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小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(8)CG

2008-07-12 14:42:47 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(8)CG

「ごめんなさい、でも本当なんです。お茶入れます」。
彼女は食器棚からインスタントコーヒーを見つけると、ティーカップを出してお茶を入れてくれた。
「お砂糖は一つ、二つ、マリームは」?そう言いながら見上げる瞳と唇は徒っぽく返事を忘れさせるほど愛らしくてたまらなかった。
「うん、一つ。クリームは少し入れて下さい」。
「はい」。そしてコタツに座ってお茶を飲んだ。すると、彼女はティーカップをずらすと旅行バックをテーブルの上に乗せた。
そして、横に倒すとパチッ、パチッ、とロックを外して開けた。
「近藤さん、此れが私の全財産です。私をここに置いて下さい」。そう言って通帳と印鑑を出してテーブルの上に置いた。
私は突然の事に驚いた。
「そんなものはしまっておけよ。立花さん一人くらい養って行くだけの働きはあるから。でもどうして俺なんか」?
「人を好きになるのに理由なんか必要なんですか」。
「それはとても嬉しいけど、でも御両親が心配するよ。それに私の事なんか何も知らないだろ」。
「ううん知っています、近藤さんはバツイチでとっても優しい人。私はそれだけ知ってれはいいんです。それから両親なんか居ません。私を政略結婚の為に売るような親なんか要りません。捨ててきました」。
「そう、あのとき何か大変な事情はあると思ったけど、分かった。好きなだけいていいよ」。
「有り難うごさいます、私働きますから。こう見えてもお料理は得意なんです。宜しくお願いします」。彼女はコタツを出るときちんと正座して頭を下げた。
こうして私は突然舞い込んで来た彼女と同棲する事になった。前の妻と別れて懲りていた筈だったのに。しかし彼女は違って見えた。
私は給料の残りと通帳を箪笥からだして彼女に渡した。
「え、私が預かっていいんですか」?
「うん、自分は浪費家だから無駄遣いも多いし預けるよ。足りない時は預金から降ろしていいから」。彼女は嬉しそうに笑うと通帳を開いた。

「え~っ、凄いですね。こんなにお給料貰っているんですか」。
「営業していたからね、歩合がけっこうあったんだ。それに妻と離婚した時も慰謝料は払わなかったから」。
「・・・聞いても良いですか」?と悪戯っぽい瞳で見上げた。
「うん、何で別れたか。だろ、私は仕事ばかりしていて妻の相手をしてあげられなかった。それで男とね」。
「ごめんなさい」。
「いいんだ、本当の事だから。でも今度は時間が取れるから、少しは立花さんの相手は出来ると思う。いや特別な意味は無いから」。
「いやです、立花さんだなんて。美保って呼んで下さい」。
私は黙って頷いた。そしてその晩、私が風呂に入ると明かりが消えた。
「入ります」と美保が入ってきた。
そして薄暗い風呂で美保の身体を抱いた。ほっそりとした身体に似合わず、豊満な乳房をしていた。互いに身体を流し合い、ベッドに入った。
すると、美保は身体を硬直させていたのだった。美保は初めてだった。
そっと唇を合わせ、抱き締めた、そして豊満な乳房を愛撫して舌を下腹部へ滑らせ、柔らかな陰毛を掻き分けてクリトリスに触れた。
「嗚呼ッ・・・」甘い吐息を漏らし、腰をくねらせた。
そして声を圧し殺すように善がり声を上げ、身体を震わせながらオーガムズに達した。グッタリした花園の中に肉棒を挿入した。
「嗚呼ッ・・・身体が壊れてしまいそうッ・・・嗚呼ッ・・・」。
美保はシーツを握った手を離し、首にしがみついた。そして二度三度と絶叫すると私も同時に達した。「京平さんが好きです。大好きです」。
「うん、自分も美保が好きだ。大好きだよ美保」。
「嬉しい、私初めてなんです。そんなに目詰めたら恥ずかしいです」。私は若い美保に次第にのめり込んで行くのが分かっていた。
そして翌日から美保の見送りで仕事に出掛けた。
会社では美保の話で持ちきりだった。どんな関係だとか幾つなのかと、私は一瞬答えに困った、孰れバレル、ハッキリ恋人だと告げた。
こうして楽しい日々が続き、仕事も順調に業績を上げていた。六月に入り、梅雨を迎えた。じめじめとうっとしい日々が続いていた。
NO-8-16

