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小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(10)CG

2008-07-13 21:39:28 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(10)CG

「大丈夫だよ。今日は朝一の商談が済んだら帰って来るからね。美保は今日用事はあるの?・・」。
「ううん、特別ないよ。じゃあ明日はお休みだからゆっくり出来るね。ねえ京平さん、少し相談があるの」。
「なに、自分に出来る事なの」。
「そうじゃなくてさ、そこのスパーのレジで働いてもいい?・・・いつも女店長さんに誘われるの、何もしてないなら半日でも良いから手伝ってくれませんかって。良いでしょう。私もね、少しでも働いて家賃くらい稼ぎたいと思っていたから」。
「そう、いいよ。でも無理するなよ」。
「うん、良かった。じゃあ月曜日から行くね」。
「なに、もう話は決まっていたの」。
「ううん、いつでも良いって言うから。それに九時から三時頃までだから、ちゃんと家事も出来るし」。
こうして私は食事を済ませると仕事に出掛けた。
そして朝礼を済ませ、私は一人で焼津に向かった。そしてプラスチック材料の新規納入の契約を取ると昼前には会社に戻った。
会社に戻ると契約書を読み返し、間違いが無いのを確かめて本社に送った。こう順調に事が運ぶと自分でも怖いくらいだった。
そして昼になり、事務員の二人は食事を始めた。私は半日で帰る事になって帰り支度をしているとニュースが始まった。
「支社長、昨日の亀石峠の事故で重体だった人亡くなったって。知ってます?・・・支社長は通らなかったんですか」。
「ああ、今朝美保から聞いたよ。私も亀石峠に入ったけど霧が凄くてね、直ぐに引き返して熱海に出て沼津インターから東名へ入ったから。あの霧の中じゃ運転は無理だよな、気の毒に」。
「そうですか、でも亡くなった人達はヤクザ屋さんだって、なんでも警察から手配されていたらしいですよ。自業自得よね。それに濃霧で通行止めになっていたのをゲートで止めるのを振り切って通ったんですって。
警察ではスピードの出し過ぎでハンドル操作を誤ってそのまま木に突っ込んだって。もし支社長が走っていたら巻き沿いになってかたも知れませんね」。
「本当だね、私は付いていたのかな。さて、書類は送ったし、じゃあ後の事はお願いしますね。寝不足で疲れたよ」。

私はほっと胸を撫で降ろしながら会社を出た。そして歩いてアパートに向かうと、美保がスーパーの買い物袋を下げて待っていた。
「京平さ~ん、お疲れ様でした。ヘヘ~ッ待っていたの」。
「ああ、少し遅くなったね。どうだったレジの話しは」。
「うん、今朝話した内容で良いって。月曜から行く事になったよ」。
「そう、それは良かった。腹空いたよ、帰って食事にしようか」。
「はい。京平さん物置のケースはなあに。仕事の道具ですか」?
私はドキッとした。「うん、重いから動かすなよ」美保の言うように仕事の道具として片付けた。そしてアパートに帰ると二人で食事を作って済また。
美保も幾分寝不足で目をしょぼしょぼさせていた。二人でシャワーを浴びてベッドに入って一眠りした。
そして起きると部屋は暗く、窓の外は真っ暗になっていた。そっと起きたけど美保を起こしてしまった。
「え~っ、真っ暗。少し寝過ぎちゃったね」。そう言いながら美保は私の腰に腕を回して抱き着いた。
「美保、来週の二十四日市役所に行こうか」。
「うん、良いけど、何し・・・え~っ、もしかしたら」。
「ああ、籍だけでも先に入れよう」。
「はい、有り難う京平さん。それまでに書類揃えておくね」。
「もう半年だろ、美保に悪いから。両親には再婚の話ししてあるんだ。土日と連休だから実家へ行こう。両親に会ってくれないか」。
「はい、でも気にいって貰えるかしら。なんか心配だな私」。
「心配ないよ、それより美保の家の方は大丈夫か」。
「うん、黙っていたけど、此のあいだ母に電話したの。その時に京平さんの事話したらね、母は私が良いならそうしなさいって。父には内緒にしておいてくれるって。それでね、子供でも出来ればパパ・・お父さんも諦めて受け入れてくれるでしょうからって。それまでには母が父を説得してくれるって」。
「そう、お母さんに悪いな。本当ならこっちから挨拶に行かなきゃならないのにな、済まないな美保」。
NO-10-20

