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小説・鉄槌のスナイパー3章・NOー(81)&デッサン

2008-11-30 00:08:34 | 小説・鉄槌のスナイパー(第三章)
小説・鉄槌のスナイパー・3章・NOー(81)&デッサン

鉄槌のスナイパー3章

三河昇はその報告を受けて取り調べ室に向かった。
宮崎は取り調べ室でも手錠を掛けられ、両脇に巡査が立っていた。三河は椅子に座ると手錠が外された。そして供述を書き留める刑事が隅の椅子に掛けて書類を広げた。
「私は責任者の三河警視です。なんで逮捕されたのか分かりますね」。
男は顔を上げて三河を見た。そして黙って頷いた。
「では単刀直入に聞きます。二月二十七日、北海道釧路市にある釧路ビラホテルに滞在していた東京の闇金の社長、堂島ローン堂島岩雄さん58才を射殺しましたね」。
「ええ、自分が殺しました」。
驚く程淡々と答え、サッパリした目をしていた。三河はあまりにもアッサリ罪を認めた事に驚いていた。
「殺害の理由は恨みか、それとも誰かに頼まれたのか」?
「ああ、頼まれた」。
「誰に頼まれたんだ。依頼したのは誰だ」?
「そんな事を言うと思うのか、自分はプロの殺し屋だ。殺したのは自分だと言っている、死刑にでもなんでもしろ、覚悟は出来ている」。
そう言う西崎の顔は堂々として一片の曇りもなかった。
「では、訊くが。此の銃とライフル、それに特種な弾丸だが、何所から手に入れたか話して貰おうか」。

「そんな事は話せない、ただ日本国内じゃない事は確かだ。後の事は何も喋らない。それが殺し屋の鉄則だからな」。
「笑わせるな、一端の口を利くんじゃない。プロの殺し屋が防犯カメラに撮られたりするか。アホが」。すると、西崎の目付きが鋭くなり、顔色が変わった。
「まあそれも良いだろう。我々が見た所、貴様はまだ見習いだろう。一端の口を利くのは十年早いんだよ。何がプロだ、貴様はただの人殺しに過ぎない。では仲間は?・・・リーダーが居るだろ」
「勝手に探せ」男はふて腐れた。するとドアが空いて小川警部が三河を呼んだ。
三河は外に出た。
「警視、この写真と名前が西崎の部屋から押収したパソコンに入っていました。例の亀石峠で事故死した三人と一致しました。先程静岡県警に問い合わせして確認を取りました」。
「分かった、この名前が本名なんだな」。
小川警部は頷くと書類と三枚の写真を渡すと戻って行った。三河は椅子に座ると写真を西崎の前に並べた。

「これを見ろ、長谷川五郎35才、菊地民雄32才、戸部裕也同じく32才。お前の仲間だな」。
「馬鹿な奴等だ。事故で死にやがった。死んだ奴等まで隠す事はないからな、自分の仲間だよ。それで全員だ」。
「お前はどうしてその車に乗っていなかったんだ」?
「自分はオーストラリアにいた。奴等が事故死したのは帰国して知ったんだ。ついでに言っておくが、どうして三人は伊東に向かっていたのかは知らない」。
「そうか。話は変わるが、去年の十二月二十二日の晩、暴走族を八人殺したのもお前か。ピース同盟鉄槌の輩とか言う過激派の名前で犯行声明を出したろ」。
「あれは自分じゃない。でも良い事じゃないか、そのお陰で暴走族は次々に解散したんだろ。警察の手を省いて貰ったじゃないか」。
「確かにそれはある、では亀石峠で事故死したこの三人はお前と同じ銃やライフルは持っていたのか?・・・」

「そんな事は知らないよ。何所かへ隠したんだろ」。
「では、お前白馬に何をしに行った。目撃されているんだ」。
「ああ、その事か。お宅ら警察が調べていたろ、紺野とか言うペンションの息子の事をさ。あの三人が事故死した時も伊東にいたし、なんだっけ、大浜だったっけ。二人のヤクザが殺された時も近くにいたらしいじゃないか。
警察の動きなんか手に取るように分かっていたよ。それでどんな男か見たくなって行ったまでさ。調べるならもっと隠密に調べないとな、笑っちゃうよ公安にはよ。アッハハハ・・・」。
「勝手に笑っていろ、ではもう遅いから今夜は此れくらいにして明日からみっちり調べるからゆっくり寝ておけ」。
三河は廊下にいた巡査を呼んで手錠を掛けさせた。そして西崎は立ち上がって知り調べ室を出た。すると止まって振り向いた。
「一つ言っておくが、自分が死刑になっても殺し屋はまた送られてくるよ。じゃあなお休みなさい三河警視殿。アッハハハハハ」。
西崎は京平達の事は興味本位で顔を見に行ったと言う言葉で心ならずもホッとしていた。そして西崎の笑い声が廊下に響き渡っていた。
三河はデカ部屋に戻ると明日からの捜査方針を指示して警視庁を出た。
そして腕時計を見ると十一時を廻っていた。背広のポケットから携帯を出すと家に電話した。NO-81-3

小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(80)&CG

2008-11-26 21:11:39 | 小説・鉄槌のスナイパー(第二章)
小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(80)&CG

