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小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(38)&CG

2008-08-13 00:49:36 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(38)&CG

「さよか、ほな条件を言いまっさかい覚えておくんなはれや。現金のピン札は嫌いや、古い紙幣にしておくんなはれ。それから明日、中軽井沢のホテルニュー星野に真田夫婦の名前で予約してありまっさかい、移っておくんなはれ」。
「古い紙幣にですか、分かりました。頼んでみます。それで中軽井沢ですか、ホテルニュー星野に行けばいいんですね」
「そや、ええでえ軽い沢は。ほな頼まっせ」。そして電話を切ると美保は大笑いしていた。
「全くもう可笑しいんだから、何処から聞いても関西人ね。面白かったな。それで真田はなんだって」。
「うん、やっぱり電話して確かめたみたいだ。それに古い紙幣に代えてくれって言ったら驚いていたよ。頼んでみるってさ。明日一日のんびりして十五日の朝僕等も軽い沢に行こう」。
「うん、それで標的は何処で?・・・」。京平は軽井沢の地図を広げた
「峠の茶屋から白糸ハイランドウイの滝に通じる道の中間点に空き地があってね、そこに車を止めさせて道路とは反対側に立たせる。通行車両から見えないように背中越しに立たせるんだ。
周りは雑木林で小高い丘があってね、そこまで車で入れるから、その丘から狙う。誰にも見られる事はないよ」。
「うん、でもせっかくだからお金も貰おうよ。こう言うのはどう。私が先に雑木林の中にいてお金を投げ込ませて受け取る。新しいテープを真田に投げて渡すの。そうすれば真田だって少しは安心するでしょう」。
「いや、それじゃあ危険だ。じゃあこうしよう、お金を投げ込ませて一周して戻るように指示するよ。
美保が戻ってこれるように時間稼ぎするから、テープを空き地に見える位置に置けばいい」。
「分かった、じゃあそれで決まりだね。ねえ京平さん、道路公団の作業服とヘルメット、それにラバーコーン手に入らないかしら。あれなら人に見られても変に思われないでしょう」。

「ここにあるよ、白いヘルメットに作業服なら。それに作業靴もね。じゃあ僕がやる、美保はライフルを構えて待っていてくれ。もし真田が僕が戻るより早く戻って来てしまったら美保が掃除してくれ」。
「うん、分かった」。美保は一瞬唇を噛んで瞳を輝かせた。
そして紺野は地下室から作業着と靴、ヘルメットを持って来た。
そして黒いテープを引き出しから取り出すとカッターナイフで細く切った。そして白いヘルメットに二本の線を張り付けた。
そして外に出ると物置からラバーコーンを数個持って来た。
「え~っ、どうしてそんなのまであるの」?
「うん、ここを作る時に道の入り口に目印に置いたんだ。資材を運ぶトラックに分かるようにね。それに一般車両が入ってこないだろ。
今はフェンスがあるから車もハイカーも入って来ないけど、あれを造るまでは間違えて良く入って来たからね」。
「この山はお義父さんと京平さんが手入れしているの」?
「うん、お爺さんが病気で亡くなるまではやってくれていたけど、亡くなってからは僕と父さんでしてる。下草を刈ったり雑木を切ったりね。だから林業に使う道具は全部揃っているって分けだよ。
家は元々林業が主だったから。この辺りの山も昔は殆どの家の山だったらしい。それが安い輸入材が入って来るようになってさ、売れなくなって林業を止めたんだ。それでベンシヨンを始めたんだって。いまのペンションは五年前に新築したんだ」。
「ふ~ん、私の家はね。元々会社をしてた祖父から父が継いだの。母は祇園の芸者さんだったんだって」。
「そう、それでお義母さんいつまでも奇麗なんだな。ほんと言うとさ。お義母さんに会った時にそうじゃないかって思ったんだ。
さっぱりしていていいよな。美保もその血を継いでいるからサッパリしてるんだな」。
「そうどす。アッハハハハ。ねえキスして」。
そして美保は抱き着いた、濃厚なキスをして食事の支度を始めた。
そして翌日、朝一番でインテリアの店で注文した木材がトラックで届けられた。
二人は作業服に着替えると傷んだ別荘の廊下の張り替えを始めた。美保は床を剥がした板を運んだり釘を抜いたり押さえたり、初めての大工仕事に汗まみれになりながら楽しむように手伝っていた。
そして、首に巻いたタオルが妙に似合っていた。
「京平さん大工さんみたいだね、私見直しちゃった。背広にネクタイ姿しか見てなかったからさ。男の人が汗を流して仕事する姿っていいわね」。
「え~っ、美保だってけっこう似合っているぞ。疲れたら休んでいいからね。無理するなよ生理なんだから」。
「いや~もう、平気ですよ~だ。アッハハハハッ・・・」
そんな美保の笑い声が山間に響き渡っていた。そして昼にはお握りを作って二人で庭にシートを敷き、食べていた。
「あっ、あれなあに。クマじゃないしキツネじゃないし」。
美保の見る方を見るとタヌキがのそのそ歩いて来るのだった。
「美保、友達だよ。この辺りに住んでいるタヌキだ。やっと出て来た。前は良く来てたんだ。お握りそっと転がしてごらん」。
美保は小さなお握りを転がした。するとタヌキは立ち止まった。
そして真っすぐ向かって来るとお握りを両手で持つと食べ始めた。
「え~っなに此のタヌキ、変なタヌキね。慣れている、ハハハハ・・・」。そして美保は卵焼きや炒めた野菜をそっと投げていた。
「ねえ京平さん、あのタヌキに名前はあるの?・・・」。
「そんなのないさ、まだいる筈なんだけど出てこないな」。
「え~っまだ外にもいるの。あっオチンチンがある。牡だ。見て、あの木の後ろ。ほらっ、こっち見ている」。
すると別のタヌキが大きな杉の木の後ろでじっとこちらを伺っていた。京平はお握りを強く転がした。
「あっ、出て来た。私がいるから怖いんだ。私を見るの初めてだから、慣れるかしらね」。
「すぐに慣れるよ、僕が初めてタヌキを見たのは三年前だったかな。庭で薪を割っていたら出てきてさ。置いといた弁当を盗まれて、それが初めての出会いでね。それからちょくちょく出て来るようになって、じっと顔を見ているんだ。それで菓子をやったら寄って来て、慣れるのに早かったよ。だから直ぐに慣れるさ」。
すると、奥で警戒していたタヌキも徐々に寄って来た。そして美保の投げる餌を食べていた。
「ねえあの二人に名前付けようよ。牡が松に雌が楓。決めた。松と楓にする、おいで松、楓もおいで、怖くないよ」。
美保はそう声を掛けながら餌を少しづつ投げていた。京平は笑って見ていた。
NO-38-102


