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20XX年・クエスチャン (-13-)

2010-07-26 17:54:42 | 20XX年・クエスチョン
20XX年・クエスチャン (-13-)

アメリカのケネディー空港では、離陸中に、それも家族が見送る目前で消えている。
この静岡では旅客機の墜落と言う悲惨になった。
他の国で消息を絶った航空機はSOSを発信する事も無く、突然レーダーから消えている。神宮寺博士のチームが観測したデーターでは、4年前の地軸のずれから更に西に5度も傾き、18度も傾いている事が分かった。
しかし、地軸がずれた原因に関しての解明はされていなかった。
続々と入って来る行方不明機の情報。
すると、その中に墜落した航空機が数機あった事が書かれて居た。
そのファイルを持つ佐伯の手が震えた。
4月3日木曜日、日本時間PM15時25分、オーストラリア、ニューサウスウェールス、で発生した個人所有小型セスナ機墜落状況。離陸後5分、突然救難信号を発信。15時30分、墜落炎上。同時刻、シドニー空港を離陸したジャンボ機一機の機影がレーダーから消える。もっか捜索中。小型機の残骸を調べた中間報告書。乗員2名、観光客10名。全員死亡。
事故原因、垂直尾翼脱落に因り操縦不能となり、墜落に至ったと思われる。
注目するは垂直尾翼脱落部、まるで何か鋭利な刃物で切られた様に断面が綺麗である。
突然起こったこの訳の分からない現象。それは、かまいたち現象とでも言っておこう。
これは科学では立証されない推理ではあるが。大変な事が起こり始めているもは確かだ。この地球は今に破滅する。                

第二章 JESチーム発動。

三週間後。佐伯は何日も徹夜し、手掛けていた小説をようやく書き上げた。
そんな佐伯の隣には、体を気遣う真由美の姿があった。
数日後、静岡を引き払い、真由美を連れ立って東京へ出向いていた。出版社に直接出向き、事情を話し、全ての仕事をキャンセルして神奈川へ向かった。
五月、日本列島は長いウィークデーに入った。湿め湿めした蒸し暑い日々は一際増した。静岡の用宗港に墜落した旅客機の残骸は全て回収され、航空安全局による現場検証も終り、破壊された港の復旧に入っていた。
航空機の残骸は海軍横須賀基地の広大な倉庫に運ばれ、更に墜落原因を調べて居た。
墜落原因の情報を持つ唯一のボイスレコーダーを調べた。が、何一つ墜落の原因に結び付くデーターは得られなかった。
ただ、死亡した乗員乗客の司法解剖の結果、全員の遺体から生活飯能が得られず、墜落時には全員が死亡していたという驚きの鑑定がなされていた。
死因、搭乗員乗客280名の全ての死因は不明だと言うのだった。
しかし、客席に酸素マスクが下りた形跡は無く、真っ先に着ける筈の機長、コックピットでも使った形跡は無かった。調査を続ける航空安全局は困惑していた。
そこへ、佐伯と真由美の二人が顔を出した。倉庫一面に旅客機の残骸が置かれ、大方の形に復元されて置かれて居た。
二人を待っていたかの様に公安として調査を手伝っていた林と田島が駆け寄った。
「どうも、待ってました。静岡の方は・・・」。
「ええ、引き払って来ました・・・俺たち結婚しました」。
「ワ~ッ!ヤッターッ。早瀬先輩、先生、おめでとうございます」。
「うん、ありがとう・・・なんか照れてちゃうな」。
そう、二人は今し方届けを出して来たばかりだった。
佐「ところでこの観測データーを見て下さい」。
佐伯は手にした書類ケースから数枚の書類を出す。すると、事務所のドアが開き、航空安全局の新田が駆けよった。
「待ってたぞ。どうだ、答えは出たか。墜落の原因は解ったのか」。
「ええ、漸く答えがでました。これは4月3日午後3時頃、事故当日の日本列島を気象衛星が観測していたデーターの一部です。酸素、窒素、一酸化炭素、ほか大気中の様々な汚染物質を濃度別に現した表です。当時、あの海域6000メートル上空まで、数分間ですがノンエアーゾーンが存在していた事が分かりました」。
「待ってくれ、俺たちにももっと解りやすく話してくれないか」。
「話しは最後まで聞かないと。簡単に言うと、大型タンカーが航行していた海域と旅客機が飛行していた高度6000メートルには酸素か無かったって事です。それどころか真空状態だった事がデーターが物語っているんです」。
「なんだってッ!・・・」。周囲は騒然とした。驚きは無理はなかった。林も礼子も唖然と二人を見つめて居る。
NO-12-26

20XX年・クエスチャン (-12-)

