が走っていたら巻き沿いになってかたも知れませんね」。
「本当だね、私は付いていたのかな。さて、書類は送ったし、じゃあ後の事はお願いしますね。寝不足で疲れたよ」。

私はほっと胸を撫で降ろしながら会社を出た。そして歩いてアパートに向かうと、美保がスーパーの買い物袋を下げて待っていた。
「京平さ~ん、お疲れ様でした。ヘヘ~ッ待っていたの」。
「ああ、少し遅くなったね。どうだったレジの話しは」。
「うん、今朝話した内容で良いって。月曜から行く事になったよ」。
「そう、それは良かった。腹空いたよ、帰って食事にしようか」。
「はい。京平さん物置のケースはなあに。仕事の道具ですか」?
私はドキッとした。「うん、重いから動かすなよ」美保の言うように仕事の道具として片付けた。そしてアパートに帰ると二人で食事を作って済また。
美保も幾分寝不足で目をしょぼしょぼさせていた。二人でシャワーを浴びてベッドに入って一眠りした。
そして起きると部屋は暗く、窓の外は真っ暗になっていた。そっと起きたけど美保を起こしてしまった。
「え~っ、真っ暗。少し寝過ぎちゃったね」。そう言いながら美保は私の腰に腕を回して抱き着いた。
「美保、来週の二十四日市役所に行こうか」。
「うん、良いけど、何し・・・え~っ、もしかしたら」。
「ああ、籍だけでも先に入れよう」。
「はい、有り難う京平さん。それまでに書類揃えておくね」。
「もう半年だろ、美保に悪いから。両親には再婚の話ししてあるんだ。土日と連休だから実家へ行こう。両親に会ってくれないか」。
「はい、でも気にいって貰えるかしら。なんか心配だな私」。
「心配ないよ、それより美保の家の方は大丈夫か」。
「うん、黙っていたけど、此のあいだ母に電話したの。その時に京平さんの事話したらね、母は私が良いならそうしなさいって。父には内緒にしておいてくれるって。それでね、子供でも出来ればパパ・・お父さんも諦めて受け入れてくれるでしょうからって。それまでには母が父を説得してくれるって」。
「そう、お母さんに悪いな。本当ならこっちから挨拶に行かなきゃならないのにな、済まないな美保」。
NO-10-20

小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(9)CG

2008-07-13 21:35:54 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(9)CG

そんな六月の中旬、私は一人で商談で伊豆のホテルにいた。夕方からプレゼンを始めて、夕食を挟んで終わったのが零時近かった。明日の朝一番で商談があり、泊まる訳にはいかなかった。
そして伊東から亀石峠を抜けて帰ろうと夜中の霧の中を走らせていた。
霧が濃かった事もあり、行き交う車は少なかった。
そして亀石峠の蛇行した頂上付近に行くと、ボヤ~ット明かりが見えて近付くと車のライトが妙な方向を照らしていた。
一台の乗用車が林の中に突っ込んで大破していた。
私は車を降りて近付くと、車は松の木に正面から突っ込んでボンネットはめくり上がって白煙を上げていた。