小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(37)&CG

2008-08-13 00:46:21 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(37)&CG

「ちょっとね、私タマゴサンドが食べたいな」。
「うん、良いね。美味しい手作りのパン屋があるから買いに行こう。それからスーパーに寄って別荘に行こう」。
その頃、銀行の窓口には紺野京平の同級生、海野敦子が真田茂の差し出した小切手の応対にあたっていた。
「ともかく此の五百万の小切手を現金に代えてくれ」。
「はい、少々お待ち下さい」。
海野敦子は血相を変えて飛び込んで来た。真田茂に不審を抱いて支店長のデスクに行くと、身元の確認を頼んでいた。
「急だね、高額の小切手はまず身元が分かるものを提示して貰って下さい。免許証があれば一番いいんだが」。
「支店長お願いします。なんかあのお客さん怖くて」。
「分かった、私が行こう」。
支店長は小切手を手にすると窓口に立っている真田茂に歩み寄った。
「お客様、たいへん申し訳ありませんが、身元を確認出来る物を何かお持ちでしょうか。一応確認の為ですので」。
「ああ、免許証と名刺がある。それでいいかな?・・・」。
真田茂は怪訝な顔をしながら、ヴィトンのバックのチャックを外すと免許証と名刺を取り出して支店長に差し出した。
そしていらいらしながら足をパタパタと鳴らしていた。
「はい、結構でございます。少々お待ち下さいませ」。
そして海野敦子を呼ぶと本人である事を確認したと、支店長は奥の金庫室に入った。そして皿に五百万の現金を乗せて出て来た。
「真田様、お待たせいたしました。どうぞご確認下さいませ」。支店長は免許証と名刺と一緒に窓口にそっと置いた。
真田は免許証と現金を鷲掴みするとバックに押し込んで封筒を二つに折って出て行った。
「支店長、なんか変な感じですね。あれでもお医者さんですかね」。
「海野さん、人間はいろんな人がいますから」。
海野敦子は真田茂の印象を深く脳裏に刻んだ。
そして京平と美保はパン屋に寄ってサンドイッチを買い求め、スパーで買い物をして別荘に向かっていた。
夏の日差しを浴びた樹々からは風に乗って葉や山野の匂いが空いた窓から吹き込んでいた。
美保は京都では嗅いだ事のない自然の空気を胸いっぱいに吸い込んで感動していた。
「自然の匂いっていいわね。京都でも静岡でもこんな匂いなかったもん。空気に味があるんだね」。
「ああ、特にこの辺りは館山や穂高連峰からいい風が来るからね。僕等が子供の頃はもっと空気が新鮮な感じがしてたような気がする、だから都会に住んでる人達がこの自然に憧れてペンションへ来るのも分かるような気がするよ」。
「うん、こんな自然の中で暮らせるのが何よりの贅沢ね、母にもこの自然を味合わせて上げたいな」。
「盆のピークが過ぎて落ち着いたらさ、電話して呼んであげたらいいじゃないか。遠慮しているんだよ」。
「呼んでもいいの?・・・」。
「当たり前だろう。僕のお義母さんでもあるんだからね」。
「うん、じゃあ盆が明けたら電話する。有り難う京平さん」。
こうして別荘についた二人は荷物を降ろした。そして紺野は携帯のナンバーディスプレーをオフにし、軽井沢のホテルに電話していた。
すると、空きがあるとの事だった、紺野はホテルのコテージを真田茂夫婦の名前で予約した。
「京平さん、別荘を借りるんじゃなかったの」?
「うん、別荘だと奥さんが気の毒だと思ってね。食事の支度をしなきゃならないだろ。それに人気の多い所なら真田も警戒しないと思って。
それに、あのホテルならコーテージも豪華だし鬼押し出しにもそんなに遠くないからね。今夜もう一度電話して金額を倍にする。その足で軽い沢に行かせて一日たっぷり恐怖を味合わせてから決行は十五日の昼だ」。
「え~っ真っ昼間にするの。危険よ、見られたらどうするの」
「心配ないよ、昼間でもめったに人の来ない所へ誘い出すから。金が目当てじゃないからさ、目的は怖さを味合わせて掃除する事が目的だからね。金が必要になったら貴明から貰うよ」。
「そんな話しが出来ていたん。まるでスナイパーやわ」。
美保は驚いたりすると京都弁で話す癖があった。それが何とも言えないほど愛らしくて可愛いかった。
そして夕方、二人で別荘を出た。そして電話ボックスに入った。
紺野はペンション・マリブに電話を入れた。そして真田茂を呼び出した。
「申し訳ありませんが、携帯の方へお願いできませんか」と言われ、真田は携帯の番号を教えた。美保は隣で携帯の番号を控えると掛け直した。
すると待っていたいたかの様にすぐに出た。
「済みませんでした。言われたように準備しました。いつ何処でお渡しすれば良いでしょうか」?
真田は至極丁寧な口調で話していた。
「真田はん、息子はんに電話して確かめたようでんな。出えへんやろ。わし等が預かってまっさかいにな。申し訳ないんやけど、明日また銀行へ行っておくんなはれ。わしは片手と言いましたんやで、わし等を甘もう見てはったらあきまへんで」。
「どうしてそれを、息子はいませんでした。徒じゃないようですね」。
「あほか我は、こんな事徒でしまっかいな。あんさんは言われた通り用意したらうええんや」
「はい、済みません。片手と言いますと五千万でしょうか。全部で五千万ですね。それで忘れて貰えますか。息子を返して頂けますか」?
「わしは欲張りじゃおまへん。言う通りしてくれはったらテープは処分して息子はんは帰れまっせ」。
「私に直接テープを渡してはくれないんでしょうか。テープを処分したと言う証明はどうやってしてくれるんです」?
「それはあんたがわし等を信じるしかおまへんな。信じられん言いはるやったら此の取引は解消や。金はどうでもええんやで、あんたは警察、息子も警察や。ほな無かった事にしまひょ」。
「待って、待って下さい。誰も信じないとは言っていません。分かりました。では明日用意して待っています」。
NO-37

小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(36)&CG

2008-08-12 10:29:20 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(36)&CG

「はい、真田です」。
「俺だ、悪いな朝っぱらから」。
「いいえ、言われた通りあれから直ぐ旅行の支度をして和歌山の那智勝浦にある休暇村にいます。貴方が言ったようにやっぱり刑事が尾行して来ています」。
「そうか、お前の両親を確認した。あの晩話した事をもう一度録音するから話してくれ」。
「はい、一年半前の二月十日に佐々木友世さんを京都の東山にある、宝池のベンチで凍死させたのは義父の茂です。
義父茂はもう友世さんから金は取れないと分かったんです。その頃、友世さんも借金の返済を行って来ました。返さなければ被害届を出すと言い出したました。それで殺すすかないと言い出したんです。
僕に借りた金を返すから、そう言って誘い出せと。
彼女は信じて来ました。それで、自分に押さえる様に言うと、医療用の麻酔薬チオペンタールを少量注射して眠らせたんです。
あの時期は寒さで凍死する事を知っていて置き去りにして死なせたんです。
そして今年の八月五日ですが、舞鶴の戸島の海岸に高橋幸子さんを誘い出して、茂るが用意した睡眠薬入の缶ジュースを飲ませました。
30分もすると幸子さんは眠ってしまいました。
そんあ彼女を海に投げ込んで溺死させたのも義父です。義父は彼女達から金を毟り取って来いと命令したんです」。
「よし、ゆっくり遊んでいろ。それから酒は絶対飲むな」。
「はい、飲みません。一つ質問をしても良いですか」。
「なんだ、答えられれば答えてやる。言ってみろ」。
「はい、僕を仲間に入れてくれませんか。僕はいままでして来た事は自分の意志ではありませんでした。養父に恩があるからしていただけなんです。ですから僕を」。
「それは駄目だ、我々は日本国籍ではないからな。もう分かるな」。
「エッ・・・そうですか、日本語が上手ですね。分かりました、此れからは義母と二人で頑張ります」。
「そうしろ、また電話する。派手に動くな」。

私は電話を切った。まさか仲間にして欲しいなんて言われるとは思わなかった。その事を美保に話した。
「え~っ、そう。それであんな変な話しをしていたの。我々は日本国籍じゃない、なんて。カッコイイじゃん」。
美保はそう言いながら電話ボックスの中で飛び上がって喜んでいた。そして静かになると真顔になった。
「じゃあ私呼び出すね」。と美保はみそら野のペンション・マリブの電話番号を押した。
そしてじっと私の目を見詰めながら人差し指、中指、薬指と立てて「ピンポン」と言うと話し始めた。
「もしもし、ペンション・マリブさんですか。済みませんが京都の真田茂をお願いします」。そう言うとOKサインを出し、受話器を渡した。
「いて良かったね、私出ている。暑くなっちゃったよ」。と電話ボックスから出ると車からうちわを取り出して煽っていた。
すると、ゴトゴトと音がして出た。
「はい、真田です」。私はテーブレコードのスイッチを入れた。
「あっ、貴明か!・・・なんの真似だ!・・・おいっ、貴明!」
真田茂は興奮して声が上ずっていた。そしてテープを止めた。
「聞かはりましたか、わし等は何もかんも知っているんや。息子を預かってまっせ。あんたも随分あくどいんやな」。
「だ・誰だなんだ。か、金か?・・幾ら欲しいんだ」。
「そうでんな、片手でも用意してもらいまひょか。夕方までに現金にしてそこにいてくれまっか。また後で電話するよって」。
「待って、おい・・・待ってくれ。盆休みで銀行は休みだ。用意できん」。
「あんた立場を考えなはれ、なんや、その口の効き方は。わしは警察に垂れ込んでもええんやで」。
「す、済みませんでした。私の口の効き方が乱暴でした。許して下さい。お願いします。時間を下さい」。
「そうや、それでいいんや。この夏休み中でも松本信用金庫の大町支店はやな、きっちり商いしとるわい。そやかて午前中で終しまいやで。わし等ちゃんと調べてあるんや。ほな夕方に、さいなら」。