「どうして、いままでも止めたいと思っていたのか?・・・」。
「ああ、一度や二度じゃないさ。それをサブなんかに祭り上げられたんじゃ示しが着かないだろ。下の奴等だってそうさ、始めは面白半分で入っても今は皆んな止めたいと思っているさ」。
「そうか、止めると言うとリンチがあるのか?・・・」。
「ああ、リンチなんてもんじゃねえよ。寄ってたかって袋叩きさ。そのあと脱退金を払えさ、何十万もな。そんな金払えないだろ、
だから今度の事は俺には良かったんだ。刑事さん、俺達をやった組織は族を解散しなきゃ本気で俺達を殺すつもりだ」。
その目は本当に恐れている目だった。三河は後藤の目を見ていた。
「もうお前は解散届けを出してるじゃないか。殺されないだろ。お前は本当に何も見なかったのか」?
「ええ、何度も聞かれたけど本当に何も見なかった。倉庫に来い言われて行ったら、リーダーが来ていて、意気なりリーダーが吹っ飛んで見たら頭を打ち抜かれていた。
それで逃げようとしたら太股を撃たれたんだ。真面殺されると思ったけど、それっきりだった。だから、何処から何で撃たれたかも見てないです」。
この男役者にしても良い程嘘がうまい。そう思いながら聞いていた。これなら口は割らない。そう感じていた。
「そうか、じゃあ早く怪我を治して真面目にやる事だ」。
「ええ、そうします。外の連中はどうです?・・・」。
「お前と一緒だ、何も見なかったとさ。でも酷い奴等だ。二十歳の娘も二人殺された。手段を選ばない組織だな」。
すると、近藤は身をブルッと震わせ、顔を強張らせると窓を見ていた。
三河は威しのつもりで口にしたが効果があったようだ。
そして病室を出ると別の病棟に入っている前田二郎の病室へ行った。やはり巡査が警備にあたっていた。
警察手帳を提示して病室に入った。すると家族が見舞いに来ていた。そして若い女が子供を抱いていた。
「本庁の三河警視です、少しお聞きした事がありますので御家族の方は席を外してください」。茶髪の子供を抱いた女はムッとした顔を見せた。
「洋子、もう良いから博幸を連れて帰れ」。
すると、大きなバックを肩に掛けると頭を下げると帰って行った。
「刑事さん済みません、女房の洋子と息子の博幸です。ヤンキー上がりなもので挨拶もろくに出来なくて」。
前田は外の男たちとは違って言葉使いも丁寧だった。そして足にそっと手を添えると起き上がってベッドに寄り掛かった。
「どうだね怪我の具合は」。
「はい、掠めただけで十日もすれば治るって先生が」。
「そうかね、外の人より傷が浅かったようだね。それで、もう何回も聞かれたと思いますが、犯人はどんな奴等でしたかね」。
「所轄の刑事さんにも何度も訊かれて話したんですが、暗かったし意気なりでしたから、何も見てないんです。
堤から電話があって、谷中霊園に行ったんです。そしたら意気なり加奈が倒れて自分の顔に何か生暖かい物が当たったんです。
それで手で拭いたら血でした。そしたら美里が宙に身体が浮いた感じで吹っ飛んだんです。それで近付いたら顔が割れて血が流れていました。
それで逃げようとしたら飯島が吹っ飛んだんです。胸から血が流れていました。これは危ばいって思ったら、脚に激痛が走って撃たれていたんです。ほんの数分かもっと短かったかも知れません。
だから何も見てないし、何処か撃たれたのか分からなないんです」。それは迫真に迫った顔をして三河の目をじっと見て話していた。
「どうして撃たれたと思ったのかね。現場付近の聞き込みでは銃声は誰も聞いていないんだが」。
「だって刑事さん、音はないし弓の矢も無かったし、後は拳銃しかないじゃないですか。それも音のしない器具を使って」。
「リーダーとサブがこう言う目に遭ったら中間は黙っていないだろう」?
三河は相手の出方を伺うように言葉を掛けた。
NO-80-92





小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(79)&CG

2008-11-26 21:04:06 | 小説・鉄槌のスナイパー(第二章)
小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(79)&CG

「私は紺野さんを無事帰す事だけで来ましたから、汽車で帰ります。一晩で四件もの殺人事件が起こって本庁もてんてこ舞いでしょう。行って様子を見て来ます」。
こうして朝食を済ませて別荘を出た京平は三河を駅まで送って行った。
そして実家に戻ると先に帰っていた美保が迎えに出て、何もなかったように荷物を手に部屋に戻った。
そして夕方、東京に戻った三河昇は本庁に顔を出した。すると思った通り捜査一課はてんてこ舞いだった。
三河は部下から報告書を渡され、目を通していた。すると、入院しているのが四人である事を知った。三河の背中に汗が流れた。
もしや生きていた者がいたのかと、そして名簿を見ると、無傷で解放してやった佐々木勝が転んで腕の骨を骨折して入院していたのだった。
それを見てホッとする三河だった。
そして、三河は脚を撃たれて都内の虎ノ門病院に入院している一人、中村幸雄の所へ向かった。
すると、所轄の巡査が病室の入り口にいた。三河は警察手帳を提示して入った。
入ると渋谷西署の刑事が事情聴取をしていた。三河は病室の椅子に掛けると黙って聞いていた。
「それで犯人は何人だったんだね。顔は、服装年恰好は?・・・」と刑事はや過ぎ場やに聞いた。ベッドに横たわってる中村幸夫は怪訝な顔をしてただ首を振るばかりだった。
「中村、お前何も喋べるなと口止めされているのか。何かあるだろう背が高かったとか、声は低いとか高いとか」。
「刑事さん、俺は何も見なかったし、聞かなかった。ただ意気なりリーダーが倒れて、俺も撃たれた。銃の音もしなかったんだ。何が何だか分からねえんだよ。さっき刑事さんが言っていたけど。暴走族を解散させる為に俺達を撃ったんだってな。もう懲り懲りだ、リーダーはもういないし、俺も殺されるのは嫌だ。解散するよ」 。
三河はそっと立つと病室を出た。すると刑事が追って出て来た。
「三河警視、本庁はどう見ているんです。射殺されたのは孰れも暴走族のリーダーとサブリーダーの六人と女性の二人の八人です。あんなピース同盟鉄槌の輩などと言う連中の事は本庁や公安は存在を知っていたんですか」?
「いいえ、本庁も公安も何も把でいません」。
「そうですか、日暮里でも品川でも荒川でも目撃者が全くいません。この寒さですからね、みな家に入って戸を締め切っていまして物音一つ聞いた者がいないんです。此の組織は大きいんでしょうか」?
「いや、本庁も公安も初めて耳にする組織で、今の所どんな組織で何人いるのかさえ何も分かっていません。ただ、事件全般を見て言えるのは善人は殺していないと言う事だけです」。
「しかし警視、幾ら町のつまはじき者でも殺しですからね。手をこまねいて見ているだけと言う訳には・・・」。
「そんな事は言われなくても分かっています。ともかく目撃者を捜し出す事ですね。犯行時間を照らし合わせて見ると一つのグループが移動して四ケ所を回って犯行を重ねたように見られます。目撃者と車を探すんです」。そう言うと三河は次の病院の慈恵医大病院に向かった。
そこには後藤俊郎と前田二郎の二人が入院していた。
そして、着くと報道関係者が病院の前に大勢来ていた。三河はそんな人達の中を縫うように病院に入った。そして病室に向かった。
やはり所轄の巡査が警備にあたっていた。
三河は警察手帳を出して提示すると病室に入った。すると個室のベッドに痛々しく包帯を巻かれた脚が布団からて出ていた。
一歩二歩と歩み寄ると窓を向いて寝ていた後藤俊郎は振り向いて、又来たのかと言うような顔をして窓に顔を向けた。
「またかよ、何回来ても話す事なんかねえ」。
「そう邪気にするな、私は本庁の刑事だ。所轄の警察だってお前達をやった奴等を賢明に探しているんだぞ。それにリーダーを殺った奴が憎くないのか」。
「憎い?・・・もう終わったんだ。刑事さんよ、俺達はもう暴走族は止めるんだ。こんなきっかけがなきゃ止められないんです」。
後藤はそう言いながら顔を向けた。NO-79

