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小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(22)CG

2008-07-23 19:04:05 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(22)CG

美保はその意味が分からなかったようだった、そして黙って頷いた。
「ねえ、私にも銃ケース作って欲しいな」。
「うん、明日ブリーフケースを買いに行こう」。
「それにしてもこの別荘は射撃の練習をするにはうってつけね。私有地で誰も来ないし、山間には樹々のざわめきで音は消されて」。
翌日、私達は松本へ向かった。そして数軒の店で必要な備品を買い揃えた。そして馴染みの銃砲店に顔を出した。
「紺野さん奥さん貰ったんですって。お目でとうございます」。主人は美保を見るなりペコッと頭を下げた。美保は照れながら頭を下げると銃を見ていた。
「おじさん、女房にも免許を取らせようと思うんだけど必要な書類と参考書を貰えないかな」。
「はい、それは良いですね。夫婦で同じ趣味とは」。
店主は数冊の参考書と講習会の日程と必要な書類を出した。美保はキョトンとした顔をして出された参考書を開いていた。
そして新しいベストと服、そして弾薬ベルトをペアで買い揃えた。
「紺野さんも気が早いですね、でも狩猟はそれ位気を使って貰わないとね。後は警察で書類を貰って下さい」。
こうして抱えるほど荷物を持って店を出た。そして松本市内にあるモデルガンの専門店に行った。
すると、新しくエアガンのコーナーが新設されていた。数人のマニアが遊んでいた。
「京平さん、私やってみたい」。美保は袖を引っ張った。みると目を輝かせて射撃をじっと見ていた。そして店主に申し込んだ。
「ええ、良いですよ。でもその前に取り扱いと安全に遊べるようにする必要な説明を聞いてからです」。
私は銃砲許可証を見せた。すると店主は取り扱いの説明を始めた。そして射撃場に入り、何種類ものエアガンを出して来た。
美保はマグナム404モデルのエアガンを手にした。
「奥さん、それは重くて女性には無理でしょう」。
「いいえ、私は此れが良いです。一度撃たせて下さい」。
店主は苦笑いを浮かべながらガンにエアホースを接続させた。
美保はゴークルをして10メートル先の的に標準を合わせて撃った。そして次々と撃ち始めた。
周りにいたマニアは美保の命中率に驚いて射撃を止めて見ていた。そして的が手前に来ると全弾芯に命中しているのだった。
「此れは驚いた、私達は恥ずかしい。奥さん初めてですか」?
店主は的と美保を見比べるように首を左右に振っていた。
「はい、説明の仕方がいいですから。私はおじさんに言われる通りやっただけです。面白かったです」。
そして私が代わって撃ってみた。私は一発的の外周に反れていた。「こりゃ驚いた、お客さん警察官か自衛隊じゃないんですか」。
主人はそう良いながら疑うような目をして私達を見ていた。
「いいえ、主人はペンションの息子です」。
「どうです、エアガンの愛好会に入りませんか。月に一度大会をやるんです。優勝者の景品はエアガンや付属品やソルジャーの服や装備です」。
「ええ、じゃあ夫婦で入会させて頂きます。それとモデルガンも幾つか買わせてもらいます」。
店主はニッコリすると店内を案内してくれた。そして迷彩服や軍用靴、そしてゴーグルやナイフ、それこそ米軍の特殊部隊の装備をペアで買い揃えた。
そしてライフルケースに銃のホルダーを買った。その金額は二人で百五十万近くになってしまった。
「京平さん、私そこの銀行へ行って降ろして来ます」。
「奥さん、分割でも出来ますけど」。
「ううん、私も主人も月賦は嫌いなんです。ねえ貴方」。
「うん。待っていて下さい、いま銀行へ行って来て貰いますから」。美保は銀行へ向かった。
すると、店主がペーパーの的を数袋、ビービー弾やモデルガンを手入れする備品をサービスだと出して来た。そして十五分もすると美保が戻って来た。
「高いオモチャ、でもとうぶん楽しめるわね。おじさん有り難う」。美保は去り気なく言うと支払いを済ませた。
店主と馴染客は買った荷物を車に積むのを手伝ってくれた。そしてまた来る事を約束してガンショップを出た。
「京平さん、あのホルダーだけど本物と一緒なの」?
「うん、本物と全く同じホルダーだよ。本当はホルダーだけで良かったんだけど妙に怪しまれるのも嫌だから」。
「うん、此れで全部揃ったね。もう買う物はないの。でも此々がアメリカならあの金額で本物の銃を揃えられるのにね」。
「それは仕方ないさ。でも良いじゃないか、銃もライフルも三丁づつあるし、一丁づつ持っても予備があるからさ」。
私自身そんな事を平気で言える自分が不思議に思えていた。そして別荘に帰るとリビングの床いっぱいに広げて値札を外し、迷彩服を着て一端のソルジャー気分に浸っていた。
そして的を二十メートル、五十メートル、百メートル、三百メートルはあろうか、先の木に付けてきた。
そして消音器とスコープをライフルに着けると弾を装填し、窓を開けて室内から的に標準を合わせた。
美保は教えたようにライフルの尻を肩に着けると引き金を引いた。パシュッ、と微かな音を残して鈍い音が山間に響いた。
双眼鏡で百メートル先の的を見ると、真ん中やや右にずれたものの、見事に命中しいてた。
そして代わる代わるライフルを撃つと、六発程で三〇㌢ほどの太い木が的からバキバキっと音を立てて倒れてしまった。
銃を片付けてケースに入れると地下室へ隠した。
そして斧とチェーンソーを持って切りに行った。直系40センチの松の木が焦げた脂の匂いを漂わせ、山道を塞ぐように倒れていた。
残った幹をチェーンソーの音を響かせて根本から倒した。そして枝を斧で切り落として松の木を薪の大きさに切り分けた。美保は別荘から一輪車を持って来ると切り二つ三つと積んで別荘に運んだ。
一時間ほどいで片付けると美保の額からは汗が滴り落ちていた。「射撃の練習もいいけど、後の片付けが大変、これから杭を立てて練習しようよ」。
「そうだな、練習の度にこれじゃたまらないからな。考えるよ」。
そして道具を片付けて風呂で汗を流して出ると、突然父と母が遊びに来た。
「京平、あの松を切ったのか?・・・」
NO-22-54


