「チェルノブイリクライシス」原発事故の教訓とは
原発事故の教訓とは、一体何だろう。ここに一冊の本がある、「チェルノブイリクライシス」(昭和63年5月に出版されている)がそれだ。ウラジミール・シェフチェンコさんの映像(チェルノブイリ原発事故の残像を詳細に写している)をもとに編集された、稀有な本である。チェルノブイリ市は、かつてのソ連の穀倉地帯(ウクライナの大地のなかでもひときわ緑と水に恵まれた豊かな地)である、原発事故がこの地を変えてしまった。「チェルノブイリ」とは、ロシア語の「ニガヨモギ(キク科の植物)」のことである。ヨハネの黙示録に「~水の三分の一はニガヨモギとなり 水の苦くなりしにより 多くの人々死にたり~」とあり、現状よりも先にこのことが世界に流布したのである。当時のソ連政府が情報を小出しにしてきたこともあり、マスコミの取り上げ方も大きく左右に傾斜したもの(政治的な思惑が絡み)になり、事実が明瞭なものではなかった。この本が出版されたのは事故の2年後でしたが、わたしには衝撃でしたね。この「原発事故」以降、日本でも「警鐘」を鳴らす報道・出版もあり、論議も活発にされたものの、日々次第に薄れていった。そして、教訓は生かされることはなかったのである。この本のもとになった映像「チェルノブイリクライシス」「チェルノブイリシンドローム」のカメラマン、ウラジミール・シェフチェンコさんとヴァレンティン・ユルチェンコさんも数箇月後に亡くなりました(他にも関係者が亡くなっていると聞く)。「福島原発事故」が「教訓」に・・・なるであろうか。