小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(78)&CG

2008-11-25 01:18:59 | 小説・鉄槌のスナイパー(第二章)
小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(78)&CG

「あんな奴等が暴力団の資金源になり、末は組に入って行くんです。予備隊って所ですか。一つ訊いてもいいですか」?
「ええ、どんな事ですか。僕に答えられる事なら」。
「はい、紺野さんは死刑はどう思います。死刑廃止論が多いですが」。
「僕は死刑は賛成ですね、この間も死刑の判決に着いてやっていましたよね。何人殺したら死刑で、一人殺した場合の死刑判決の基準は何かって。僕等は営利が目的ではありません、でも奪っている以上そう思われても仕方がないとも思っています。
それから、僕も美保も警察に知られたら死ぬ覚悟は出来ています」。
「そうですか、凄いですね。でも紺野さんのやり方は警察には想像も着かないでしょうな。私もそうでした。綿密に計画されたかと思えば短絡的に行き当たりばったり。それでいて証拠は残さない。なんでそんなに思い切った事が出来るんですかね」。
「自分でも分かりませんよ。さあ寝ますか。もう六時ですよ」。
そして明かりを消して寝室に入った。京平は上着を脱いで横になると電気毛布の温もりに吸い寄せられるように眠った。
そして車の音で目が覚めた。すると、コツコツと足音がしてドアが開いた。見ると美保だった。
美保は薄化粧にダウンジャケットを着ていた。そっと横に来ると抱き着いてキスした。
「お帰りなさい京平さん、起こしちゃったね。新聞持って来たわよ。凄い事件になっている。もう朝からテレビでもこの事件のニュースばっかり、怪我した四人の男が皆んな意気なり撃たれて何も分からないって。それで、新聞社に犯行声明文が送り付けられているって」。
すると、「コンコン」と見ると開いたままのドアに持たれて三河が笑って立っていた。
「三河さん、お早ようございます。お疲れ様でした」。
「いいえ、お早ようございます」と頷くと居間に行った。
京平も起きると暖房が入っていた。湯を沸かして持って来た篭からサンドイッチが大皿に盛られ、サラダをテーブルに出した。
「美保、母さんに何て言って出て来たの」。
「うん、三河さんと一緒で帰りが遅くなったから起こすのが悪いから別荘に泊まるって電話が入ったからって。これもお義母さんが持ってってやりなさいって、作ってくれたんだよ」。
三河はむつましい二人を見て大変な事に巻き込んでしまったと後悔していた。
美保はそんな三河の暗く思い詰めた顔を見て、疲れているのだろうとニコリと笑うとコーヒーを入れていた。
そしてテレビを点けて食事をしていた。するとニュースが始まって射殺現場に切り替わった。三人は手を止めて見入っていた。
そして、新聞社に送り着けられた犯行声明文を読み上げたのだった。
「我々は暴走族の撲滅を意図して実行したものである。世間一般市民人の安眠と生活を脅かす暴走族は許しがたい。
因って今後も暴走行為を繰り返し、国家警察並びに全国民の負担となる無頼の輩には年令男女を問わず我々は鉄槌を下す。全国の暴走を繰り返す暴走族の輩に告げる。速やかに暴走族を解散し、平穏な暮らしと安眠を約束しなさい。
ピース同盟鉄槌の輩より」。
「三河さんこれいいですね、一人で考えたんですか」?
「奥さん、そんな事で誉めないで下さいよ。ただ簡単に書いただけですから。でも輩と言うのは古かったですかね」。
「ううん、そんな事ないよ。分かり易くていい。ねえ京平さん」。
「美保の言う通りです。ピース同盟鉄槌の輩か、これ良いですよ、気に入りました。これからはこの名前で行きますか」。
「えっ、ええ。しかし」。三河は京平と美保の事を思って表情が沈んだ。
「三河さん、私の事だったら心配しなくてもいいんです。この事を始めた時に覚悟は出来ているから。ねえ京平さん」。
「うん、でも美保には此れ以上手を染めて欲しくないな」。
美保は真一文字に唇を引き締めると二度三度と頷いていた。その反面、瞳は不服そうだった。
「三河さん、あの車の処分はどうするんです」?
「あの車ですか、紺野さんが風呂に入ってる間にナンバーを取り替えてもうゴミと一緒に今頃は焼却場で灰になっています。
ナンバーさえ無ければ目撃者がいても言い訳はどうにでもなりますからな。それにタイヤの跡が残るような所には入っていませんし、心配は入りません」。
「そうですか、犯罪を取り締まる専門家が言うなら間違いないでしょう。それで此れからどうします?・・・」。NO-78-88

小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(77)&CG

2008-11-25 01:16:26 | 小説・鉄槌のスナイパー(第二章)
小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(77)&CG