受話器を置くと、美保が声を殺して笑っていた。
「ハッハハハ・・・なあに、今度は大阪弁なんか使って。もう笑いを堪えるのが大変だったんだから。でも上手だったよ」。
「そう、会社の同僚に大坂の出身がいてね。聞き覚えの大坂弁だけど、そんなに悪くないだろ」。
「うん、どうだった。驚いていたでしょう」。
「もうビクビクもんだったよ、今頃焦って家に電話しているぞ、携帯へも。出ないと分かれば銀行へ行くから見に行こうか」。
「うん、でも本当にみそら野の銀行は営業しているの?・・・」。
「ああ、この地区はペンションやホテルや別荘が特別多いからね。盆休みで営業しているんだよ」。
「ふ~ん、そうなんだ。真田の奴一人で行くのかな」?
「うん、女房は何も知らないなら一人で行くだろうな。奴が行くか見届けたら別荘で休もうか」。
「うん、途中でスーパーに寄ってね」。
そして車を出した、ペンション沿いの道にはテニスウエアーやハイキング姿の若者たちで満ち溢れていた。
そんな中を避けるように走って白馬駅に出た。そして信用金庫の手前のインテリアの店に車を止めて展示品を見ながら待っていた。
二人は道路に面したインテリアを見ていると、五分もしない内にシルバーのベンツが店の前を走り抜けた。二人は急いで表に出ると走り去るベンツに目をやった。京都ナンバーだった。
それを見た店員は何があったのかと、二人の後を追い掛けて表に出た。ベンツは信用金庫の駐車場へ入って止まった。
「紺野さん、何かあったんですか」と二人が見ている方向をみながら店員は二人を見た。
「いいえ、いまのベンツが知り合いの車に似ていたもんだから」。
紺野は笑ってごまかした。店員は何気なく頷くと店に戻った。二人も店に戻ると別荘の修理に使う板を注文して店を出た。
「貴明の言う事は本当だったんだね、奥さんは何も知らないみたい。もし知っていれば一緒に来るもの」。
「うん、貴明の話に嘘はなかったみたいだね。お腹空いたろ?・・・」
MO-36-96

小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(35)&CG

2008-08-12 10:25:39 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(35)&CG

「それで、此れからどうするの?・・・」。
「うん、帰ろう。マリブへ行こう。近くまで来たから寄った事にして貴明の両親の顔を覚えないと」。
「だったら早く行かないと出掛けちゃうかも」。
「そうか。じゃあ今から車を乗り換えて行こう。五時を回ったばかりだから食事の時に顔を見られる」。
「うん、でもどして車を乗り換えるの」。
「京都ナンバーだと聞かれたら困るだろ」。
「そうか、私ったら馬鹿だね」。
家に帰ると車を乗り換えるて出掛けた。母は帰ったのかと表に出てた。そして美保の車を見てポカ~ンと見ていた。
「全く」。母は止してよと言う素振りで眉を挙げて家の中へ入った。
そして数十分、みそら野に着くとペンション・マリブの前に車を止めた。すると、突然クラクションを鳴らした。窓から顔を出すと
「おい、そこはわしの駐車場や、車を動かしてくれ」。見ると京都ナンバーのベンツだった。
「美保、乗って。見るな、早く乗って」。
美保は何が何だか分からないままドアを閉めた。そしてバックさせると反対側の駐車場へ車を止めた。
「なんて言い草なの、わしの駐車場や・・・あのナンバー・・・京平さん」。
「うん、貴明の家の車庫にあったベンツだ。貴明の父親だよ。横暴な男だ。あれでも医者だから参るよな」。
「うん。あっ、降りて来た。ひどい顔、あれで良く奥さん貰えたわね。見て、ペンションから出て来た人が奥さんじゃない」?
見ると、白のパンツスーツを着てスラットした細身の奇麗な奥さんだった。そして車から降りた男に近付いて頭を下げていた。
真田貴明の義父はモサッとした陰気の感じの悪い中年男だった。そして男の後ろから女房がつづいてペンションの中に姿を消した。
「どうする、降りてオーナーに顔を出すの」?
「いや、止そう。夕食の支度で忙しいだろうから。それに真田の顔さえ分かればそれでいい。帰ろう」。
「うん、ねえ帰りに薬局に寄ってくれない」。
「ああ、良いけど。どうしたの、身体の具合でも悪いのか」。
「ううん、あれ・・・・もう鈍いんだから」。
「ああ、そうか。ごめんごめん、分かったよ。生理だろ」。
「いや~もう、意地悪なんだから。早く帰ろうよ」。
美保は恥ずかしそうに俯いていた。そんな美保が意地らしくてならなかった。
夫婦とは言え、恥じらいは幾つになっても持ちづづけて欲しいと思った。そして薬局に寄って家に帰った。
そして翌日、私は早く目が覚めてしまい、時計を見るとまだ五時を回ったばかりだった。美保はグッスリ眠っていた。そっとベッドから出た。
すると腕を握った。「もう目が覚めたの」。
「なんだ起きてイたのか、ジュース持って来るよ。喉乾いた」。
「だったら私が持って来ます。何でも良い?・・・」。
美保はベッドから跳ね起きるとキスして部屋を出て行った。するとドアの隙間から話し声が聞こえた。ドアを開けて覗くと母も起きていた。
「どうしたの京平まで、こんなに早く起きて」。
「お早よう。別に理由なんかないよ。目が覚めたら美保をお越しちゃっただけだよ。母さん別荘に行って来るよ。このあいだ切った木も割っておかなきゃならないし、少し修理もしたいから」。
「いいわよ、美保さんも連れて行くんでしょう」?
「美保はどうする、もう少し寝ているか?・・・」。
「ううん、私も行きたい。お義母さん良いですか?・・・」。
「ええ、いいわよ。昨日お父さんから聞かなかったの。ペンションの方はいいからゆっくりなさい」。
「お聞きしましけど、じゃあお言葉に甘えさせて頂きます。でも用があったら言って下さいね」。
「はいはい。それで、飲み物でも取りに来たんでしょう。好きなものを持ってっていいですよ」。
母はそう言って部屋へ戻った。私と美保はカウンターの冷蔵庫からオレンジジュースとコーラーを持って帰った。
それでも早すぎると思い、ベッドへ入った。しかし眠れずテレビを点けた。
「京平さん、あの件だけど。何処へ呼び出すか決めたの?・・」。
「その事だけど、幸子さんの自殺に関して僕等は無関係じゃないからさ、真田をこの白馬の近郊で始末したら疑いをかけられる事は間違いないと思う。
だから夫婦揃って軽井沢のペンションか、貸し別荘に移るように話を進めようと思っているんだ」。
「でもこの時期にペンション空いているかしら」。
「うん、それは問題ないと思う。先月の月末にやったペンションのオナー会議の時に軽井沢観光協会の人がいてね、景気が悪くて随分空きがあるって困っていたから。あの口ぶりならキャンセル待ちなんて事はないと思う」。
「それで、どうやって話しを進めるの?・・・」。
「計画はこうだ。息子の貴明を人質にしている事にする。きっと電話で安否を確かめるだろう」。
「そうか。それで家を出て電話には絶対出るなって言ったのね、流石だな京平さんは、もう昨日の内に頭にあったんだ」。
美保は半身になって胸に乗ると顎を乗せてじっと目を見詰めていた。
「それからどうするの?・・・」。
「ともかく相手には営利目的だと思わせる事が肝心だからね。口止め料を催促する。まず一千万くらい要求してみる。
それで真田の出方を見てから徐々に上乗せして、精神的に追い詰めてやるよ。会話はあのテーブレコーダーで録音してね」。
「きっと驚くわよ、家に電話しても携帯に電話しても息子が出ないとなると信じるしかないものね」。
「うん。貴明にもう一度話しを訊く。それを録音してを聞かせれば観念するさ。
貴明にはあの晩の話しは録音していると脅かしておいたから、言う事を聞かざるを得ないならね」。
「ウフッ・・・凄い張ったり、それも営業で身に着けたの?・・・」。
「そう言う事かな、粘りと誠意と張ったりだからね営業なんて」。
そして六時を回ると起き出して着替えた。そして少しばかりの着替えを持って家を出た。そして公衆電話の前で車を止めるとテープレコーダーを出して真田貴明に電話した。そして合図した通り、過ぐに切るとかけ直した。
まだ七時だと言うのにすぐに出た。
NO-35