前に回って見ると、ボンネットの上にはフロントガラスを突き破って男が二人、血まみれになっていた。良く観ると髪は丸刈り、スーツは派手でヤクザ風である事が分かった。恐る恐る脈をとると、既に亡くなっていた。
警察へ電話しようと戻ろうとすると、足元にジェラルミンのケースが転がっていた。そしてトランクが空いていた。
覗くと、中には同じジェラルミンケースが一つと黒いブリーフケースが入っていた。ジェラルミンケースを持ち上げるとかなり重かった。
そのとき、不意に中身に興味が涌いた。
私は急いで二つのケースを自分の車のトランクに入れるとブリーフケースを積んでUターンして走り去ってしまった。
胸は高鳴り、ドキドキしながら時折ルームミラーで後ろを見ながら走った。
しかし対向車も後続車もなく、宇佐見に出た。
俺は何て事をしてしまったのか、後悔しながらも元には戻れないと胸が騒いだ。
そして熱海に向かった。そこから熱函道路を走り、函南町に出た。そして沼津へ出ると沼図インターから東名高速に乗り、四時半過ぎには静岡に着いた。
私はどうしてあんな事をしてしまったのか、また心が騒いだ。
後ろめたさと罪悪感に胸は苦しい程に波打っていた。
二度三度と深呼吸して、私は間が指したんだと自分に言い聞かせた。そしてアパートに帰ると世が明けていた。
急いでジェラルミンケースを下ろし、物置の鍵を開けて中に入れると部屋に入った。
「お帰りなさい、遅くて心配しちゃった」。と美保が抱きついた。
「ただいま、おきていたの?・・・」」抱きしめてキスして抱き上げた。
ベッドを見ると乱れがなく、美保は寝ないで待っていたようだった。でもその顔はうたた寝していた顔だった。
私は美保を抱き締めるとそっと口付けを交わしてまた抱き上げた。
「ごめん、霧が凄くてね、熱海を回って帰って来たから遅くなっちゃった。美保の好きな干物買ってきたからね。さあ、寝ようか」。
「うん、有り難う。凄く心配だったんだからね」。
「ごめんごめん、携帯バッテリー切れだし、公衆電は無いし、本当にごめん」
瞳が涙で滲んでいた。そんな美保を抱き締め、美保を脱がし、抱き上げてシャワーを浴びてベッドに入った。
しかし、あの血だらけで死んでいた姿が目に浮かんで中々寝付けなかった。
すると、ごそごそと美保は動いて全裸になると抱き着いてきた。
柔らかな乳房が胸に密着し、腰に股を擦り寄せて柔らかなヘアーが言い知れぬ快感を感じて欲望を駆り立てた。

「わたし京平さんの赤ちゃんを生みたい。私をお嫁さんにして」。
「うん、改めて言うよ。美保、私と結婚してくれ」。
「うん、嬉しいです。私良い奥さんになるから。京平さん」。
美保は私の胸に顔を沈めると涙を流していた。そっと美保を横に寝かせ、美保は私の腕を枕にそのまま眠ってしまった。
翌朝、急に目が覚めた。美保は台所で朝食の支度をしていた。起き上がるとパンツを穿いていなかった。
「そうか、あのまま寝てしまったのか」すると、横にトランクスとシャツが揃えて置いてあった。
トランクスとシャツを着てテーブルの上の新聞を取った。
「お早よう京平さん。アジの干物焼いているからね、すぐに食事出来るから」。
「うん、良い匂いだ。やっぱり日本人だな」。
「うん、ねえ夕べ遅く亀石峠で事故があったんだって。テレビのニュースでやっていたよ。二人即死で一人は意識不明の重体ですって、京平さん通らなくてよかったね」。
私はその話に身体が震えた、もう一人いたのか。もしかしたら見られていたかもしれない。もとバレたら!
「どうしたの?・・・寝不足で顔色悪いよ、大丈夫」?
NO-9

