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中川輝光の眼

アトリエから見えてくる情景
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「チェルノブイリクライシス」原発事故の教訓とは

2011-07-01 | 本の紹介

「チェルノブイリクライシス」原発事故の教訓とは

原発事故の教訓とは、一体何だろう。ここに一冊の本がある、「チェルノブイリクライシス」(昭和63年5月に出版されている)がそれだ。ウラジミール・シェフチェンコさんの映像(チェルノブイリ原発事故の残像を詳細に写している)をもとに編集された、稀有な本である。チェルノブイリ市は、かつてのソ連の穀倉地帯(ウクライナの大地のなかでもひときわ緑と水に恵まれた豊かな地)である、原発事故がこの地を変えてしまった。「チェルノブイリ」とは、ロシア語の「ニガヨモギ(キク科の植物)」のことである。ヨハネの黙示録に「~水の三分の一はニガヨモギとなり 水の苦くなりしにより  多くの人々死にたり~」とあり、現状よりも先にこのことが世界に流布したのである。当時のソ連政府が情報を小出しにしてきたこともあり、マスコミの取り上げ方も大きく左右に傾斜したもの(政治的な思惑が絡み)になり、事実が明瞭なものではなかった。この本が出版されたのは事故の2年後でしたが、わたしには衝撃でしたね。この「原発事故」以降、日本でも「警鐘」を鳴らす報道・出版もあり、論議も活発にされたものの、日々次第に薄れていった。そして、教訓は生かされることはなかったのである。この本のもとになった映像「チェルノブイリクライシス」「チェルノブイリシンドローム」のカメラマン、ウラジミール・シェフチェンコさんとヴァレンティン・ユルチェンコさんも数箇月後に亡くなりました(他にも関係者が亡くなっていると聞く)。「福島原発事故」が「教訓」に・・・なるであろうか。

      

 


この「奇妙な本」が売れた頃

2011-04-30 | 本の紹介

この「奇妙な本」が売れた頃

おかしな本が、売れることがある。ぱらぱらめくるとメモ?落書き?、日記の類だろうが、蛾までスクラップかい?、全ページこのようなもの。本のタイトル「ミスタービーンの秘密の日記」、そうミスタービーンことローワン・アトキンソンの本である。当時、わたしもそのしぐさと憎めない表情、なによりもその想像を超えた行為に笑い転げたものである。何故、唐突に・・・と思うかもしれませんが、テレビを何気なく見ていたらローワン・アトキンソン(ミスタービーン)さんが神妙な顔で・・・あの英国王室の・・・見たのである。驚いたのは、わたしの頭に(唐突に)浮かんだのがこの本・・・このことに驚いたのである。これがまことに支離滅裂、記憶の断片というものが実在することに、驚いたのである。レコードの電子化作業をしながらのあれこれで・・・このようなことをしているからか、時間が後戻りする。こんな本、買う奴なんていないなと思いつつ、買ったことを思い出したのである。

    

 


絵本「ひさの星」(斉藤隆介・文+岩崎ちひろ・絵)の紹介

2011-01-01 | 本の紹介

絵本「ひさの星」(斉藤隆介・文+岩崎ちひろ・絵)の紹介

 2011年、どこから始めようか迷いましたが、絵本の紹介がいいかなと・・・。この絵本「ひさの星」はずいぶん以前に、このブログで紹介したことがあります。哀しい物語が描かれています。絵は岩崎ちひろさん、淡い色調で描かれる一人の少女のお話です。絵本は、子どもたちのために書かれるのが通常ですから、あまりに哀しいお話は嫌われる傾向があります。この絵本は数少ない例外ということになります。岩崎ちひろさんの絵は、お母さんたちには人気がありますし、実際よく買われています。子どもたちが生き生きと描かれていますし、主人公の少女の表情に心打たれます。これからも、絵本や童話の紹介を時折していきたいと思います。美術の話題も忘れないでしていきたい・・・政治話題が多いのではといった指摘を受けての反省です。これからもよろしく。

 

     

 


