災害支援ボランティア 宮北会(みやきたかい)

東日本大震災後、岩手県宮古市・山田町で被災者との「顔の見える」交流活動を続けています

 「生き残った人々を」死に追い詰めさせない運動を、今から始めなければ!

2013-01-01 15:11:56 | 設立趣旨・方針
2013年1月1日 新しい年が始まった。                 
江藤善章

全国各地の姿がテレビに映し出されていて、映像の先に、震災と原発の被災者の姿があった。
それを見ながら12月24日から訪ねた岩手県宮古市と崎山の皆さんの姿が思い出されていた。そこで見て聞いて知ったのは、被災地は更に厳しい事態に突入しているという現実だった。
   一体どれくらいの人が・・・・!
私は、仮設から復興住宅などへの移行は、まだ二年先だと考えていた。なぜなら、被災地の現実を客観的に見ていると、到底すぐに自力で家を建てたりできる状態ではないし、復興公共住宅と言う名前の建物も、そう簡単には出来る状態ではないからだ。しかし、今回の選挙により消費税の実行は早急に行われることになった。少なくとも、停止や延期という選択にはならないのだ。その結果、消費税率が上がる前に早く家を自力で建設する方が得策で、遅くなるとそれだけ個人負担が多くなることになる。つまり、ある程度の「力」(経済性・年齢性)を持つ環境にある人がいち早く仮設から出ていくことになる。ある方は「今、仮設の中では、家を建てるとか、土地を購入したとか、そんな話に対して、とても皆が神経質になっているんですよ!」と語ってくれた。阪神大震災の時、仮設から復興住宅や、自力再建の動きには3年から4年がかかった。その中で、助け合いが進み、共同体意識や連帯が生みだされていた。それでも、同じ被災者の中で早く自立できる力のある者と、より深刻な状況にある人の、どうしようもない感情の摩擦が生じていた。それが、これだけの甚大な被害地域の中で、起こり始めているのだ。残されて行く人達のどうしようもない苦しみや苛立ちは、これから阪神の比ではないほどに生みだされようとしている現実に、私は戦慄した。1995年の阪神大震災での死者数6434人。仮設での独居死(孤独死)36人、公営復興住宅での独居死717人。東日本大震災の死者数約2万人。阪神の3倍以上である。一体どういう事になるのだろうか!今、仮設の中で、「共同体」としての一体感も作られないまま、被災者はバラバラにされようとしているのだから。
  追い詰められる「東北」と「被災者
政治の選択が、こうして被災者をさらに追い詰めていくことになる。消費税5%から10%を越える状況になるという現実が、いかに弱い立場の者を過酷な状況に迫っていくのかを、私達は想像する力を持たなければならない。新政権は地域に根差した産業復興を図ろうとせずに、「経済復興」という名前の下で必ず、公共投資による中央直結の大企業優先政策を展開していくことだろう。公共投資と言う国民の税金は、被災地域の農業・漁業に投資される可能性は低く、復興は顧みられることはないだろう。なぜなら、効率優先、利益主義優先になるからだ。これまでも山田町の漁民から、復興支援をもらう基準の難しさを聞いてきた。零細な漁民や兼業農家には初めから流れないシステムになっている。つまり、暮らしを放棄することが半ば強要されている現実がある。
東北は、震災以前でも第一次産業関係者はワーキングプアー(働く貧困層―生活保護世帯水準)が多かった。今後、新政権はアメリカから要求されている「交渉」に積極的に参加することを表明しているから、第一次産業は決定的なダメージを受けることになり、被災と重なり一層困難となり、被災地に生活保護世帯が増加することは目に見えている。その生活保護世帯をさらに「自立」という名前で追い詰めて行く悪夢のようなシナリオが透けて見える。つまり、「東北」がほんの一部を除いて、被災地は丸ごと捨てられる事態になりそうだ。その始まりに、2013年なろうとしているのだ。

 命」に直結した運動を!  「継続」した活動を
宮北会は、昨年までは仮設でのイベントを積極的に行い、一人暮らしの高齢者を繋ぎとめることを目的にした活動をしてきた。しかし、今年からはさらに、個人に直結した活動をすることが必要である。そのために以下のことを提起したい。
1-一人暮らし被災者の誕生日に、手作りで「誕生日祝賀」の贈り物をしながら、顔と顔が理解できる関係をさらに深めていく活動をしよう!被災者が孤独感に陥ることを防ぐ必要がある。
2-継続のために、会員制の宮北会を再構築していこう!
  これまでの、現地に行く活動だけでなく、誰でもがこの埼玉でやれる活動をしながら、共に継続して支援する体制を作る必要がある。このことを抜きに、現地の被災者の命を救い支えることはできない。会員として、一緒に被災者の心に寄り添って行きましょう。
表に流れた涙はすぐ乾く、私達が乾かぬ涙を心に持つために、今一歩、もう一歩、被災者に近づくことこそが必要なのです。是非ともご参加下さい。

※1月4日(金) 午後6時以降 浦和駅東口パルコ9階さいたま市民活動センター。二月の誕生日の被災者に贈り物を届ける作業をします。

※「宮北会」 3・11以後、4月から岩手県宮古市・山田町を拠点にした継続的支援を展開するボランティア団体です。
活動日 奇数月:第一金曜日/偶数月:第一木曜日 午後6時から
活動場所 さいたま市民活動センター