小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(9)CG

2008-07-13 21:35:54 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(9)CG

そんな六月の中旬、私は一人で商談で伊豆のホテルにいた。夕方からプレゼンを始めて、夕食を挟んで終わったのが零時近かった。明日の朝一番で商談があり、泊まる訳にはいかなかった。
そして伊東から亀石峠を抜けて帰ろうと夜中の霧の中を走らせていた。
霧が濃かった事もあり、行き交う車は少なかった。
そして亀石峠の蛇行した頂上付近に行くと、ボヤ~ット明かりが見えて近付くと車のライトが妙な方向を照らしていた。
一台の乗用車が林の中に突っ込んで大破していた。
私は車を降りて近付くと、車は松の木に正面から突っ込んでボンネットはめくり上がって白煙を上げていた。

前に回って見ると、ボンネットの上にはフロントガラスを突き破って男が二人、血まみれになっていた。良く観ると髪は丸刈り、スーツは派手でヤクザ風である事が分かった。恐る恐る脈をとると、既に亡くなっていた。
警察へ電話しようと戻ろうとすると、足元にジェラルミンのケースが転がっていた。そしてトランクが空いていた。
覗くと、中には同じジェラルミンケースが一つと黒いブリーフケースが入っていた。ジェラルミンケースを持ち上げるとかなり重かった。
そのとき、不意に中身に興味が涌いた。
私は急いで二つのケースを自分の車のトランクに入れるとブリーフケースを積んでUターンして走り去ってしまった。
胸は高鳴り、ドキドキしながら時折ルームミラーで後ろを見ながら走った。
しかし対向車も後続車もなく、宇佐見に出た。
俺は何て事をしてしまったのか、後悔しながらも元には戻れないと胸が騒いだ。
そして熱海に向かった。そこから熱函道路を走り、函南町に出た。そして沼津へ出ると沼図インターから東名高速に乗り、四時半過ぎには静岡に着いた。
私はどうしてあんな事をしてしまったのか、また心が騒いだ。
後ろめたさと罪悪感に胸は苦しい程に波打っていた。
二度三度と深呼吸して、私は間が指したんだと自分に言い聞かせた。そしてアパートに帰ると世が明けていた。
急いでジェラルミンケースを下ろし、物置の鍵を開けて中に入れると部屋に入った。
「お帰りなさい、遅くて心配しちゃった」。と美保が抱きついた。
「ただいま、おきていたの?・・・」」抱きしめてキスして抱き上げた。
ベッドを見ると乱れがなく、美保は寝ないで待っていたようだった。でもその顔はうたた寝していた顔だった。
私は美保を抱き締めるとそっと口付けを交わしてまた抱き上げた。
「ごめん、霧が凄くてね、熱海を回って帰って来たから遅くなっちゃった。美保の好きな干物買ってきたからね。さあ、寝ようか」。
「うん、有り難う。凄く心配だったんだからね」。
「ごめんごめん、携帯バッテリー切れだし、公衆電は無いし、本当にごめん」
瞳が涙で滲んでいた。そんな美保を抱き締め、美保を脱がし、抱き上げてシャワーを浴びてベッドに入った。
しかし、あの血だらけで死んでいた姿が目に浮かんで中々寝付けなかった。
すると、ごそごそと美保は動いて全裸になると抱き着いてきた。
柔らかな乳房が胸に密着し、腰に股を擦り寄せて柔らかなヘアーが言い知れぬ快感を感じて欲望を駆り立てた。

「わたし京平さんの赤ちゃんを生みたい。私をお嫁さんにして」。
「うん、改めて言うよ。美保、私と結婚してくれ」。
「うん、嬉しいです。私良い奥さんになるから。京平さん」。
美保は私の胸に顔を沈めると涙を流していた。そっと美保を横に寝かせ、美保は私の腕を枕にそのまま眠ってしまった。
翌朝、急に目が覚めた。美保は台所で朝食の支度をしていた。起き上がるとパンツを穿いていなかった。
「そうか、あのまま寝てしまったのか」すると、横にトランクスとシャツが揃えて置いてあった。
トランクスとシャツを着てテーブルの上の新聞を取った。
「お早よう京平さん。アジの干物焼いているからね、すぐに食事出来るから」。
「うん、良い匂いだ。やっぱり日本人だな」。
「うん、ねえ夕べ遅く亀石峠で事故があったんだって。テレビのニュースでやっていたよ。二人即死で一人は意識不明の重体ですって、京平さん通らなくてよかったね」。
私はその話に身体が震えた、もう一人いたのか。もしかしたら見られていたかもしれない。もとバレたら!
「どうしたの?・・・寝不足で顔色悪いよ、大丈夫」?
NO-9