小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(34)&CG

2008-08-10 18:57:50 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(34)&CG

「そうですか、御苦労さんだったね。ペンションの方はなんとかアルバイトを頼んだからね。新婚旅行にも行かせてやれなくて済まないね。その代わりと言ってはなんだけど、盆休みは二人でゆっくりしなさい」。
「有り難うございます、でもお手伝いします」。
「美保、せっかくそう言ってくれているから。休みを貰おう、仕事はづうっとあるんだから」。
「はい、じゃあそうさせて頂きます。お義父さんとお義母さんにお土産買ってきましたから、後でお渡ししますね」。
父はニッコリ笑うと草刈カマを下に置き、軍手を外した。そして荷物を運ぶのを手伝ってくれた。すると、事務所の窓が空いて母が顔を出した。
「お帰りなさい、お疲れ様でした」と直ぐに閉めると出て来て一緒に運ぶのを手伝っていた。
美保はもう家族なんだ。そう改めて感じた時だった。
荷物を運び入ると急に疲れを感じ、ソファーに横になった。すると、つま先と身体が重くなるのを感じて目を綴じると、いつしか眠っていた。
美保はそんな夫を見て、そっとタオルケットを掛けていた。そして旅行バックから現金と銃を取り出すと箪笥の奥にしまい、洗濯物を篭に入れていた。
そして、部屋着に着替えて洗濯物を持って下へ降りて行った。
「美保さん、言い忘れたけど昨日京都の警察の土屋とか言う刑事さんから電話があってね、色々話をしてくれて、ともかく謝っていたと伝えて欲しいって。京平怒ったんですってね」。
「そうですか、京平さん頼もしかったですよ」。
「京平の怒った顔なんか見た事ないから聞いて驚いてしまったわ。京平は」?
「はい、私運転代わるって言ったんですけど一人でづっと運転してくれて疲れたんですね。休んでいます」。
「そうそう、それから京都のホテルから何か届いていますよ」。
「フイルムです。一つ忘れて来てしまって、電話したら送ってくれたんです」。
美保は義母から膨らんだ封筒を受け取るとエプロンのポケットに入れた。
「美保さんは疲れてないの、お洗濯なら私がしますよ」。
「はい、有り難うございます。でも私は半分以上寝てしまって、京平さんに悪くて。それに洗濯物くらいは私がします」。
「そう、じゃあ洗濯機を回したらお茶にしましょうね」。
「はい、直ぐに行きます。お義母さん、私京平さんのお嫁さんにして貰って良かったです。凄く幸せです」。
「良かったわね」。義母は笑顔で頷くと事務所に入った。
美保は洗濯場に行くと洗濯機を回して事務所に行った。
そして義両親と三人で机を挟んで京都の土産の八ツ橋やせんべいをお茶の共に和気あいあいと雑談していた。
そして、お茶を持って部屋に戻ると夫は起きていた。
「起きていたの。はい、お茶です」。
「うん、有り難う。もう片付け済んだんだ。美保、考えたんだけどさ。貴明を一週間くらい旅行に行かようと思うんだ。父親と連絡取らせないようにさせる為に」。美保は驚いたように隣に座った。
「どう言う事?・・・」
「うん、マリブに居る父親に電話して威しを入れてみようと思う。父親は貴明に連絡して事情を聞くだろう。それをさせない為に貴明を旅行に出すんだ。
それに、あの刑事も張っていると思う、アリバイをしっかりさせておいて父親を始末すれば貴明には容疑がかからないからね」。
「あ~っ・・・」美保は二度三度と頷くと義母から聞いた電話の事を伝えた。そしてフィルムをエプロンから出すと差し出した。
「今から電話してくるから美保も一緒に行くか」?
「うん、あのお金も銀行に入れて来たいから行く。それから、あのピストルやライフルの事だけど、見付からない」?
「ああ、父も母も僕等がいない時には絶対部屋には入らないから心配ないよ。それが親子の約束事だから」。
「そう、だったら良いけど。少し心配だったから」。
美保は箪笥から現金と通帳を取り出すとリュックに入れた。私はお茶を一気に飲んでキーを持つと部屋を出た。
そして母に銀行へ行って来る事を伝え、美保のBMで白馬町の銀行へ向かった。
そして同級生のいる窓口へ九百万の現金と通帳を出した。
「紺野さん、こんな奇麗な奥さん貰って。京都出身なんだってね。京美人ね」。
「いいえ、そんな。左京区です。海野さんの事は京平さんから伺っています。美保です、宜しくお願いします」。
海野敦子は丁寧に頭を下げると現金と通帳を両手で受け取った。
そして現金を機械に掛けて数えていた。そして電算機に通帳を挟むと記帳していた。閉店間際で急いで飛び込んでくる客も多く、海野敦子と話をする暇もなく銀行を出た。
そして外にある電話ボックスに入った。そして京都の真田貴明の携帯へ掛けた。すると間もなく出た。
「俺だ、真田か?・・・」。
「はい、昨日は済みませんでした」。
「表に刑事居たろ」。
「はい、どうして?・・・そうですよね。さっき買い物に出たんですが尾行して来ました。いまも見張っています」
「そうか、夕方から行動を起こすから、お前は今から旅行に行け。何処でもいい、分かる様に家を出ろ。
携帯電話は俺達以外は出るな。お前のアリバイは刑事がしてくれる」。
「はい、刑事に尾行されて良いんですか?・・・」。
「それが狙いだ。その二人は京都婦警の土屋警部補と小森刑事だ。その二人に分かるように旅行バックを持って家を出ろ。
場所は何処でも好きな所へ旅行に行け。我々の一人が尾行する。それでだ、我々が電話するときは一度コールして切る、そしてかけ直す。
くどいようだが決して電話には出るな。それから態度は普通にな、警察に知れたら今度はお前が首謀者になるんだぞ。分かったな」。
「分かりました。母はこの件に関して何も知りませんので、それだけは宜しくお願いします」。
「分かっている、ではまた電話する」。
そして電話を切った。真田貴明は上ずった声をしていたものの、少しは落ち着いた様子だった。
「京平さん、迫力あるね」。
「えっ、そう。でも今のは演技だからさ」。
美保は思った。夫は生まれながらにペンションの坊ちゃんなんだと。そして優しい夫だと。巡り会えて良かったと思った。
NO-34-90

