生き埋め子猫救出 金沢・浅野川
 子猫の回復を喜ぶ高柳さん(右)=あさ川動物病院 |
泥の海に消え入りそうな小さな命を救ったのは、母猫の懸命な叫びだった。7月28日の浅野川のはんらんで、被災者とボランティアが泥の中から救い出した子猫が2日までに元気を取り戻した。「私らも救われた気持ちや」。死と隣り合わせの極限状態を耐え抜いた子猫の姿は、復興を目指す被災地の大きな希望になっている。
金沢市東山一丁目の民家裏手に、大人のひざ丈まで積もった泥の中から、顔を半分だけ出した状態で見つかった。 死んでいるように見えた子猫に、住人の柴原郁子さんが触れると、一声上げたため、急いで泥から引きずり出した。子猫は、ボランティアで訪れていた高柳浩子さんが体を洗い、タオルにくるんで病院に急行した。 柴原さんによると、子猫救出のきっかけとなったのは、発見場所近くの塀の上でしきりに鳴く別の猫の存在だったという。猫の声は28日夜ごろから聞こえていたといい、柴原さんは「あれはきっと、子供を呼ぶ母猫の声やったんやろうね」と振り返る。 子猫は抗生物質注射などの治療を受け、30日に一度発熱したが、現在は餌を食べられるまでに回復している。子猫を診察したあさ川動物病院の藤井謙芳院長は「埋まったままだったら、生後二カ月とみられる小さな体では、泥に体温を奪われて死んでいただろう」と話す。
子猫を引き取ることになった柴原さんの親類の吉田喜洋さんは「離れ離れになった母猫のぶんも、大切に飼ってあげたい」と対面を心待ちにしている。 現在も泥で汚れた家屋の掃除に追われる柴原さんは「小さい命をどうしても助けたかった。家はガタガタで毎日大変やけど、こんなことがあると救われた気持ちになる」とほほ笑んだ。
人の行為が、小動物の命を左右する時代です。いや、人類の考えひとつで地球環境(自然・動植物)そのものが左右される時代に、わたしたちも生きている。