「ええ、どう出るか見物ですね。あれで本当に解散するか、また逆に団結して徒党を組んで行政に刃向かって来るか。賭けですね。ただ気になる事があるんです」。京平はそう言い初めて口を閉ざした。それは三河昇が決死の思いでこの計画を立てた事が充分分かっていたからだった。
「紺野さん、それは模倣犯の事ですね。私もその事は考えました。私はこう思っています。起きて結構だと逆に願っているんです。と言うのは、今まで市民や行政が暴走族に対して甘過ぎたと思っているんです。
この事が起因して行政も市民も暴力団を町から追放したように、暴走族に対しても徹底的に排除する気持ちを持って欲しいからなんです。その事に因って市民や警察関係者に多少の犠牲が出ても止む無しと考えています。
私はやりますよ、もし市民に暴走族がお礼参りしたなら捜し出して始末します。
私は警察を辞めてもやります」。
京平はその勢いに言葉はなかった。そして聞いて見た。
「三河さん、あの銃と弾丸を製作出来る人はいますか?・・・」。
「ええ、一人だけいます。私が拳銃の密造の事を知って未遂で終わらせた機械工の腕の良い職人がね。今は地道に旋盤工をしています。まさか作らせようって言うんじゃないでしょうね」。
「いえ、そのまさかです。一度合わせて貰えませんか」。
「ええ、いいですが。でも工場は何処へ作るんです」?
三河は京平のシートの背に身を乗り出して耳元に息が係るほど乗り出していた。
京平は真っすぐ前を見据えてしばらく考え倦んでいた。
「やっぱり止しましょう。そんな事をしたら殺人組織が出来上がってしまいます。聞かなかった事にして下さい」。
「ええ、それが良いでしょう。仲間を増やせばそれだけ足が割れる可能性も高くなります。それに資金も係ります。止めましょう」。そしてノンストップで豊科インターを降りたのは五時半を過ぎたころだった。
京平は車を止めると携帯で美保に電話した。すると、すぐに出た。美保は寝ないで待っていた。
「京平さん遅いじゃん、づうっと待っていたんだよ。それでいま何処なの」。
「ごめん心配かけて、豊科インターを降りた所だよ。三河さんが検問が厳しくなってくるからって一緒に乗ってくれてるんだ。今からじゃ父さん達に言い訳出来ないから別荘に泊まるからね」。
「うん、無事だったんだね。分かった。それで明日は」?
「十時頃には帰るから、心配させて悪かったね。早く寝なさい」。
「はい、じゃあ気を付けてね。お休みなさい」。
美保の声は少し涙声になっていた。そして車も少ない国道を走り続けた。そして濡れた路面は幾分凍っていた。
そんな道をゆっくり走り、一時間ほどで別荘に到着した。
そして部屋に入ると冷やっと冷たい空気が鼻を射した。
直ぐにファンヒーターに火を入れるとケトルに水を入れてコンロに掛けた。そして三河の部屋の支度を始めた。
ベットメイクをして電気毛布を敷いてスイッチを入れておいた。
京平は普段妻の美保がしてくれている事がこんなに大変な事だったのか。と思いながら、自分の寝室に行くとベッドに電気毛布を敷いてスイッチを入れた。
終わると額には汗が滲んでいた。これじゃ電気毛布はいらないか。と口にはださなかったが薄笑いを浮かべながら居間に戻った。
すると三河がコーヒーを入れてくれていた。部屋も暖まり、二人はソファーに掛けると今日の出来事を思い返していた。
すると、三河がジャケットの内ポケットから女物のシステム手帳を出した。
「これを見て下さい、これは谷中霊園で始末した二人の女のバックに入っていた手帳です。援助交際した月日と時間、相手の名前にアドレス。
それを種に恐喝した男の名前、その内容、金額。凄い数です。二人ともです。二人は二十歳でした」。
三河はそれを見て始末した事を正当化させたかったのだ。
京平にはそう理解するしかなかった。
その事には触れず、軽井沢と大浜の事件の事に話をすり替えた。
「ええ、結局あの事件は謎の殺し屋の仕業と言う事で捜査犯は縮小されて数人の捜査員が追っているだけです。それも複数の事件を担当しながらですがね。
紺野さん、今だから話しますが、あの荒川の河川式で柿沼が銃を出したのに気が着きませんでした。有り難うございました」。
自信を無くしていたように頭を下げて言葉に元気がなかった。
「そんな事は良いですよ、それより初めてああ言う手合いに接して警察の苦労が分かりましたよ。テレビでは良く観ていますが、あれほど扱いにくい連中だとは思いませんでしたからね」。NO-77-86

小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(76)&CG

2008-11-23 19:30:58 | 小説・鉄槌のスナイパー(第二章)
小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(76)&CG

