小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(14)CG
「京平さん、お義父さんが送ってくれるって言うから乗せて来て貰っちゃった。
凄いロクハウスね、まったく何でもちっちゃいなんて、なにも小さくないじゃん」。と家の中を見渡していた。
「美保さん、京平は小さい頃からそうでね、見えっ張りが嫌いなんだよ、悪く思わないで下さいね」。
「はい、気にしていませんから。私一度こう言う所に泊まってみたかったの。ねえ泊まれるんでしょう」?
「勿論だよ、暖房も冷房も入っているし風呂もあるよ」。
「美保さんはそのつもりで買い出しして来たから、今夜は此々で泊まりなさい」。
「ああ、分かった。じゃあ泊まるか」。
「うん、お義父さん忙しいのに済みませんでした」。
「良いんだよ。じゃあ私は此れで帰るからね。風邪引かせるな」。そして父は車から食料品を降ろすと帰って行った。
「京平さん、良い所ね。夏になったらまた来たいな」。
「ああ、此々のログハウスは美保のでもあるんだ。いつでも遊びに来たい時に来ればいい。それよの凄いもの見せてやるよ」。
私は机の上に置いたブリーフケースを持った、孰れ美保に見付かると思ってライフルと銃を見せた。美保は目を丸くして驚いていた。そして直ぐに笑った。
「なあに此れ、京平さんモデルガンの趣味あったんだ。でも本物みたいね。重くて冷たいね」。
私はライフルを手にすると組み立てて弾丸を装填した。
「美保、あの遠くにある赤い杭を撃ってみるからね」。
「また~っ、あんな遠くまで弾が飛ぶの。まずは拝見」。
美保は全く信じていなかった。そして私は狙いを付けると引き金を引いた。
「バシュッ」と音がして美保は後ろへ後ずさりした。
見ると目を真ん丸くして口を開けたまま、じっと見ていた。
「京平さん、それ本物のライフルなの?・・・え~っどうして」?
「ああ、だから狩猟が趣味だって言ったろ。非合法で手に入れたライフルと銃だけど本物だよ。撃ってみるか」。
「うん、でも私に撃てるかしら。なんか怖いよ」。
「大丈夫さ、教えてやるから。言われた通りにするんだよ。肩から絶対に離さない事、離すとショックで鎖骨が折れる事があるからね。
それから銃口の突起物が照正、手前が照門、両目を明けて狙う所に標準を合わせて息を吐いてから息を止めて引き金を引く。まず装填しないでやってごらん」。
「うん、わあ~っ私本物なんか持つの初めて。以外と軽いんだね」。と美保は言われた通り何度も繰り返し練習していた。
「じゃあ本番行くよ」。と弾を装填した。
美保の表情が一点して厳しい目をして構えた。そして動いていた銃口が一瞬止まった。引き金を引いた。
「パシュッ」と音がして狙った杭に当たって吹き飛んだ。
「やっあ~っ、私って素質があるのかな。ねえもう一度いい」?
「ああ、弾はいくらでもあるから、でも父や母には絶対に内緒だから。誰にも。・・知れたら叱られるからさ」。
「はい。誰にも絶対に言わない。私と京平さんだけの秘密ね」。
美保は本当に筋が良かった。十数発撃って的を外したのは一発だけだった。
そして今度はピストルの扱い方を教えた。美保は楽しそうに標準を合わせ、引き金を引く練習を繰り返していた。
私はカートリッジに二十発全弾入れてセットした。すると美保の目付きが変わった。両手で銃を押さえ脚を少し開いて構えた。その姿は何年も銃を扱っている様だった。
そして引き金を引いた。「パシュッ、パシュッ」そして次々と引き金を引いて全弾撃ち尽くした。
参った、一発も外さないで的に的中したのだった。此れが初めて銃を持った者の腕とはとても思えなかった。
「やったっ。全部当たったよ。でも銃を持つと気が大きくなるって言うのは本当だね。こんなので人が簡単に死ぬんだね」。
「うん、間違った使い方をしたら恐ろしい凶器だよな。でも凄い腕前だな美保は、本当に初めてなのか?・・・」。
「へへ~っ、初めてですよ。先生の教え方がいいから。私はただ教えられた通り撃っただけです、まぐれまぐれ」。
そして美保は空になったカートリッヂを外すと銃を私に渡した。
私は手入れをしてケースに入れた。部屋の中は硝煙の匂いが立ち込めていた。私は窓を開けて空気を入れ換えた。
美保は持って来た弁当を広げて、お茶を入れて、遅い昼食を済ませた。
そして、地下の倉庫からチエンソーを出し、ライフルで狙った木を切り倒し、二人で斧を持って薪を作った。
「なんかこんな事してると山小屋って雰囲気だね」。
「うん、でも子供の頃は良く薪割りやったよ。ペンションも今のように温泉じゃなかったし、ストーブも石炭とコークスだったから、暇さえあれば薪割りしていた」。
「そうなの、でも此のログハウス素敵ね。ちなみに~っ・・・ここ建てるのにどれ位かかるの」?
