竹田青嗣著「陽水の快楽」の紹介
この本は、古書店でふと手にしたものです。「家にあるかもしれない」と思いつつ、旅先ということもあり、気まぐれに購入した。帰りの電車で読み返してみる、次第に「あの時」が読みかえってくる、不思議なものです。わたしは、大学を出てすぐに「教師」になった。しかしながら、その「立場」に馴染めなく1年で辞めた。それからの数年間は、旅の中でした、内実ともに「放浪時代」といっていいものでした。「団塊(この呼称は好きでないがよく使われる)の世代」が共有している時代背景(色濃い挫折感)があり、社会人としてのスタートラインもそこを起点としている。わたしの友人の友人(あの頃の人脈はただひたすら広いものでした)に「小坂修平(哲学)」がいて、その友人が若き「竹田青嗣」でした。竹田青嗣さんの歌唱力はセミプロ、とりわけ井上陽水が好きで・・・だから「陽水の快楽」は、自ずと生まれるべくして生まれた本です。わたしたちの世代に、井上陽水フアンが多いのには理由があるのです。わたしたちの世代特有の感性のなかに、挫折感の後に来る「しらけた雰囲気(情感)」が住み着いていて、井上陽水の歌がその部分に共鳴するからではないかと・・・行き場のない「中途半端な気持ち」がいまだに続いているのではないかと。この世代の多くは、次第に一線から退く・・・参議院選挙でがんばっている幾人かもこの世代ですが、疲れの色は隠せない・・・。この世の課題は多く、解消は遠い、夢はまだ先の先です。