小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(21)CG

2008-07-23 19:01:03 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(21)CG

「そうですか、黒っぽい車ですか。その車が二人の車だったんです。それで近藤さん達はそのままアパートへ戻られたんですね」。
「ええ、そうです。刑事さん、ニュースで聞きましたが、あの二人は覚醒剤の取引で殺されたと聞いていますけど」
「ええ、一応警察ではそう見ています。しかし他人の事には無関心ですな。あの晩も大勢のカップルが現場に行っていたそうですが、二人が殺されていた事には誰一人として気付いた者がいなかったんです。
通報は毎朝散歩する老人が見付けて知らせてくれたんです。死亡時間が午後八時から九時。十時間も誰も気付かなかったんです。目撃者もいませんし、近藤さんが頼りで来たんですがね」。
「済みません、私も美保もただ逃げる事で必死でしたからね」。
「いいえ、分かります。それにあの車はスモークガラスで外からは車内が見なくなっていましたからね。ともかく、貴方々に何もなくて良かったですよ。
もし何か思い出されましたら御面倒でも南警察署の三河か小森までお知らせ下さい。では失礼します」。
私は三河警部補と書かれた名刺を受け取った。そして二人の刑事はだらっと手を下げ、肩を落として重い足取りで玄関を出た。
私と美保は表に出て、車で帰る刑事を見送った。
「京平、殺人事件って此の間のニュースでやっていた二人組の事か、なんと言う暴力団が海岸で殺されていた事なの?・・・」
「うん、俺達がホテルのレストランからアパートに帰るときに暴走族風な車に追い掛けられて逃げたんだけど、その車がホテルの支配人を蹴り殺した二人組だったんだって。その二人が殺されて聞きに来たんだ、自分達には関係ないよ母さん」。
「そんな事は分かっているわよ。それより暫くのんびりして、引っ越しの疲れを取ってから仕事を徐々に覚えてくれればいいから」。母はそう言うと事務所に入って行った。私達は部屋に戻った。