「うん、確か材料費だけで六百万くらいだったかな。少しづつ五年掛かりで自分で造ったんだ。専門書を読んだり、知り合いの専門家に教えて貰いながらね」。
「え~っ、凄いんだね京平さんって。聞かなきゃ分からないもん」。
美保はさっきまで銃を撃っていた事などなかったように、徒っぼい瞳をして明るかった。そして寝室を見たり風呂場を覗いたり、無邪気に部屋を見て廻る姿は少女の様だった。
そして居間のソファーに横になると、すぐに眠ってしまった。私は寝室から毛布を持って来て掛けてやった。
そしてドアを閉め、窓に鍵をかけて少し横になった。無邪気な顔をして眠っている美保を見ていると、鳥の声が聞こえていた。
そんな中いつしか自分も眠っていた。
そして夢を見た。いままで一度も見た事も考えた事もないような夢だった。
ふと目を覚ました。すると毛布が掛けられ、明かりが点けられていた。
隣の美保はテレビを見ていた。
「良く眠っていたわよ、なんか悪い夢でも見たの」?
「うん、ちょっとね。美保、こんな夢見た事あるか?・・悪い奴等がいてさ、法では裁けないような奴等を始末する夢」。
「え~っ、それじゃあパニシュマントじゃん。現代風の門土さん。そんな夢なんか見た事ないよ。そうだ。きっとあんなライフル撃ったからじゃないのかな」。
NO-14-31
「京平さん、お義父さんが送ってくれるって言うから乗せて来て貰っちゃった。
凄いロクハウスね、まったく何でもちっちゃいなんて、なにも小さくないじゃん」。と家の中を見渡していた。
「美保さん、京平は小さい頃からそうでね、見えっ張りが嫌いなんだよ、悪く思わないで下さいね」。
「はい、気にしていませんから。私一度こう言う所に泊まってみたかったの。ねえ泊まれるんでしょう」?
「勿論だよ、暖房も冷房も入っているし風呂もあるよ」。
「美保さんはそのつもりで買い出しして来たから、今夜は此々で泊まりなさい」。
「ああ、分かった。じゃあ泊まるか」。
「うん、お義父さん忙しいのに済みませんでした」。
「良いんだよ。じゃあ私は此れで帰るからね。風邪引かせるな」。そして父は車から食料品を降ろすと帰って行った。
「京平さん、良い所ね。夏になったらまた来たいな」。
「ああ、此々のログハウスは美保のでもあるんだ。いつでも遊びに来たい時に来ればいい。それよの凄いもの見せてやるよ」。
私は机の上に置いたブリーフケースを持った、孰れ美保に見付かると思ってライフルと銃を見せた。美保は目を丸くして驚いていた。そして直ぐに笑った。
「なあに此れ、京平さんモデルガンの趣味あったんだ。でも本物みたいね。重くて冷たいね」。
私はライフルを手にすると組み立てて弾丸を装填した。
「美保、あの遠くにある赤い杭を撃ってみるからね」。
「また~っ、あんな遠くまで弾が飛ぶの。まずは拝見」。
美保は全く信じていなかった。そして私は狙いを付けると引き金を引いた。
「バシュッ」と音がして美保は後ろへ後ずさりした。
見ると目を真ん丸くして口を開けたまま、じっと見ていた。
「京平さん、それ本物のライフルなの?・・・え~っどうして」?