小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(33)&CG

2008-08-10 18:55:36 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(33)&CG

「エ~ッ・・・それじゃ好都合ね。そう、じゃあ怖かったでしょうね」。
「うん、話している間づっと声が震えていたよ。美保、父親にも同じ手を使うか。地元では始末出来ないから何処かへおびき寄せて一発で仕留めるか。友世さんと幸子さんの敵討ちだ」。
「うん、私にお掃除させて。本当言うと今夜も私が行きたかったの。でも京平さんが行ってくれて良かった。私だったら何も聞かずに始末していたかも知れないもん」。
「うん、無駄に命を奪わなくて良かったよな」。
美保はルームサービスで取ったシャンパンとカナッペを持って来てくれた。
そして冷えたシャンパンを開けた。二人の自殺の裏に隠された真実が判明した事にグラスを重ねた。その二人の傍らには黒く鈍く光る銃がおかれていた。
そしてシャンパンを飲み干すと風呂に入り、午前一時にはベッドに入った。
翌朝、二人は目覚時計で目を覚ました。そしてシャワーを浴びると荷造りをした。例の現金をバックの底に入れ、銃を戻してしまった。
そしてフロントに電話を入れ、清算を頼んだ。フロントでは夕べのルームサービスのベルボーイから聞いて清算を済ませてあった。
そして荷物を持つとフロントに降りた。そしてまだ客もいない静まり返ったロビーで支払いを済ませてホテルを出た。
澄み切った青空が生暖かい風を二人を包んでいた。
そして駐車場を出ると東へ向かった。左手に平安神宮、右手に御所を見て真っすぐ走った。二条城の信号を南に右折し、右手に二条城を通り過ぎ、下京区に入った。まだ六時を過ぎた頃で人気も殆どなかった。
そしてグランドホテルの前を走り抜け、JRの高架橋をくぐって九条に入った。
東本願寺の信号を南に左折し、高橋幸子の実家の前で止まった。二人は両手を合わせて再び発進させた。
「美保、何を話していたんたの」。
「うん、真実が分かった事を話して敵は必ず討つって約束したの。なんだか知らないけど涙が出て来ちゃった」。とハンカチを出して涙を拭いていた。
そして国道一号線に出ると名神高速京都南インターに向かった。
ホテルを出て道路が空いてたせいもあり、三十数分で高速に乗った。私は西日が眩しい事はあっても、東から昇る朝日にバイザーを降ろした事はなかった。
そんな事を独り言のように言うと美保は笑っていた。
「そう言えば私、自分の車の助手席に乗るのって初めてよ」。
「うん、そんなもんだよ。美保、朝食は大垣に入ってから養老サービスエリアにしようか」?
「うん、私そんなにお腹も空いてないからそれでいいよ。それよりさ、新幹線で東京経由より早く帰れそうね」。
「うん、なんで車で来なかったんだろうな。でも車で来なくて正解だったよ、美保の車を乗って帰れるからね」。
「うん。帰ったら早速ナンバー変更しなくちゃ。この車京平さん乗っていいよ。私には合わないから」。
「そんな事ないさ、乗りたい時に自由に乗ったらいい。山へ行く時は四駆で街に行く時はBMにしたら車も痛まなくていいぞ」。
「そうだね、そうしよう」。
そして次第に高速を走る車の数も増えていた。そして一時間半も走ると米原ジャンクションを過ぎた。そして大垣に入り、養老サービスエリアに入った。
燃料を入れて朝食を取った。
そして土産を買って九時には高速に戻った。美保はシートを倒して楽な姿勢になると、いつしか寝息をたてていた。
サンバイザーを下ろし、エアコンを弱くした。そして後ろのシートに手を延ばしてジャケットを取ってミニスカートの膝に掛けた。
空には相変わらず真っ青な空が広がっていた。そして時を刻む事に太陽の陽射しが次第に強くなっていた。
そして二時間、名神高速小牧ジャンクションから中央自動車道に入っていた。美保は気持ち良さそうに眠っていた。
そして多治見市、土岐市、瑞浪市、恵那市、中津川市を抜けて恵那山トンネルに入った。オレンジの明かりがどこまでも続いていた。そして強い日光で焼けた車体も幾分冷えたようにも感じた。
すると、不意に美保が目を覚まして起き上がった。
「私寝ちゃった。え~っこんな時間。三時間も寝ちゃった。ごめんなさい」。
「いいよ、トンネルを出たら休憩しよう。喉が乾いたろ」。
「うん、疲れたでしょう。私代わるよ」。
「いいよ、そんなに疲れてないから。営業していた頃なんか毎日300キロは走っていたからね」。
「うん、じゃあ疲れたら言ってね。無理しないでね」。
そしてトンネルを抜け、那智パーキングに入った。美保は車から降りるとトイレに駆け込んだ。
そして出て来るとスッキリした顔をして私が差し出したジュースを口に運んでいた。「あ~っ美味しい、天気も最高だね」。
美保は両手を広げ、背筋を伸ばしていた。するとマイクロミニのスカートが上がって下着が見え隠れしていた。
「美保。下着が見えるぞ」。
「あっ、そうだっけ。短かったんだ、私ったら」。そう言いながら赤面すると急いでスカートの裾を下ろしていた。
そしてキョロキョロ辺りを見回していた。
「ねえ京平さん、BMW来月車検なんだけど、ナンバー交換と一緒に車検に出しても良いですか」?
「うん、いいよ。その方が手間が二重にならなくて良いからね」。
「有り難う。京平さん大好き」。
「どうした急に。僕も好きだよ、愛しているよ美保」。
美保は腕にしがみついた。そして車に乗り込んだ。そしてキスした。そしてエンジンをスタートさせた。そして高速に戻って松本に向けて走らせた。
そして岡谷ジャンクションから長野自動車道に入り、豊科インターを二時には降りた。そして知り合いのレストランに入って遅い昼食を済ませ、白馬に帰った。ペンションへ着くと父が庭で草を刈っていた。
京都ナンバーの車を見て駆け寄った。そして運転しているのが私で余計驚いていた。「お帰り、どうしたんだその車は」?
「お義父さんただいま帰りました。この車は私のなんです。母が持って行きなさいって言うもので、持って来ました」。
「そうかね、でも良い車だね。それでどうだった」?
「はい、やっぱり失恋したのを苦にしての自殺ですって。それで幸子の御両親がお義父さん達に宜しく伝えて欲しいと」。
NO-33