「天野祐吉のCMウオッチング」を読む

2010-11-19 | 本の紹介

「天野祐吉のCMウオッチング」を読む

日本には、才能豊かなエッセイストが多い、天野祐吉さんもその一人です。時代を鋭敏な感覚で切り取り、その断片をユーモラスに語る、希有の天才です。この本は、1984~1990年のCMをサカナに日常のあれこれを書かれている。わたしは、時折この本を手にする、楽しいのである。

CMは、時代を映す鏡です。わたしは「旭化成」「富士フイルム」などエスプリの効いたものが好きでした。最近では「ソフトバンク」とこれですね。

「ウィスキーが、お好きでしょ」 サントリーウィスキーCM

  • 「ウィスキーが、お好きでしょ」 サントリーウィスキーCMの画像

ウィスキーが、お好きでしょ♪
もう少ーし、しゃべりましょ♪

石川さゆりさんが情感たっぷりに歌う「ウィスキーがお好きでしょ」と、小雪さんのはにかんだ魅力が合わさり雰囲気のいいCMになっています。

 

    


串田孫一著「思索の階段」の紹介

2010-10-31 | 本の紹介

 串田孫一著「思索の階段」の紹介

串田孫一さんの「思索の階段」を、紹介します。串田孫一さんのエッセイが好きで、旅に出るときなどよく一冊手にしたものです。今日は、朝から雨が降り続いています。この本にも「自然の音に耳を傾けよう」という表題で、「雨音」「木枯らし」などについて書かれています。気象異変のためか、日本の四季の移ろいも不安定で、わたしたちの自然観も異常をきたしています。「木枯らし」に、秋から冬への備えをしたのも、いつしか昔のことになりました。いつしか、「木枯らし」は人と人の間を通り抜けていく、次第に情感も薄くなっていく。串田孫一さんは、日本という風土・情緒が産み落とした「知識人」です。このような人たちが支えた「日本の文化」が、次第に色あせてしまう。これは、わたしの思い過ごしだろうか。


      


季刊誌「kotoba」を買う

2010-10-13 | 本の紹介

季刊誌「kotoba」を買う

金沢の街には、二つのデパートがあります。片町には「金沢大和」、武蔵が辻には「名鉄エムザ」、わたしはどちらもめったに行きませんが、今日は「金沢大和」で人待ちです。なかなか来ぬ人を待ちながら、書店をぶらぶら「時間つぶし」である。そこで何気なく手にしたのが「kotoba」、COP10(生物多様性条約第10回締約国会議)を特集している、「生物多様性が我々の生活になぜ必要なのか、あらためて考える」といった副題に目がとまったのである。さまざまな視点から、ひとつのテーマを解析してみせる「なかなかいい」、しばらく「立ち読み」を楽しんでいると、いつの間にか待ち人が来ている。とりあえずの「購入」である。このような雑誌を買うのは、ひさしく無かった。そういえば、このところこのような雑誌を見ることも無かった、当然買うことも無かった。「時間つぶし」も、たまにはいいものである。

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ジャコメッティ 私の現実

2010-10-12 | 本の紹介
ジャコメッティ 私の現実

「ジャコメッティ 私の現実」は、みすず書房が1976年に発刊された「ジャコメッティのメモや文章(一部会話)を集めた本」です。ジャコメッティの創作意図(思想)、その断片を垣間見るに適した一冊といえます。わたしのアトリエに書斎空間があり、その中央本棚にずいぶん長く「鎮座」しています。日本でも海外でも、ジャコメッティの彫刻やスケッチを見る機会があり、その都度「気になる・後味の悪い感覚」を覚えたものです。人がただ人として「存在」していることの「不安」、わたしたちの「無名性」にあるのかもしれません。ある時空間に現われては消えていく「存在」、芸術家も例外ではない。わたしは幼い頃から「空想癖」と「放浪癖」があり、よくぼんやり(夢想)していたものです。そのわたしにとって、ジャコメッティの彫刻は「脅威」そのもののように思えたのかもしれません。あまりに「哲学的な問い」を、それ(ジャコメッティの彫刻)は迫ってくるのです。ミケランジェロの啓示やロダンの情熱は、わたしの「空想枠」を広げてくれますが、ジャコメッティの塊からは「静止」しかない。時間どころか移動すらできない、わたしの居場所が自ずと定まってしまうのです。その「隷縛」から逃れる術はこの本を読む以外にない、そう「呪文」のように繰り返し読むのです。やっかいそのものです、「私の現実」は・・・。


