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小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(24)CG

2008-07-25 15:35:28 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(24)CG

「美保、そんなに気を落とすな。僕もあの電話が入ってから美保が気に掛けていた事は分かっていた」。
「うん、ごめんなさい心配させて。真田を許せない」。
「でも今お前が手に掛けたら警察は高橋さんの関係者に目を着けるぞ。今は駄目だ、時期を待つんだ。分かったね美保」。
美保は頷きながらも不満そうな目をして私を見詰めていた。その瞳に私はどうにもならない空しさを感じた。
あんなケースを持ち歩く訳には行かない、どうして持って行こうか。考えが浮かんだ。書棚から学生の頃に使った分厚い辞書を取った。
そじて、ベッドのしたのケースを取った。
「京平さん、どうするの」。
「いいから、こうして銃と消音器とカートリッジを書いて、刳り抜いて」。
「分かった、ケースを作るの?・・・」。
「うん、こんなアタッシュケースを持ち歩いていたら眼に着くからね」。とナイフで少しずつ切り抜き、ボンドで接着してケースを作った。
そして銃を入れた。「凄~いっ・・・でも百科事典こんなにしていいの」。
「もう使わないからね、片付けようと思っていたんだ。我乍ら好いできだ」。
そして翌日、旅行バックの底に辞典を忍ばせた。そして十時過ぎの長野新幹線に間に合うように佐久平駅へタクシーで向かった。
そして長野新幹線に乗り込むと、東京へは昼前に着いた。そして下りの東海道新幹線こだま417号、十二時十分発、新大阪行きに乗り込んだ。
美保は友人の死を受け入れたのか、表情が少し緩んだようだった。美保はバックから携帯を出した。「京平さん、京都の母に電話して来ます」。
そう言うと笑顔で席を立つと乗降口に向かった。そして私を見ながら電話をしていた。そこへ移動販売か来た。弁当とお茶を買うと戻って来た。
そして幕の内弁当で昼食を済ませ、美保は夕べ眠れなかったのか、私に寄り掛かると直ぐに眠った。
そして二時間、美保は起こすまで眠っていた。
「美保、着いたよ」そっと起こし、ゆるやかになった社車窓を指差した。
「寝ちゃった、もう着いたんだ」。身体を起こし、荷物を持つととホームへ降りた。改札を出ると、美保の母が出迎えに来ていた。
「お母さん、幸子が死んじゃった。それで、聞いてくれた?・・・」。
「京平さん、大変でしたね。ええ、聞いたわよ。幸子さんの遺体はもう家に帰って来ているって。でも詳しい事はまだ警察から知らされていないみたいですよ。それよりホテルを取ってありますから休んでから行きなさい」。
駅を出ると駅前のグランドホテルに向かった。
チェックインして部屋に行くと、ルームサービスでお茶とサンドイッチを頼んで一服しながら美保の母親から話を聞いた。
しかし、何も知らされていなかった。
「美保、京平さんごめんなさいね、お父さんの事だけどやっぱり駄目だった。幾ら話してもわしは結婚なんて認めないって。でも強がっているだけだから辛抱してちょうだい。
だから結婚した事はまだ話してないの。頑固もあそこまで行くと体したものよね。それでどうするの、弔問して明日は帰るの」?
「いえ、父と母が二~三日ゆっくりして来いと言ってくれましたから」。
「そうですか。どうする美保、一応お父さんに会って貰おうか。京平さんを目の前にしたら頑固者も少しは口を閉じるわよ」。
「ううん、京平さんに嫌な思いをさせたくないから。それにあの人は私を売った男よ、会いたくなんかない。私はお母さんさえ分かって貰えたらいいもん。そう言っておいて」。
「そうね、分かった。じゃあ京平さん美保の事お願いしますね」。母は笑いながらも何処か寂しい顔を覗かせて帰って行った。
「美保、いまの言葉はお義母さんに悪いぞ」。
「えっ・・・ごめんなさい。つい口から出てしまったの。後で電話して謝っておく」。
「そうしなさい、ところで高橋さんの家は此々から遠いのか」?
「南区だから車で十分くらい。直ぐよ。どうする、喪服の方がいい?・・」
「うん、僕は父と母の名代だから喪服を着て行く。本葬も出るんだろ」。
「ううん、今日行って御両親から幸子に何があったのか話が聞ければ本葬は出たくないな。辛いもん」。
こうして私達は喪服に着替えるとホテルを出た。そしてタクシーを拾うと南区の高橋幸子の実家へと向かった。
そこは昔ながらの古い家屋が残る西九条の一角だった。腕に報道関係者と分かる腕章をした人達が何人か来ていた。
そして警察車両も玄関の手前に止まっていた。