小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(32)&CG

2008-08-08 03:33:42 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(32)&CG

「はい、家の明かりはそのままで裏から出るんですね」。
「復唱するな、黒い服を着て誰にも見られるな。分かったな」。
私は時計を見ながら受話器を置いた。そして宝池に向かった。そして見付けておいた場所に車を止めると真田の来るのを待った。
すると、一台のタクシーが池の反対側で止まった。目を凝らして見ると紙袋を下げた真田貴明だった。そして佐々木友世が殺されていたベンチに向かって歩いていた。
私は車を離れ、ベンチの真後ろの草むらに身体を潜めて待った。
真田は辺りをキョロキョロ見回しながらベンチに座った。
予定より五分ほど早く到着した。
「振り向くな、その間まで聞け。袋をそっと後ろに投げろ」。
言われるまま紙袋をガサガサ音をさせて丸めてそっと投げた。ドサッと草むらに落ちた袋を拾った。
「どうして殺した、結婚を迫ったからか?・・・」。
「聞いて下さい。自分は誰も殺していません。父が、父が二人を殺したんです。二人から献いで貰った金も父に言われて取ったんです。自分は父の命令で次から次へ女から金を」。
「そうか、思った通りだ。それは言い逃れや嘘じゃないだろうな」。
「はい、あんな父は親だと思っていません。だってそうでしょう、息子に紐をやれなんて親が何処にいますか」。
「なるほどな、思ったとおりだな。今の話しは録音したからな。それでお前のアリバイがちゃんとしていたのか」。
「自分が話した事は父には言わないで下さい。殺されてしまう」。
「それで両親は何処へ行ったんだ」。
「長野県の松本です。松本のみそら野のペンション・マリブとか言う所へ今日から一週間の予定で旅行に行きました」。
「お前いま言った事は事実か。どうして父親が息子のお前にそんな事をさせるんだ。誰が考えても変だろ」。
「自分は養子で本当の親子じゃないです。自分は医者になれなかった事を恨んで詐欺師みいな事をさせられるようになったんです」。
私はその話しに嘘はないと思った。
「父親をどうして欲しい」。
「あんな父は要らない、家を出て一人で暮らしたいです。自分はいつも能無しだ、バカだって言われ続けて来ました。あのベンツだって女が引っ掛かり易いからって買わされたんです。
家を出ようにも育てて貰った恩があります。母は父とは違って自分を可愛いがってくれます。そんな母を一人残して家を出られないんです」。
「本当はな、お前を殺しに来た。でも気が変わった。こっちを見ろ」。
「いえ、見ない方が良いです。見れば殺されます。貴方は九州や大坂で要人を殺したスナイパーでしょう」。そういう声は震えていた。
そうか、そう思い込んでいるのか。じゃあそれを使うか。計画を変更した。
「分かっていたのか、この金はどうやって集めたんだ」。
「はい、父の通帳から黙って降ろしました。・・・また叱られます」。
「そうか、じゃあこの金は父親を始末する代金として貰おう。足りないが後でまた貰いに来る。
お前と母親は生かしておいてやる。でも忘れるな、一言でも喋ったら二人の命はないからな」。
「はい、有り難うございます。決して誰にも話しません。済みません、もし警察に父の通帳から降ろしたお金の事を聞かれたらどう話せばいいですか」?
「そんなの適当に考えろ。仲間がお前を見張っているからな、それから真面目に働け、女を食い物にした時は分かっているな」。
「はい、恩は決して忘れません。まじめに働きます。失礼します」。
「おい、それを持ってけ。裏から入れよ」。
私は袋から一つの束を真田の足元に投げた。真田は拾うとポケットに入れ、タクシーを降りた方へ歩いて行った。
私は銃をホルダーに戻し、小さくなって行く真田貴明を見ていた。まさか、父親が息子に女から金を巻き上げさせていたとは想像もしていなかった。
すると、真田は通り掛かったタクシーを拾うと乗り込んだ。京平はそれを確認すると車に戻り、ホテルに戻ると駐車場に入れて非常階段から部屋に戻った
「お帰りなさい、こっは上手く行きました。どうでした?・・」。
「うん。美保、聞いて驚くなよ。真田貴明は二人を殺してない。父親だ」。
「エ~ッ・・・でもどうして父親が殺すの」。美保は愕然と見詰めていた。
私は真田から話を聞いた通りに話した。
すると、信じられないように目を丸くして驚いて聞いていた。
「嘘~っ、まさかそんな事ってあるの。そう、貴明は養子だったの。でもその話しに間違いはないの。貴明は自分が生き延びたいために嘘をついてるんじゃないの」?
「いや、あれは真実を話しているよ。刑事が言っていたろ、息子にはしっかりしたアリバイがあったって。
まさか息子の付き合っている女性を父親が殺したとは警察だって考えないさ。ましてタクシーの運転手まで貴明の事を悪く言うんだからね。荒手の稼ぎ方だよな」。
「そう、それで貴明を許してやったんだ。じゃあ父親ね」。
「うん、それが今日から一週間の予定で安墨野のベンション・マリブに行っているんだってさ」。
「えっ、マリブさんだったら知り合いじゃない。どうするの」?
「うん、この金は代償に貰って来た。真田の奴、一千万用意してあった。百万は貴明にくれてやったよ。金がないと困るだろ」。
「まったく人が良いんだから。そう、父親が首謀者だったの」。
美保は自分の父親の事が不図思い出していた。自分の父親も会社の為に娘の自分を財産家に嫁がせようとしていた事を。
そして貴明に同情のような感情が生まれているを感じていた。
「でもこっちは旨く行ったのよ。ベルボーイの人ったらシャワー室に貴方が本当にいると思ってね、頭を下げてったわよ。私帰ってから笑っちゃった」。
「そうか、でもこうなって良かったかも知れないな。帰りに真田の家の前を通ったら、あの刑事がまだ車の中で張っていた。始末していたら大騒ぎになっていたな」。
「まだって、行くときも居たの」。
「うん、だから明かりを着けたまま裏か出てタクシーで来させた」。
「じゃあ私達が騒いだから調べてくれる気持ちになったのね。でも父親が首謀者ならあの刑事も空振りね。それでどうするの、もし貴明が刑事に話したら」。
「いや、それはないよ。貴明は父親に言われて女性を食い物にして金を献がせていたにすぎないからね。それに貴明は僕たちを例の殺し屋だと信じている。少し脅かしておいた」。
NO-32-84

小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(31)&CG

2008-08-08 03:31:09 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(31)&CG

「ああ、今出るよ」美保は私に声を掛けるタイミングを覚えていた。
「これならバッチリね、ボーイさんがルームサーピスをもって来て私がドアを開けるとどうじに。貴方、来たわよ。って言うと「ああ、いま出るよ」って聞こえる。ボーイさんは貴方がシャワーを浴びていると信じてアリバイ作りは完璧ね。私もシャワーから出たばかりのカッコウでいようか」。
「うん、髪を濡らしてバスローブで出てくれれは尚いいかもな」。
「分かった、じゃあそうするね」。
すると美保は帯びをほどいて浴衣を脱いだ、下着は付けていなかった。全裸になった美保は濡れた私の体に抱き着いた。
「京平さん抱いて、抱いて下さい」。抱き上げてベッドに運んだ。
美保は何時に無く激しく悶え、官能に達すると、力が抜け、グッタリと横たえた。そして唇を重ねた。そして腕を枕にいつしか眠ってしまった。
そんな眠りの中、美保の手が私の手を探して持つと、胸に運んだ。そして背中を向けると腕を抱くように眠っていた。
美保を背中越しに抱いて寝息を聞いていると、いつしか眠っていた。
そして十日、目を覚ますと美保はベッドにいなかった。時計に目を移すと既に十時を回っていた。
シヤワーを浴びて着替えようと洋服を見るとメモが残されていた。
「コインランドリーに行って来ます」と書かれていた。
すると、間もなくドアの鍵が開いて美保が戻って来た。
「京平さんお早よう、良く眠っていたから。ホテルの地下にコインランドリーがあるのね、助かっちゃった。それに夕べ出したクリーニングも出来ていた」。
美保はTシャツにG~ンズと言うラフな恰好に薄と化粧していた。
「そう、食事はどうしようか。もうモーニングは終わってしまったから。何か頼もうか」。
「うん、私サンドイッチにミルクがいい」。
受話器を取るとルームサービスを頼んだ。すると、数分でドアをノックする音がした。私は印象を強くさせる為にチップを包んでベルガールに渡した。
そして食事を済ませ、カメラ片手にロビーに降りた。すると、ルームサービスを運んでくれたベルガールが歩み寄って来た。
「先程は有り難うございました。あんなに沢山戴いて宜しいんでしょうか」。と少し不思議そうな顔を見せた。
「ええ、いいんですよ。今夜また一晩お世話になります」。
私は美保の肩を抱くようにホテルを出た。そして駐車場に行って溜まった料金を払い、少し曇った空の下、平安神宮から岡崎公園、動物園、そして野村美術館と見学して駐車場に戻った。
そして駐車場に向かい、半日で溜まった料金を払ってホテルに帰った。
その頃には陽が傾きはじめ、西の空には夕焼けが眩しく映った。
「疲れたか」。美保は笑顔を見せながら腕にまとわりついた。
「ううんちっとも、こんなに歩いたのは久し振りだけど、ゆっくりだったから少しも疲れてないよ。汗流そうか」。
美保は買って来たお札や土産の小物を整理していた。そして風呂の湯が溜まるころになると二人で入った。
そして出ると窓の外は夕闇に包まれ、夜景がチラホラ輝き初めていた。時計を見ると六時半を回っていた。
美保はクリーニングから戻って来た袋からスラックスと薄いブルーのサマーセータを取り出して袋から出して私に渡した。
美保はバスローブを落とすと、真っ白なショーツをはいてブラを着け、ペアのサマーセーターを着た。そして真っ白なパンツをはいた。そしてスニーカに履き替えてホテルのレストランに向かった。
美保は和食を頼み、私はショウガ焼きが食べたくなって美保とは別メニューを頼んだ。
食事を済ませ、時計を見ると七時半、部屋に戻ると花火を持ってロビーに下りた。そしてホテルからバケツを借りて水を入れて庭に出た。
そして花火を点けて遊んだ。すると一般客も寄って来た。皆んなで遊んだ。
私は業と風下に座って硝煙を体に浴びた。
誰もがどんな目的で花火をしているのか分からないだろう。美保は含み笑いを浮かべにがらはしゃいでいた。
そして三十分もすると、多めに買ってきた花火も終わり、後片付けをして部屋に戻った。
そして、旅行バックの底から分厚い辞典を出した。タオルに巻いた銃を取り出した。そして手袋をするとホルダーから銃を外して渡した。