2010-07-01 12:08:07 | 20XX年・クエスチョン
「正に戦争に行って頂きます。この他に大型輸送機も参加します。これを見て下さい、先ほど届いた全世界で起こった航空機と船舶の行方不明の数です。    
今日一日でです。それから、この港の沖を航行していた大型コンテナ船と通信が途絶えてると知らせが入っています」。
佐伯 「やっぱり、その事を調べてくれる様に礼子ちゃんに頼んでいた所でした」。

渡された書類に視線を向けた。民間航空機、軍用機までが世界中で消えていた。そして、二万四千人もの人が行方不明になってた。
船舶は・・・思わず顔を上げた。言葉に出せない程の数であった。    
世界中至る所で航空機や船舶が消えて居た。今日だけでこんなにか。いまいましいが直ぐに調査には出られない。
まずは気象データーを揃えるしかない。薄く唇をを噛み、じいっと書類を見詰めている。しかし何故だ、自分はともかく林さんや礼子ちゃんまでがスタッフに選ばれた訳は。
もし、この墜落事故が清水か焼津で起こっていたら。それでも選ばれたと言うのか。
そんな疑問が俄に湧き、視線を大友に向けた。

「君、あれを」。大友が隣の新田に声を掛ける。
航空安全局の新田則夫は手にしていたカバンを机に置き、書類を出して差し出した。
「佐伯博士、これはこの一カ月に観測しました気象データーです。こちらは地震予知連が観測した地盤の歪みとその時に発生した電波のデーターです。
それから、こちらは神宮寺博士の研究室が観測したこの4年間の観測データーです」その言葉に愕然とした。佐伯の論文をああも否定し、調査結果を何年も揉み消して来た教授が。あれからずっと観測させていたと言うのだ。
神宮寺「佐伯君、君が十年前から警鐘しつづけて四年前に発表した事は正しかった。
今では一連の異変の原因は佐伯説が有力だと言うのが学者達の見解になってます。政府の見解もそうです。
あの日の事で意欲を無くさせ、学会を去らせたのはこの私です。その為にもいつ戻っても良いように観測を続けさせていました。留守中の四年間のデーターですだから許してくれとは言いません。
もし私がやらなくても、早瀬君が君の意志を継いでいたでしょう」。
神宮寺はそう言うと机に両手を着く、腰を上げ、深々と頭を下げるのだった。

「いいえ、止して下さい先生。自分もつい短気なもので反省していたんです。大人気ありませんでした。これからはもう少し大人になります。このデーターは大いに助かります。ありがとうございます」。
「ほらね、私が言った通りでしょう。彼はもう先生の事は怒ってないって、それより研究を途中で放ったらかしにした事の方を悔いてるって」。

確かに真由美の言う通りだった。佐伯は照れくさいやらこそばゆいやら、真由美を放ったらかしにした事も悔い、まだ自分を思って居てくれていた事に感謝していた。
林は何か言いたげに大友を見ていたが、視線が合うと目を反らせた。
それは田島礼子も同様だった。そうか、やっぱり。佐伯は察した。
「訊きたい事があればこの際訊いておいた方がいいよ」。

「では、副大臣にお尋ねします。自分と田島刑事を選ばれた訳ですが・・」。
「ええ、それは当然の疑問だと思います。この組織を結成するにあたり、観測地は 場所に寄っては紛争地域にも行かなくてはなりません。そこで、陸海空、警官の中から人選していた所、有る筋からお二人の名前が上がった訳です。お二方は警察官の中でも選りすぐりの腕の持ち主だと推薦があったからです。     
「すなわち、射撃の腕はオリンピック強化チームの随一あり、正義感も一際だと刑事局長から是非と二人の推薦があったからです。この大惨事がお二人の所轄で起こったのも田島さんが昇進して静岡へ研修に来ていた事も全くの偶然です。政府の意図はありません。ところで、佐伯博士はどうお考えでしょう。突然消えた船舶や航空機の事は」。
昔からそう言う事はあった。在る文献にも書かれている、魔のバミューダー海域で消えた船舶、航空機の事は余りにも有名である。
今日の気象観測、深海底調査テクノロジーに寄って消えた原因はほぼ解明されている。
消息を絶ったバミューダー海域の深海底と遥か離れた大西洋深海から、体積した砂に埋もれた機影や船舶が発見されたのである。
今まで発見されなかったのはこの海底では流砂、砂漠で起こる流砂と同じ現象が起きていた事を摘めないまま調査していた事に尽きる。
墜落、沈没の原因は突然発生する気象変化によって発生したスーパーセル、巨大積乱雲から起こるダウンバースト、強力な下降気流。
また、白い嵐、ホワイトスコールと呼ばれる大雨を伴った大津波。また、海底に眠る資源メタンハイドレートの大量放出が墜落、沈没の原因の一つだと究明された。しかし、今回は違う。
NO-12-24