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D.ポーストル著「宇宙の網目」の紹介

2010-09-28 | 本の紹介

D.ポーストル著「宇宙の網目」の紹介

BBCのTV科学番組のディレクター・D.ポーストルさんの著書「宇宙の網目」(1983年)、知的好奇心が旺盛だった時代、多くの「科学の本」が出版されました、これもその一冊です。この本は、科学的な眼で「日常生活」を見てみようとする、物事を論理的に考えることの意味をそれとなく教えてくれる。わたしたち(とりわけ日本人)は自然に敏感です、猛暑の街を歩きながら「人生の試練」と結び付けたりもする。大切に育てた木々や花々が急速にしおれたりするものなら、「不吉の前兆」などと騒ぎ出す始末。ただ、手入れが悪いだけなのに・・・。「水の表面にはいろいろな形が現われるが、やがて消えてしまい、水の本体だけが残る。いかに魅力的に見えようとも、さざ波の動きを心の動きと連動させてはならない・・・」と。しかし、わたしたちは、論理的には生きられない。厳しくも優しい自然の中での生活を強いられているかぎり、情緒的な折り合いをつけ、多少の誤魔化しをも許してもらい、生きている。

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水木しげる著「のんのんばあとオレ」の紹介

2010-08-13 | 本の紹介

水木しげる著「のんのんばあとオレ」の紹介

わたしは、NHK朝連ドラ「ゲゲゲの女房」を見ています。「ゲゲゲの鬼太郎」の作者水木しげるさんの(物語)周辺を描いていますが、これがなかなか面白いのです。水木さん本人も特異な人ですが、その周辺の人々も独特?です。わたしは、まさにハマッテいます。その水木さんの「のんのんばあとオレ」、子どもの頃を思い出して書いていますが、これも以前TVドラマ化されていますので、記憶にあるかもしれません。「のんのんばあ」と呼ばれるおばあさんと、そのおばあさんが話して聞かせる「妖怪」のこと、村での生活のことなどがいきいきと描かれています。「挿絵」の多いのもこの本の魅力です、その挿絵すべてに点々(点描)の多いことにも、この点々はあのアシスタントが描いたものかなと、思ったりもする(ゲゲゲの女房で知りました)。わたしは旅に出るときには、一冊の文庫本(軽く邪魔にならないから)を画材と一所に入れておくのです。この本も、これまでの旅の「お供」だったものです。昔はのんびりできたのに、ふと思いつつ、いやそう思いたいだけかもしれないなと・・・案外、子どもの頃も現在も、アクセク(忙しい)しているのかも。

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小泉八雲著「日本雑記他」の紹介

2010-07-28 | 本の紹介

小泉八雲著「日本雑記他」の紹介

小泉八雲=Lafcadio Hearnの「日本雑記他」を紹介します。『怪談』『日本の面影』で知られている小泉八雲さん。わたしの好きな作家の一人です。NHKで『日本の面影』がドラマ化されたことがあります。ラフカディオ・ハーン(Lafcadio Hearn) をジョージ・チャキリスが好演していました、山田太一さんが脚本を担当しています。ニューオリンンズで新聞記者をしていたハーンが、時の万国博で日本と日本文化に魅せられ、40歳の時、通信記者として日本を訪れ、また、その時知り合った日本の政府関係者の世話で、島根県の松江に、島根尋常中学・師範学校の英語教師として赴任し、日本に滞在することになった。その後熊本、東京と教師として移り住み、54歳で没するまでが描かれている。

     良き理解者で親友となった尋常中学の教頭・西田(小林薫)と

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      やがて没落士族の娘小泉セツ(壇ふみ)を愛し結婚する

わたしにはこのドラマの印象が強く、日本雑記他」を読んでいるときもいくつかの場面が頭を過ぎったものです。好奇心旺盛なハーン(ジョージ・チャキリス)と怖い話をする時のセツ(壇ふみの抑えた話し方)が、残像となり浮かぶのである。「日本雑記他」は、小泉八雲を知るための『資料』です。

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