そしてテープレコーダーのスイッチを入れ、話すタイミングを何度となく聴いて練習していた。私はグリーンのジャージに着替え、同色のスニーカーを履いた。そしてガンホルダーを肩に消音器を着けた銃を入れてジャンバーを着た。そして九時、私は小銭入れをポケットに入れて美保にキスした。
美保は私に帽子を被せるとドアを開け、廊下に人気のない事を確認すると「気をつけてね」。と美保はエレベーターへ走った。
そしてOKと左手で合図した。私は走って非常階段に行くと外へでた。
思った通り、裏には人気は無く、私はタオルを首に巻いてジョギングしながら駐車場へ走った。
すると、二人の男が入り口にいた。私は自動販売機でジュースを買いながら居なくなるのを待った。するとすぐに走り去った。
そしてメーター料金にコインを落とし、車を出して東山に向かった。私は目立たないよに車を走らせた。
そして茶町の真田貴明の家に近付くと、家の手前には車が止まっていた。
車の中には二人の男が乗っていた。
私は手前の十字路を右折して公園の反対側に車を止めた。双眼鏡をだして見ると、ガレージの中には真田のベンツが入っていた。
車を出して一町ほど走って公衆電話を探して電話を掛けた。するとすぐに出た。
「真田です。いつもの人ですか」。真田の声は震えていた。
「ああ、用意は出来たか」?
「はい、何とか借りて全額揃えました。言われた通りピン札は一枚も入っていません。どうすれば良いですか」。
「よし、家には誰がいるのか」?
「いいえ、自分一人です。両親は今夜は帰って来ません」。
「家の明かりを点けたまま裏からでろ。車は使うな。タクシーで宝池に向かえ。あのベンチ分かるな」
「はい、あそこへ行くんですか。別の所じゃ駄目ですか」?
「駄目だ。断れば商談は終わりになる」。
「いえ、行きます。必ず行きます」。
「では22時ちょうどに来い。もし誰かと来たり知らせた場合は分かっているな。商談はその時点で破談だ」。
NO-31

小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(30)&CG

2008-08-05 13:45:06 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(30)&CG

「嗚呼ッ駄目ッ・・嗚呼ッ・・・」美保のブラウスを脱がせ、ブラを外した。汗ばんだ乳房がたまらなく刺激的だった。美保は間もなく絶叫すると達した。そんな美保を抱き上げ、シャワー室に連れて行った。
「京平さんったらッ鳴呼ッ・・駄目だったらッ・・」
私はシャワーを流しながら花園に舌を入れた。そして陰核を愛撫すると、美保は内股を痙攣させると達した。そして床に座り込んだ。
「もうっ京平さんったら・・・愛してる?・・・」。
「うん、愛しているよ美保」。
そして美保の体を洗い、湯舟に二人で浸かっていた。そして空腹も忘れてゆっくり風呂に入っていた。
そして出ると七時を回っていた。急いで着替えると「ちょっと待っていて、クリーニングに出すの持ってくるから」。
間も無く洗濯物が入った袋を持ってきた。フロントに出してホテルを出た。
そして南禅寺の近くにある、善、と言う古めかしい和食の料亭に入った。
「おやっ、紺野か?・・・紺野じゃないか。久し振りだな。お連れの美しいレディーはどちらさんかな」。
「先生、お久し振りです。妻の美保です」。
「は、はじめまして、妻の美保です。宜しくお願いします」。
「結婚したのか。おめでとう、会社辞めたんだって?・・」
「はい、二人で家の手伝いをしています。先生、先生のお進めを二つお願いします」。
「どうぞ」。と作務衣の店員が座敷に案内した。こじんまりとした懐かしい和室の座敷だった。
「ねえ、先生ってなんの先生なの。何も教えてくれないんだもん」。
「うん、前は早稲田大学の教授だった人だよ。教授を辞めてこの料亭を出したんだ。もう六年になるかな」。
「え~っ、大学の教授だったの。不思議な人ね、それで何の教授」。
「うん。電子物理学の教授だよ、僕の恩師だよ」。
「えっ、京平さん電子物理学を専攻していたの。それで電気関係にも強いんだね。でも変わっているわね。教授の道を辞めて料亭の主なんて」。
「うん、でも良い先生だよ。心が広くて寛大でさ。見習いたいよ」。すると料理が運ばれて来た。美保は目を見張って驚いていた。
刺身に煮物、焼き物にみそ汁、そして漬け物にと、此れぞと言わんばかりに運ばれて来た。
「紺野君、今日は心ばかりの結婚祝いだ。ゆっくり堪能してってくれ。奥さん、ごゆっくりどうぞ」。
「はい、とっても美味しいです。頂きます」。
そして所狭しと置かれた料理を美保は驚くほと良く食べた。
そして食事を済ませ時計を見ると、九時を回っていた。そして勘定を聞くと、やはり受け取って貰えなかった。
私達は言葉に甘えて御馳走になり、料亭を出た。そして公衆電話を探して二人で電話ボックスに入り、真田貴明の携帯に電話を入れた。
すると一回目のコールが鳴り終わらない内に真田が出た。
「は、はい、真田です。夕べの方ですね」?
「ああ、取引は成立しているか?・・・」。
「はい、言われた額は用意しました。夕方から家も出ていません」。
「それは分かっている。所で、今夜の取引だが延期だ。明日の夜までに全額用意してくれ」。
「ま・待って下さい、とても無理です。貯金を全部かき集めても無理です。なんとか勘弁してくれませんか」。
「お前ベンツがあるだろ、どうせ女から献がせた金で買ったんだろ。一度しか言わない、明日のこの時間に電話する」。
「ま・待って下さい、あのベンツはまだ月賦が残っているんです。五百万なら何とかなります。それで許して下さい。それからもう女とは付き合いません。真面目に働きますから」。
「駄目だ、お前は二人も殺しているんだぞ。甘い事は言うな、今は月賦が残っていても売れる。それとも自殺して詫びるか」。
「嫌です、分かりました。車を売って作ります」。
私は追い詰め過ぎたかと思いながら電話を切った。そしてホテルに戻った。シャワーを軽く浴びて浴衣に着替えソファーに掛けた。
そして電話の内容を美保に話した。
「五百万で許してくれだなんて虫が良すぎるわよね。友代も幸子もあの男に殺されて、この世に居ないのに。私は絶対に許せない。
お金で苦しめても生きてる限りあの男は同じ事をまたするわよ」。美保の瞳は憎しみに満ち、テーブルの灰皿をじいっと見ていた。
私は始末するのは止そうと思い始めていた。電話のうろたえた怯えた声、それがどうしても心に引っ掛かっていた。
しかし、美保は私よりあの男の事を知っている。そんな美保が言う言葉に決心が固まった。そして十時、携帯でグランドホテルに電話した。それは一つ仕掛けを残して来たからだった。
「もしもし、4012号室に泊まった紺野ですが。ベッドの棚にフィルムケースを忘れて来たと思うんですが」。
「はい、確かに一つありました。それで先程白馬の御自宅の方へお送りしました。それから、午後に見えた刑事さんがお詫びにみえました。腹を立てて予定を切り上げてお帰りになった事をお伝えするとガッカリしておりました」。
「そうですか、それは有り難うございました。ではまた京都に行く折りがありましたらお世話になります」。
やっぱり私の勘は当たった。此れで真田が殺されても私達の事は疑う事はないだろう。もし疑われた時は、明日の晩のシャワーに入っていた私の声のアリバイ工作が効いて来る。
「京平さん、どう言う事なの?・・フィルムって」。
「うん、きっとあの刑事がまた来るような気がしていたんだ。逆に刑事の心理を利用させて貰おうと思ってね。
それを確かめる為に業とフィルムを置いて来たんだ。理由もなしに電話出来ないからね。やっぱり土屋警部補がお詫びに来たってさ。それで、腹を立てて夕方の新幹線で帰った事を伝えたらガッカリして帰ったってさ」。
「そうか、それで真田を始末しても私達に疑いが来ないって寸法ね。もし疑われた時はこのホテルのボーイさんが夜食をもって来たときに貴方はシャワー室にいたと言うアリバイを主張してくれるって言う事ね。凄い、そこまで考えていたなんて」。
「じゃあ今からそのテープを録音するよ」。
そしてテープレコードを持って浴衣を脱いでシャワー室に入った。そしてシャワーの蛇口を捻った。鼻歌を歌った。「京平さん、来たわよ」。
NO-30-78