「ああ、だから狩猟が趣味だって言ったろ。非合法で手に入れたライフルと銃だけど本物だよ。撃ってみるか」。
「うん、でも私に撃てるかしら。なんか怖いよ」。
「大丈夫さ、教えてやるから。言われた通りにするんだよ。肩から絶対に離さない事、離すとショックで鎖骨が折れる事があるからね。
それから銃口の突起物が照正、手前が照門、両目を明けて狙う所に標準を合わせて息を吐いてから息を止めて引き金を引く。まず装填しないでやってごらん」。
「うん、わあ~っ私本物なんか持つの初めて。以外と軽いんだね」。と美保は言われた通り何度も繰り返し練習していた。
「じゃあ本番行くよ」。と弾を装填した。
美保の表情が一点して厳しい目をして構えた。そして動いていた銃口が一瞬止まった。引き金を引いた。
「パシュッ」と音がして狙った杭に当たって吹き飛んだ。
「やっあ~っ、私って素質があるのかな。ねえもう一度いい」?
「ああ、弾はいくらでもあるから、でも父や母には絶対に内緒だから。誰にも。・・知れたら叱られるからさ」。
「はい。誰にも絶対に言わない。私と京平さんだけの秘密ね」。
美保は本当に筋が良かった。十数発撃って的を外したのは一発だけだった。
そして今度はピストルの扱い方を教えた。美保は楽しそうに標準を合わせ、引き金を引く練習を繰り返していた。
私はカートリッジに二十発全弾入れてセットした。すると美保の目付きが変わった。両手で銃を押さえ脚を少し開いて構えた。その姿は何年も銃を扱っている様だった。
そして引き金を引いた。「パシュッ、パシュッ」そして次々と引き金を引いて全弾撃ち尽くした。
参った、一発も外さないで的に的中したのだった。此れが初めて銃を持った者の腕とはとても思えなかった。
「やったっ。全部当たったよ。でも銃を持つと気が大きくなるって言うのは本当だね。こんなので人が簡単に死ぬんだね」。
「うん、間違った使い方をしたら恐ろしい凶器だよな。でも凄い腕前だな美保は、本当に初めてなのか?・・・」。
「へへ~っ、初めてですよ。先生の教え方がいいから。私はただ教えられた通り撃っただけです、まぐれまぐれ」。
そして美保は空になったカートリッヂを外すと銃を私に渡した。
私は手入れをしてケースに入れた。部屋の中は硝煙の匂いが立ち込めていた。私は窓を開けて空気を入れ換えた。
美保は持って来た弁当を広げて、お茶を入れて、遅い昼食を済ませた。
そして、地下の倉庫からチエンソーを出し、ライフルで狙った木を切り倒し、二人で斧を持って薪を作った。
「なんかこんな事してると山小屋って雰囲気だね」。
「うん、でも子供の頃は良く薪割りやったよ。ペンションも今のように温泉じゃなかったし、ストーブも石炭とコークスだったから、暇さえあれば薪割りしていた」。
「そうなの、でも此のログハウス素敵ね。ちなみに~っ・・・ここ建てるのにどれ位かかるの」?
「うん、確か材料費だけで六百万くらいだったかな。少しづつ五年掛かりで自分で造ったんだ。専門書を読んだり、知り合いの専門家に教えて貰いながらね」。
「え~っ、凄いんだね京平さんって。聞かなきゃ分からないもん」。
美保はさっきまで銃を撃っていた事などなかったように、徒っぼい瞳をして明るかった。そして寝室を見たり風呂場を覗いたり、無邪気に部屋を見て廻る姿は少女の様だった。
そして居間のソファーに横になると、すぐに眠ってしまった。私は寝室から毛布を持って来て掛けてやった。
そしてドアを閉め、窓に鍵をかけて少し横になった。無邪気な顔をして眠っている美保を見ていると、鳥の声が聞こえていた。
そんな中いつしか自分も眠っていた。
そして夢を見た。いままで一度も見た事も考えた事もないような夢だった。
ふと目を覚ました。すると毛布が掛けられ、明かりが点けられていた。
隣の美保はテレビを見ていた。
「良く眠っていたわよ、なんか悪い夢でも見たの」?
「うん、ちょっとね。美保、こんな夢見た事あるか?・・悪い奴等がいてさ、法では裁けないような奴等を始末する夢」。
「え~っ、それじゃあパニシュマントじゃん。現代風の門土さん。そんな夢なんか見た事ないよ。そうだ。きっとあんなライフル撃ったからじゃないのかな」。
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