「そうか、それは御苦労さん。気を付けてな」。
巡査は不動の姿勢になると敬礼した。三河は軽く頷いて敬礼すると車を出した。
そして手帳をしまうと先を急いだ。
「三河さん、警視の威力は凄いですね」。
「ええ、階級組織の中では絶大です。私も昔は泣かされましたよ」。
そして荒川の小代一丁目の河川式にいたのは予定した時間を十五分も過ぎた十一時三十分だった。車を止めると扇大橋に走って向かった。
すると、橋の下から大騒ぎしている男の声が聞こえてきた。二人は周りを見て人気のない事を確かめるとお面を被った。
そしてホルダーから銃を取り出して安全装置を解除した。
「三河さん、行きますよ」。
「ええ、早く済まして帰りましょう。奴等チャカ持っているかも知れませんから気を付けて下さい」。
京平は頷いて堤防を降り始めた。すると三河が肩を押さえて止めた。すると京平を後に三河が下って行った。
「おい、待ったか」。
「なんだ~っ手めえは、あっちへ行けや。殺すぞ」。
「まあそんなに怒るなよ。飯島、大塚、暴走族を解散しろや」。
「何を言ってやがる、それより何だそのマスクは。顔を出せや。俺達が怖くて顔も出せねえのか。え~っ」!
すると三河は意気なり銃を発射した。飯島聡は吹っ飛んだ。すると一人がジャンバーに手を入れた。
後ろに居た京平は引き金を引いた。すると、倒れた男の手から銃が転がった。それを拾おうと男が手を出した。京平は構わず額を打ち抜いた。
「あわ~っう撃つな。撃たないでくれ、殺さないでくれ~!頼む~!」。
「黙れ!嘗めるなよ小僧が、佐々木だな」?
「は、はい。佐々木勝です。撃たないで下さい、お願いします」。
「おい、さっきの答えを聞かせろ。族を解散するのかしないのか」。
「はい、言われた通り解散します。解散させます」。両手を合わせガタガタ震えながら酒臭い匂いをさせていた。
「よし、その銃を川へ捨てろ。それと四人の携帯電話も川へ投げ込め、下手なまねするな。命を縮める事になるぞ」。
佐々木は転がって光っている銃の銃身を逆さに拾うと川へ投げ捨てた。
そして血だらけで横たわる男達から携帯電話を一つづつ川へ投げ捨てた。そして最後に自分の携帯を投げ捨てた。
「よし、お前だけは生かしておいてやる。お前は24だったな」」?
「ははい、二十四です」。
「その年になってまだ暴走族なんかやって楽しいのか。人の迷惑はどうでもいいのか?・・・おい、返事次第では殺すぞ」。
「はい、済みません。もう二度と暴走族はしません。それに迷惑をかけて済まないと思っています」。
「お前はどんな人達に、どんな迷惑をかけたんだ。言ってみろ」。
「それは、警察や一般の市民にです。交通妨害したりバイクを盗んで改造して乗り回しました。恐喝も盗みもしました」。
「そうか。佐々木、手を出せ。どっちの手で盗みをしたんだ」。
「か勘弁して下さい、俺大工なんです。手を怪我したら仕事が出来なくなります。もう絶対にしませんから勘弁して下さい」。
佐々木は泣き崩れた。京平は地面に伏せて泣いている頭の際へ一発発射した。ドスッと鈍い音がして土が舞い上がった。
「あわわわ、かかか勘弁勘弁して下さい。真面目になります。族は解散しますから許して下さい。子供がいるんです。お願いです、殺さないで下さい」。
「いいか良く聞け。小沢浩、田代英雄、小宮大介。知っているな」。
「はい、族のリーダーです」。
「さっきみんな死んだ、私達の組織が始末した。その三人も言う事を聞けば死なずに済んだのにな。お前、何か見たか」?
「・・・いいえ、な何も見ませんでした、聞きませんでした」。
「そうか、約束は守れ。もし、誰かに話したり約束が守れなかった時は何処へ逃げても隠れても組織が捜し出して貴様を殺す。家族だろうが女房子供だろうが俺たちに情けはない。同じ目に合うからな。分かったな」。
「はい、約束は守ります。助けてくれますか」?
「ああ。行け。振り向いたら殺すぞ。早く行け」。
「有り難うございます。約束は守ります。有り難うございます」。佐々木勝は凄い勢いで走って行った。そして滑って転んでは起き上がり、振り向かないで逃げて行った。
京平と三河は佐々木の姿が見えなくなると反対側に足早に歩くと車に戻った。そしてマスクを取るとその場を離れた。
「紺野さん、明日私は非番ですから私も一緒に白馬に行きます。今夜は検問が凄いですからね。銃は一人では持って帰れませんよ」。
「ええ、いまその事を相談しようと思っていたんです。助かります。でも本当に良いんですか」?
「はい、最後まで責任を持てですよ。アッハハハハ・・・」。
こうして何処をどう走ったのか裏通りを走りつづけ、検問には一度もかからず一時間半ほど掛けて氷川台の自宅に着いた。
そしてガレージに車を入れて座敷に入ったのは二時近かった。三河はすぐに風呂の支度をすると京平を入らせた。
そして出ると自分も入り、まるでカラスの行水のように素早く出て来た。
「これで硝煙も洗い落としたし、腹越しらいして行きますか」。
すると、三河は食べ残した大量の寿司桶を冷蔵庫から出して来た。
京平は銃の手入れをして弾丸を出し、ブリーフケースにしまった。そしてガンホルダーをビニール袋に入れるとバックの底にしまい、着て来たブレザーやセーター、スラックスもきちんと畳むとビニール袋に入れバックに入れた。
そんな姿をニヤニヤしながら三河昇は見ていた。こうして食事を済ませた二人は三時前には自宅を出た。
すると、至る所で検問がされていた。三河はその度に警察手帳を提示し、聞かれると友人であり、白馬に泊まりに行くと説明していた。
検問の巡査は疑う事もなく敬礼して車を通した。
そして新宿北郵便局の前で車を止めると三河は手袋をしてビニール袋に入った封筒を取り出して投函した。
それは暴走族を解散させる為に行ったと言う犯行声明文だった。
そして高速一号に乗り、高井戸に向かって中央自動車道に入った。
京平は車のデジタル時計を見ると三時三十二分だった。そして三河は右の助手席は怖いと後部座席に移っていた。
「紺野さん、ついにやってしまいましたな」。NO-76-84

小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(75)デッサン

2008-11-23 19:28:10 | 小説・鉄槌のスナイパー(第二章)
小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(75)デッサン