小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(29)&CG

2008-08-05 13:41:41 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(29)&CG

「私じゃない、妻に詫びてくれ」。
「奥さん、回りくどい聞き方をして済みませんでした。どうか許して下さい」。
「いいえ、警察のやり方は分かっていますから。前もそうでした。あの時も刑事さんと同じように聞かれました。
たいして調べもしないで自殺と決め付けて片付けてしまったんです。一年半まえ友代が死んだ時も、何処から薬を手にいれたのかさえ調べなかった。今度もそうですよね。
絶対自殺なんかじゃないって私と御両親があれだけ訴えたのに、警察は聞いてくれませんでした。自殺に間違い無い。そう言って担当の刑事は迷惑そうな顔をして私達を睨みつけたんです。
佐々木友代さんは自殺したとされる五日後には私とデパートに行って、春休みに旅行に着て行く服を買う事になっていたんです。
そんな人が自殺なんかしますか。親友だった私には親にも言えない事も話してくれていたんです。そんな人が私に遺書も残さないで死にますか。
その事も総て警察に話しました。でも京都府警は取り合ってくれなかったんです。だめ警察ですよ京都府警は」。
美保はそう言うと刑事は黙ってしまった。そして静まり返った。
「奥さん、良く言った。署長にそう言って出直して来い」。傍観者の中からそんな声が耳に届いた。
「私たちには返す言葉がありません。確かにそう言う事があったかも知れません。ですが私達も一生懸命なんです。事件を幾つも抱えていましてね。どうか分かってくれませんか」。
「刑事さん、何を分かれと言うんです。秘密主義の警察の事なんか何一つ知っている人はいないのが現状でしょう。
刑事がどんな事件を抱えながら、殺されたのかも知れない者の事件を調べているなんて一般市民に分かり用がないでしょう。
被害者の遺族にしてみたら担当の刑事が頼りなんですよ。それを被害者の友人に聞き込みに来て、そう言った聞き方をしたり、都合が悪くなると刑事の仕事も分かって欲しい、ただ分かって欲しいなんて無理です。私は夫として此れ以上の協力は拒否させます」。
「そうですか、分かりました。どうも失礼しました。一つだけ聞かせて下さい。いつまで滞在されます」。
「そんな事お答えする必要はないと思いますが」。
私は腹が立って仕方がなかった。少し言い過ぎた感じもした。すると刑事はすごすごと帰って行った。
「やあ~っサッパリしたね。刑事にあれだれ啖呵を切ればスッキリしたでしょうな、アッハハハハけっこうけっこう」。
そう言って恰幅の良い老人はホテルを出て行った。美保は唖然と見ていた。
そしてアイスコーヒーを持ったまま呆然としているボーイから飲み物を受け取ると美保に渡した。そして一気に飲んで部屋に帰った。
「京平さんがあんなに怒ったの見たの初めて。頼もしかった」。
「僕だって怒る時は怒るさ、美保、すぐに夕方の新幹線のチケットをホテルに用意させてくれないか。怒って帰ったと見せ掛ける」
「はい、すぐに電話します」。
美保は受話器を取ると東京行きの新幹線の切符を頼んでいた。すると間もなく電話が入った。四十分後の五時三十五分発のこだまのチケットが取れたと電話が入った。
私達はすぐに支度して荷物を持つとロビーに降りた。すると、支配人が申し訳なさそうに歩み寄った。
「紺野様、誠に至りませんで申し訳ございませんでした」。
「いいえ、ホテルが悪いんじゃありません。警察が気に入らないだけです。また来ると嫌ですから帰ります。済みません御迷惑をお掛けしました」。
「またのお越しをお待ち申しております。お気を付けてどうぞ」。すると外は陽が傾き始めていた。そして夕暮れの街に出た。
私たちは駅へ歩いて駅舎に入った。まさか尾行はないと思ったが確認すると駐車場に向かった。そして車に乗り込んで携帯で左京区にあるホテル、サンフラワー京都に予約を取った。
「美保。明日の段取りは話した通りだから。今夜はゆっくりしよう。明日の晩決行する」。
「でも心配だな。少しでも不安な事があったら中止してね」。
「うん、分かっているよ」。
そしてホテルに向かった。そしてサンフラワーホテルの手前にある24時間営業の無人駐車場に車を入れた。
「どうしてこんなに入れずらい所に入れるの?・・他にも空いているよ」。
「この位置は監視カメラから死角になっているだろ。ナバーブレートが映らないんだ。右は絶対に向くなよ」。
「え~っ、そうなの。なんでも良く知っているね」。
「年の功だよ、だいたいこの位置はそうなんだ、学生の頃駐車場でアルバイトしていたから分かるんだ」。
美保は俯き下限で車を降りた。そしてホテルに向かった。
そんな道すがら、ふと頭に浮かんだのは三年前だった。豊島樹脂にいた頃、会社の研修で京都に来た頃の事が不意に思い出されて懐かしい感じて歩いていた。
そしてチェックインして部屋に通され、家に電話した。両親を騙す必要はなかったが、ホテルでの事を話した。
そしてホテルを出て今夜は東京に泊まり、十日の夕方に帰ると伝えて電話を切った。
「なんかお義父さんやお義母さんに申し訳ないね」。
「しょうがないさ、敵を欺くには味方からって言うだろ。何も知らない方がいいさ。美保、食事は何がいい」?
「うん、和食が食べたいな。お刺身に煮物とお味噌汁におしんこ」。
「よし、食べに出ようか。近くに和食の美味しい所があるんだ」。
「え~っどうして知っているの」?
「うん、三年前に会社の研修でこのホテルを使った事があってね、それで街を少し知っているんだ」。
「なんだ、そうだったの。さっきも道を良く知っているから不思議に思っていたの。なんだ、来ていたのか。じゃあ案内して下さる、あ・な・た」。
「はい、奥様。アッハハハハ、愛しているよ美保」。
「うん、私も好き。大好き、愛しています」。
美保は抱き着いてキスした。美保の心臓の鼓動が伝わってドキドキと波打っていた。そして美保を抱き上げて寝室に運んだ。
「駄目よ、汗かいているから。嗚呼ッ・・・駄目~っ」。ミニの中に手を忍ばせ、ショーツの中に手を滑らせた。
そして降ろすと舌を入れた。そしてベルトをゆるめた。
NO-28