小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(8)CG

2008-07-12 14:42:47 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(8)CG

「ごめんなさい、でも本当なんです。お茶入れます」。
彼女は食器棚からインスタントコーヒーを見つけると、ティーカップを出してお茶を入れてくれた。
「お砂糖は一つ、二つ、マリームは」?そう言いながら見上げる瞳と唇は徒っぽく返事を忘れさせるほど愛らしくてたまらなかった。
「うん、一つ。クリームは少し入れて下さい」。
「はい」。そしてコタツに座ってお茶を飲んだ。すると、彼女はティーカップをずらすと旅行バックをテーブルの上に乗せた。
そして、横に倒すとパチッ、パチッ、とロックを外して開けた。
「近藤さん、此れが私の全財産です。私をここに置いて下さい」。そう言って通帳と印鑑を出してテーブルの上に置いた。
私は突然の事に驚いた。
「そんなものはしまっておけよ。立花さん一人くらい養って行くだけの働きはあるから。でもどうして俺なんか」?
「人を好きになるのに理由なんか必要なんですか」。
「それはとても嬉しいけど、でも御両親が心配するよ。それに私の事なんか何も知らないだろ」。
「ううん知っています、近藤さんはバツイチでとっても優しい人。私はそれだけ知ってれはいいんです。それから両親なんか居ません。私を政略結婚の為に売るような親なんか要りません。捨ててきました」。
「そう、あのとき何か大変な事情はあると思ったけど、分かった。好きなだけいていいよ」。
「有り難うごさいます、私働きますから。こう見えてもお料理は得意なんです。宜しくお願いします」。彼女はコタツを出るときちんと正座して頭を下げた。
こうして私は突然舞い込んで来た彼女と同棲する事になった。前の妻と別れて懲りていた筈だったのに。しかし彼女は違って見えた。
私は給料の残りと通帳を箪笥からだして彼女に渡した。
「え、私が預かっていいんですか」?
「うん、自分は浪費家だから無駄遣いも多いし預けるよ。足りない時は預金から降ろしていいから」。彼女は嬉しそうに笑うと通帳を開いた。

「え~っ、凄いですね。こんなにお給料貰っているんですか」。
「営業していたからね、歩合がけっこうあったんだ。それに妻と離婚した時も慰謝料は払わなかったから」。
「・・・聞いても良いですか」?と悪戯っぽい瞳で見上げた。
「うん、何で別れたか。だろ、私は仕事ばかりしていて妻の相手をしてあげられなかった。それで男とね」。
「ごめんなさい」。
「いいんだ、本当の事だから。でも今度は時間が取れるから、少しは立花さんの相手は出来ると思う。いや特別な意味は無いから」。
「いやです、立花さんだなんて。美保って呼んで下さい」。
私は黙って頷いた。そしてその晩、私が風呂に入ると明かりが消えた。
「入ります」と美保が入ってきた。
そして薄暗い風呂で美保の身体を抱いた。ほっそりとした身体に似合わず、豊満な乳房をしていた。互いに身体を流し合い、ベッドに入った。
すると、美保は身体を硬直させていたのだった。美保は初めてだった。
そっと唇を合わせ、抱き締めた、そして豊満な乳房を愛撫して舌を下腹部へ滑らせ、柔らかな陰毛を掻き分けてクリトリスに触れた。
「嗚呼ッ・・・」甘い吐息を漏らし、腰をくねらせた。
そして声を圧し殺すように善がり声を上げ、身体を震わせながらオーガムズに達した。グッタリした花園の中に肉棒を挿入した。
「嗚呼ッ・・・身体が壊れてしまいそうッ・・・嗚呼ッ・・・」。
美保はシーツを握った手を離し、首にしがみついた。そして二度三度と絶叫すると私も同時に達した。「京平さんが好きです。大好きです」。
「うん、自分も美保が好きだ。大好きだよ美保」。
「嬉しい、私初めてなんです。そんなに目詰めたら恥ずかしいです」。私は若い美保に次第にのめり込んで行くのが分かっていた。
そして翌日から美保の見送りで仕事に出掛けた。
会社では美保の話で持ちきりだった。どんな関係だとか幾つなのかと、私は一瞬答えに困った、孰れバレル、ハッキリ恋人だと告げた。
こうして楽しい日々が続き、仕事も順調に業績を上げていた。六月に入り、梅雨を迎えた。じめじめとうっとしい日々が続いていた。
NO-8-16

小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(7)CG

2008-07-12 14:38:40 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(7)CG

そして冷たい北風が吹く日も少なくなり、雨が降る日が多くなっていた。そして二月も終わり、三月に入ると毎日の様に誇り交じりの突風が吹き荒れた。事務員から、これは中国から吹いてくる黄砂で季節風だと知らされた。
そして暖かい南風が吹いて本格的な春を迎えた。
そして近くにある小学校や中学では卒業式が行われ、着飾った母親が会社の前を歩いていた。
そんな良く晴れた或日の夕方、一人の女性が支社に入って来た。
「済みません、近藤支社長さんはいらっしゃいますか」?
私は奥の部屋で見本のプラスチック製品を並べていた。
事務員が部屋に来て私を見て笑っていた。
「支社長、奇麗な彼女がご面会ですよ。隅におけませんね」。
「そんなのいないよ、取引会社の人だろ」。
オフィースに戻るとスラットした細身の女性が立っていた。私を見るなり「その節はお世話になりました。私です立花美保です」。深々と頭を下げた。

