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小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(23)CG

2008-07-25 15:32:20 | 小説・鉄槌のスナイパー(第一章)
小説・鉄槌のスナイパー・一章・NOー(23)CG

「うん、いつか切ろうと思っていたんだ。半分枯れていたからね」。
「私もそろそろ切らないと腐って折れると思っていたんだよ。美保さん御苦労だったね」。
「いいえ、でも林業の人達の苦労が分かりました」。
「アッハハハハそりゃ良かった。アッハハハハ」。
父は何も疑う事もなく豪快に笑っていた。そして両親が持って来てくれた料理で昼食を取った。
「午前中は何処かへ行って来たのか?・・・電話を入れたんだぞ」。
「うん、松本へ出て買い物して来た。エアガンのオモチャを買って来たよ。その壁に飾ってあるやつだよ」。
「ほう~っまるで本物そっくりだね。美保さんのもあるね」。父はそう言いながら立ち上がるとライフルを手にした。
「京平、弾はビービー弾か」。
「はい」と美保は引き出しからビービー弾の入った箱を出した。父は嬉しそうに弾を込めると安全装置を解除して木に着けてあった的を狙った。
「タンッ」とエアーとバネの音を響かせて的に当たった。そして父は子供の様に続けて遊んでいた。
「美保さんもやってごらん。中々面白いよ」。弾を込めると美保に渡した。
美保は受け取ると構えた。そして引き金を引いた。美保は業と外した。
「やっぱり私はまだ駄目です。はい、お義父さんやって下さい」。父は自慢気に受け取ると続けて遊んでいた。
そんな父の無邪気な様子を横から母は笑いながら見ていた。
そしてお喋りをしながらお茶を楽しんで、午後三時頃には客を迎えるからと帰って行った。
そして七月四日、三日の休日を終えて私達は実家に戻った。そしてペンションの仕事を手伝い始めた。
自分は両親の何を見て育ったのか、仕事を手伝って初めて知らされた。ペンションで生まれ育ったとは言え、毎日が覚える事ばかりだった。
そして、うっとうしい毎日だった梅雨も開け、夏休みに向けてペンションの予約も日を追う事に増え始めた。
予約の電話を受けていて忙しくなるのは目に見えていた。そして八月を迎えて本格的な夏が訪れた。
そしての予約が満杯になった頃、常連客でもある美保の大学の同期の高橋幸子から電話が入った。
母に言われ、部屋で休んでいる美保を呼びに行った。
すると、部屋で受話器を持った美保の表情が次第に険しくなっていった。
「そんなの良いからおいでよ、彼に話して何とかしてもらうから」。そして数分話をして受話器を置いた。
「どうした?・・美保」。
「うん、幸子ったら例の男と付き合っていた見たいなの」。
「例の男?・・・誰!例の男って?・・・」。私は覚えていなかった。
「あの男よ、私の親友を食いつぶしてボロ切れのように捨てて自殺に追いやった男。真田貴明って言って今年で二十七才かな。
見栄えだけは良いの、それで女の子は次々と騙されてね、お金を貢がせて無くなればポイ。幸子その男と付き合っていたみたいなの。
それでね、今年はお金がなくて行けそうもないからって、キャンセルして欲しいって言って来たの」。
「そうか、高橋さんその男に引っ掛かっていたのか。まさか自殺なんかしないだろうな」。
「うん、大丈夫だと思う。彼女ああ見えてけっこう我慢強いから」。美保はそう言いながらも動揺は隠せないでいた。そして私にも妙な胸騒ぎがしていた。
「美保、それで高橋さん仕事は何をしているの」?
「確か証券会社だったと思ったけど。宿泊名簿に幸子の勤務先も書いてあるわよ。見に行こうか」。
そして一階の事務所に降りて宿泊者名簿を開いた。やはり美保の言ったように京都日々証券と書かれていた。
「ほらね、幸子そのまま勤めているのね」。
そして二日三日と過ぎて四日が過ぎた。美保は高橋幸子の電話を受けてから頭から離れない様子だった。そして夕方のニュース、
「本日午後三時ろこ、舞鶴湾にある戸島の海岸で若い女性が浮かんでいるのを釣り客が見付けて警察に届けました。
舞鶴署では早速救出に向かいましたが。女性は既に亡くなっており、死後一日が経過していると言う事です。
そして死亡した女性の身元は、腰に着けていたバックから運転免許証が見付かり、京都府南区在住の高橋幸子さん二十四才である事が分かりました。高橋さんは一昨日、友人と会うと言って家を出たまま帰らなかったと家族は話していました」。
「京平さん、幸子が、幸子が自殺しちゃった。お義母さん」!美保はそう言うと事務所の机の陰に身を屈ませて泣だした。
「どうしてなの美保さん、美保さん何か知っているの」?母は蒼白し、美保の肩を抱いて涙を拭いていた。私はニュースの続きを聞いていた。
場所は舞鶴湾に浮かぶ戸島の海岸だった。そして死後一日、外傷はなく自殺と事故死、他殺の三方から調べていると言う事だった。
私の胸騒ぎは当たってしまった。そして美保を見ると少しは落ち着いた様子だった。涙を拭くと椅子に掛けた。
「京平さん、お義母さん済みませんでした」。
「良いのよ。京平、美保さんを連れて京都へ行ってらっしゃい。高橋さんには御両親にも御利用頂いているの。私たちの代わりに弔問に行って来てちょうだい。お父さん良いわよね」。
「うん、きっと明日の午後には遺体も警察から返して貰えるだろうから。明日午前中に発って行って来てくれ。くれぐれも御両親にはな。
美保さんの同級生も弔問に来るだろうから二~三日ゆっくりして、京都のお母さんにも会って来なさい」。
「はい、お義父さん有り難うございます。でもペンションの方が忙しくなりますから弔問を済ませたら帰って来ます」。
「そんな事は気にしなくていいよ。今日はもう良いから食事を済ましたら休みなさい。京平、いいね」。
母は耳元で囁くように、精神的に参っているから慰めてやりなさい。と。
そして食欲のない美保に夕食を食べるように勧めた。美保は気落ちしたように肩を落としながらも箸を持った。
そしてやっと一杯のご飯を食べると片付け、皆んなより先に仕事を切り上げた。
そして部屋に戻ると何度も溜め息を着いていた。NO-23




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2 コメント

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花火 (あーちゃん)
2008-07-26 08:26:05
↑の花火より私はこちらの花火がいです

花火大会を見に行く事も最近はなくなりました・・・

小説 読ませてもらいました
   次の展開は・・・?楽しみです
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お気に入り (タイムライン)
2008-07-30 02:55:05
あーちゃんへ。

こんばんは、ですです。

自分もどっちかと言うとこっちがすきですね。

小説アップ遅れてしまいました。

今からします。
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