小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(7)CG

2008-07-12 14:38:40 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(7)CG

そして冷たい北風が吹く日も少なくなり、雨が降る日が多くなっていた。そして二月も終わり、三月に入ると毎日の様に誇り交じりの突風が吹き荒れた。事務員から、これは中国から吹いてくる黄砂で季節風だと知らされた。
そして暖かい南風が吹いて本格的な春を迎えた。
そして近くにある小学校や中学では卒業式が行われ、着飾った母親が会社の前を歩いていた。
そんな良く晴れた或日の夕方、一人の女性が支社に入って来た。
「済みません、近藤支社長さんはいらっしゃいますか」?
私は奥の部屋で見本のプラスチック製品を並べていた。
事務員が部屋に来て私を見て笑っていた。
「支社長、奇麗な彼女がご面会ですよ。隅におけませんね」。
「そんなのいないよ、取引会社の人だろ」。
オフィースに戻るとスラットした細身の女性が立っていた。私を見るなり「その節はお世話になりました。私です立花美保です」。深々と頭を下げた。

一瞬誰だか分からなかった。「・・・ああ、新幹線の。どうもお久しぶりです。業々来てくれたんですか?・・・」。
「はい、コートとお金、助かりました。私あれから病院で診て貰ったら軽い肋膜炎にかかっている事が分かりまして。それでづっと入院していて昨日やっと退院出来たんです。お礼が遅くなってしまって申し訳ありませんでした」。
「そうでしたか、でも治って良かったですね。もう仕事も終わりですから。もし暇でしたら夕食でもどうですか?・・・」。
「はい、有り難うございます。御一緒させて戴きます」。
こうして皆んなが帰って来るのを待って六時には仕事を切り上げて街へ出た。
病み上がりのせいか、彼女は少し青白い顔をしていた。私は元気でも着けて貰おうとステーキハウスに入った。
隅の席に案内され、ワインで快気祝いの乾杯をして食事をした。彼女の笑顔は仕事の疲れを忘れさせてくれる程、美しく優しい笑顔だった。
私みたいな男と釣り合いが取れないと思いながら、ひと時の楽しい時間を過した。すると、何か心配事でもあるかの様に、彼女の顔が陰った。
「近藤さんって良い人ですね。私の事嫌いですか」?
私は突然聞かれ、一瞬戸惑いながら顔を見ていた。
「いえ、好きですよ。一体どうしたんです急に。私みたいなバツ一の男に」。
「近藤さん、近藤さんの家で私の話を聞いてくれませんか」?
「え、ええ。それは良いですが、散らかっていますよ」。
「私が掃除してあげます」。
私は相当な事情があると思ってそれ以上聞くのは止めた。そしてレストランを出た。そしてタクシーを止めて乗り込んだ。
「近藤さん、お願いがあります。駅のコインロッカーに荷物が少しあるんです。寄って頂けますか?・・・」

「ええ、良いですよ。運転手さん、駅に向かってから敷地へ行ってください」「分かりました、駅南でいいですか」
「はい、お願いします」。
間も無く駅に着くとタクシーを降りると彼女は小走りに駆けて行った。そして間もなく小さな旅行バックを下げて戻って来た。
彼女はハアハア息を弾ませて乗り込んだ。「済みません、お願いします」そして私の胸に体を預けた、彼女の手が私の腕をしっかり握り締めていた
何かある、もしかして既婚者なのか、夫が暴力的とか・・・そのな事が頭をよぎった。無言で胸に縋る彼女の肩に手を乗せた。
アパートに入るか否や。「済みません、私嘘を言っていました。御免なさい」と床に両手を着いて詫びた。「いいよ、何か事情があると思っていたから」
「うん、私本当は京都の出身なんです」。
「えっ、そう。でもその話しは後で聞く事にして、先にお茶でも入れるよ。好きなだけ此々にいたらいいから、自分はこっちで寝るから」。
私は毎日淡々とした仕事に刺激が欲しかった。興味本位ではあったが彼女の話を聞いて見ようと思いながら台所に立った。
「近藤さん、私がします。私にやらせて下さい」。
そう言うと私の手からケトルを取ると水を汲んでレンジにかけた。私は真後ろに立って彼女のうなじを見ていた。
すると、クルッと振り向くと抱き着いたのだった。
「私近藤さんが好きです。新幹線で遭った時からいままでづっと会いたくて会いたくてたまらなかった」。
私は急な出来事に戸惑い、どうして良いのか分からず、ただ彼女を抱き締めていた。すると、ピ~ッとケトルが鳴り出した。
NO-7-14