一瞬誰だか分からなかった。「・・・ああ、新幹線の。どうもお久しぶりです。業々来てくれたんですか?・・・」。
「はい、コートとお金、助かりました。私あれから病院で診て貰ったら軽い肋膜炎にかかっている事が分かりまして。それでづっと入院していて昨日やっと退院出来たんです。お礼が遅くなってしまって申し訳ありませんでした」。
「そうでしたか、でも治って良かったですね。もう仕事も終わりですから。もし暇でしたら夕食でもどうですか?・・・」。
「はい、有り難うございます。御一緒させて戴きます」。
こうして皆んなが帰って来るのを待って六時には仕事を切り上げて街へ出た。
病み上がりのせいか、彼女は少し青白い顔をしていた。私は元気でも着けて貰おうとステーキハウスに入った。
隅の席に案内され、ワインで快気祝いの乾杯をして食事をした。彼女の笑顔は仕事の疲れを忘れさせてくれる程、美しく優しい笑顔だった。
私みたいな男と釣り合いが取れないと思いながら、ひと時の楽しい時間を過した。すると、何か心配事でもあるかの様に、彼女の顔が陰った。
「近藤さんって良い人ですね。私の事嫌いですか」?
私は突然聞かれ、一瞬戸惑いながら顔を見ていた。
「いえ、好きですよ。一体どうしたんです急に。私みたいなバツ一の男に」。
「近藤さん、近藤さんの家で私の話を聞いてくれませんか」?
「え、ええ。それは良いですが、散らかっていますよ」。
「私が掃除してあげます」。
私は相当な事情があると思ってそれ以上聞くのは止めた。そしてレストランを出た。そしてタクシーを止めて乗り込んだ。
「近藤さん、お願いがあります。駅のコインロッカーに荷物が少しあるんです。寄って頂けますか?・・・」

「ええ、良いですよ。運転手さん、駅に向かってから敷地へ行ってください」「分かりました、駅南でいいですか」
「はい、お願いします」。
間も無く駅に着くとタクシーを降りると彼女は小走りに駆けて行った。そして間もなく小さな旅行バックを下げて戻って来た。
彼女はハアハア息を弾ませて乗り込んだ。「済みません、お願いします」そして私の胸に体を預けた、彼女の手が私の腕をしっかり握り締めていた
何かある、もしかして既婚者なのか、夫が暴力的とか・・・そのな事が頭をよぎった。無言で胸に縋る彼女の肩に手を乗せた。
アパートに入るか否や。「済みません、私嘘を言っていました。御免なさい」と床に両手を着いて詫びた。「いいよ、何か事情があると思っていたから」
「うん、私本当は京都の出身なんです」。
「えっ、そう。でもその話しは後で聞く事にして、先にお茶でも入れるよ。好きなだけ此々にいたらいいから、自分はこっちで寝るから」。
私は毎日淡々とした仕事に刺激が欲しかった。興味本位ではあったが彼女の話を聞いて見ようと思いながら台所に立った。
「近藤さん、私がします。私にやらせて下さい」。
そう言うと私の手からケトルを取ると水を汲んでレンジにかけた。私は真後ろに立って彼女のうなじを見ていた。
すると、クルッと振り向くと抱き着いたのだった。
「私近藤さんが好きです。新幹線で遭った時からいままでづっと会いたくて会いたくてたまらなかった」。
私は急な出来事に戸惑い、どうして良いのか分からず、ただ彼女を抱き締めていた。すると、ピ~ッとケトルが鳴り出した。
NO-7-14