「京平さん、あれだけの事を聞きに業々静岡から白馬まで来るなんて警察も大変なんですね」。
「うん、でも此れで僕等の事は疑っていたい事が分かって良かったじゃないか。隠さず話して良かったろ」。
「そうね。でも私あの人達を殺しても全然罪悪感がないの」。
「うん、僕も同じだ。不思議なほど罪悪感が無い。憎しみを持つ心って怖いよな。理屈や道理では分かっていても、二人を殺したと言う実感がない。頭の中で正当化しているんだろな」。
「うん、そうかも。でも悪はあの二人よ」。
そして、その晩から三日のあいだ雨が降り続き、本格的な梅雨の到来かと思える程雨の降りは凄く、台風かと思える程だった。。
ペンションの泊まり客は外出もせず、思い思いに時を過ごしていた。私達は母や父の手伝いをして仕事を教えて貰っていた。
そして六月も終わろうとしていた三十日、その日の夕食時に客と一緒に食堂でテレビを見ていた。
すると静岡の殺人事件の続報が流れていた。私は美保を呼ぶとニュースに見入っていた。
すると、私達が使った銃弾の事でとんでもない事が分かった。美保は私の顔をじっと目詰めていた。そして部屋に呼ばれた。
「京平さん、殺し屋が使った銃弾と同じって、あれってどう言う事なの。あれは本当なの」?
私は唖然としながら「実はさ・・・」、と銃の入手経路を正直に話した。
「じゃああの銃やライフルはその事故車の周りに落ちていたのね」。
「うん、あの亀石峠を走っていたら霧の中で事故っていたんだ。それで助けに行ったら、二人はフロントウィンドを突き破ってボンネットの上にいた。脈を診たらもう亡くなっていたんだ。
それで顔や恰好から判断したら奴等は普通じゃないと思ったからね、それで転がっていたジェラルミンケースを持って帰ったら、あの銃やライフルが三丁づつ入っていたんだよ。
まさか福岡や大坂で要人が暗殺された銃だとは思わなかったよ」。
「そうだったの、じゃああの三人は本物の殺し屋だったんだ。やったじゃん。これで誰を殺してもその殺し屋のせいに出来るわよ。話していたじゃない。三人の他にも仲間がいた様だって。
極悪な少年に殺された被害者の遺族が大勢泣かされているわ、名前も顔も裁判の内容すら知らされない遺族が。私達がその悔しさと無念を処刑して補ってやろうよ。
でも更生して真面目にやっている子は省いてさ。少年院を出てまた悪の仲間に逆戻りして世間に迷惑を掛けている悪をさ」。

私はその言葉を聞いて身体が震えるほど驚いた。しかし決心するには時間が掛からなかった。私は美保を抱き締めると美保はそっと目を綴じた。
そして少しばかりの荷物を持つと、母に山小屋に二~三日泊まって来る事を話した。母は驚く事もなく何も言わず頷いていた。
そして途中のスパーで食糧を多めに買い込むと山小屋に向かった。雨は山小屋に着く頃には止んでいた。
美保は除湿機のスイッチを入れると風呂を洗って湯を張っていた。私は寝室のエアコンを入れて空気を入れ換え、お茶を入れて美保が来るのを待っていた。
間もなく来だ。「ちょっと来てごらん」。
「うん、何かあるの?・・・」不思議そうに見ると腰を上げた。
美保を連れて地下室のドアの鍵を開けた。そして奥の棚を開け、ジェラルミンのケースを取り出した。
「それって仕事の・・・持ってきたの?・・・」。黙って開けた。
「あっ・・凄~いっ本当だったんだ。ねえ私に一丁づつ頂戴」。油紙で包んでビニール袋にいれたライフルと銃を取り出して美保に見せた。
「うん、でも素手で触るなよ。必ずメディカルグロープをして持つように。それから今後は割烹着を着て射撃の練習しよう。硝煙が残るからね、それから花火を買って来ようか、銃を使った時は硝煙が残るから、花火をすればその硝煙の匂いをごまかせるか」。
「うん、分かった。でも凄い弾だね、此れ全部そうなの」。
美保は何千発もある弾を見て目を見開いていた。そして部屋に持って行き、分解して見せた。分解の手順と手入れの方法を教えた。
じっと食い入る様に見ていた美保は、まるでオモチャをいじるような眼差しで私の教える通り直ぐに覚えた。
「ねえ此のピストル何処にも刻印やマークが入ってないんだね」。
「うん、特別に何処かで製造されたんだろう。でも凄い銃だよ。きっとあの殺し屋も腕が良かったんだろうな。
美保、銃を使ったら必ず薬莢は持ち帰ってくれよ、また使うから」。
NO-21