「痛てえよう、早く医者を呼んで下さい。死んじゃうよ」。
「後藤、お前でも痛いか。いままでお前がして来た事を考えて反省しろ。今までして来た事の報いだと思え。約束守れよ」。二人はそう言い残してその場を離れた。
「頼みま~す、約束は守りますから救急車を呼んで下さ~い」。
後藤の叫ぶ声がエコ~がかかって鳴り響いていた。そして車に乗り込むと京平は救急車を呼んでやっていた。
三河は車を出すと日暮里の谷中霊園に向かった。そして途中でサイレンを鳴らして走る救急車と擦れ違った。
「紺野さん、次は私にやらせて下さい。それで今度呼び付けるのは小宮大介と前田二郎の二人です。堤徹に言われたと言って入団したい男がいると谷中霊園の東側へ十時半と言って下さい」。
京平は次々と出てくる名前に驚きながら電話した。すると何故か相手は疑いもなく言う事を聞くのだった。
「三河さん、随分詳しく調べあげたようですね」。
「ええ、奥さんに別荘で言われましたからね。やるなら覚悟して中途半端なやり方は駄目だって。あの言葉は効きましたよ」。
するとパトカーがサイレンを鳴らしながら何台も連なって走り回っていた。
そんなパトカーを横目で見ながら薄笑いを浮かべていた。
そして谷中霊園の手前の空き地に止めて車を降りた。
すると、派手なワンボックスカーがクラクションを鳴らして走り抜けて行った。そして霊園の駐車場に入った。
二人は脇道に入ると気付かれないように霊園に入った。そして人気のない事を確かめると準備をした。すると、ワンボックスカーのスライドドアが開いた。男女四人が降りて来た。
「クソ~ッ、女も一緒か。どうします紺野さん」。
「仕方ないですね。あの恰好を見て下さい、ブランド品で着飾って、どうせ巻き上げたか盗んだものでしょう」。
「ええ、小宮の女と前田の女でチーマーのリーダーの加奈とサブで美里ですよ、みせしめに始末しますか」?
「そうですね、悪ならみせしめになるでしょう。でも女性は始めてです。気が引けますがやりますか」。
「ええ、私がやります。ここから見ていて下さい」。
三河はそう言うと墓石に隠れながら近付いて行った。
京平は男の一人に狙いを付けていた。すると、「お前たち」と三河は女の背後から銃を構えて声を掛けた。
すると男女四人は声も出さずに固まった。
すると音もなく女性が次々と倒れた。京平は小走りに駆け寄った。真っ暗な墓地に目が慣れて、駆け寄ると石畳みには女は頭から血を流して俯せに倒れていた。そしてじわじわ血が流れ出ていた。
「小宮大介と前田二郎だな。暴走族を解散しろ」。
「てめえは誰だ、そんな面なんか付けやがって。女は殺しても幾らでもいるさ。族を解散しろだと、てめえ二百人の族と喧嘩するてっか。え~っ」。
「黙れ!」三河は次の弾を発射した。
「ドスッ」と弾が当たる音と共に貫通して後ろの墓石にめり込んだ。同時に小宮の体が背後に舞った。前田は口を開いたまま、ただわなわなと震えているだけだった。
「前田、さっきの勢いはどうした。貴様はどうだ。死にたいのか、それとも二百人の暴走族と私達組織と張り合うか。返事次第では引き金を引くぞ」。
「はははい、かかか解散しします。おお願いですから殺さないで下さい。ぼぼぼ僕は何も見なかったです。はい何も見ませんでした」。
「そうか、何も見なかったか。もし約束を敗ったら殺すからな。何処へ逃げても隠れても組織が捜し出してきっと殺す。分かったな」。
「はははい、わわ分かりました。いいい言いません」。
「よし、いままでしてきた悪行の報いに痛い思いしろ」。三河は京平を見た。京平は太股を掠めるように撃った。
「あああっ痛てえ~っ。ここ殺さないって言ったじゃないっすか」
「黙れ!、声を上げたら今度は殺すぞ。掠めただけだ、死なないよ。後から救急車を呼んでやる。いいな、約束だぞ」。
男はくしゃくしゃな顔をして、口をグッと綴じて頷いた。
そして三河は倒れている男のポケットから毀れ落ちた携帯電話を拾うと墓石に溜まった水の中へ入れた。そして男に手を出した。
すると黙って携帯電話を差し出した。三河は同じように水の中へ入れた。
「女の携帯も処分しろ」そして沈黙の中、二人の女のバックを拾うのを持ち、携帯を処分するのを確認して京平と二人その場を離れた。
そして車に戻ると走り去った。三河は流石に後味が悪かったようで口を開こうともせず、黙って次の目的地、荒川に架かる扇大橋の下に向かった。
京平は携帯を手にすると救急車を呼んだ。
「紺野さん電話をお願いします。また前田組みの若頭の名前で残りの四人を呼んで下さい。話がまとまったと言って下さい」。
「それはどう言う事です」?
「ええ。二つのグループが前田組みの仲介で一つに合併して関東一の暴走族にする計画があるんです」。
「そんな計画が、じゃあ大人数で来るかも知れませんね。そうなったら諦めますか。それとも問答無用で始末しますか」。
「いえ、必ず二人づつで来る筈です。もし外のグループに知れたら騒ぎが大きくなると考えますから。そうなる前に合併したいと言う飯島聡のグループと大塚好明の意見が一致したと言う訳です。
仲介に入っている前田組みの若頭はいま別件で警察で取り調べ中です。その事はまだ誰も知りません」。
「三河さんが逮捕させたんですね。なるほど、分かりました」。
三河はチラッと京平を見ると黙って頷いていた。京平は携帯を持つと四人の男達に電話をいれた。そして声を低くどすの効いた声で次々と電話を入れた。
誰一人として疑う事もなく、誘いに従っていた。すると前方で通常検問が行われていた。三河はポケットから警察手帳を出して準備していた。
そして二人の車に夜間警備用の赤い灯火が降ろされた。
「お忙しい所済みません。検問実施中ですのでご協力お願いします」。
「御苦労さん。本庁の三河だが、何か事件か」?
「はっ、これは三河警視、失礼しました。先程神宮の森と北品川の倉庫で殺人事件が相次いでありましたので。その検問です。失礼しました。どうぞお通り下さい」。NO-75-81

小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(74)&CG合成

2008-11-10 03:44:04 | 小説・鉄槌のスナイパー(第二章)
小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(74)&CG合成