私達は少し手前でタクシーを降りると歩いた。そして、幾つかの花輪が並べられていた。その前を通り過ぎて玄関に入った。
「おばさんっ!・・・」高橋幸子の母親を見ると泣きながら呼んだ。
「美保さん、来てくれたのね。有り難う、ペンションの息子さんね、美保さんの旦那様ね、幸子から訊いていました。さあどうぞ」。
私は何も言う事も出来ず座敷に上がった。すると既に祭壇は整えられて柩が横たわっていた。
美保はそっと柩の蓋を開けて高橋幸子と体面した。
「幸子、どうして、どうしてこんな姿になっちゃったの。バカ、あんたバカよ、どうしてよ」。ボロボロ涙を流して肩を震わせて泣いていた。私はそんな美保を隣の部屋に連れて行った。
「美保さん、紺野さん、業々来ていただいて有り難うございます。幸子もきっと喜んでくれていると思います」。
「おばさん、どうして?・・幸子に何があったの?・・」
「あの娘ね、誰かとお付き合いしていたらしいの。でも誰なのか私も知らないの。それで何回かお金を持ち出してその彼氏に貸していたのか、献いでいたのか分からないけど、それが、家を出る前の晩に電話が掛かってきてね、出かけてそれきり」。と母親は両手で顔を覆うと嗚咽し、言葉にならなかった。
「美保さん、紺野さん。有り難うございます。幸子の奴、悪い男に引っ掛かっていたようです。幸子の結婚式の為にってあれだけあった預金を少しづつ引き出して空になっていました。その事を警察に話すと、お金の貸し借りは民事であって警察は手は出せないって言うんです」。
「おじさん、幸子の死因はなんだったの」?
「はい、解剖の結果自殺だったそうです。血液検査で大量のアルコールと睡眠薬が検出されたそうです」。
「そうですか。おじさん、それで男の人は誰だか分かったの」。
「いいえ、日記も書いてないし持っていた携帯も無くしたようでありませんでしたから。警察で娘の携帯電話の通話記録を捜査しているそうです。でも自殺じゃどうにもなりません」。NO=24-60