そして車は人気のない公園沿いの会社の駐車場に入れて止まった。
「此々は私の知り合いの会社でしてね、いつも張り込みでの時に使わせて貰えるように頼んでありますから心配ありません。この車は蛇の道は蛇ですよ」。
京平はその先を聞くのは止めた。そして二人は帽子を深く被った。
そして手袋をするとゴリラのマスクをポケットに押し込んで懐中電灯を手に車を降り、指定した丸太のベンチへ歩く三河の後ろに着いて行った。
時計を見ると九時、袖から冷たい風が腕に吹き込んで寒さを忘れていた。
そんなせいか散歩する者も誰一人としていなかった。そして林の中を歩いて行くと二人の人影がベンチに座っていた。
それはアベックだった。すると、バイクがバリバリ音をさせて入って来た。
アベックはサッと立つと逃げるように駆け出した。
すると、もう一台のバイクがけたたましい騒音を響かせてやって来て、ベンチの前でエンジンを切った。すると先に来ていた男にペコペコ頭を下げていた。
「どうやら揃ったようですな。行きますか」。
三河は帽子を取るとお面を被って帽子を被った。京平もまだ同様にお面を被ると帽子を被った。そして懐中電灯を構え、銃を手に安全装置を解除して二人に向かった。
すると二人は京平たちの足音に気付いて振り向いた。三河はその瞬間明かりを点けて一人の男の顔に照らした。
「誰だ!中島さんっすか」?
「ああ、中島の使いの者だ。小沢浩と中村幸夫だな」?
「なんだ、おめえ達は。リーダーは何処だよ」。
「そんな者はいないよ、今日は話があってお前達に来て貰った。暴走族を解散しろ。解散しないと災いが降り懸かるぞ」。
「てめえ、面を見せろ。俺とタイマン張ろうってか。そこの!死んでも解散なんかするか、バ~カが」。
「そうか小沢、頼んでも駄目なら。では死んで貰おうかね」。
三河は小沢浩の胸部に引き金を引いた「バスッ」と微かな音がすると小沢の体が吹っ飛んだ。そしてピクリとも動かなかった。それを目の当たりにしたサブリーダーの中村はへなへなと腰を抜かして座り込んだ。すると、股から湯気が上がった。
「や、止めて下さい。こ殺さない出下さい。ああ、ショウベン漏らしちまった。わわわ分かりました、僕が暴走族を解散させますから殺さないで下さい。誓います、解散させますから」。
「小僧、もし嘘だったら痛い思いだけじゃ済まねえぞ」。
京平は男の太股を掠めるように撃った。
「あああ!痛え~っ」。
「黙れっ!死にゃあしねえ。大人しくさせてやろうか」。
「黙ります!黙りますから殺さないで下さい。でも痛いです」。
「いいか、約束だぞ。もし嘘だったら何処に逃げても隠れても必ず捜し出して殺す。お前の携帯を壊せ。私が救急車を呼んでやるからそこから動くな」。
中村はポケットから携帯電話を取り出すと思いきり地面にたたき付けた。すると蓋が割れて飛び散った。
「よし、動いたら遠くでお前の頭に狙いを着けてるライフルが火を吹くからな。救急車が来るまで動くな。私達の事は喋べるな」。
「はい、絶対に喋べりません。助けて下さい」。
三河は明かりを消した。そして二人はその場から離れ、マスクを外して速足で車に戻ると車を出した。そして京平は携帯で救急車を呼んだ。そして北品川に向かった。
「紺野さん、いい腕してますね。股を掠めるなんて凄いですよ」。
「いいえ、今度は田代英雄と後藤俊郎ですね」。
「ええ、その二人は凶暴ですからね。野田組みの若頭の新藤の使いだと行って北品川の第三倉庫に呼び出して下さい」。
京平は言われたまま電話した。すると電話の声はいかにも暴走族と行った口の聞き方だった。そして、十時には北品川の第三倉庫に到着した。
全く人気のない倉庫街に入るとライトを消し、暗闇に入ると車を止めた。
バタンッ、バタンッとドアの閉まる音が鳴り響いた。そして足音もなく二人は第三倉庫に歩いた。すると、バリバリバリと数台のバイクのマフラーの騒音が近付いて来た。そしてエンジンが止まった。
「何だまだ来てねえのか、一体どんな用か後藤聞いているか」。
「いいえ、知らないっす。リーダー聞いて無いっすか」。
そんな話し声が聞こえていた。京平たち二人は暗闇に潜んでいた。そして準備を整えると銃を構えた。
「おい、野田と後藤、こっちだ」。
「なんだ来てたんすっか、頭はまだっすか」。
「頭なんか来ないよ、用があるのは私達だ。お前暴走族を解散しろ」。
「てめえ嘗めんなよ、誰だ面出せや。手前に言われる筋じゃねえ」。
「後藤、お前は黙ってろ。お前等マッポの手先か」。
「そんな事はどうでもいい。解散するのかしないのか、言われた通り解散した方がお前たちの為だぞ。痛い目に会いたくなけりゃな」。
「バカかお前、俺達のバックにゃ野田組みがいるのを知っているだろ。俺達に喧嘩を売るって事は戦争するってっか。殺すぞてめえ」。
「そうか、こんなに頼んでも解散しないんだな」。京平は強い口調で言った。すると田代と後藤の二人はポケットからバタフライナイフを出して恰好を着けて構えた。
その瞬間、「パシュッ」京平の銃が火を吹いた。瞬間、リーダーの田代がもんどり打って吹っ飛んだ。すると後藤は逃げようとした。
「後藤止まれっ!一歩でも動いたらリーダート同じだぞ。此れでも私達の頼みが聞けないんだな。私達は本気だ。お前や野田組みの威しとは違う事が分かったか」。
「わ分かった、てめえリーダーを殺したな」。
「何だその口の聞き方は、立場を考えろよ。野田やお前等の組織とは天と地ほども違うんだ。どうなんだ、解散するのか」。
京平は足を狙って撃った。そしてバイクのタイヤを撃った。
「痛て~っ、わ、分かった。分かりました。殺さないで下さい。族は解散させます。医者、救急車を呼んで下さい」。
「初めっから言う事を聞けば痛い思いをしなくても良かったのにな。もし、それが嘘だったりこの事を誰かに喋べったときは殺す。何処へ隠れようと逃げようと必ず組織が捜し出して貴様を殺す」
「分かりました、約束します。だから救急車をお願いします」。
「よし、田代とお前の携帯電話を壊せ。後で呼んでやる」。後藤は足を引きずりながら這うように、後ろで頭を打ち抜かれている田代に近付くと顔を背けながらポケットから携帯を出し、地面に叩き着けた。そして自分の携帯も叩き着けた。ガチャッ、カラカラカラ。と甲高い音を倉庫街に鳴り響かせて携帯は壊れて飛び散った。
NO-74

小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(73)&CG合成

2008-11-10 03:41:25 | 小説・鉄槌のスナイパー(第二章)
小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(73)&CG合成