小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(23)CG

2008-07-25 15:32:20 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(23)CG

「うん、いつか切ろうと思っていたんだ。半分枯れていたからね」。
「私もそろそろ切らないと腐って折れると思っていたんだよ。美保さん御苦労だったね」。
「いいえ、でも林業の人達の苦労が分かりました」。
「アッハハハハそりゃ良かった。アッハハハハ」。
父は何も疑う事もなく豪快に笑っていた。そして両親が持って来てくれた料理で昼食を取った。
「午前中は何処かへ行って来たのか?・・・電話を入れたんだぞ」。
「うん、松本へ出て買い物して来た。エアガンのオモチャを買って来たよ。その壁に飾ってあるやつだよ」。
「ほう~っまるで本物そっくりだね。美保さんのもあるね」。父はそう言いながら立ち上がるとライフルを手にした。
「京平、弾はビービー弾か」。
「はい」と美保は引き出しからビービー弾の入った箱を出した。父は嬉しそうに弾を込めると安全装置を解除して木に着けてあった的を狙った。
「タンッ」とエアーとバネの音を響かせて的に当たった。そして父は子供の様に続けて遊んでいた。
「美保さんもやってごらん。中々面白いよ」。弾を込めると美保に渡した。
美保は受け取ると構えた。そして引き金を引いた。美保は業と外した。
「やっぱり私はまだ駄目です。はい、お義父さんやって下さい」。父は自慢気に受け取ると続けて遊んでいた。
そんな父の無邪気な様子を横から母は笑いながら見ていた。
そしてお喋りをしながらお茶を楽しんで、午後三時頃には客を迎えるからと帰って行った。
そして七月四日、三日の休日を終えて私達は実家に戻った。そしてペンションの仕事を手伝い始めた。
自分は両親の何を見て育ったのか、仕事を手伝って初めて知らされた。ペンションで生まれ育ったとは言え、毎日が覚える事ばかりだった。
そして、うっとうしい毎日だった梅雨も開け、夏休みに向けてペンションの予約も日を追う事に増え始めた。
予約の電話を受けていて忙しくなるのは目に見えていた。そして八月を迎えて本格的な夏が訪れた。
そしての予約が満杯になった頃、常連客でもある美保の大学の同期の高橋幸子から電話が入った。
母に言われ、部屋で休んでいる美保を呼びに行った。
すると、部屋で受話器を持った美保の表情が次第に険しくなっていった。
「そんなの良いからおいでよ、彼に話して何とかしてもらうから」。そして数分話をして受話器を置いた。
「どうした?・・美保」。
「うん、幸子ったら例の男と付き合っていた見たいなの」。
「例の男?・・・誰!例の男って?・・・」。私は覚えていなかった。
「あの男よ、私の親友を食いつぶしてボロ切れのように捨てて自殺に追いやった男。真田貴明って言って今年で二十七才かな。
見栄えだけは良いの、それで女の子は次々と騙されてね、お金を貢がせて無くなればポイ。幸子その男と付き合っていたみたいなの。
それでね、今年はお金がなくて行けそうもないからって、キャンセルして欲しいって言って来たの」。
「そうか、高橋さんその男に引っ掛かっていたのか。まさか自殺なんかしないだろうな」。
「うん、大丈夫だと思う。彼女ああ見えてけっこう我慢強いから」。美保はそう言いながらも動揺は隠せないでいた。そして私にも妙な胸騒ぎがしていた。
「美保、それで高橋さん仕事は何をしているの」?
「確か証券会社だったと思ったけど。宿泊名簿に幸子の勤務先も書いてあるわよ。見に行こうか」。
そして一階の事務所に降りて宿泊者名簿を開いた。やはり美保の言ったように京都日々証券と書かれていた。
「ほらね、幸子そのまま勤めているのね」。
そして二日三日と過ぎて四日が過ぎた。美保は高橋幸子の電話を受けてから頭から離れない様子だった。そして夕方のニュース、
「本日午後三時ろこ、舞鶴湾にある戸島の海岸で若い女性が浮かんでいるのを釣り客が見付けて警察に届けました。
舞鶴署では早速救出に向かいましたが。女性は既に亡くなっており、死後一日が経過していると言う事です。
そして死亡した女性の身元は、腰に着けていたバックから運転免許証が見付かり、京都府南区在住の高橋幸子さん二十四才である事が分かりました。高橋さんは一昨日、友人と会うと言って家を出たまま帰らなかったと家族は話していました」。
「京平さん、幸子が、幸子が自殺しちゃった。お義母さん」!美保はそう言うと事務所の机の陰に身を屈ませて泣だした。
「どうしてなの美保さん、美保さん何か知っているの」?母は蒼白し、美保の肩を抱いて涙を拭いていた。私はニュースの続きを聞いていた。
場所は舞鶴湾に浮かぶ戸島の海岸だった。そして死後一日、外傷はなく自殺と事故死、他殺の三方から調べていると言う事だった。
私の胸騒ぎは当たってしまった。そして美保を見ると少しは落ち着いた様子だった。涙を拭くと椅子に掛けた。
「京平さん、お義母さん済みませんでした」。
「良いのよ。京平、美保さんを連れて京都へ行ってらっしゃい。高橋さんには御両親にも御利用頂いているの。私たちの代わりに弔問に行って来てちょうだい。お父さん良いわよね」。
「うん、きっと明日の午後には遺体も警察から返して貰えるだろうから。明日午前中に発って行って来てくれ。くれぐれも御両親にはな。
美保さんの同級生も弔問に来るだろうから二~三日ゆっくりして、京都のお母さんにも会って来なさい」。
「はい、お義父さん有り難うございます。でもペンションの方が忙しくなりますから弔問を済ませたら帰って来ます」。
「そんな事は気にしなくていいよ。今日はもう良いから食事を済ましたら休みなさい。京平、いいね」。
母は耳元で囁くように、精神的に参っているから慰めてやりなさい。と。
そして食欲のない美保に夕食を食べるように勧めた。美保は気落ちしたように肩を落としながらも箸を持った。
そしてやっと一杯のご飯を食べると片付け、皆んなより先に仕事を切り上げた。
そして部屋に戻ると何度も溜め息を着いていた。NO-23