「そうね、こんなことは国の政策でやる事なのにさ、早く誰かがやる可きだったのよね。それにいまの法律なんか抑止になってないもの。少年法なんか無くして大人の法律を行使する可きよね」。
美保は仲間に入れて貰えなかった事に少し不満そうだった。その顔は一緒に行きたい素振りを見せていた。
「でも、もう美保にはさせられないからね」。
「うん、分かっている。私にはもっと大切な仕事があるもの。元気な赤ちゃんを生む仕事が。京平さん、絶対に無理しないでね」。
「分かっているよ。だから警部と一緒に行動する事にしたんだ。もし大勢で来られた時の事を想定してね。一人だと十二人までは何とかなるけど、もしそれ以上で来られた場合は適わないから。予備に美保の銃も借りてくから」。美保は心配そうに口を尖らせて黙って頷いた。
そして十二月二十一日の月曜日、スッキリ晴れ上がっていた。
京平は美保が支度してくれた荷物を車に積むと、美保に見送られて白馬町の観光組合の東京出張所に出掛けた。
そして二人の観光組合員の乗った車と白馬駅で落ち合うと、二台連なって出掛けた。そして東京に着くと白馬観光組合東京出張所のある渋谷の駅前のビルに向かった。
そして、ペンションを利用してくれてる会社や事業所へ挨拶回りをしていた。
そして昼食もそこそこに午後も精一杯仕事をしていた。
一日がまたたくまに過ぎ、夕日が落ちて真っ暗になるまで仕事をしていた。
そして六時になると美保に電話を入れた。
「挨拶回りは終わったよ。いまから警部の家に行くから」。。
「気を付けてね。帰りも気を付けて、お願いだからね」。
「大丈夫だよ、美保も体を冷やさないようにな」
「分かった、じゃあね」と美保は寂しそうにそう言うと電話を切った。そして京平はカーナビに三河の電話を入力した。
西神田から高速5号線に乗るとラッシュに嵌まった。
そして三十分も掛かって北池袋で降り、川越街道に入った。そして環七通りを左折しナビが示すように直ぐに右折して茂呂遺跡方面に走り、氷川台に着いた。
三河昇の家に着くと立派な屋敷に京平は驚いた。
そしてクラクションを鳴らすとガレージのシャッターが上がった。車を入れた。
するとガレージの中で三河は待っていた。
シャッターを降ろし、「ご苦労様です、どうぞ」と案内してくれた。
「どうも、御苦労様でした。食事を取ってありますから食べながら打ち合わせしましょう」。京平は屋敷の事を訪ねると恥ずかしそうに答えた。
それは元々三河は東京の出身であり、転勤になるまでは住んでいた家だと言うのだった。そして十月まで知り合いに貸していたと言うのだった。
居間に通されると寿司桶の大きいのがドサッと置かれていた。その横には大きな紙袋があり、逆さにした。ゴリラの覆面と懐中電灯を出して見せた。
「これはいい、ヘルメットは嵩張るから止めますか」。と京平はマスクを手に取ると被って見た。そして視界の具合を見ると外した。そして懐中電灯を持つと警察の記しの桜の紋が入っていた。
「これは支給品です、こんなのは警察の売店で売っていますから」。
三河は寿司をつまみながら笑っていた。そして点けてみると恐ろしく遠くまで届く協力な懐中電灯だった。
そして食事を済ませ、テーブルの上を片付けると都内の地図を広げ、ターゲットのリストを広げた。「全員の居所と携帯電話を調べてあります」。
京平は連絡にはプリ携を使う事を三河に伝えた。
「それは危ないですな、相手の携帯から身元が割れるでしょう」。と何も知らないようだった。そう言って首を横に振った。京平は説明した。
「そうですか、今の制度以前に。でしたら身元は割れないで済みますね」。
三河は携帯電話とカードを手にすると頷いていた。そして押し入れを開け、預けたブリーフケースを出して渡した。
京平もまた持って来たフリーフケースを開けると弾薬の入った箱を出してテーブルの上に置いた。
「警部、今日はどの弾を使います?・・・」。
「ええ、例の炸裂弾とか言うのを使いましょう。あれなら銃は特定出来ませんからな。
それに我々警察も間違いなく殺し屋の者だと判断しますから」。
「なんか変ですね、その警察官とこんな話をしているって言うのも」。そして二人はカートリッジ十本を二つに分け、十二発の炸裂弾を入れた。
そして銃に入れると安全装置を掛けると消音器を装着した。
そして二人は無言で着替えた。京平は持参した真っ黒なハイネックのセーターに皮のツナギを着た。そしてガンホルダーを着け、カートリッジホルダーに五本の予備を押しこんだ
「まるで殺し屋ですな、では私も」。と三河もまた京平に習って黒づくめの服を着込んだ。そして警察で使うガンホルダーを腰に着けた。
「それじゃ少しホルダーが小さいですね、これを」。と言ってホルダーを外し、京平は予備のガンホルダーを渡した。
「なんだあるじゃないですか、最初に言って下さいよ、アッハハハ・・・」。と豪快に笑って着けていた。
「まるで殺し屋かスパイですな。中々私も似合いますな。どうです紺野さん」。
「ええ、そうですね。似合いますよ。そろそろ行きますか」?
すると三河は手洗いに行くと出た。京平はその隙に右の肩にもガンホルダーを着けて美保の銃を入れた。その銃には鉄鋼弾が装填されていた。
そして三河が戻って来ると何もなかったような顔をして支度を始めた。そして京平はポケットから埃一つ残さず出し、財布と携帯電話、ゴリラの覆面と黒い帽子を持ってガレージに向かった。そして三河が運転席に座った。
シャッターを開けて表に車を出すと京平が降ろして車に乗り込んだ。
そして環七に出ると渋谷の明治神宮に向かった。三河は慣れた物で裏道に入ったり出たりと流石東京育ちだった。
「紺野さん、呼び出す男の順に電話番号を書いてありますから。電話したら中島の使いだと言って二人を神宮の森の丸太のベンチの所へ来いと言って呼び出して下さい」。
「中島ですね、分かりました。中島とはどんな男です」?
「ええ、中島と言うのは前のリーダーです。奴は九州で傷害事件を起こしまして拘置所にいて連絡は取れません」。
京平はリストを持つと町の明かりに照らしながら携帯のナンバーを押した、すると直ぐに出た。そして言われた通りに伝えた。
すると、荒っぽい応対が丁寧な言葉使いになり、二つ返事で従った。そして二人目のサブリーダーにも同様の内容で呼び出した。
NO-74